アジアリート市場動向と見通し(2016年11月号)

2016年11月15日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB214)
REITレポート
アジアリート市場動向と見通し(2016年11月号)
アジアリート市場(シンガポール・香港・マレーシア)の動向

10月(月間)のアジアリート市場は、米国利上げ観測の高まりによる長期金利の上昇等を嫌気し、
シンガポールと香港市場(配当込み、現地通貨ベース)が下落しました。金利の上昇幅が比較的小
幅に留まったマレーシア市場は、住宅等好調な不動産市況や賃料増加期待等を背景に上昇しました。
米国利上げ観測等を背景に円が対米ドルで売られ、アジア通貨に対しても下落したことから、3市場
とも円ベースではプラスとなりました【図表1、2】。主要3市場で時価総額最大(10月末)のシン
ガポールリート市場のセクター別騰落率(配当除き、現地通貨ベース)は、ヘルスケアが0.39%上
昇する一方、小売りが0.40%下落しました【図表3】。

10月末のアジアリート市場の時価総額(米ドルベース)は、前月比3.5%減少しました【図表4】。
図表1:アジアリート市場の推移(現地通貨ベース)
データ期間:2014年12月末∼2016年10月末(日次)
140
シンガポール
香港
図表2:アジアリート市場のパフォーマンス
【 現地通貨ベース(2016年10月) 】
当月
マレーシア
130
年初来
シンガポール
-2.4%
13.4%
香港
-3.2%
21.5%
マレーシア
2.1%
21.4%
120
110
(参考)【 円ベース(2016年10月) 】
100
当月
90
シンガポール
0.4%
6.1%
香港
0.4%
6.1%
マレーシア
4.4%
8.6%
※2014年12月末を100として指数化
80
2014/12
2015/6
2015/12
2016/6 (年/月)
年初来
※各国リートはS&P各国リート指数を使用(いずれも配当込み)
図表3:シンガポールリートのセクター別推移
130
図表4:時価総額(浮動株ベース)の推移
データ期間:2014年12月末∼2016年10月末(日次) (億米ドル)
700
小売り
産業
オフィス
ヘルスケア
データ期間:2014年1月末∼2016年10月末(月次)
マレーシア
香港
シンガポール
600
120
500
110
400
100
300
90
200
80
100
※2014年12月末を100として指数化
70
0
2014/12
2015/6
2015/12
2016/6 (年/月)
出所)図表1∼4はS&Pのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
2014/1
2014/7
2015/1
2015/7
2016/1
2016/7
(年/月)
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
するものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作
成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資
収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。●投
資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商
品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
1/2
図表5:主要国リートのイールドスプレッド
(%)
8.0
図表6:アジアリートのPBR(※)推移
(倍)
2.00
2016年10月末時点
配当利回り
10年国債利回り
データ期間:2011年9月末∼2016年10月末(月次)
シンガポール
イールドスプレッド
香港
マレーシア
1.75
6.0
4.53
1.50
3.55
4.0
3.21
2.67
2.67
2.0
1.25
1.32
1.00
0.0
0.75
マレーシア
豪州
米国
香港
日本
シンガポール
-2.0
0.50
2011/9
2015/9 (年/月)
図表8:香港の商業施設の賃料推移
図表7: シンガポールの商業施設の賃料と空室率の推移
(%)
12
2013/9
(※)株価純資産倍率(株価/純資産):一般的に、1倍割れ
は株価が割安な水準にあるとされる
データ期間:2009年9月末∼2016年9月末(四半期)
11.5
(シンガポールドル psf pm)
(%)
データ期間:2014年1月末∼2016年9月末(月次)
15
10
10
11.0
8
10.5
5
0
-5
6
10.0
4
9.5
空室率(左軸)
2
-10
-15
-20
賃料(右軸)
(※)前年同月比(3ヵ月平均)
香港島
9.0
2009/9
2011/9
2013/9
2015/9 (年/月)
(※)psf pm:1スクエアフィート(約0.093㎡)月当り
九龍
-25
2014/1
2015/1
2016/1
(年/月)
出所)図表5、8はブルームバーグ、図表6はS&P、図表7はシンガポール都市再開発庁のデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
今後の見通しについて

米大統領選で共和党のトランプ候補が勝利し、同氏の政策がインフレを生じさせる懸念がある等の
判断から米国10年国債金利が急上昇しています。金利上昇を嫌気して米国リート市場は調整色を強
めつつあり、アジアのリート市場もその影響を受けそうです。また、12月13∼14日のFOMC
(米連邦公開市場委員会)での利上げ観測が更に強まる場合等には、新興国から資金が米国に還流
するとの懸念が悪材料となり、下げが大きくなることも想定されます。

短期的には米国金利動向に大きく左右される展開になるものと考えますが、中長期的には、相対的
な配当利回りの高さ【図表5】やアジアの経済成長力等が支援材料となり、米国金利の上昇に一服感
が出たあたりから再び緩やかな上昇基調を取り戻すものと考えます。前年比で減少を続けていた香
港(九龍)の商業施設の賃料が急回復する等、賃料の底打ちを示す指標も出始めており、今後の下
支え要因になるものとみています。
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
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資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商
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商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
2/2
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