ご参考資料 マーケットレポート 2016年10月19日 米国の投資環境について 世界経済の不透明感が続く中、米国は緩やかながらも景気回復を続けており、消費は底堅く推移しています。 雇用改善に伴う賃金上昇が物価上昇に繋がると12月の利上げも視野に入りますが、利上げペースは緩やかにな ると予想されており、米国資産にとって「適温相場」が続くことが期待されます。 図1:米国実質GDP成長率寄与度推移 1. 米国経済の現状と見通し ◆米国景気は緩やかな回復が継続 米国の2016年4-6月期の実質GDP(国内総生産)成長率 は前期比年率で+1.4%となり、4四半期ぶりに伸び率が加 速しました(図1)。 4-6月期はGDPの約7割を占める個人消 費(民間最終消費支出)が同+2.9%と大幅な伸びとなった ほか、設備投資(民間企業設備)が3四半期ぶりに増加に 転じました。 先行きは原油価格が安定に向かうにつれて設備投資の 回復が期待されるほか、在庫投資の増加が成長率を下支 えする見込みであり、来年に向けて緩やかな景気回復の 持続が期待されます。 8 (%) (2013年4-6月期~2016年4-6月期、四半期) 民間最終消費支出 民間企業設備 公的需要 実質GDP成長率 6 民間住宅 民間在庫品増加 純輸出 4 2 0 -2 -4 13/2Q 13/4Q 14/2Q 14/4Q 15/2Q 15/4Q 16/2Q (年/期) ※前期比年率換算データを使用。 ※2Qは4-6月期を意味し、例えば13/2Qは2013年4月から6月の3ヵ月間を示す。 (出所)米商務省のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 2. 雇用の改善は消費を後押し ◆労働市場は、改善基調を維持 雇用情勢については、失業率が過去1年間、概ね4.9~ 5.0%で推移しています(図2)。非農業部門雇用者数の伸 びは2016年5月に+2.4万人と大きく落ち込んだものの、6月 は+27.1万人に回復、直近3ヵ月(7~9月)は月平均で+19.2 万人と高水準を維持しており、今後も個人消費は底堅い推 移が見込まれます。 一方、足もとで失業率の低下が足踏みしている背景に は、完全雇用の水準に近付いていることや、これまで職探 しをあきらめていた人々が労働市場に復帰しつつある面も あります。 FRB(米連邦準備理事会)は長期的な失業率の水準を4.7 ~5.0%と想定しており、FRBの責務の1つである「雇用の最 大化」は達成されつつある状況です。 図2:米国の雇用統計の推移 (万人) 60 (2006年9月末~2016年9月末、月次) (%) 11 40 10 20 9 0 8 -20 7 -40 6 -60 5 非農業部門雇用者数(前月比、 左軸) 失業率(右軸) -80 -100 06/9 08/9 10/9 12/9 14/9 4 3 16/9 (年/月) (出所)米労働省、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメ ント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法にもとづく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。本資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/4 ご参考資料 図3:米国のインフレ指標の推移 3. 米国の金融政策の現状と見通し ◆インフレは、指標間でばらつきも FRBのもう1つの責務は「物価の安定」であり、インフレ率 2%を長期的な目標としています。足もとでインフレ指標は 全体として上向き方向で推移しているものの、伸び率の水 準にはばらつきが見られます(図3)。 2 また、賃金上昇率は緩やかに水準を切り上げているもの の、未だ金融危機前の水準に至っていません。 1 ◆9月FOMCで利上げ見送りの理由は? 0 07/3 ◆市場は利上げペースにより慎重な見方 FRBは先行きの利上げを示唆しておりますが、利上げの ペースは緩やかになると見られています(図4)。米国経済 の緩やかな成長と低水準のインフレ率を考えれば、年1回 程度の利上げに留まるだろうと市場では予想しており、長 期金利の上昇幅は限定的ではないかと考えられます。 適切なペースでの利上げは、長期的には米国経済が健 全な成長を続ける上で必要なプロセスであると言え、株式 市場やREIT市場などの米国資産にとって程良い状況が続 く「適温相場」にあると考えられます。 コア消費者物価指数 *1上昇率 賃金上昇率 コアPCEデフレーター *2 3 特にFRBが重視するコアPCE(個人消費支出)デフレー ターは8月分で前年同月比+1.7%となっており、年明け以 降、伸び率は概ね横ばい圏で推移しています。 9月20-21日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員 会)の声明文では、「利上げの条件は整ってきたが、当面 は一段の確証を待つことに決めた」とされました。イエレン FRB議長は会見で、「労働市場には一段の改善余地があ る一方、インフレ率は2%水準を下回っている。こうした中、 雇用やインフレの改善の継続を示す、さらなる確証を待つ ことを選んだ」と説明しました。 (2007年3月~2016年9月、月次) (%) 4 物価の安定目標 (2%) 09/3 11/3 13/3 15/3 (年/月) *1 コア消費者物価指数(CPI):変動の大きい食品・エネルギーを除いた物価指数。 *2 コアPCE(個人消費支出)デフレーター:食品・エネルギーを除いた名目個人消費 支出を実質個人消費支出で割ったもの。FRBが最重視している指標。 ※前年同月比データを使用。 ※コア消費者物価指数上昇率、コアPCEデフレーターは2016年8月までのデータを 使用。 (出所)米労働省、米商務省、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセット マネジメント作成 図4:FF金利*のFRB予測と先物 (FF金利FRB予測:2016年末~2019年末、年次) (FF金利先物限月:2016年10月~2019年9月、月次) (%) 3.0 2019年末: 2.625% 2.5 FRBのFF金利予測中央値 (2016年9月) 2018年末: 1.875% 2.0 1.5 1.0 2016年末: 0.625% 0.5 0.0 16/10 2017年末: 1.125% FF金利先物 (2016年10月13日現在) 現行FF金利誘導目標:0.25%~0.50% 17/4 17/10 18/4 18/10 19/4 19/10 (年/月) *FF(フェデラル・ファンド)金利:米国の民間銀行は預金残高に応じてFRBに準備 金を預託するが、その資金を民間銀行が短期市場で調達する際の金利をFF金 利という。米国の政策金利として位置づけられる。 (出所)FRB、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法にもとづく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。本資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/4 ご参考資料 図5:米ドル/円為替レートの推移 4. 米ドルの見通し ◆米ドル/円は当面もみ合う展開 130 米国経済は緩やかながら安定的な成長を維持し、FRB は非常に緩やかなペースで利上げを進めて行くと考えられ ます。一方で、日本や欧州は金融緩和政策を継続してお り、米金利上昇に伴う他国との金利差の拡大は、米ドルに とってプラス材料であると考えられます。 120 しかし、低インフレ環境の常態化によるFRBの金融政策 の不透明感、クリントン・トランプ両大統領候補の米ドル安 志向、他先進国の緩和的な金融政策スタンス継続への懸 念などから米ドルは当面現行水準でもみ合う展開と考えら れます(図5)。 (円) (2006年9月29日~2016年10月13日、日次) 110 100 90 80 70 06/9 08/9 10/9 注目される11月の米大統領選挙ですが、過去には大統 領就任1年目に米国株式が大きく上昇するケースが多く なっていることがわかります(図6)。 ただし、共和党のトランプ候補が当選した場合は、保護主 義の傾向が特に強いことから、米ドル高の修正が長期化 する可能性(円高に振れるリスク)があることにも注意が必 要です。 (1983年~2015年) 16 16.8 14.3 12 10 8 6.0 6 4 1.5 2 0 大統領選挙 前年 大統領就任 1年目 大統領就任 2年目 図7:日・米・欧実質GDP成長率の推移 (%) 8 右のグラフ(図7)は過去約20年間の米国、ユーロ圏、日 本の実質GDP成長率の推移を前年同期比で見たもので す。成長率は、1996年1-3月期~2016年4-6月期の平均で 米国が+2.4%と、欧州の+1.5%、日本の+0.8%を上回って おり、リーマン・ショック時を除けばプラス成長を維持してい ます。 -2 ◆適温相場継続で魅力高まる米国資産投資 -4 現状、米国は緩やかに景気回復を続けており、利上げ ペースも緩やかになると予想されることから、米国の株式 やREIT市場では「適温相場」が続くことが期待されます。 -6 ただし、世界経済の不透明感は依然残っていることから、 キャピタル収益だけではなく、インカム収益の積み上げにも 着目した米国資産投資が注目されます。 大統領選挙 の年 ※年平均騰落率はS&P500指数を使用して算出。 ※各年の騰落率は各年末と前年末の株価を比較した騰落率。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 6. まとめ ◆長期スパンで安定成長が続く米国経済 16/9 (年/月) 図6:大統領選挙における米国株式年平均騰落率 14 ◆政策に対する市場の反応には注意 14/9 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 (%) 18 5. 大統領選挙の影響 12/9 (1996年1-3月期~2016年4-6月期、四半期) 6 4 2 0 米国 ユーロ圏 日本 -8 -10 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 (年) ※前年同期比データを使用。 (出所)米商務省、Eurostat、内閣府、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・ アセットマネジメント作成 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法にもとづく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。本資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/4 ご参考資料 【 ご留意事項 】 ●当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ●ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断 ください。 ●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は 全て投資者の皆様に帰属します。 ●投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ●当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ●当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 ●当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発 元もしくは公表元に帰属します。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 4/4
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