研究課題:低コスト畜舎臭気低減技術の開発 担当部署:鳥取中小畜試 環境・養鶏研究室 担当者名:庄野俊一・三浦泰忠 協力分担:なし 予算区分:県単 研究期間:継2013~2015年度(3年間のうち1年目) 1.目的 畜舎臭気は捕集が困難であり、堆肥化施設等で用いられる吸引用送風機を使用した脱臭 装置では、施設費、運転費がかかりすぎるため適応が困難である。そこで、畜舎周囲の簡 易な施設による臭気低減技術を開発する。 2.内容 (1 ) 畜 舎 換 気 扇 の 周 囲 に2重 に ネ ッ ト を 張り 、 そ こ に 水 噴 霧 す るこ と に よ り 、 畜舎 臭 気 の主な悪臭成分であるアンモニアを80%以上除去出来た。また、畜舎換気扇前の臭気 指数値20以上をネット通過後18未満にまで低減出来た。換気扇5m先地点では臭気指数 値10未満となり、臭気はほとんど感じられなくなった。 (2)畜舎臭気低減のため畜糞臭気吸着資材としてモミガラ薫炭及び市販消臭剤(酸化鉄、 乳酸菌、枯草菌等を主成分とする)を使用したところ、モミガラ薫炭で硫化水素、メ チルメルカプタンの吸着効果が認められた。市販資材は効果が認められなかった。 3.達成度 (1)畜舎臭気の低減方法として、換気扇、ネット、水噴霧を用いることが有効であるこ と が 分 か っ た 。 今 後 、よ り 臭 気 を 低 減 す る た め、 ネ ッ ト を 3重 に張 り 、 そ こ に 水 噴 霧 を行う試験を実施する。 (2)畜舎臭気吸着資材としてモミガラ薫炭が有効であることが示唆された。今後は、そ の使用量及び効果的な使用方法について検討を加える。 4.参考資料 (1)畜舎周囲の簡易な施設による畜舎臭気低減効果の検討 1)材料及び方法 豚舎換気扇の周囲を除塵ネットを2 重に張り、換気扇から出る臭気と埃 を抑えるために 、水噴霧を行った。 (図1) 2)結果の概要 除塵ネットと水噴霧によりアンモ ニア濃度は1ppm以下に抑えられた。 (図2) 豚舎の臭気指数相当値20以上が 18以下に抑えられた。(図3) (図1) アンモニア濃度(ネット2重) ネットを2重にした 6 5 4 ppm 3 2 換気扇前(アンモニア濃度) 1 ネット通過後(アンモニア濃度) 354 312 279 251 218 188 154 124 89 60 29 1 0 経過日数 (図2) 臭気指数(ネット2重) 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 換気扇前(臭気指数値) 5.0 ネット通過後(臭気指数値) 0.0 経過日数 (図3) (2)臭気吸着資材の検討 1)材料及び方法 45Lビニール袋に豚糞1kgを入れ、厚さ2cmに広げた後、その表面に下表の量のモ ミガラ薫炭、A消臭剤を散布した。 各資材の添加量(豚ぷん1kg当たり) 添加量 試験区 (g) ①モミガラ燻炭 ②モミガラ燻炭+A消臭剤 45 45+2 ③A消臭剤 2 ④無添加(対照区) 0 備考 1豚房(豚ぷん20kg)当たり900g(燻炭 200g+モミガラ700g)の添加率 ①区+③区 豚ぷん1t当たり2kgの添加率 (標準量) 2)結果の概要 モミ ガ ラ薫 炭 区、 モ ミガ ラ 薫炭 + A消 臭 剤区 で メル カ プタ ン 類、 硫 化水 素 の 消臭効果が確認された。(図4,5) A消臭剤の効果はほとんど確認できなかった。 アンモニアは全区とも検出下限値以下(1ppm)以下であった。 濃度(ppm) メルカプタン類 14 12 10 8 6 4 2 0 ①モミガラ燻炭 ②モミガラ燻炭 +A消臭剤 ③A消臭剤 ④無添加(対照 区) 0 2 4 6 8 経過時間(時) (図4) 硫化水素 6 濃度(ppm) 5 ①モミガラ燻炭 4 ②モミガラ燻炭 +A消臭剤 3 2 ③A消臭剤 1 0 0 2 4 6 経過時間(時) (図5) 8 ④無添加(対照 区)
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