損保ジャパン日本興亜が海外損保買収

NEWS RELEASE
2016年10月6日
損保ジャパン日本興亜が海外損保を約6375億円で買収―格付への影響は限定的
SOMPO ホールディングスは 5 日、子会社の損害保険ジャパン日本興亜(発行体格付=AA-)が米国を基
盤とする企業保険大手の Endurance Specialty Holdings グループ(以下 Endurance)の持株会社を完全
子会社化する手続きを開始すると発表した。買収額は約 63 億ドル(約 6375 億円)で、2016 年度内に完
了する予定。
Endurance は 2001 年バミューダで設立された、スペシャルティと呼ばれる企業向け保険や農業保険に
おいて急成長している損保グループ。損保市場最大の北米を中心に、バミューダ、ロイズなどグローバ
ルに展開する。自然災害の影響で収益が変動するものの、近年は自然災害リスクをコントロールする取
り組みや、安定収益が見込める元受事業のウエートを高めることで、過去 10 年の平均コンバインド・レ
シオ(正味保険料収入に対する保険金および事業費の割合)は 90%程度で推移している。
SOMPO ホールディングスグループでは、2016 年 4 月からの新中期経営計画において、国内損保中心の
事業ポートフォリオからのシフトを進めている。今回の買収は、先進国の企業分野において M&A(合併・
買収)を通じて安定的な利益の確保を目指す戦略と整合している。2018 年度にはグループに占める海外
保険事業が約 3 割まで高まり、グループ収益の底上げが期待できる。
Endurance は北米市場におけるグループのプラットフォームとなる。欧米保険事業は、2014 年に投資
したロイズ市場を柱とする SOMPO CANOPIUS と合わせて、地域的な展開力が高まると同時に、事業面でも
企業分野や再保険分野が強化されることで、リスクプロフィールの分散が進む。
これまでグループのリスク耐久力は AA ゾーンの水準を満たしているものの、ストレスシナリオを勘案
した場合には、まだ改善の余地があると評価してきた。今回の買収額は多額でリスク耐久力は低下する。
一方、グループ収益の底上げやリスクプロフィールの分散効果などはプラスに評価できる。格上げには
やや時間を要するかもしれないが、ポジティブとしている格付の方向性を変更するまでには至らず、格
付への影響は限定的と判断した。
今回の買収は過去最大であり、グループへの統合プロセスを着実に遂行していけるかが重要だ。損保
市場はグローバルに料率競争が厳しい状況が続いている。Endurance における収益変動を抑えた元受事
業へのシフトや規律ある保険引受による事業成長を通じた利益の積み上げで、もともと課題のあったグ
ループ全体の財務を改善することが格上げには欠かせない。
主任格付アナリスト:中島
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