アジアリート市場動向と見通し(2016年10月号)

2016年10月13日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB170)
REITレポート
アジアリート市場動向と見通し(2016年10月号)
アジアリート市場(シンガポール・香港・マレーシア)の動向

9月(月間)のアジアリート市場は、主要3市場(配当込み、現地通貨ベース)とも史上最高値圏で
もみ合う展開となりました。年内の米利上げ観測や中国人旅行客の消費支出減少による小売り売上
げの低迷等が上値を抑える要因となったようです。円ベースのマレーシアリート市場は、追加利下
げ観測等を背景にマレーシアリンギット(対円)が売られたことから、5%を超える下落となりまし
た【図表1、2】。主要3市場で時価総額最大(9月末)のシンガポールリート市場のセクター別騰落
率(配当除き、現地通貨ベース)は、主要4セクターともプラスとなりました。上昇率トップは
3.6%の上昇となったヘルスケアセクターでした。【図表3】。

9月末のアジアリート市場の時価総額(米ドルベース)は、過去最高を更新しました【図表4】。
図表2:アジアリート市場のパフォーマンス
図表1:アジアリート市場の推移(現地通貨ベース)
【 現地通貨ベース(2016年9月) 】
データ期間:2014年12月末∼2016年9月末(日次)
140
シンガポール
香港
当月
マレーシア
130
年初来
シンガポール
1.6%
16.1%
香港
0.3%
25.6%
マレーシア
-1.6%
19.0%
120
110
(参考)【 円ベース(2016年9月) 】
100
当月
90
シンガポール
-0.6%
1.7%
香港
-1.8%
5.6%
マレーシア
-5.5%
4.0%
※2014年12月末を100として指数化
80
2014/12
2015/6
2015/12
2016/6 (年/月)
年初来
※各国リートはS&P各国リート指数を使用(いずれも配当込み)
図表3:シンガポールリートのセクター別推移
130
図表4:時価総額(浮動株ベース)の推移
データ期間:2014年12月末∼2016年9月末(日次) (億米ドル)
700
小売り
産業
オフィス
ヘルスケア
データ期間:2014年1月末∼2016年9月末(月次)
マレーシア
香港
シンガポール
600
120
500
110
400
100
300
90
200
80
100
※2014年12月末を100として指数化
70
0
2014/12
2015/6
2015/12
2016/6(年/月)
出所)図表1∼4はS&Pのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
2014/1
2014/7
2015/1
2015/7
2016/1
2016/7
(年/月)
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするも
のではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりま
すが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは
保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●投資する有価証券の価格
の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないの
で、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
1/2
図表5:主要国リートのイールドスプレッド
(%)
8.0
図表6:アジアリートのPBR(※)推移
(倍)
2.00
2016年9月末時点
配当利回り
10年国債利回り
データ期間:2011年9月末∼2016年9月末(月次)
シンガポール
イールドスプレッド
香港
マレーシア
1.75
6.0
1.50
4.42
4.0
3.45
3.12
2.77
2.71
1.25
1.60
2.0
1.00
0.0
0.75
マレーシア
豪州
米国
香港
日本
シンガポール
-2.0
0.50
2011/9
2015/9 (年/月)
(※)株価純資産倍率(株価/純資産):一般的に、1倍割れ
は株価が割安な水準にあるとされる
図表8:香港の商業施設の賃料推移
図表7: シンガポールの商業施設の賃料と空室率の推移
(%)
2013/9
12
データ期間:2009年9月末∼2016年6月末(四半期)
11.5
(シンガポールドル psf pm)
10
11.0
(%)
データ期間:2014年1月末∼2016年8月末(月次)
15
10
5
8
10.5
0
-5
6
10.0
4
9.5
空室率(左軸)
2
-10
-15
(前年同月比)(3ヵ月平均)
-20
賃料(右軸)
香港島
9.0
2009/9
2011/9
2013/9
2015/9
(年/月)
(※)psf pm:1スクエアフィート(約0.093㎡)月当り
九龍島
-25
2014/1
2015/1
2016/1
(年/月)
出所)図表5、8はブルームバーグ、図表6はS&P、図表7はシンガポール都市再開発庁のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
今後の見通しについて

中長期的には、相対的な配当利回りの高さ【図表5】やアジアの経済成長力等が支援材料となり、上
昇基調をたどるものと考えます。しかし、短期的には米利上げ観測や11月8日の米大統領選挙等不
透明要因が多く、上値の重い展開になりそうです。3市場とも史上最高値圏にあり、過熱感が強いと
思われることから、世界最大のリート市場である米国リート市場が調整する等悪材料が出た場合に
は、一旦調整局面入りする可能性もありそうです。

シンガポールや香港の商業施設の賃料が減少傾向を続けています【図表7、8】。中国景気や株価の
低迷等によって中国人旅行客及びその消費額が減少した結果、売上げ不振から退去するテナントが
増え、空室率の上昇や賃料の下落が生じているようです。アジアリート市場の約半分(9月末時価総
額ベース)は商業施設セクターです。その収益動向に今後更に注目が集まるものと思われます。
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするも
のではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりま
すが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは
保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●投資する有価証券の価格
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商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
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