3.人材育成活動 3 人材育成活動 ❏生涯学習分野 おおつ学 びのマルシェ 都市化や核家族化の進行とともに、地域の人間関係の希薄化等、地域社会の衰退が指摘されてきたが、近 年、特に東日本大震災以降、「絆づくり」や「地域づくり」への関心が人々の間で高まってきている。 地域づくりは本来、そこに住むすべての人が何らかの役割を持ちながら地域づくりに参画し、互いに学び あい、コミュニケーションを深める中で活性化していくものである。しかしその取り組みは、一部の熱心な 住民によってなされ、せっかく盛り上がった活動も彼らに続く住民が出てこないがために、いつの間にか衰 退していった、という事例も少なくなかった。 私は、多くの住民が参画しつつ、継続した地域づくりを進めていくためにはまず、住民一人ひとりの心の 中に、自分の住む地域に対しての愛着と誇りを育てることが大切だと考えている。なぜなら、地域に愛着も 誇りもない人から、地域づくりへの主体的な活動は生まれないからである。 最近は各地で、地域について学ぶ機会としての「地域学」が立ち上げられている。住民一人ひとりがこう した学びを通じて、地域の良さを発見し、そして再評価していくことが、彼らの地域への愛着を深め、ひい ては地域づくりの担い手として行動する人づくりにつながるのではなかろうか。 大津市の社会教育委員の会議(委員長:神部純一社会連携研究センター長)ではこの2年間、「おおつ学」 という地域を学ぶシステムづくりに真剣に取り組んできた。委員や行政の職員の方々と本当に何度も何度も 議論を重ねながら、地域を学び、創るためのしくみをつくりあげていったのである。そして、平成 27 年 10 月 29 日(木)、 「おおつ学」の開校にまでこぎつけることができた。 「おおつ学」は大きく、「基礎講座」と「実践講座」、そしてこの2つの講座の橋渡しの役割を果たす「交 流会」から構成される。 「基礎講座」は、 「知る・愛する」の部分をカバーする学習機会である。大津市内を見渡すと、いろんなと ころで大津についての学びが実施されている。 「基礎講座」では、市内で実施されている大津に関わるあらゆ る分野の学びを、1冊の情報誌にまとめて、市民に提供することにした。 次に「実践講座」は、 「行動する」を意識した講座である。いろいろな大津の魅力にふれた人が、何か自分 にもできることはないか、あるいは何かしたいと思ったときに、実際に活動をするために必要な知識や技能 を提供するための講座である。 そして「基礎講座」と「実践講座」の他に、共に大津を学ぶ人同士の交流の機会をいろいろ考えてみたい と思う。例えば、大津再発見ツアーと称して、個人ではふだん見学できない、体験できない場所をめぐった り、実際に地域づくりまちづくりに関わっている人との交流の機会を設けてみたり、いろいろな機会を通じ て、受講者同士の絆づくりを進めていきたい。 開校式は、14時から市民文化会館で行われ、70 名の市民が参加した。 まず最初に、神部純一社会連携研究センター長より、 「おおつ学」の紹介が行われ、その後、教育長より受 講生の代表に「受講手帳」が手渡された。 そして休憩の後、第1回の「おおつ学」講座として、 「魅力いっぱい!大津の歴史事始め」と題した、大津 市歴史博物館長 樋爪修氏による講演が行われ、参加者はみんな熱心に耳を傾けていた。 3.人材育成活動 これから、この「おおつ学」を通して、一人でも多くの市民が大津の魅力にふれ、大津に対する愛 着を深めてもらいたいと思う。 (文責 教授 神部純一)
© Copyright 2024 ExpyDoc