数力演習プリント(4)

数力演習プリント (4)
2004 年冬学期 担当:星 健 夫(物理工学科)
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3次元空間の点 r を直交曲線座標 (q1 , q2 , q3 ) で表す。また、デカルト座標を (x1 , x2 , x3 ) ≡ (x, y, z)
と表記する。座標 qi に対するスケール因子 (scale factor)hi 、基本(単位)ベクトル ei を以下で定
義する
)
¯
¯ (
X µ ∂xk ¶2 1/2
¯ ∂r ¯
¯=
hi ≡ ¯¯
,
∂q ¯
∂q
i
i
k
ei ≡
1 ∂r
.
hi ∂qi
これらは、ベクトル (∂r/∂qi ) の大きさと方向とをそれぞれ表している。直交曲線座標とは、基本
ベクトル同士が直交する座標のことである(ei · ej = δij )。デカルト座標自身も直交曲線座標であ
り、hx = hy = hz = 1 となっている。
例1:極座標 (r, θ, φ) : hr = 1, hθ = r, hφ = r sin θ
x = r cos φ sin θ
y = r sin φ sin θ
z = r cos θ
例2:円筒座標 (ρ, φ, z) : hρ = 1, hφ = ρ
x = ρ cos φ
y = ρ sin φ
(a) 円筒座標に対し、定義に従ってスケール因子と基本ベクトルを計算せよ。直交性(ei ·ej = δij )
を確かめよ。基本ベクトルを図示せよ。
(b) 極座標に対し、(a) と同様の問いに答えよ。
(c) 点 r が運動するとき (r = r(q1 (t), q2 (t), q3 (t)))、速度ベクトル v は、次式で与えられる
v≡
X dqi
dr X dqi ∂r
=
=
hi ei .
dt
dt ∂qi
dt
i
i
極座標の場合の表式を具体的に書き下せ。さらに、t ≡ v 2 および l ≡ r × v を具体的に書き下せ。
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(自由レポート課題1:Taylor 展開)
関数 y(x) ≡ (1 − x)−1 を x = 0 で Taylor 展開すると
y(x) ≡
∞
X
1
=
xn
1 − x n=0
となる。右辺のべき級数を有限項で打ち切った場合、どうなるか。真の関数 y(x) と比較できるよ
うに、(コンピュータを使って)グラフで図示せよ。何らかの考察が加わっていると、なお良い。
同様に x = 2 で Taylor 展開すると、どうなるか。また、y を t ≡ 1/x の関数として t = 0 で Taylor
展開し、これを有限項で打ち切った関数を考えることもできる。この関数の (x の関数としての)
グラフを描け。
(注)このレポートの提出は自由とする(提出しなくても良い)。A4 用紙 にまとめて提出する
こと。レポートの最初に、課題内容(問題)も書いておくこと。締切は、12 月 6 日の演習時間。な
お、どのようにしてグラフを描画したか、簡単に記すこと(使用したソフト・OS・言語、など)。
直交曲線座標 (q1 , q2 , q3 ) のまとめ:ただし、e1 × e2 = e3 。また、以下で、f = f (r) は任意の
スカラー関数、A = A(r) は任意のベクトル関数。
(1) 重積分
ZZZ
ZZZ
dxdydz =
h1 h2 h3 dq1 dq2 dq3
(2) ベクトルの成分表示
A=
X
Ai ei
(Ai ≡ ei · A)
i
(3)gradient, divergence, Laplacian
∇f = gradf =
X 1 ∂f
i
hi ∂qi
½
¾
∂
∂
∂
(A1 h2 h3 ) +
(A2 h3 h1 ) +
(A3 h1 h2 )
∂q1
∂q2
∂q3
½
µ
¶
µ
¶
µ
¶¾
1
∂
∂f
∂
∂f
∂
∂f
∆f = ∇2 f = div gradf =
h2 h3
+
h3 h1
+
h 1 h2
h1 h2 h3 ∂q1
∂q1
∂q2
∂q2
∂q3
∂q3
∇ · A = divA =
1
h1 h2 h 3
ei
(4)rotation とその q3 成分
∇ × A = rot A =
(rot A) · e3 =
=
¯
¯
¯ h1 e1 h2 e2
¯ ∂
1
∂
¯
∂q2
h1 h2 h3 ¯¯ ∂q1
¯ h1 A1 h2 A2
¯
¯
∂
¯
1 ¯¯ ∂q∂1
∂q2 ¯
¯
¯
h 1 h 2 ¯ h 1 A1 h 2 A2 ¯
½
1
h1 h2
¯
h3 e3 ¯¯
¯
¯
¯
¯
h3 A3 ¯
∂
∂q3
¾
∂
∂
(h2 A2 ) −
(h1 A1 )
∂q1
∂q2
(4) デカルト座標での表示
∂f
∂f
∂f
ex +
ey +
ez
∂x
∂y
∂z
∂Ax ∂Ay
∂Az
+
+
∇ · A = divA =
∂x
∂y
∂z
2
∂ f
∂2f
∂2f
∆f = ∇2 f = div gradf =
+
+
∂x2
∂y 2
∂z 2
∇f = gradf =
¯
¯
¯ ex
¯ ∂
∇ × A = rot A = ¯¯ ∂x
¯
¯ Ax
(rot A) · ez =
ey
∂
∂y
Ay
¯
ez ¯¯
¯
¯
¯
¯
Az ¯
∂
∂z
∂Ay
∂Ax
−
∂x
∂y
———————————————————————————————————
(注)問題 15 が終わったら、[例題 II.2.2](p.26)、[例題 II.3.1][例題 II.3.2][II.3.5][II.3.7](p.31-34)
を解け。
(注)このプリントは下記 WebPage に置かれる予定。演習時間での再配布は原則として行わな
いので、欠席者は各自でダウンロードすること:http://fujimac.t.u-tokyo.ac.jp/hoshi/edu.html