演習問題13

微分方程式Ⅰ 演習問題 13
2016 年度前期
工学部・未来科学部 2 年
担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教)
∗ がついた問題はやや難しめの問題、∗∗ がついた問題は発展的な問題です。
演習問題 13. (定数係数連立微分方程式)
変数 t に関する関数 x = x(t), y = y(t) に対して、以下の連立微分方程式の一般解を求めなさい。
{
(1)
{
(4)
{
x′ =
x+ y
y ′ = −2x + 4y
(2)
{
x′ = 2x − y
y ′ = x + 2y
∗∗
(5)
x′ =
−y
y ′ = 4x
x′ = 3x − y
y′ = x + y
{
(3)
{
∗
(6)
x′ = x + 2y
y ′ = 2x + y
x′ =
− y
y ′ = 2x − 2y
チャレンジ問題 13-1. (軍備拡張競争モデル)
[標準的]
X, Y の 2 国の時刻 t に於ける軍事力を x(t), y(t) とする。
両国は、相手国の軍事力が増強された場合には、それを脅威と
見做して自国の軍事力を拡張しようとする。一方で自国の軍事
力が強化されるにつれて、社会的、経済的な疲弊や不満の蓄積
により、それ以上の軍事力の増加を抑制しようとする機能が働
くと考えられる。このような軍事力の拡張、抑制機能は連立微
太平洋戦争の記録写真
分方程式
(パブリック・ドメイン)
{
x′ = −αx + ky
y ′ = ℓx − βy
(k, ℓ, α, β > 0)
· · · · · · (∗)
によってモデル化される。時刻 t に於ける両国の軍事力を x(0) = x0 , y(0) = y0 とする。このとき
以下の設問に答えなさい。
(
(1)
−α
k
)
(
−0.3
0.3
)
=
とするとき、
ℓ
−β
0.3 −0.3
(a) (∗) の一般解を求めなさい。
(b) 極限 lim x(t) と lim y(t) がどのように振る舞うかを観察しなさい。
t→+∞
t→+∞
(
) (
)
−α k
−0.2 0.9
(2)
=
とするとき、
ℓ
−β
0.9 −0.2
(a) (∗) の一般解を求めなさい。
(b) x0 > 0 または y0 > 0 であったとき (つまり 初期状態で 少なくともどちらか一方の国が
軍事力を有していたとき)、 lim x(t) = +∞, lim y(t) = +∞ となることを観察しな
t→+∞
t→+∞
さい。
(3)∗ αβ > kℓ が成り立つとき、どちらの国家も軍縮に向かうことを説明しなさい。
チャレンジ問題 13-2.∗ (連立微分方程式とリッカチの微分方程式)
[計算がやや大変]
変数 t の関数 x = x(t), y = y(t) に関する連立微分方程式
{
x′ = 3x − y
y ′ = 2x + y
· · · · · · (♯)
y
とおくとき、以下の設問に答えなさい。
x
y
dz
= z 2 − 2z + 2 · · · (♭)
(1) z = を t で微分することによって、 z と t に関する微分方程式
x
dt
の解 x, y に対して z =
が得られることを示しなさい。
(2) z0 = tan(t) + 1 が (♭) の特殊解となっていることを確認しなさい。
(3) z = w + z0 = w + tan(t) + 1 を (♭) に 代 入 す る こ と で 、w に 関 す る 微 分 方 程 式
dw
= w2 + 2w tan(t) · · · (♮) が得られることを確認しなさい*1 。
dt
1
と変数変換することで、v と t に関する 1 階線形微分方程式 を導き出し
(4) (♮) に於いて v =
w
なさい。また、それを解くことにより (♭) の一般解を求めなさい。
【解答】
演習問題の詳解は、ウェブページ掲載版を参照すること!!
演習問題 13. 以下 C1 , C2 は任意の実数を表すものとする。
{
(1)
3t
{
(3)
{
(5)
y = 2C1 e + C2 e
x=
(2)
2t
C1 e−t + C2 e3t
y = −C1 e−t + C2 e3t
x = C1 e2t + C2 (e2t + te2t )
y = C1 e2t +
チャレンジ問題 13-1.
(
{
x = C1 e3t + C2 e2t
)
C2 te2t
{
(4)
{
(6)
x = C1 cos 2t + C2 sin 2t
y = 2C1 sin 2t − 2C2 cos 2t
x = C1 e2t cos t + C2 e2t sin t
y = C1 e2t sin t − C2 e2t cos t
x=
C1 e−t cos t +
C2 e−t sin t
y = C1 e−t (cos t + sin t) + C2 e−t (sin t − cos t)
) ( )
1
1
(1)
の固有値は −0.6, 0 で、
,
は対応する固有ベクトルである。
−1
1
0.3 −0.3
(
)
( )
( )
x(t)
1
1
(a) 上記より一般解は
= C1 e−0.6t
+ C2 e0·t
(C1 , C2 は任意の実数) であ
y(t)
−1
1
−0.3
0.3
(
る。成分毎に書き直すと x = C1 e−0.6t + C2 , y = −C1 e−0.6t + C2
x0 + y0
(b) x0 = x(0) = C1 + C2 , y0 = y(0) = −C1 + C2 より C2 =
である。−0.6 < 0 よ
2
(
)
( )
x(t)
x0 + y0 1
り lim e−0.6t = 0 となるので lim
は
に収束する (つまり 両国
t→+∞
t→+∞ y(t)
2
1
未来が予測される!)。
( の軍事力が平均化される
)
( ) ( )
−0.2 0.9
1
1
(2)
の固有値は −1.1, 0.7 で、
,
は対応する固有ベクトルである。
−1
1
0.9 −0.2
( )
( )
(
)
1
x(t)
0.7t 1
−1.1t
(C1 , C2 は任意の実数) であ
+ C2 e
(a) 上記より一般解は
= C1 e
1
−1
y(t)
る。成分毎に書き直すと x = C1 e−1.1t + C2 e0.7t , y = −C1 e−1.1t + C2 e0.7t
*1
この方程式は ベルヌーイの方程式 (チャレンジ問題 5. 参照) となっている (!!)
(b) x0 = x(0) = C1 + C2 , y0 = y(0) = −C1 + C2 より、x0 > 0 または y0 > 0 のとき
x0 + y0
C2 =
> 0 となる。0.7 > 0 より lim e0.7t = +∞ であるから t → +∞ とす
t→+∞
2
ると x(t) も y(t) も正の無限大に発散することが分かる (つまり 両国とも限りなく軍拡を
繰り返して 戦争に突入するであろう 未来が予測される!)。
(
−α
k
)
の特性方程式 λ2 + (α + β)λ + (αβ − kℓ) = 0 は (判別式が
ℓ
−β
D = (α+β)2 −4(αβ −kℓ) = (α−β)2 +4kℓ > 0 なので) 相異なる 2 実数解 λ1 , λ2 を持つ。こ
(3) 2 次正方行列
れらが 共に負の数 であれば lim eλ1 t = lim eλ2 t = 0 より lim x(t) = lim y(t) = 0
t→+∞
t→+∞
t→+∞
となり、両国が軍備縮小の果てにに軍事力放棄に向かう未来が示唆される。
上記の特性方程式がふたつの負の実数解を持つための
条件は、二次関数 f (λ) = λ2 + (α + β)λ + (αβ − kℓ) の軸
λ=−
α+β
が y 軸よりも左側にあり、かつ λ が 0 の
2
ときの値 f (0) = αβ − kℓ が 0 より大きい数であること
λ=−
である (右図参照)。したがって αβ > kℓ のとき、特性
λ1
方程式の解がともに負の数となり、どちらの国も軍縮に
向かうことが期待される。
t→+∞
f (λ)
α+β
αβ − kℓ
2
λ2 O
λ
f (λ) = λ2 + (α + β)λ + (αβ − kℓ)
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【コラム】 リチャードソンの軍拡競争モデル
近隣諸国への安全保障体制への関心が高まりつつある
今日の情勢を踏まえ、今回は「軍拡競争から戦争に至るメ
カニズム」をモデル化した リチャードソンの軍拡競争モ
デル Richardson’s model of arms races を取り扱いまし
た。微分方程式 (∗) で、相手国への脅威から自国の軍事
力強化を推進する力を表す係数 k, ℓ を 防衛係数 defense
coefficient, 自国の経済的、社会的疲弊や不満による軍
ルイス・フライ・リチャードソン*2
拡抑制機能を表す係数 α, β を 疲弊係数 fatigue-expense
constant と呼びます。チャレンジ問題 13. (2) でも観察したように、防衛係数が疲弊係数
に比べて増大してしまうと、両国が際限なく軍拡を繰り返し、最終的には戦争に突入してし
まうという恐しい未来が暗示されます。(3) では逆に「防衛係数が疲弊係数に比べて小さけ
れば軍縮、軍事力放棄に向かうであろう」 という希望的な観測が示されていますが、近隣
諸国の脅威への警戒心というものはあっという間に加熱するものであり (まさに今の日本が
そうでしょう)、歴史を振り返れば必ず「近隣諸国の脅威」を必要以上に煽る力も加わるた
め、防衛係数は上昇しやすい傾向にあります。今回扱ったモデルはあくまで単純化された
モデルであり、このモデルのみから全ての結論を出すのは勿論ナンセンスではありますが、
それでも必要以上の「他国の脅威への警戒心」が国家の破滅を招き得るということを数学的
に (「客観的に」) 表現したものとして、心に留めておくべきモデルではあると思います。
*2
Lewis Fry Richardson (1881–1953) 気象学の専門家で、天気予報の原型とも言える気象予報システムを提案した人
物として良く知られる。また フラクタル fractal 研究の第一人者でもあるなど、非常に多才な人だったようである。
チャレンジ問題 13-2.
(1) 商の微分法より
dz
y ′ x − yx′
=
だから、x′ = −x + 3y, y ′ = x + 2y を代入して
dt
x2
( y )2
dz
(2x + y)x − y(3x − y)
y 2 − 2xy + 2x2
y
=
=
=
−2· +2
2
2
dt
x
x
x
x
y
= z を代入すると (♭) が得られる。
x
(2) 微分公式 (tan t)′ = tan2 t + 1 および (tan t + 1)2 − 2(tan t + 1) + 2 = tan2 t + 1 より、
となり、
z0 = tan t + 1 は (♭) の特殊解であることが分かる。
(3) (♭) の両辺に z = w + z0 を代入して
dw dz0
+
= (w + z0 )2 − 2(w + z0 ) + 2 = w2 + 2wz0 − 2w + (z02 − 2z0 + 2)
dt
dt
を得るが、(2) より
dz0
= z02 − 2z0 + 2 が成り立つので、上式の両辺から引き算して
dt
dw
= w2 + 2wz0 − 2w = w2 + 2(tan t + 1)w − 2w
dt
∴
dw
= w2 + 2(tan t)w
dt
· · · (♮)
が得られる
(4) (♮) はベルヌーイの方程式なので v = w1−2 =
d
dt
1
1
, つまり w = と置換して (♮) に代入すると
w
v
( ) ( )2
1
1
2 tan t
=
+
v
v
v
∴
−
1 dv
2(tan t)v + 1
·
=
2
v
dt
v2
より、両辺を v 2 倍して整理すると 1 階線形微分方程式 v ′ + 2(tan t)v = −1 を得る。
∫
∫
2 tan t dt = 2
(− cos t)′
dt = −2 log(cos t) より
cos t
∫
v(t) = e
2 log(cos t)
−2 log(cos t)
e
∫
2
(−1) dt = cos (t)
−1
dt = cos2 t(− tan t + C),
cos2 t
つまり v = − cos t sin t + C cos2 t (C は任意の実数) と書ける。z = w + z0 =
z = tan t + 1 +
C
cos2
1
+ z0 より
v
1
t − sin t cos t
が (♭) の一般解である。
紙面の都合上、チャレンジ問題 13-2. (4) で得られた解答に関する補足とコラム『リッカチの微
分方程式 —非線形微分方程式への冒険—』は配布プリント版では (断腸の思いながら) 割愛致し
ます。ウェブページ公開版をご覧下さい。
d(z + 1)
= (z + 1)2 + 1 と書き直せる。このとき z + 1 = tan(t + C) がこの
dt
微分方程式の解であることは微分公式 (tan t)′ = tan2 t + 1 より明らかだから、解の一意性の定理を
補足
実は (♭) は
用いると z + 1 = tan(t + C), つまり z = tan(t + C) − 1 (C は任意の実数) が (♭) の一般解であ
ることが直ちに分かる。ここで、三角関数の (マニアックな) 公式 tan A − tan B =
用いると
sin(A − B)
を
cos A cos B
sin C
sin C
1
=
=
cos C
cos(t + C) cos t
(cos t cos C − sin t sin C) cos t
cos2 t − sin t cos t
sin C
cos C
となるので、
を改めて C とおき直せば
sin C
1
z = tan(t + C) + 1 = (tan(t + C) − tan t) + tan t + 1 = tan t + 1 +
2
C cos t − sin t cos t
となり、(4) で求めた解と一致していることが確認出来る。
tan(t + C) − tan t =
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【コラム】 リッカチの微分方程式 —非線形微分方程式への冒険—
非線形微分方程式 non-linear differential equation の研究
に於いてリッカチの名前を外すことは出来ません。リッカチは
実に様々な形の非線形微分方程式の解について研究した数学者
ですが、どれも「何故そんな微分方程式を思いついたのか」が
分かりにくいものばかりで、初学者を惑わせてしまうようで
y
の考察は、
x
リッカチが所謂 リッカチの微分方程式 Riccati’s differential
す。今回扱った「連立微分方程式の解の比」z =
equation を研究した切っ掛け (のひとつ) ですので、リッカチ
ヤコポ・リッカチ*3
の足跡を辿っていただこうと思いチャレンジ問題で取り上げました。
巷 の 教 科 書 で 紹 介 さ れ て い る 所 謂 (狭 義 の) リ ッ カ チ の 微 分 方 程 式 と は 、チ ャ
レ ン ジ 問 題 13-2. の 式 (♭) の よ う に y 2 と い う 非 線 形 項 を 含 ん だ 1 階 微 分 方 程 式
′
2
y = p(x)y + q(x)y + r(x)
· · · (♡) を指します。チャレンジ問題 5. のコラムでも
触れたように、一般に 非線形な 微分方程式の解を求めることは非常に難しいのです
が、リッカチは (♡) の 特殊解 y0 がひとつ求まれば、y = z + y0 を代入して整理する
ことで (チャレンジ問題 13-2. (3) と同様に) z と t に関する ベルヌーイの微分方程式
z ′ = {q(x) + 2p(x)y0 (x)}z + p(x)z 2 に帰着されることを看破し、(♡) の一般解を求めるこ
とに成功したのです。つまりリッカチの微分方程式は 特殊解が求まれば解ける ことになる
のですが、
「特殊解を見つける」のは一般に非常に難しく、完全な解法は知られていません。
何となく印象の薄いリッカチの微分方程式ですが、ディープなところまで首を突っこみた
い貴方には井ノ口順一著『リッカチのひ・み・つ』(日本評論社) をお薦めしましょう。リッ
カチの微分方程式を肴に (?)、リー群リー環や可積分系の話まで飛び火して、微分ガロア理
論にまで至る長大なタペストリーは、(読破できれば) きっと貴方を虜にするはずです。
*3
Jacopo Francesco Riccati (1676–1754)
【演習問題詳解】
確認問題 13. 以下 C1 , C2 は任意の実数を表すものとする。
{
(1)
x′ =
x+ y
y ′ = −2x + 4y
係数行列は A1 =
( )
x′
⇔
(
1
y′
)
1
−2 4
(
=
1
1
−2
4
)( )
x
y
である。
Step 1. 固有値の計算
特性多項式は
(
1 −T
ΦA1 (T ) = det
−2
)
1
4 −T
= (1 − T )(4 − T ) − 1 · (−2)
= T 2 − 5T + 6 = (T − 2)(T − 3)
であるから、固有値はその根である 2 と 3 である。
Step 2. 固有ベクトルの計算
(
固有値 2 に関する固有ベクトルは連立一次方程式
)( )
x
1 −2
1
−2
4 −2
y
=
( )
0
の解で
0
ある。拡大係数行列を行基本変形して
(
−1 1
0
−2 2
0
)
(
×(−2)
−→
←
−+
であるから、固有ベクトルは s
−1 1
0
( )
1
1
0
0
)
(
| ×(−1)
−→
0
1 −1
0
0
0
0
)
(s ̸= 0) となる。
(
固有値 3 に関する固有ベクトルは連立一次方程式
)( )
x
1 −3
1
−2
4 −3
y
)
(
=
( )
0
の解で
0
ある。拡大係数行列を行基本変形して
(
−2 1
0
−2 1
0
)
×(−1)
←
−+
(
−→
であるから、固有ベクトルは t
( )
1
2
−2
1
0
0
0
0
)
(
|× −
1
2
−→
1 − 12
0
0
0
0
)
(t ̸= 0) となる。
Step 3. 微分方程式の解
( )
( )
1
3t 1
Step 1., Step 2. より e
と e
はそれぞれ解である。したがって求める一
1
2
2t
般解は
( )
( )
( )
x
2t 1
3t 1
= C1 e
+ C2 e
y
1
2
である。
(
または
{
x = C1 e3t + C2 e2t
)
y = 2C1 e3t + C2 e2t
(C1 , C2 は任意の実数)
{
(2)
x′ =
−y
( )
x′
⇔
y ′ = 4x
係数行列は A2 =
y′
(
)
0 −1
4
=
(
0
)( )
−1
x
4
0
y
である。
0
Step 1. 固有値の計算
特性多項式は
(
0 −T
ΦA2 (T ) = det
4
−1
0 −T
)
= (−T )(−T ) − (−1) · 4 = T 2 + 4 = (T + 2i)(T − 2i)
であるから、固有値はその根である −2i と 2i である。
Step 2. 固有ベクトルの計算
(
固有値 −2i に関する固有ベクトルは
)( )
x
0 −(−2i)
−1
4
0 −(−2i)
y
=
( )
0
の解であ
0
る。拡大係数行列を行基本変形して
(
2i
−1
0
4
2i
0
)
(
×2i
−→
←
−+
であるから、固有ベクトルは s
2i −1
0
0
0
0
( )
−i
)
(
|× −
i
2
)
(
−→
1
i
2
0
0
0
0
)
(s ̸= 0) となる。
2
固有値 2i に関する固有ベクトルは連立一次方程式
(
0 −2i
−1
)( )
x
0 −2i
4
y
=
( )
0
の解
0
である。拡大係数行列を行基本変形して
(
−2i
−1
0
4
−2i
0
)
×−2i
←
−+
であるから、固有ベクトルは s
Step 3. 微分方程式の解
Step 1., Step 2. より e−2it
(
−→
( )
i
2
−2i
−1
0
0
0
0
)
|×
(
i
1
2 −→
0
− 2i
0
0
0
)
(s ̸= 0) となる。
( )
( )
−i
i
と e2it
はそれぞれ 複素数解 である。ここでオイ
2
2
ラーの公式より
( )
( ) (
) (
)
(
)
i
i
i cos 2t − sin 2t
− sin 2t
cos 2t
e
= (cos 2t + i sin 2t)
=
=
+i
2
2
2 cos 2t + 2i sin 2t
2 cos 2t
2 sin 2t
(
)
(
)
− sin 2t
cos 2t
であり、実部と虚部の
と
は 実数解 となる。したがって求め
2 cos 2t
2 sin 2t
2it
る一般解は
( )
(
)
(
)
x
− sin 2t
cos 2t
= C1
+ C2
y
2 cos 2t
2 sin 2t
(
{
または
x = −C1 sin 2t + C2 cos 2t
)
y = 2C1 cos 2t + 2C2 sin 2t
(C1 , C2 は任意の実数)
である。
{
(3)
x′ = x + 2y
( )
x′
⇔
y ′ = 2x + y
(
係数行列は A3 =
y′
1 2
=
(
1
2
2
1
)( )
x
y
)
である。
2 1
Step 1. 固有値の計算
特性多項式は
(
1 −T
ΦA3 (T ) = det
2
2
1 −T
)
= (1 − T )2 − 22 = T 2 − 2T − 3 = (T + 1)(T − 3)
であるから、固有値はその根である −1 と 3 である。
Step 2. 固有ベクトルの計算
(
固有値 −1 に関する固有ベクトルは
)( )
x
1 −(−1)
2
2
1 −(−1)
y
( )
0
=
の解である。
0
拡大係数行列を行基本変形して
(
2 2
0
2 2
0
)
(
×(−1)
−→
←
−+
であるから、固有ベクトルは s
( )
−1
1
2
2
0
0
0
0
)
|×
(
1
2
−→
1 1
0
0 0
0
)
(s ̸= 0) となる。
(
固有値 3 に関する固有ベクトルは連立一次方程式
1 −3
2
2
1 −3
)( )
x
y
=
( )
0
の解で
0
ある。拡大係数行列を行基本変形して
(
−2
2
0
2
−2
0
)
(
←
−+
−→
であるから、固有ベクトルは t
Step 3. 微分方程式の解
Step 1., Step 2. より e−t
一般解は
−2 2
0
( )
1
1
)
(
|× −
1
2
0
0
)
(
−→
1 −1
0
0
0
0
)
(t ̸= 0) となる。
( )
( )
−1
1
と e3t
はそれぞれ解である。したがって求める
1
1
( )
( )
( )
x
3t 1
−t −1
+ C2 e
= C1 e
1
1
y
である。
0
(
{
または
x = −C1 e−t + C2 e3t
y=
)
C1 e3t + C2 e3t
(C1 , C2 は任意の実数)
{
(4)
x′ = 2x − y
y ′ = x + 2y
係数行列は A4 =
( )
x′
⇔
y′
)
(
2 −1
=
(
2
)( )
−1
x
1
2
y
である。
1
2
Step 1. 固有値の計算
特性多項式は
ΦA4 (T ) = det
(
2 −T
1
−1
2 −T
)
= (2−T )2 −(−1)·1 = (T −2)2 +1 = (T −2+i)(T −2−i)
であるから、固有値はその根である 2 − i と 2 + i である。
Step 2. 固有ベクトルの計算
(
2 −(2 − i)
固有値 2 − i に関する固有ベクトルは
−1
)( )
x
2 −(2 − i)
1
y
( )
0
=
の解で
0
ある。拡大係数行列を行基本変形して
(
i
−1
0
1
i
0
)
×i
←
−+
(
−→
であるから、固有ベクトルは s
i
−1
0
0
0
0
( )
−i
1
)
(
| ×(−i)
−→
i
0
0 0
0
1
)
(s ̸= 0) となる。
固有値 2 + i に関する固有ベクトルは
(
2 −(2 + i)
−1
)( )
x
2 −(2 + i)
1
y
=
( )
0
の解で
0
ある。拡大係数行列を行基本変形して
(
−i −1
0
−i
0
1
)
(
×(−i)
−→
←
−+
であるから、固有ベクトルは t
Step 3. 微分方程式の解
Step 1., Step 2. より e
(
(2−i)t
( )
i
1
−i −1
0
0
0
)
(
| ×i
−→
0
1 −i
0
0
0
0
)
(t ̸= 0) となる。
)
( )
−i
(2+i)t i
とe
はそれぞれ 複素数解 である。ここで
1
1
オイラーの公式より
e
(2+i)t
( )
( )
(
)
i
i
2t
t i cos t − sin t
= e (cos t + i sin t)
=e
1
1
cos t + i sin t
=e
2t
(
(
)
)
− sin t
2t cos t
+ ie
sin t
cos t
(
)
(
)
− sin t
2t cos t
であり、実部と虚部の e
と e
は 実数解 となる。したがって求
cos t
sin t
2t
める一般解は
(
( )
(
)
(
)
x
2t − sin t
2t cos t
= C1 e
+ C2 e
y
cos t
sin t
{
または
x = −C1 e2t sin t + C2 e2t cos t
)
y = C1 e2t cos t + C2 e2t sin t
(C1 , C2 は任意の実数)
である。
{
(5)
x′ = 3x − y
y′ = x + y
係数行列は A5 =
( )
x′
⇔
y′
(
)
3 −1
1
=
(
3
)( )
−1
x
1
1
y
である。
1
Step 1. 固有値の計算
特性多項式は
(
3 −T
ΦA5 (T ) = det
1
−1
1 −T
)
= (3 − T )(1 − T ) − (−1) · 1
= T 2 − 4T + 4 = (T − 2)2
であるから、固有値はその根である 2 (重根) である。
Step 2. 固有ベクトルの計算
(
固有値 2 に関する固有ベクトルは連立一次方程式
3 −2
−1
1
1 −2
)( )
x
y
=
( )
0
の解で
0
ある。拡大係数行列を行基本変形して
(
1
−1
0
1
−1
0
であるから、固有ベクトルは s
)
×(−1)
←
−+
( )
1
1
(
−→
1 −1
0
0
0
0
)
(s ̸= 0) となる。
Step 3. 微分方程式の解
( )
1
Step 1., Step 2. より e
は解である。一方で、A5 の 固有ベクトル でない ベクト
1
( )
1
ルとして
をとると
0
2t
(
( )
)( )
( )
( )
(
)
1
1
−1
2t 3−2
2t 1
2t 1
2t 1 + t
e
+ te
=e
+ te
=e
1
1−2
0
0
0
1
t
2t
も解となる。したがって求める一般解は
(
)
( )
( )
x
2t 1 + t
2t 1
+ C2 e
= C1 e
t
1
y
である。
(
{
または
x = C1 e2t + C2 (1 + t)e2t
)
y = C1 e2t +
C2 te2t
(C1 , C2 は任意の実数)
{
(6)
x′ =
− y
⇔
y ′ = 2x − 2y
係数行列は A1 =
( )
x′
y′
(
)
0 −1
=
(
0
2
)( )
−1
x
−2
y
である。
2 −2
Step 1. 固有値の計算
特性多項式は
(
0 −T
ΦA6 (T ) = det
2
−1
−2 −T
)
= (−T )(−2 − T ) − (−1) · 2
= T 2 + 2T + 2 = (T + 1)2 + 1 = (T + 1 + i)(T + 1 − i)
であるから、固有値はその根である −1 − i と −1 + i である。
Step 2. 固有ベクトルの計算
固有値 −1 − i に関する固有ベクトルは
(
0 −(−1 − i)
)( )
x
−1
−2 −(−1 − i)
2
y
=
( )
0
0
の解である。拡大係数行列を行基本変形して
(
1+i
−1
0
2
−1 + i
0
)
(
×(−1+i)
−→
←
−+
1 + i −1
0
0
)
0
0
−→
(
)
1−i
であるから、固有ベクトルは s
|×
(
1
1
1−i
=
1+i
2
− 1−i
2
0
0
0
0
)
(s ̸= 0) となる。
2
固有値 −1 + i に関する固有ベクトルは
(
0 −(−1 + i)
)( )
x
−1
−2 −(−1 + i)
2
y
=
( )
0
0
の解である。拡大係数行列を行基本変形して
(
1−i
−1
0
2
−1 − i
0
)
(
×(−1−i)
−→
←
−+
1 − i −1
0
0
0
)
0
−→
(
であるから、固有ベクトルは t
Step 3. 微分方程式の解
Step 1., Step 2. より e
(
(−1−i)t
)
1+i
2
1−i
2
|×
(
1
0
1
1+i
=
1−i
2
− 1+i
2
0
0
0
)
(t ̸= 0) となる。
)
(−1+i)t
とe
(
)
1+i
はそれぞれ 複素数解 である。
2
ここでオイラーの公式より
e
(−1+i)t
)
(
)
)
(
(
1+i
1+i
−t
−t (cos t + i sin t) + i(cos t + i sin t)
= e (cos t+i sin t)
=e
2
2
2 cos t + 2i sin t
(
)
(
)
−t cos t − sin t
−t cos t + sin t
=e
+ ie
2 cos t
sin t
であり、実部と虚部の e−t
(
)
(
)
cos t − sin t
cos t + sin t
と e−t
は 実数解 となる。
2 cos t
sin t
したがって求める一般解は
( )
(
)
(
)
x
−t cos t − sin t
−t cos t + sin t
= C1 e
+ C2 e
y
2 cos t
2 sin t
(
{
)
x = C1 e−t (cos t − sin t) + C2 e−t (cos t + sin t)
または
y=
2C1 e−t cos t +
2C2 e−t sin t
(C1 , C2 は任意の実数)
である。