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アジア
2016年10月3日
日銀の新たな枠組みへの期待と不安
日銀は物価目標の達成を、短期決戦型で取り組んできましたが、 9月の金融政策決定会合で、持久戦となることを
にらんだ枠組みに変更しました。新たな金融政策の枠組みに対する期待がある一方、今後の課題も見られます。
金融政策決定会合における主な意見:新た
な枠組みが提案されるが、意見に相違も
日銀は2016年9月30日に、9月20、21日に開催した金融政策
決定会合での政策委員の「主な意見」を公表しました。9月の
金融政策会合で新たに導入を決めた長期金利の水準を操
作する枠組みについては、経済情勢に応じて柔軟に対応で
き、政策の持続性も高まると評価する声が上がる一方、現状
程度の国債買い入れを続ける中で、期間10年までの金利を
フォワードガイダンスのもと、マイナス圏で長期間固定するこ
とになれば金融仲介機能への影響が懸念されるなどの批判
もあり、日銀内部で意見の相違が浮き彫りとなっています。
どこに注目すべきか:
国債購入計画、マネタリーベース
日銀は物価目標の達成を、短期決戦型(2年程度で2%)で取
り組んできましたが、 9月の金融政策決定会合で、持久戦と
なることをにらんだ枠組みに変更しました。新たな金融政策
の枠組みに対する期待がある一方、今後の課題も見られま
す。
まず、日銀の金融政策の枠組みを簡単に振り返ると、従来
の「量」に軸足を置いた枠組みから、今後は長短金利に誘
導目標を設定して利回り曲線(イールドカーブ)の形状をコン
トロールする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が主
体になったと見られます。一方、年間80兆円程度というベー
スマネー増加の数値目標は補完的な立場に置かれたと見ら
れます。ただし、この先も「量」を増やし続ける方針は維持さ
れ、消費者物価上昇率の実績値が目標の2%を安定的に超
えるまで量的金融緩和を継続するオーバーシュート型コミッ
トメントも提示されました。
次に、まだ始まったばかりですが、新たな枠組みでの政策運
営を見て行きます。日銀は9月30日に「当面の長期国債買い
入れの運営について」を公表しました。前月(9月)の購入計
画に比べ、例えば5~10年セクターで200億円、購入計画金
額を減額しています。日銀が示した当面のイールドカーブ・
ピクテ投信投資顧問株式会社
コントロールは短期金利をマイナス、長期金利をゼロ%近辺を
目標としたものの、実際に利回りがマイナス0.1%程度であった
ため(図表1参照)減額したものと思われます。市場では国債
購入減額が懸念されず、為替はむしろ円安が進行する格好と
なっています。唐突なマイナス金利導入により悪化した市場と
日銀の対話の改善が感じられます。総括的な検証ではコミュ
ニケーションについて明確な検証が行われたとは思われませ
んが、それでも改善の継続が何よりも重要と思われます。
一方、「主な意見」には日銀内の意見の相違も見られます。例
えば、マネタリーベースの拡大は予想物価の上昇率に寄与し
たとして、前向きに評価する意見と、マネタリーベースと物価
上昇率の間には長期的な関係は観察できないという、全く反
対の意見が併記されています。イールドカーブ・コントロール
を主体とすることを選択した経緯、そして最終的な決断からは、
マネタリーベースの拡大は分が悪いようにも思われます。もっ
とも、急激な変化は市場を不安定にさせるということを懸念し
ているのかもしれませんが。
最後に、潜在成長率を引き上げて、経済に中立な金利である
自然利子率を上昇させるには政府の成長力強化の取り組み
が必要でという声が日銀内部から聞かれました。例えば、欧
州中央銀行(ECB)はドイツに財政政策を促すなど、外国の中
央銀行でも金融政策だけに成長戦略を期待すべきではないと
いう姿勢を示しているだけに、日銀の成長戦略に対する新た
なメッセージにも注目しています。
図表1:日本10年国債利回りの推移
(日次、期間:2015年9月30日~2016年9月30日)
0.4
%
10年国債利回り
0.2
0.0
-0.2
マイナス0.1%
-0.4
15年9月
15年12月
16年3月
16年6月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
16年9月
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