硬化特性

パーミエイトの硬化性
パーミエイトの主成分であるアルコキシシランは、塗布開始と同時に空気中の水分を吸収して硬化反応
を開始します。
この硬化反応速度は、グレード、温度/湿度に
よって大きく変わりますが、同一温度/湿度条件
では
第1グループ:
HS-370、210
第2グループ :
HS-200、クールエンジェル・ルーフ
第3グループ :
HS-100、300,、ウッドエンジェル
第4グループ :
HS-80、350、360
に分類され、塗布後約4Hrまでの反応速度に大きな違
いがあります。
反応速度
100
at23℃50%RH
80
60
反応率
≫ HS-80、HS-350、HS-360
HS-370系
%
40
HS-200系
HS-100系
20
HS-360系
0
0 6 12 18 24 30 36 42 48
この硬化反応速度および塗膜の硬度発現について、保護性能、意匠性等で塗膜が重要となるHS-200、HS100を中心に記述します。;第2、第3グループの各グレードもほぼ同様です。
硬化反応速度
硬化反応は、HS-200がHS-100よりもやや速く
24Hr後
48Hr後
1Hr後
4Hr後
59%
66%
75%
79%
HS-200
50%
58%
71%
76%
HS-100
の如く、4Hrまで、特に1Hrまでの反応速度が大きく、その後はゆっくりと約6ヶ月間反応が継続しま
す。
反応速度
100
at23℃50%RH
反応速度
100
80
at23℃50%RH
80
反応率 60
40
%
20
反応率
%
HS-200
HS-100
60
40
HS-200
HS-100
20
0
0
0
6 12 18 24 30 36 42 48
経過時間 Hr
0
30 60 90 120 150 180
経過日数 Day
この硬化反応は温度により大きく影響されますが、その影響度はHS-100の方がやや大きくなって
います。且つ昇温効果は塗布後約4Hrまでが大きく、それ以降は温度の影響が極く小さいので初期の
昇温が効果大となります。
温度による反応速度影響
100
HS-100
80
温度による反応速度影響 HS-200
100
80
反応率 60
%
40
反応率 60
40
%
20
80℃
60℃
40℃
23℃
5℃
20
0
0
12
24
36
経過時間 Hr
80℃
60℃
40℃
23℃
5℃
0
48
0
12
24
経過時間
36
Hr
48
なお、湿度は23℃20%RHに相当する空気中の水蒸気量以下になると反応速度が低下しますが、日本
国内においては冬季においても5℃以上であれば湿度による影響はほとんどありません。
硬化触媒量を増加させることで反応速度は速くなり、触媒量を2倍とした場合、温度を20℃から約
40℃に上昇させることに匹敵する効果があります。
9
塗膜の硬化特性
硬化反応が進むことで塗膜が徐々に硬くなっていきますが、グレード゙によって反応率に対しての
塗膜硬さは全く異なっており、HS-200はHS-100に比べ反応速度が若干速いものの、塗膜の硬さの発
現は大幅に遅くなり、且つ最終的に到達する硬さも小さくなります。
これは12Page”塗膜クラック・剥離への対応について”で記述していますように
HS-100を含む第3グループ:溶射・コンクリート・木材等微細孔があり根付き塗膜を形成
HS-200を含む第2グループ:微細孔がない基材への塗膜で根がなく付着のみ
のように付着機構の違いによって、塗膜クラック・剥離を抑制するために第2グループの塗膜を軟らかとすべく
アルコキシシランの組成等を調整しているためです。
タック達成のの温度影響
HS-100
10
10
8
8
6
タック
4
2
0
0
12
24
経過時間
タック達成の温度影響
6
80℃
60℃
40℃
23℃
5℃
36
48
Hr
タック
HS-200
80℃
60℃
40℃
23℃
5℃
4
2
0
0
12
24
経過時間
36
Hr
48
タックの判定基準
0
1
2
3
4
5
6
7
8
指で触ると液がつく
液が指に付着するものの付着量が減った
3に近いがまだ液が付着する
指で触ると指跡が残る
指跡は残らないが軽くなでると擦り傷がつく
軽くなでた時にキュッと音がして擦り傷がつく
軽くなでた時に跡が付いたり付かなかったりする
軽くなでた時に跡が付かないが、強くなでると跡がつく
強くなでた時に跡が付いたり付かなかったりする
タック4が塗装における指触乾燥に
相当します。
タック9が鉛筆硬度BorHBに該当します。
鉛筆硬度の発現状況
硬化反応が徐々に進みますので、形成される塗膜の硬度は徐々に硬くなり、常温におい
て、HS-100は鉛筆硬度5H、HS-200は2Hとなります。
HS-100塗膜の硬度発現
at23℃50%RH
10
6H
10
6H
4H8
鉛筆硬度
HS-200塗膜の硬度発現
at23℃50%RH
クリアー/調色品
セラアルミ
4H8
2H6
鉛筆硬度
HB4
2H6
HB4
クリアー
調色品
2B 2
4B 0
0
30
60
90 120
経過日数 Day
150
硬化反応時のアルコール発生・揮発量
パーミエイトは空気中の水分を吸収して
反応し、メタノールを発生しつつ硬化して
いきますが、その際のメタノールの発生量
は右表の通りであり、塗布後1Hrで全発生
量の約50%を発生します。
この発生量が室内の塗布作業において、
爆発・火災および作業員にどれぐらいの危
険性があるかについて概略評価すると右表
の如く
1) 爆発範囲の1/10程度の濃度であり安全
2) 許容濃度の1.6倍となるがピークが1Hrに
限定されており問題なし
となりますが、より安全な作業環境とする
ため、より大きな換気をお願いします。
2B2
4B0
180
0
30
60
90 120 150
経過日数 Day
23℃50%RHにおけるメタノール発生量
塗布後
塗布後
メタノール発生量
g/100g製品
HS-100調色品
HS-200調色品
1Hr
11.0
13.9
1日間
15.4
17.7
180
塗布後
6ヶ月間
21.9
23.5
メタノールの安全性
許容濃度:200ppm、爆発範囲:5.5∼44vol%
前提 部屋
:床面積100m2*天井高さ3.5m 塗布面積
:床全面*150gHS100/m2
室内換気回数
:10回(一般工場標準値)
計算 1Hrのメタノール発生量: 1.65Kg/Hr
結果 室内メタノール濃度
: 329 ppm(vol)
10