人材育成活動 3

3.人材育成活動
3
人材育成活動
生 涯 学 習 フォーラム
❏生涯学習分野
「地 域 づくりと生 涯 学 習 -歴 史 文 化 遺 産 を活 かした地 域 づくり-」
社会連携研究センターは、毎年1回、滋賀県社会教育研究会と共催で、「生涯学習フォーラム」を開催し
ている。
今年度は、「地域づくりと生涯学習-歴史文化遺産を活かした地域づくり-」というテーマで、9月28
日(月)13時30分より、東近江市立能登川コミュニティセンターで開催された。フォーラムの趣旨およ
びプログラムは以下のとおりである。
【趣旨】
滋賀県内の生涯学習・社会教育関係者が、今日の生涯学習・社会教育の現状と課題について学習・交流し、
これからの社会教育の振興と活動の活性化を目的に開催する。今回は、社会教育施設を拠点とした人づくり・
まちづくりをテーマに、実践事例をまじえ学習する。
【プログラム】
13: 00
受付
13:30
開会
13:45
基調講演 「博物館に求められる新しい役割」
布谷知夫氏(三重県総合博物館長)
15:05
休憩
15:15
事例発表
・「図書館とまちづくり」
三田村悦子氏(守山市立図書館長)
・「これからの時代に対応した博物館の役割を考える 一市民等との協働一」
角川 咲江氏(東近江市西堀栄三郎記念探検の殿堂主幹)
16:30
閉会・終了
【講演】
布谷館長は、2010 年に琵琶湖博物館で定年を迎え、環境学習支援センター長を経て、現在、三重県総合博
物館の館長をされている。
講演では、大きく四つのお話をしていただいた。一つ目は、そもそも博物館は何をしているところなのか。
二つ目は、行政との関わりの中で、博物館はどういう位置にあるのか。三つ目は、いまの時代の博物館の役
割はどういうことになるのか。併せて、四つ目として、博物館ならではの、博物館だからできるような役割、
である。
3.人材育成活動
これらのうち、新しい博物館が目指す方向性について、三重県総合博物館は理念として「ともに考え、活
動し、成長する博物館」を掲げているという。これは、県民みんなと一緒につくっていって、活動すると、
資料が集まったり、事業ができるので、博物館も成長していくし、利用する人たちも成長していく。みんな
で一緒に活動して一緒に成長できる博物館にしていくという意味である。
それから、使命が三つ。「三重の自然と歴史・文化に関する資産を保全・継承し、次世代に生かす。」二つ
目が、「学びと交流を通じて人づくりに貢献する。」これも博物館の典型的な活動であり、人づくりである。
そして三つ目が、「地域への愛着と誇りを育み、地域づくりに貢献する。」である。布谷氏によれば、博物館
が人づくり、まちづくりに貢献していくということは、議論としてはもう博物館の業界の中では普通の議論
だという。これからも、博物館は地域の重要な社会教育施設として、地域づくり、まちづくりに積極的に関
わっていくことを期待したい。
【事例発表】
事例発表は、守山市立図書館長の三田村悦子氏、東近江市西堀栄三郎記念探検の殿堂主幹の角川咲江氏が
行った。
三田村氏によれば、まちづくりの基本は、本当にそこに住む人々が、生きがいを持って、生き生きと、心
豊かに、幸せに暮らせることだという。そして、自分たちの地域は、他人任せや行政任せではなく、自分た
ちの力で良くしていこうとすること。そして、その結果、地域が暮らしやすくなり、住んでよかったと実感
できることである。図書館の役割は、人々が幸せに暮らせることを、資料と場とを提供して応援することで
あり、図書館づくりはまちづくりなのである。
「図書館は成長する有機体である」という言葉があるが、これ
が三田村氏の図書館づくりの原点だという。本当に生き物を育てるように、大事に手をかけて、市民ととも
に図書館を成長させていきたいと、語ってくれた。
角川氏は、博物館の今後の展望、方向性について「博物館の持つ機能は、社会、教育分野のみならず、地
域自治、観光振興、産業振興など、さまざまな分野における地域の拠点として貢献できる可能性があり、地
域の活性化や地域づくりに貢献できるし、貢献したいと願っている」と語ってくれた。
また、博物館には、地域の情報や資料が集積している。一括管理による効率的な運営を行うと同時に、そ
れぞれの館の個性を生かした機能分担により、東近江市の歴史・文化資源の多角的な活用を図っていくべき
であり、そのためには地域のさまざまな主体との連携や協働によって、博物館の機能を発揮していくべきだ
という。まずは、様々な課題に対して、身近にいてくれる博物館パートナーとの協働から始めて、その上で
他分野とも連携しながら、地道に取り組んでいかないといけないと語ってくれた。
【布谷氏 基調講演風景】
(文責
教授 神部純一)