【株式相場レポート】 ~長期金利が重石

平成28年9月30日
松井証券ストラテジスト 田村晋一
【株式相場レポート】
~長期金利が重石~
今週の総括
30日終値
前週末比
日経平均 (円)
16,449.84
-304.18
ドル (円)
101.00-02
+0.01
NYダウ (ドル)
18,143.45
-118.00
長期金利 (%)
-0.080
-0.026
NY原油 (ドル)
47.83
+3.35
※NYダウ・NY原油は29日終値、ドル・長期金利は30日15時現在
★OPEC減産・原油高はポジティブサプライズも、長期金利の行方が見通せずじり貧傾向
今週のプラス材料
・OPEC減産合意による市場心理改善
今週のマイナス材料
・日銀の長期金利政策の不透明感
・ドイツ銀行株急落を受けた欧米金融株安、欧米株安
・東証売買代金が再び低迷(2兆円割れの日が増加)
今週の株価は、OPEC減産合意を受けた原油高を好感して株価が上昇する局面もあったが、全体としては、
長期金利低下で市場心理が後退し、日経平均は前週比下落して引けた。
日銀が先週新たに打ち出した長期金利目標に対し、その実現可能性に対する不透明感から長期金利が下
落し、金融株の大幅下落につながった。特に銀行株は、ドイツ銀行に対する経営不安に連鎖した欧米金融
株下落の影響も大きい。投資家のグローバル化が進み、大型株では国籍に関係なく同業種で比較、運用す
る投資家も増えており、収益面で直接影響がなくても海外の同業他社の株価影響を受けやすくなっている。
また、ドル円市場が1ドル100~101円の円高に留まったことで、自動車などの輸出関連株も下落した。原油
高の影響としては、石油・鉱業株が上昇した一方で、石油消費の大きい電力・ガス、運輸の下落が目立った。
来週以降の見通し
★長期金利上昇待ち
想定レンジ
16,300~16,700円
来週以降の注目材料
リスク要因
・国内長期金利の動向
・為替市場の乱高下
・米雇用統計(10/7)
・原油価格の乱高下
・米FRB年内利上げの可能性(次回FOMCは11/2)
・ドイツ銀行巨額和解金(140億ドル)と業績の行方
・2Q決算(小売:10月上旬、その他:10月下旬~11月)
・イタリアの銀行支援問題の続報
来週以降は、長期金利が変化するかどうかに注目したい。
米利上げ、米大統領選、来週から本格化する2Q決算発表は、いずれも市場予想がある程度固まっている
印象が強い。すなわち「12月利上げ」、「ヒラリー・クリントン」、「決算は大幅上振れは少なく、会社予想前提
を1ドル100円に引き下げた下方修正も増える」。もちろん、この予想が崩れれば市場価格が大きく動くことに
なるが、現時点で想定を覆すべき材料は出ていない。しかし、国内長期金利は、「日銀のゼロ金利誘導策」
に対する市場の見方がまだ固まっておらず、金利の動きに一喜一憂する可能性があるとみている。
日銀が長期金利引き上げを狙い、一時的に長期債買入れ額を減らしても、利回りが0%を超えた瞬間に、今
まで買入れできずに資金余剰となっていた銀行などが一斉に買い始めるし、海外勢などマイナス金利ゾー
ンでも買入れする投資家の存在を考えれば、0%に持っていくことは短期的には難しいだろう。ただし、日銀
の「ゼロ%近辺」が「0.0%に引き上げる」ではなく、「-0.01~0.0%を維持する」を示すのであれば、現状を継
続するだけで新たなオペレーションをする訳ではないことになる。今週の長期金利の動きを見る限り、後者
の見方が増えつつあると感じるが、実際の答えはまだ分からず、長期金利は神経質な動きが続きそうだ。
平成27年8月26日
松井証券ストラテジスト 田村晋一
来週・再来週の主なイベントカレンダー
国内
10/3(月)
海外
日銀短観:7-9月
米ISM製造業景況指数:9月
百貨店各社売上高速報:9月
米自動車販売台数:9月
国内自動車販売台数:9月
4(火)
米貿易収支:8月
5(水)
米ISM非製造業景況指数:9月
6(木)
米雇用統計:9月
7(金)
独鉱工業生産:8月
英鉱工業生産指数:8月
米大統領候補テレビ討論会:第2回
9(日)
10(月)
祝日(体育の日)
11(火)
12(水)
機械受注:8月
13(木)
日銀貸出・預金動向:9月
中国貿易収支:9月
14(金)
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