平成 28 年 9 月 15 日発行 兵庫県感染症発生動向調査週報(速報) 平成 28 年第 36 週(9 月 5 日~9 月 11 日) 兵庫県感染症情報センタ-(兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センター) Hyogo Infectious Diseases Weekly Report 全国の情報は国立感染症研究所感染症疫学センタ-ホ-ムペ-ジにてご覧ください。 http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html 全数把握感染症(すべての医療機関から報告を求める感染症です) 麻しん 今週、尼崎市から 11 名の報告があり、今年の県内 梅毒 今週 6 名の報告があり、今年の累積患者数は 112 の累積患者数は 21 名となりました。年齢階級別では、 名となり、昨年同時期の 2 倍以上となっています。 10 歳未満 9 名、10 歳代 5 名、20 歳代と 30 歳代各 3 その内訳は、男性 90 名、女性 22 名で、年齢階級別 名、40 歳代 1 名となっています。 では、男性は 30 歳代 27%、50 歳代 22%の順で多く、 麻しんの初期症状は発熱と咳、咽頭痛、鼻水、眼 球結膜の充血、目やに等のカタル症状です。これら の症状が数日続いたあと、発疹が出始めます。 麻しんウイルスは極めて感染力が強く、約 10~12 女性は 20 歳代が 55%を占めています。 病型別では、先天梅毒が 1 名、早期顕症梅毒のⅠ 期が 52 名、Ⅱ期が 33 名、晩期顕症梅毒が 4 名、無 症状病原体保有者が 22 名となっています。 日の潜伏期間を経て発症します。麻しんが疑われる 感染原因として、性的接触(異性間 74 名、同性間 場合は外出を控え、医療機関に事前に連絡してから 4 名、不明 22 名)が計 100 名から報告され、感染地 受診してください。感染予防対策として、麻しん含 域は、国内が 109 名、国外が 1 名、不明が 2 名でし 有ワクチンの接種が重要です。 た。 麻しんの累積患者数(県内) 25 平成25年 20 100 平成26年 平成27年 15 梅毒の累積患者数(県内) 120 平成24年 80 平成28年 人 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 人 60 10 40 5 20 0 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 1 類感染症 2 類感染症 3 類感染症 4 類感染症 0 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 報告はありません。 結核 34名(神戸市 15 名、尼崎市 5 名、姫路市 4 名、伊丹保健所管内 1 名、宝塚保健所 管内 5 名、明石保健所管内 1 名、加古川保健所管内 1 名、龍野保健所管内 1 名、洲本保健所 管内 1 名) 腸管出血性大腸菌感染症 2名(有症者 2 名、うち HUS 0 名) (①芦屋保健所管内;O121 VT2; 女性 10 歳代、②芦屋保健所管内;O157 VT1VT2;男性 60 歳代) (累積報告数 108 名;有症者 70 名、うち HUS 0 名) 日本紅斑熱 2名(①伊丹保健所管内;男性 60 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:ダニか らの感染、②洲本保健所管内;男性 60 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:動物・蚊・昆虫 等からの感染) レジオネラ症 1名(加東保健所管内;肺炎型;男性 70 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路: 不明) 平成 28 年 9 月 15 日発行 5 類感染症 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 2名(①神戸市;男性 60 歳代;感染地域:兵庫県; 感染経路:医療器具関連感染、②姫路市;女性 60 歳代;Enterobacter aerogenes;感染地域: 兵庫県;感染経路:以前からの保菌(皮膚)) 急性脳炎 1名(姫路市;単純ヘルペスウイルス;男性 50 歳代;感染地域:国内;感染経路: 接触感染) 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1名(神戸市;女性 70 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路: 不明) 侵襲性髄膜炎菌感染症 1名(神戸市;男性 50 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:不明) 侵襲性肺炎球菌感染症 2名(神戸市;男性 1 歳;感染地域:兵庫県;感染経路:不明) 梅毒 6名(①神戸市;早期顕症梅毒Ⅰ期;男性 30 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:異 性間性的接触、②神戸市;無症状病原体保有者;男性 40 歳代;感染地域:国内;感染経路: 異性間性的接触、③神戸市;早期顕症梅毒Ⅰ期;男性 30 歳代;感染地域:国内;感染経路: 異性間性的接触、④尼崎市;早期顕症梅毒Ⅰ期;男性 40 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路: 異性間性的接触、⑤姫路市;早期顕症梅毒Ⅱ期;男性 30 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路: 異性間性的接触、⑥姫路市;早期顕症梅毒Ⅱ期;女性 30 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路: 性的接触) 麻しん 11名(①尼崎市;検査診断例;女性 30 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:飛 沫・飛沫核感染;ワクチン接種歴:1 回目不明、2 回目無、②尼崎市;修飾麻しん(検査診断 例);女性1歳;感染地域:兵庫県;感染経路:飛沫・飛沫核感染;ワクチン接種歴:1 回 目有、2 回目無、③尼崎市;修飾麻しん(検査診断例);女性 3 歳;感染地域:兵庫県;感 染経路:飛沫・飛沫核感染;ワクチン接種歴:1 回目有、2 回目無、④尼崎市;検査診断例; 女性 30 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:不明;ワクチン接種歴:不明、⑤尼崎市;検査 診断例;女性 10 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:不明;ワクチン接種歴:1 回目有、2 回目有、⑥尼崎市;臨床診断例;男性 1 歳;感染地域:兵庫県;感染経路:不明;ワクチン 接種歴:1 回目有、2 回目無、⑦尼崎市;検査診断例;男性 2 歳;感染地域:兵庫県;感染経 路:飛沫・飛沫核感染;ワクチン接種歴:1 回目有、2 回目無、⑧尼崎市;修飾麻しん(検査 診断例);男性 20 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:飛沫・飛沫核感染;ワクチン接種歴: 1 回目有、2 回目有、⑨尼崎市;検査診断例;男性 3 歳;感染地域:兵庫県;感染経路:飛沫・ 飛沫核感染;ワクチン接種歴:1 回目有、2 回目無、⑩尼崎市;検査診断例;女性 3 歳;感染 地域:兵庫県;感染経路:不明;ワクチン接種歴:1 回目有、2 回目無、⑪尼崎市;検査診断 例;女性1歳;感染地域:兵庫県;感染経路:飛沫・飛沫核感染;ワクチン接種歴:1 回目 有、2 回目無) 平成 28 年 35 週までに診断 されたものの 報告遅れ 結核 3名 アメーバ赤痢 梅毒 2名 1名 検査情報(兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センター) 日本紅斑熱患者 1 名(男性 60 歳代, 9/6 刺し口の痂皮採取)から日本紅斑熱リケッチアの遺伝子を検出し ました。 平成 28 年 9 月 15 日発行 定点把握感染症(指定された医療機関から報告を求める感染症です) 流行性耳下腺炎 マイコプラズマ肺炎 定点あたり患者数は今週 1.41 人(先週 1.36 人)と 定点あたり患者数は今週 0.91 人(先週 1.29 人)と わずかに増加しました。地域的には、姫路市、伊丹、 減少しました。地域的には、加古川保健所管内の基 加東、豊岡の 4 保健所管内で、定点あたり患者数が 2 幹定点(300 床以上の病院)から、直近 5 週間に 35 人以上となっています。 人の患者が報告されています。 直近 5 週間の患者 852 人の年齢分布は、5 歳 20%、 直近 5 週間の患者 66 人の年齢分布は、1~4 歳 6 歳 15%、4 歳 13%の順で、3~8 歳が全体の 75%を 39%、5~9 歳 29%、10~14 歳 20%の順で、20 歳未 占めています。 満が全体の 89%を占めています。 流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによる感染 マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマの飛 症で、痛みを伴う急性の唾液腺腫脹が特徴です。発 沫感染によって生じる肺炎で、頑固で長期にわたる 症前後 1~2 週間は唾液にウイルスが排出されるた 咳が特徴です。予防対策として、患者との濃厚な接 め、感染を起こしやすくなります。予防対策として、 触を避け、手洗い、うがいなどを励行することが重 ムンプスワクチンの接種が有効です。 要です。 マイコプラズマ肺炎の定点あたり患者発生状況(県内) 流行性耳下腺炎の定点あたり患者発生状況(県内) 2.5 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 2 2 平成23年 平成25年 平成27年 平成24年 平成25年 平成26年 1.5 平成27年 平成28年 1.5 人 1 人 1 0.5 0.5 0 0 1 4 1 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 定点あたり患者数の上位 10 位の疾病 疾病名 定点あたり患者数 今週 増減 疾病名 先週 定点あたり患者数 今週 増減 先週 1位 感染性胃腸炎 4.80 5.41 -0.61 6位 咽頭結膜熱 0.63 0.70 -0.07 2位 流行性耳下腺炎 1.41 1.36 +0.05 7位 流行性角結膜炎 0.57 0.34 +0.23 3位 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 0.96 0.70 +0.26 8位 突発性発しん 0.46 0.45 +0.01 4位 マイコプラズマ肺炎 0.91 1.29 -0.38 9位 ヘルパンギ-ナ 0.41 0.58 -0.17 5位 RS ウイルス感染症 0.67 0.48 +0.19 10 位 水痘 0.29 0.32 -0.03 平成 28 年 9 月 15 日発行 目で見る動向(県内) 3.5 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の 定点あたり患者発生状況(県内) 4 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 3 2.5 人 RSウイルス感染症の定点あたり患者発生状況(県内) 2 平成24年 3.5 平成25年 3 平成26年 平成27年 2.5 人 1.5 平成28年 2 1.5 1 1 0.5 0.5 0 0 1 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 腸管出血性大腸菌感染症の週別患者数(県内) 咽頭結膜熱の定点あたり患者発生状況(県内) 25 平成24年 20 平成26年 平成26年 平成27年 平成27年 人 平成24年 平成25年 平成25年 平成28年 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 1.5 1 4 人 15 平成28年 10 0.5 5 0 0 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 週 加東保健所管内で、定点あたり患者数が警報レベル 今週 2 名の報告があり、今年の累積患者数は 108 名 開始基準値である 3 人以上となっています。 となりました。 この週報は兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センタ-ホ-ムペ-ジ http://www.hyogo-iphes.jp/ にも掲載しています。 また、http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html から国立感染症研究所感染症疫学センタ-の週報(IDWR)がダウンロ-ドできます。
© Copyright 2024 ExpyDoc