2016年10月6日 ご参考資料 159 今回のテーマ 日銀金融緩和の「新しい枠組み」を読み解く 9月21日、日本銀行は金融政策決定会合で「長短金利操作付き 新人くん 日興アセットマネジメント の新人。営業推進部門に 配属され、投信や経済に ついて勉強中。 量的・質的金融緩和」の導入を決定しました。今回は、この新し い枠組みの柱とされる「イールドカーブ・コントロール」と「オー バーシュート型コミットメント」に着目して、調べてみました。 1.イールドカーブ・コントロール イールドカーブ(利回り曲線)とは、国債などの同一種類の債券に ついて、5年債や10年債などの年限ごとの利回りを線でつないだも のです。イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)とは日本銀 行(以下、日銀)が、長期および短期の金利を特定の水準へ誘導 することで、このイールドカーブを操作しようというものです。 2013年4月以降、日銀は2%の物価安定目標を掲げ、日本経済 を長らく続くデフレから脱却させることをめざし、 「量的・質的金融緩 和」に取り組んできました。これは、国債やETF(上場投資信託)の 買入れなどを通じ、金融市場や社会に出回るお金の総量を増やす ことで、物価や景気の回復につなげるというものです。 加えて、2016年1月に、金融機関が日本銀行に預けている当座 預金の一部に、△0.1%の金利を適用するという「マイナス金利政 策」の導入を決定しました。この政策と国債買入れを併せて行なう ことで、市場では、短期金利だけでなく、長期金利も大きく低下しま した。幅広い期間の金利低下は、相対的に利回りの高い株式など のリスク資産への投資を促すほか、貸出金利や住宅ローン金利の 低下により、設備投資や住宅購入を促進させると期待されます。 短期金利と異なり、日銀が 長期金利を操作することは 難しいとの見方もあるなか、 日銀は、金利が大きく変動 しないよう、長期国債を 日銀が指定する利回りで 買い入れる「指し値オペ」 を実施する用意があると しています。 (次のページヘ続きます) □当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料 ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 (1/2) ただし、短期金利で資金を調達し、長期金利で運用(貸出や国債 購入など)する金融機関にとっては、長期金利の過度な低下は、利 ザヤの縮小や資金運用難などを通じて、収益の圧迫要因となって いました。 日銀は、長期金利の過度な低下が、金融機関の収益を圧迫し、 経済活動に悪影響を及ぼすことを懸念し、今回の枠組み変更で イールドカーブ・コントロールを導入したと考えられます。具体的に は、短期金利について現行のマイナス金利政策を維持する一方で、 長期金利についても誘導目標を定め、10年物国債利回りがゼロ% 程度で推移するように、国債を買入れるとしています。 これにより、長期金利の過度な低下を避けることで、長短金利差 が維持され、金融機関の収益圧迫を抑えると期待されます。日銀 は金融政策の持続性を考慮しながら物価安定目標をめざしていく ことを可能にしたと考えられます。 2.オーバーシュート型コミットメント イールドカーブ・コントロールとともに新たに導入された「オーバー シュート型コミットメント」とは、物価上昇率が一時的に2%を上回っ た(オーバーシュート)としても、すぐに金融緩和をやめず、2%を安 定的に超えるまで、資金供給量(マネタリーベース)の拡大方針を 継続することを、公約(コミットメント)するというものです。 こうした方針が明示されたことは、市場に金融緩和が長期間継続 されるという安心感を生み、人々の物価安定目標の実現への期待 を高めると期待されます。 日銀は、これまで「長期国 債を年間約80兆円」買入 れる方針を掲げてきました。 今後は、買入れ額につい て現状程度のペースをめ どとしつつ、イールドカーブ・ コントロールを実現するよう に買入れを行なうとしてい ます。これにより、日銀は 金融緩和の軸足を「量」か ら「金利」に移したと言えま す。 このように、日銀は人々のマインドを転換し、金融緩和の効果を より浸透しやすくさせることをめざしており、「新しい枠組み」が、日 本経済の持続的な成長を後押しすることが期待されます。 金融政策は以前より少し複雑になったものの、日銀は政策 の持続性や市場との対話を重視し、柔軟に対応する姿勢 をみせたと考えられます。これらの政策がどのような効果 をもたらすか、今後の動向に注目したいですね。 □当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料 ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 (2/2)
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