PowerPoint プレゼンテーション

2016年10月20日
ブラジル中銀は4年ぶりの利下げを決定
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ブラジル中銀は0.25%の利下げを決定。食品価格下落や財政健全化の進展などによるインフレ環境の改善が背景。
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ブラジル中銀は緩やかで段階的な金融緩和を進めながら、物価や財政の状況次第で利下げの幅やペースを検討。

景気後退期は終盤に差し掛かる。金融緩和や物価安定などから、17年の経済成長率は1.3%へ回復が予想される。
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金融市場はテメル政権の政策の進展を好感。株価は2012年4月以来の高値へ上昇し、レアル相場も安定傾向。
図1:ブラジル中銀の政策金利とインフレ率
ブラジル中央銀行は政策金利の引き下げを決定
ブラジル中央銀行は10月18-19日(現地時間)の金融
政策委員会(COPOM)において、政策金利を0.25%引き
(%)
16
14
ブラジル中銀
政策金利
下げ14.00%とする決定を下しました(図1)。利下げは
2012年10月以来、4年ぶりとなります。
12
ブラジル中銀では声明文において、足元の食品価格下
10
落や財政健全化進展などによるインフレ環境の改善を利
8
下げ判断の要因として挙げました。ブラジル中銀のインフレ
6
見通し(基準シナリオ)では、インフレ率は2017年末には
目標中心値(+4.5%)を下回る前年比+4.3%へ、2018
年末には同+3.9%へ低下が予想されています。
財政健全化が今後の金融緩和のカギを握る
先行きの金融政策に関して、ブラジル中銀は「緩やかで
段階的な金融緩和」を進めるとしながら、インフレ鈍化の
行方や財政健全化審議を注視しつつ、今後の利下げの
幅やペースを検討する方針を示しました。
ブラジル下院が10月10日に歳出上限法案を大差で可
決したことで、今後の財政健全化法案の審議と実行が早
14.00%
インフレ率
(IPCA、前年比)
ブラジル中銀
インフレ見通し
(基準シナリオ)
上限 6.5%
4
インフレ目標(中心=4.5%)
2
3.0%
0
13
14
15
16
17
(年)
18
(出所)ブラジル中銀、ブラジル地理統計院(IBGE)
(期間)政策金利:2013年1月1日~2016年10月19日
拡大消費者物価指数(IPCA):2013年1月~2016年9月
(注)基準シナリオは政策金利とレアル相場を一定と仮定した見通し。
インフレ見通しは10月19日時点。
図2:ブラジルの燃料小売価格の推移
(レアル/リットル)
4.5
2016年10月14日 ペトロブラス
国際市況連動の燃料価格体系を公表
4.0
2016年末には13.50%へ、2017年末には11.00%へ引
き下げられると予想されています。
3.9%
4.3%
下限 2.5%
期に進む公算が高まりつつあります。ブラジル中銀集計の
市場コンセンサス(10月14日時点)では、政策金利は
6.0%
ペトロブラスの経営悪化や政府財政の悪化
を受けて値上げ・増税を実施(2013~2015年)
3.5
インフレ抑制のため燃料価格を統制
ペトロブラスは燃料価格の引き下げを公表
3.0
ガソリン小売価格
また、10月14日に国営石油会社ペトロブラスがガソリン・
ディーゼル価格の引き下げと国際市況に連動した新燃料
価格体系への移行を公表したことは、今後のインフレ安定
を促す要因となると期待されます(図2)。従来、ブラジル
の燃料価格は政府からの強い介入を受けて決定されてき
ましたが、新価格体系によりペトロブラスが燃料価格決定
の独立性を維持することは、同社が2017年にも計画する
燃料小売事業の売却に弾みがつく可能性があります。
2.5
2.0
ディーゼル小売価格
1.5
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(出所)ブラジル石油監督庁(ANP)
(期間)2005年1月1日~2016年10月9日
(注)新価格体系での価格引き下げは2016年10月15日より適用。
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種
データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、
将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予
告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に
よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作
成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
1
ブラジルの景気後退期も終盤に差し掛かる
足元のブラジル経済は、2014年からのマイナス成長が
続いているものの、景気後退期は終盤に差し掛かりつつあ
る模様です。市場コンセンサスによれば、実質GDP成長率
図3:ブラジルの実質GDP成長率(実績と市場予想)
(前年比、%)
6
4
は2016年下期にはマイナス幅が一段と縮小し、2017年
2
にはプラス成長への転換が見込まれています(図4)。通年
0
でのブラジルの実質GDP成長率は、2016年の-3.2%から
-2
2017年には+1.3%へ回復が予想されています。
金融緩和と物価安定が個人消費や投資を促進へ
足元では、政権交代に伴う政策転換への期待やインフ
レ改善などを受けて、企業や消費者の信頼感が改善基調
市場予想
(10月14日時点)
実質GDP成長率(実績)
-4
2016年4-6月期
前年比-3.8%
-6
12
ブラジル中銀による金融緩和やインフレの安定化が個人
消費や企業による設備投資を促すと考えられます。
金融市場はテメル政権の政策の進展を好感
14
15
16
(年)
17
(出所)IBGE、ブラジル中銀
(期間)2012年1-3月期~2017年10-12月期
にあります(図5)。今後、財政政策の面では財政健全化
のため引き締め型の施策が採られる可能性が高いものの、
13
図4:ブラジルの消費者・企業信頼感指数
(中立=50)
65
(2001年=100)
125
120
60
消費者信頼感指数
(左軸)
115
55
110
金融市場では、8月末のテメル政権の発足以降の政策
の進展が好感され、株価とレアル相場の持ち直し基調が
続いています(図6)。主要株価指数であるボベスパ指数
は10月18日には63,782ポイントと2012年4月以来の高
値へ上昇しました。一方、レアルの対米ドル相場は足元で
は1米ドル=3.17レアル前後へ緩やかに持ち直し、対円相
50
改善
105
45
100
40
企業信頼感指数
(鉱工業、右軸)
悪化
95
35
90
12
13
14
15
(出所)ブラジル全国工業連盟 (期間)2012年1月~2016年9月
場も1レアル=32円台で安定的な推移が続いています。
図5:ブラジルの株価と為替相場の推移
(レアル)
ブラジル中銀は為替介入ポジションの縮小進める
ブラジル中銀は足元でのレアル高局面を活用し、2013
年から2015年にかけて積み上げた米ドル売り・レアル買い
65,000
60,000
1.5
ボベスパ指数
(左軸)
高は、10月18日時点では約3分の1以下の306億米ドル
2016年8月31日
ルセフ大統領の弾劾決定
2.0
2016年5月12日
テメル暫定政権発足
介入のポジションの縮小を進めています。2016年初には
1,081億米ドル あったブラジル中銀の通貨スワップ介入残
30
(年)
16
55,000
2.5
50,000
3.0
まで縮小しています。これは、ブラジル中銀が為替市場へ
の介入姿勢を強めたルセフ政権下とは異なり、テメル政権
45,000
3.5
レアル高
下では為替相場を市場の需給に委ねる変動相場制への
志向が強いことを示しているとみられます。
(関連マーケット・レター)
10月12日付 「ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決」
10月6日付 「ブラジル地方選挙で連立与党が躍進」
40,000
35,000
15年1月
4.0
レアルの
対米ドル相場(右軸)
レアル安
4.5
15年7月
16年1月
16年7月
(出所)ブルームバーグ (期間)2015年1月1日~2016年10月19日
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種
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