楽読 (ラクヨミ) 2016年1月29日 Vol. 1,059 下振れリスクはあるものの、商品市況が 緩やかな上昇に向かう可能性も 世界銀行が1月26日に発表した商品市況見通しでは、新興国の景気減速の影響などから、2016、17年の 予想が下方修正されました。ただし、主要項目の2016年の市況(年平均)は、エネルギー:前年比▲25%、 金属・鉄鉱石:▲10%、農作物:▲1%と、いずれも下落見通しながら、15年の大幅下落(それぞれ、▲45%、 ▲21% 、▲13% )に比べると程度は浅く、さらに17年には上昇が見込まれています(下の左図参照)。 *北海ブレント、ドバイ、WTIの平均 個別品目の予想を見ると、原油価格*は年平均で2015年の1バレル=51米ドル(前年比▲47%)から16年 には37米ドルへ27%の下落が予想されているものの、一時、30米ドルを下回った足元の水準から徐々に上 昇すると見込まれています(下の右図参照)。その主な背景として、①今年初めの急落は需給などのファンダ メンタルズを逸脱した動きと考えられること、②足元の市況水準では原油生産コストが相対的に高い国で損失 が生じるため、生産減少につながる可能性があること、さらに、③新興国の景気持ち直しを背景に世界経済 の成長率が緩やかに高まることに伴ない、原油需要がやや拡大すると見込まれること、が挙げられています。 ただし、OPEC(石油輸出国機構)の原油生産量が予想を上回り、供給過剰が長引く場合や、新興国からの 原油需要が一段と弱まる場合など、原油価格にはかなりの下振れリスクがあるとされています。一方、OPEC 主要国の間での対立などにより、供給に支障が生じる場合には、上振れする可能性もあるとされています。 近年、新興国からの需要の変動が商品市況を大きく左右する要因の一つとなっています。特に注目される 中国では、持続可能な中高速の経済成長への転換が図られており、景気減速が見込まれています。ただし、 同国の減速が世界銀行などの予想の範囲内にとどまり、新興国全体としての景気の持ち直しという見通しの 確度が高まれば、商品市況の下げ止まりや持ち直しの可能性も高まると考えられます。 原油価格の底値前後12ヵ月の動き 商品市況(米ドル・ベース、年平均)の推移 140 120 (2000年~2020年予想) 350 (2010年=100として指数化) 350 (原油価格の底値=100として指数化) 予想レンジ 85年7月~87年7月 97年12月~99年12月 07年12月~09年12月 15年1月~17年1月 世界銀行予想 300 (底値=100として指数化) 250 300 100 250 農作物 200 80 予想レンジ 85年7月~87年7月 *貴金属を除く 97年12月~99年12 60 350 100 07年12月~09年12 150 (底値=100として指数化) 予想レンジ* 15年1月~17年1月 85年7月~87年7月 世界銀行予想 エネルギー 300 50 97年12月~99年12 40 100 350 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 07年12月~09年12 6 8 10 12 00年 03年 06年 09年 12年 (底値=100として指数化) 15年 18年 * 2016年1月15~22日に発表された、主要投資銀行6社の予想 (月数) 15年1月~17年1月 250 50 (出所)いずれも世界銀行「Commodity Markets Outlook, January 2016」 世界銀行予想 300 -8 -6 -4 -2 0 ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 -12 -10 2 4 6 8 10 12 200 金属*・鉄鉱石 世界銀行 予想 150 (月数) 200 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 250 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 150 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが 200 あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1 100
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