第54回中学生作文コンクール (公財) 生命保険文化センター

第54回中学生作文コンクール
沖縄県
竹富町立船浦中学校
形のないお守り
全日本中学校長会賞
二学年
山口 奏空
「 山 口 さ ん 。 あ ん た が い て く れ て よ か っ た よ 。」
母が、お客様からいただく最高のほめ言葉。幼稚園に通っていた頃、私の降園
後の遊び場は生命保険会社の休憩室だった。夕方になり、黒いスーツ姿の女性
社 員 が 次 々 と 戻 っ て く る 。 扉 が 開 く 度 に 私 は 振 り 返 り 、母 の 姿 を 探 し た 。 休 日 、
母に連れられてお客様の家まで行くこともあった。バッグの中から取り出した
書類を広げて難しい説明をしているが、私には何のことかさっぱり理解できな
かった。ただ一つわかっていたのは、お客様が書類に印鑑を押すと、形はない
けれど商品が売れたということだけだった。それから何年か過ぎた頃、その
お 客 様 は 入 院 し て 手 術 を 受 け、 生 命 保 険 と 同 時 に 加 入 し た 医 療 保 険 が 適 用 に
な っ た そ う だ。 そ の 時 初 め て、 母 の 勧 め た 商 品 が 形 に な っ た こ と を 知 っ た。
そ れと同時に、お客様からおほめの言葉をいただき、母は感謝されていた。
生命保険は、スーパーに並んでいるような形のある商品ではない。食料品や
衣服などは購入するとすぐに消費したり使用したりするが、生命保険は将来の
ことを考えて早いうちから準備するものだ。人は将来に待ち受けている人生が
どのようになるか、確実ではないが想像はできる。進学、就職、結婚、出産も
あ れ ば 突 然、 死 亡 す る こ と も あ る。 こ の 人 生 の 分 岐 点 に 立 っ た 時、 サ ポ ー ト し て
くれるのが生命保険だと言える。学資準備のための保険、収入保障保険、終身
保 険 や 定 期 保 険 な ど 数 多 く の 商 品 の 中 か ら、 自 分 に 必 要 な も の を 選 ぶ の は 難 し い
と思う。複雑な生命保険の種類の中から、お客様に必要な保障額を組み合わせ
てプランニングし、契約後もサポートしていく。それが母の仕事だった。
今、私は四つの生命保険に入っている。私の出生体重は一〇二〇グラムしか
なかった。生まれたその日に主治医の先生から、
「 今 夜 が 峠 で す 。」
と言われたそうだ。九歳になるまでは、主治医の先生から経過観察が必要と
言 われていたので生命保険に加入できなかったが、経過観察が終了して二年が
たったのでやっと契約することができた。その時、私には母が安心したように
見えた。
現 在、 私 が 入 っ て い る の は 終 身 保 険、 三 大 疾 病 保 障 保 険 や 医 療 保 険 な ど だ。
病気やケガで入院や手術をしたり、重度の病気をわずらうと適用になるものも
あ る が、 大 学 生 に な っ た 時 に 学 費 が 不 足 し た り、 結 婚 し て 一 時 金 が 必 要 に な っ た
(公財) 生命保険文化センター
第54回中学生作文コンクール
時などに受け取れる生命保険もある。財布や銀行の通帳に入れてあるお金は
簡 単に使ってしまうが、保険料として保険会社に支払えば〝保障〟という形に
変わって守られる。これは、生命保険を契約することで実は、安心を購入して
いるのだと考えられる。本人や家族に病気や万一、不幸が起きた際に力強く
支 えてくれるのが生命保険なのだと言える。
「 私 は 、 も う 怖 い 病 気 に は な ら な い よ う な 気 が し ま す 。」
「 そ う で す か。 け れ ど、 生 命 保 険 は 目 に は 見 え な い お 守 り で す か ら ね。 い つ か
病 気 と 闘 う こ と が あ れ ば 強 い 味 方 に な り ま す 。」
契 約 し た 方 と 母 の 会 話 だ。 小 学 生 だ っ た 私 に は 理 解 す る こ と が 難 し か っ た が、
今 で は そ の 意 味 が 理 解 で き る 。 形 は な い け れ ど、〝 保 障 〟 と い う 安 心 を 得 る こ と
が で き る 〝 お 守 り 〟。 そ の 〝 お 守 り 〟 が 将 来 、〝 強 い 味 方 〟 と し て 形 を 成 す こ と
も あ る と い う こ と だ。 も し、 父 親 が 小 さ な 子 供 を 残 し て 他 界 し て し ま っ た ら、
母親はその後、大変苦労するだろう。しかし、生命保険という〝お守り〟を持って
いたなら、たちまち〝強い味方〟に変化する。
人 は 誰 で も、 生 命 保 険 は 必 要 な 保 障 だ と 感 じ て い る と 思 う。 し か し、 形 の あ る
生活必需品などを揃える方が先になり、そして生命保険は考える時間や難しさ
もあり、後回しになりがちだ。だが、当たり前と思っている日常はいつ崩れ
去 る か わ か ら な い。 形 の な い〝 お 守 り 〟 を〝 強 い 味 方 〟 に つ け、 毎 日 を 安 心 し て
活動できるようになることこそが、生命保険の最大の活用法なのだ。
(公財) 生命保険文化センター