【株式相場レポート】 ~利上げへの警戒心強まる

平成28年9月16日
松井証券ストラテジスト 田村晋一
【株式相場レポート】
~利上げへの警戒心強まる~
今週の総括
9日終値
前週末比
日経平均 (円)
16,519.29
-446.47
ドル (円)
102.08-10
-0.12
NYダウ (ドル)
18,212.48
+127.03
長期金利 (%)
-0.040
-0.02
NY原油 (ドル)
43.91
-1.97
※NYダウ・NY原油は15日終値、ドル・長期金利は16日15時現在
★米利上げ期待が米利上げ不安に変わり、米ドル安につられ安
今週のプラス材料
・機械受注堅調(船舶を除く民需、前月比+4.9%)
今週のマイナス材料
・米国株安、原油価格下落
・日銀マイナス金利幅拡大観測
・東証1部売買代金低迷 (再び2兆円割れが続く)
今週の株価は、じり貧の展開が続いた。
先週までは、米利上げに対する見方の変化に伴い、ドル円相場は上下したものの米国株は比較的堅調に
推移していた。ところが今週の米国株は下落する局面が増えた。最近発表された雇用統計が節目の20万
人増に届かず、ISM景況指数が悪化するなど弱めの指標も発表されたことで、「弱めの統計がある中で利上
げを強行すること」への警戒感が出てきたと考えられる。この米株安が国内株の市場心理も後退させた印
象。
業種的には、銀行と海運の下げが目立った。銀行株は、9月上昇分の巻き戻しに加え、日銀がマイナス金利
拡大に踏み切った場合の利ざや縮小による業績悪化懸念が背景にある。海運株は、破たんした韓国大手
の韓進海運の救済が不透明で、一部で共同運航もある国内大手への影響が懸念された可能性があろう。
来週以降の見通し
★日銀よりも米FOMC次第
想定レンジ
16,500~17,200円
来週以降の注目材料
リスク要因
・日銀決定会合「緩和政策の総括的な検証」 (9/21)
・為替市場の乱高下
・米FRBの連邦公開市場委員会(FOMC、9/21夜)
・原油価格の乱高下
・米FRB年内利上げの可能性
・イタリアの銀行支援問題の続報
下落したもののまだ8月半ばと同じ水準。直近の米利上げ期待が一旦元に戻ったイメージ。悲観ではない。
来週は、21日深夜の米FOMC発表があるまでは、引き続きじり貧かつボックス圏の動きとなるだろう。
そして23日以降は、米FOMC発表と議長記者会見の内容次第で、株価の方向性は異なるだろう。
まず、21日午後に発表される日銀の金融政策ならびに「これまでの金融緩和策の総括的な検証」は、サプラ
イズがないとみる。前回決定会合(7月29日)以降の経済指標は、消費者物価を含めて大きく悪化した数字
は特に見当たらず、追加緩和を実施する理由が見出しにくい。また「検証」についても、これまでの黒田総裁
の発言から、(実際に効果があったかどうかに関係なく)「金融緩和の効果はあった」「これからも追加緩和を
拡大する余地はある」と結論づける可能性が高いが、それだとこれまでと変わらず、反応は限定的だろう。
米FOMCについては、(A)利上げなら円安で日本株にプラス、但し米国株が下落した場合は国内株の上昇も
限定的、(B)利上げはしないが記者会見で年内利上げを示唆した場合は、米国株が下がらずに円安となり、
日本株には(A)以上にシンプルにプラスとなりやすい。(C)利上げもせず、年内利上げを否定するトーンの
場合は、米国株が上がるが円高となるリスクもあり、このままこう着か、さらにじり貧となる可能性がある。
平成27年8月26日
松井証券ストラテジスト 田村晋一
来週・再来週の主なイベントカレンダー
国内
海外
19(月)
祝日(敬老の日)
20(火)
コンビニエンスストア売上高:8月
米住宅着工件数:8月
21(水)
日銀金融政策決定会合
米連邦公開市場委員会(FOMC)
貿易統計:8月
(結果発表は日本時間深夜)
祝日(秋分の日)
米中古住宅販売件数:8月
日銀資金循環統計:4-6月
米新築住宅販売件数:8月
22(木)
23(金)
26(月)
米ケース・シラー米住宅価格指数:7月
27(火)
米消費者信頼感指数:9月
米耐久財受注:8月
28(水)
29(木)
30(金)
日銀貸出約定平均金利:8月
EU失業率:8月
日銀都道府県別預金・現金・貸出金:8月
EU消費者物価指数:9月
自動車生産実績:8月
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