第 6 章 積分法の応用 体積② 複雑な回転体の体積 1.交わりのある立体の体積 回転軸の両側に平面がある場合,その面を回転軸の周りに 1 回転したとき,同じ 部分を 2 度以上通ることがある.このときは,あらかじめ回転軸に関して同じ側に 図形を対称移動させてから回転させるとよい. 2.媒介変数で表された曲線とで囲まれる部分の回転体 曲線上の点が,媒介変数を用いて, x = f (t ) , y = g (t ) と表されているとき,常に f ′ (t ) > 0 であるならば,この曲線と x 軸,2 直線 x = a , x = b で囲まれる部分を x 軸の周りに回転させてできる回転体の体積 V は, f (t1 ) = a , f (t2 ) = b とするとき, = V ∫ b = π y2dx a と求められる. 1 ∫ t2 t1 2 π { g (t )} f ′ (t ) dt 第 60 講 体積① 非回転体の体積 1.座標軸の設定 立体図形が与えられている場合,その体積を定積分を利用して求めるために,その 立体を座標空間に乗せ,立体上の点や曲線を,座標や方程式を用いて表す.その際, どのように座標を設定するかで,そのあとの計算の難易に差が出るので,うまく設定 することが大切である. (設定の例) ① 円や球があれば,その中心を原点または座標軸上におく. ② 直角である部分があれば,直角を作る角の頂点を原点におく. ③ 線対称な図形であれば,対称軸を座標軸に一致させる. 2.不等式で表された立体の体積 ① 方程式,不等式と立体 ある方程式,不等式が与えられたとき,それを満たす点 ( x , y, z ) を座標空間に図 示すると,ある立体を表すことがある.このとき,方程式で用いられていない文字に 関しては,任意の値をとる,とする. 例 座標空間で, x 2 + y2 = 1 の表す立体は, z 軸を軸とする半径 1 の円筒である. ( z について言及がないので, z は任意) xy 平面上で中心が原点で半径が 1 の円を表す方程式は, x 2 + y2 = 1 かつ z = 0 ② 不等式で表された立体の体積 不等式を用いて立体が表されている場合,平面 z = t によって立体を切断したとき の断面は,その不等式に z = t を代入して得られる不等式の表す領域となる.それを xy 平面に正射影した図形で断面積を求めればよい. 2 第 6 章 積分法の応用 曲線上の点 ( x , y ) が,媒介変数 t を用いて x = t − sin t , y= 1 − cos t ( 0 ≦t ≦ 2π ) と表さ れる曲線と x 軸とで囲まれる図形を x 軸の周りに回転してできる立体の体積を求めよ. 点 O を中心とする半径 r の円を底面とする円柱を,底面の直径 ( ) π である平面で切断し AB を通り,底面とのなす角が θ 0 < θ < 2 た.このとき,平面の下側にある立体の体積を求めよ. 次の不等式で与えられる立体の体積を求めよ. 0 ≦ z ≦ xy − 2x − 2 y + 4 0 ≦ y ≦ 2x 0 ≦ x ≦ 1 3 第 60 講 体積① 放物線 = y x 2 − 1 と直線 y= x + 1 で囲まれる部分を, x 軸の周りに回転させてできる立 体の体積を求めよ. xy 平面上の曲線 y = sin x ( 0 ≦ x ≦ π ) 上の点を P ( x , sin x , 0 ) とし,点 P から x 軸に引 いた垂線と x 軸との交点を Q ( x , 0, 0 ) とする.このとき,辺 PQ を 1 辺とする正三角形 PQR が通過してできる立体の体積を求めよ.ただし,R の z 座標は正であるとする. 2 つの円柱 P1 : x 2 + z 2 ≦ 1 , P2 : y2 + z 2 ≦ 1 の共通部分の立体の体積を求めよ. 4
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