第54回中学生作文コンクール (公財) 生命保険文化センター

第54回中学生作文コンクール
優秀賞
長野県
信州大学教育学部附属長野中学校
わたしと生命保険
二学年
宮澤 広大
夏休み、朝早くから聞き覚えのある音楽が聞こえる。近所のお寺の境内で
行 われている、ラジオ体操だ。
ラジオ体操のルーツを辿ると、生命保険につながる。私が最初にその話を知って
驚 い た の は 、〝 体 操 〟 と 〝 生 命 保 険 〟 が 一 見 何 の 関 係 も な い 、 意 外 な 組 み 合 わ
せだったからだ。
ラ ジ オ 体 操 と い え ば、 誰 も が 知 っ て い る 国 民 的 な 体 操 だ。 学 校 や 職 場 な ど、
全国津々浦々で行われている。私も小学生の頃の夏休みには、毎日朝早く近所
のお寺の境内に通ったものだ。
現在のラジオ体操は一九五一年五月、今から六十五年も前にNHKのラジオ
で放送が開始された。私の父や母が生まれる遥か昔の話だ。世界初のラジオ体
操 は、 そ れ か ら さ ら に 二 十 六 年 前 の 一 九 二 五 年 に 行 わ れ て い る。 場 所 は ア メ リ カ
合衆国。主催はメトロポリタン生命だ。その目的は〝国民の体力向上と健康の
保 持 や 増 進 〟。 保 険 加 入 者 が よ り 健 康 に な れ ば 、 病 気 や 死 亡 に よ る 保 険 の 請 求
も減って、生命保険という制度をより健全に運営することができるということ
である。ラジオ体操は、生命保険会社によって、健康と幸福を追求するという
高 い 理 想 に 基 づ い て 始 め ら れ た も の だ っ た。 自 分 と は か け 離 れ た 存 在 だ と 思 っ て
いた生命保険が、身近に感じられた。
〝 健 康 〟 と 〝 生 命 保 険 〟 と 聞 い て、 父 が よ く 母 に 健 康 の こ と で 注 意 さ れ て い る
ことを思い出した。健康診断でメタボを指摘されたにもかかわらず、一向に改
善の努力をしないからだ。健康を損なってしまえば、いずれ生命保険のお世話
になってしまう。私は、父の体のことが少し心配になった。私たち家族は父に
万が一のことがあったとき、果たして大丈夫なのだろうか。
生命保険というと、お金が絡んだ話しづらい話題だと思う。それは大切な
家 族の〝死〟について考えることであり、これまでもあまり話題にすることは
な か っ た 。 で も 、〝 死 〟 は 誰 も が 避 け る こ と の で き な い 、 い つ か は 直 面 す る
問 題だ。話しづらい話題だが、思い切って母に聞いてみることにした。
母は私の質問に対し、きちんと保険に入っていることを教えてくれた。父に
万が一のことがあっても、私が将来進学するのに困らないよう考え、加入して
く れ て い た そ う だ。 両 親 は 私 の た め に コ ツ コ ツ と 保 険 料 を 払 い 続 け て く れ て い た
のだ。両親の愛情を感じた瞬間だった。
(公財) 生命保険文化センター
第54回中学生作文コンクール
母の話を聞いて、生命保険はイソップ寓話『アリとキリギリス』の話に似て
いると思った。両親は、いずれ訪れるであろう、人生の〝冬〟に備え、アリの
よ う に コ ツ コ ツ と 保 険 料 を 払 い 続 け て く れ て い た。 キ リ ギ リ ス の よ う に 怠 け 者 の
私でも、同じことができるのだろうか。
そんな私も、将来進学して社会人となったその後は、自分の人生のことを
自 分で考えなくてはならない。自分の夢を見つけ、その実現のためにやるべき
こ と を 考 え 、そ の 途 中 に 待 ち 受 け る リ ス ク を 見 極 め な く て は な ら な い 。 そ し て 、
万が一リスクが発生しても夢への道が絶たれることがないよう、ふさわしい
保 険に加入しなくてはならない。
未 来 の た め に 生 命 保 険 に 入 る の は、 未 来 を 想 像 し、 人 生 を 設 計 す る こ と だ。
私も将来、人生を設計し、万が一に備えることができる大人になりたい。
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