第54回中学生作文コンクール (公財) 生命保険文化センター

第54回中学生作文コンクール
優秀賞
愛知県
刈谷市立朝日中学校
家族と考える保険
三学年
高橋 一夏
「 こ こ に 五 百 円 玉 置 く よ 。 ち ゃ ん と 払 っ て ね 。」
そ う い っ て 母 が 弟 に バ ス ケ ッ ト ボ ー ル の 体 験 レ ッ ス ン の 保 険 代 を 渡 し た。 す る と
弟が、
「 ケ ガ し な か っ た ら 、 こ の 五 百 円 っ て 返 っ て く る の 。」
と聞いた。
「 こ う い う の は、 掛 け 捨 て っ て い っ て 返 っ て こ な い の。 で も、 も し ケ ガ を し た
ら 給 付 金 が 支 払 わ れ て 助 か る ん だ よ 。」
と母が教えていました。テレビコマーシャルでも多くの保険が紹介されている
が、私は今まで保険といったらどれも同じものだと思っていた。
「 ね ぇ 、 私 に 保 険 っ て 掛 け て あ る の 。」
という言葉が思わず口からとび出した。
「 も ち ろ ん 、 で も 学 資 準 備 の た め の 保 険 だ け ど ね 。」
「 生 命 保 険 と 何 が 違 う の 。」
私は、矢継ぎ早に母に質問をした。どうして保険が必要なのか。どんな種類の
も の が あ る の か 。ど ん な と き に 、どうしたらお金が手元に入ってくるのか。母は 、
時 々 困 っ た 顔 を し て い た が 、そ れ で も 私 に わ か り や す い よ う に 説 明 し て く れ た 。
コマーシャルの楽しげなイメージとちょっと違って、現実が私に迫ってくる
よ うな気がした。これから先、私が大人になっていくために、様々な場面で
お金が必要なことがわかってきたからだ。けれどもそれは、両親が健康でしっか り
と働くことができれば不自由なく用意できるのだろうが、何か一つでも歯車が
狂ってしまえば……。結果は容易に予測できた。
「 じ ゃ あ 、 保 険 に 入 り ま く れ ば い い の 。」
「 バ カ ね ぇ。 保 障 が 大 き く て 保 険 金 が 高 額 な も の に 入 れ ば、 保 険 料 だ っ て 高 く
な る ん だ よ 。」
「 え っ 。 そ う な の 。」
何だかよくわからなくなってしまった。そんな私を見ていた母が、我が家が
入っている保険を一つひとつ紙に書き出して説明してくれた。話を聞いている
と、 や み く も に 保 険 に 入 っ て い る の で は な く、 両 親 の 将 来 設 計 を も と に、 私 た ち
子どものことを考えて、保険という〝商品〟を選んでいるんだということが
わ かってきた。
(公財) 生命保険文化センター
第54回中学生作文コンクール
お 金 を 払 っ て い る の に、 何 事 も な け れ ば お 金 が 手 元 に 戻 っ て こ な い こ と も、
初めは損をしたような気分だったが、両親が支払うお金が保険会社の運用資金
になり、困っている人に支払われることを知ると納得できた。
また、両親が私たち家族の将来を広く深く考えていることが保険の種類や
内 容から見えてきた。ちょっと照れくさい気もしたが、うれしかった。家族の
誰か一人にでも何かあった場合、共倒れしてしまうのではなく、保険の支払い
によって家族みんなで支え合えるようになっていることがうれしかった。
高 校 受 験 を 控 え た こ の 夏 、急 に 将 来 に つ い て 考 え る こ と が 多 く な っ た 。 で も 、
〝 保 険 〟 の こ と を 母 と 話 し た こ と で、 普 段、 清 掃 や 洗 濯、 食 事 の 準 備 な ど 身 の
回りの細かな世話だけでなく、もしものときに備えての〝不安〟からも守って
もらっていることがわかった。
母の説明を聞いても、よくわからないことがまだあるのだが、こうして〝保険 〟
をきっかけに家族で将来について話をしたり、考えたりすることが大切だと
思 う 。 形 の な い 〝 商 品 〟 だ け ど 、そ の 時 々 で 〝 保 険 〟 を 選 ん で い く こ と で 、
〝 幸 せな家族の足跡〟を残していければいいと思う。
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