地域づくりと生涯学習-歴史文化遺産を活かした地域づくり

3.人材育成活動
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人材育成活動
❏生涯学習分野
生 涯 学 習 フォーラム 「 地域づくりと生涯学習-歴史文化遺産を活かした地域づくり-」
社会連携研究センターは、毎年1回、滋賀県社会教育研究会と共催で、「生涯学習フォーラム」を開催している。
今年度は、「地域づくりと生涯学習-歴史文化遺産を活かした地域づくり-」というテーマで、9 月 26 日(月)13 時
30 分より、近江八幡市八幡コミュニティセンター多目的室で開催された。フォーラムの趣旨およびプログラムは以下
のとおりである。
【趣旨】
滋賀県内の生涯学習・社会教育関係者が、今日の生涯学習・社会教育の現状と課題について、学習・交流し、今
後の社会教育の振興と活動の一助とする。今回は、歴史文化遺産を活かした地域づくりをテーマに、実践事例をま
じえ学習する。
【プログラム】
13:00
受付
13:30
開会
13:45
基調講演 (滋賀県立大学 客員准教授) 森川 稔氏
15:00
休憩
15:10
事例発表
・「中野方かるた」をつくろう
鈴村 八枝子氏(岐阜県恵那市 中野方かるた制作実行委員会委員長)
樋田 稔氏 (岐阜県恵那市 中野方かるた制作実行委員会副委員長)
・「水郷を活かした農の里づくり」
大西 實氏(滋賀県近江八幡市権座・水郷を守り育てる会事務局長)
16:45
閉会・終了
【講演】
基調講演は、滋賀県立大学客員准教授の森川稔氏「地域づくりと生涯学習-学びから実践へ-」という演題で行
った。
生涯学習においては、学ぶだけでなく、その学びの成果を活かしていくことの重要性が指摘されている。森川先生
も、「学んだことを生かしていく。使う、実践していく。そのことがすごく大事でしょうし、そのことによって、学ぶことの楽
しさ、喜びというのは何倍にも広がるだろうと思います。確かに学ぶことは楽しいわけですけれども、それを使うこと
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3.人材育成活動
によって、さらにその喜びは 2 倍にも 3 倍にもなるでしょう」と述べられ、自らの豊かな体験をもとに、 実 践 す る こ と
の大 切 さを語 られた。
その中で、興味深かったのが甲賀市で行っている「私もできる♡まちづくりJUKU」であった。これは、地域活動や
まちづくりの裾野の拡大と、担い手、リーダーの育成のためのプログラムである。その中の一つに「ぐるぐる甲賀発見
講座」がある。これはまちづくりというのを意識した講座で、受講者が市内の活動団体の現場を訪ねて、その現場で
話を聞きながら体感してもらうというものである。さらに、ステップアップ講 座 として「わいわい甲賀楽交講座」も行っ
ていた。これは、自分たちでテーマを決めて、どういった事業をしたらいいかということを自分たちで検討し、最後に発
表するというものである。学びを活かすための支援として、非常に参考になる事例であった。
【事例発表】
事例発表は、岐阜県恵那市中野方かるた制作実行委員会の鈴村八枝子さん、樋田稔さん、滋賀県近江八幡市
権座・水郷を守り育てる会の大西實さんが行った。
鈴村さん、樋田さんによれば、季節や天候、眺める時間帯によって見せる景色は町の宝物であり、今日まで残さ
れてきた美しい風景や、史跡、文化や生活を後世に残そうとかるたづくりを計画したという。かるたの題材を募集した
ところ、読み札は、624 首の応募が、絵札は、98 枚集まったそうで、自然とともに生きてこられた、先輩方の細やかな
視点を通して、みんなで、「ふるさと」を見つめ直すきっかけとなったという。
また、大西さんには、「権座・水郷を守り育てる会」の活動の話しをしていただいた。この会は、地域の象徴的存在
である「権座(=唯一現存する、舟でしか行けない湖上の田んぼ)」での様々な取り組みを通じて、この美しい癒しの
空間を次世代に引き継ぐため、地元農家だけでなく、趣旨に賛同した酒蔵・NPO・市民などが結集して発足した会で
ある。こうした活動から、いろいろなつながりが生まれているという。
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(文責 教授 神部 純一)