短期予報解説資料1 2016年 8月23日03時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①台風第 9 号が、速度を早めながら東北 地方の太平洋側を北上している。上陸後 は水蒸気の補給が断たれ、さらに陸域の 影響を受けて勢力を弱めつつあるが、台 風が引き込む暖湿気により、東北地方で は非常に激しい雨が断続している。風も 沿岸域で非常に強く、東北地方の太平洋 側では、沖合いの波浪ブイで 15m/s以上 の強い風を観測している。 ②衛星水蒸気画像では、シベリア付近に 明瞭な寒冷渦があって、そこから南に連 なる 500hPa・5820m付近のトラフが明瞭 な暗域を伴い、日本海をゆっくりと東に進んでいる。 ③台風第 10 号は、南西諸島の東海上でほとんど停滞している。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①台風第 9 号は、温帯低気圧の性質を帯びながら最大風速 50kt を維持しつつ北上を続け、23 日朝まで に北海道に再上陸するおそれがある。その後オホーツク海に進み、23 日夕方までには温帯低気圧に変 わる見込みだが、台風の接近に伴い北日本では、50mm/h 以上の非常に激しい雨が降り、局地的には猛 烈な雨が降るおそれがある。また、海上を中心に風が非常に強く、海は大しけの状態が続く。北日本 では、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水やはん濫、暴風や高波に厳重警戒。 ②台風第 10 号は、24 日にかけて海面水温の高い海域に留まるため、今後さらに発達しゆっくりと南西 諸島に接近する。台風が予報円の中心を進む場合、西日本や南西諸島に暴風域がかかることはないが、 南西諸島ではうねりを伴い波が次第に高くなる。強風や高波に注意。また、南西諸島では、台風から 流れ込む湿った空気の影響で対流活動が活発化する。落雷や突風、短時間強雨にも注意。 ③1 項③のトラフの東進に伴い、23 日午後には 500hPa で-6℃程度の寒気が北日本から東日本に流れ込 む。一方、太平洋高気圧の勢力は引き続き強く、その縁辺を回り 850hPa・θe 345K 以上の暖湿な空気 が北日本から東日本に流れ込むため、24 日にかけて、気温が上がる午後を中心に大気の状態が非常に 不安定となる。落雷、竜巻などの激しい突風、短時間強雨に注意。また、台風第 10 号の北縁を回り暖 湿な空気が流れ込む西日本の太平洋側でも、落雷、突風、短時間強雨に留意が必要。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とするが、台風に伴う風や波の予想は最新の台風情報を基本に適宜修正。 4.防災関連事項 [量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):北海道・新潟 120、関東・東海・伊豆諸島 100mm。 ②波浪(明日まで):北海道・東北 7、沖縄 5、その他太平洋側の広い範囲で 3~4m。 ③高潮(明日まで):大潮の時期。北日本の太平洋側や西日本で、注意報基準を超過する所がある。 5.全般気象情報発表の有無 「台風第 9 号に関する情報」を 5 時頃に発表する予定。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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