米国 ISM による「ブレグジット」追加アンケート調査

景気循環研究所レポート
米国 ISM による「ブレグジット」追加アンケート調査
2016 年 7 月 5 日
英国の EU 離脱決定も、米
国の ISM 製造業景況指数
は改善
英国のEU離脱(ブレグジット)が決定したにも関わらず、米国サプラ
イマネジメント協会(ISM)が7月1日に発表した6月の製造業景況指数は、
53.2と前月から大きく上昇した。今回の調査は、ブレグジットを反映し
ていないとの見方もあるが、ISMによると、「多くの企業は、一般的に、
正確な情報を盛り込むため、月の終盤に報告を行う」としていることか
ら、6月23日の英国のEU離脱の影響をある程度織り込んでいると見てよい
だろう。
6月のISM製造業景況指数の改善は、ブレグジットの影響が、意外に小
さい可能性を示唆している。この見方を裏付けるのが、ISMが通常の景況
指数の調査の他に実施した、ブレグジットについての追加アンケート調
査である。同調査は、英国のEU離脱決定後に、ISMが緊急で行ったものと
思われる。
米国の企業経営者は、ブ
レグジットを深刻に見て
いない可能性
調査結果によると、ブレグジットによる年内の企業業績への影響は、
「ほとんどない」との回答が、61%を占めた(表1)
。また、マイナスの
影響があるとした企業についても、大半は「わずかにマイナス」
(27%)
と回答している。さらに、年内の設備投資への影響については、81%の
企業が、影響は「ほとんどない」と答えている(次頁表2)
。このことか
嶋中 雄二
景気循環研究所長
ら多くの米国企業は、少なくとも年内については、ブレグジットの影響
は、ほとんど無視できる程度の影響しかないと考えているようだ。
エコノミストを始め、多くの金融市場関係者は、英国がEUからの離脱
鹿野 達史
景気循環研究所副所長
シニアエコノミスト
を決定した場合、世界経済に大きな悪影響が及ぶと考えていたが、少な
宮嵜 浩
うことだろう。米国企業は、年初に、中国経済の減速懸念や原油安の影
シニアエコノミスト
03-6627-5132
響から減速感を強めたが、足元では、これらの悪影響が薄れる中、持ち
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
福田 圭亮
シニアエコノミスト
03-6627-5133
くとも米国の企業経営者は、ブレグジットを冷静に受け止めているとい
直しの動きを強めている。
表1.ブレグジットにより、あなたの企業の業績に、年内、ど
のような影響が及ぶと考えられますか?
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ
き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。
景気循環研究所
東京都千代田区大手町 1-9-2
大手町フィナンシャルシティ
グランキューブ
総合
マイナスの影響
製造業 非製造業
6%
7%
6%
わずかにマイナスの影響
27%
31%
26%
ほとんど影響なし
61%
58%
61%
わずかにプラスの影響
4%
4%
4%
プラスの影響
2%
0%
2%
(出所)ISM『Supplemental ISM Report On Business - Brexit Report』
1
2016 年 7 月 5 日
表2.ブレグジットにより、あなたの企業の設備投資に、年内、ど
のような影響が及ぶと考えられますか?
総合
製造業 非製造業
4%
4%
3%
わずかにマイナスの影響
13%
10%
13%
ほとんど影響なし
81%
84%
81%
わずかにプラスの影響
1%
2%
1%
プラスの影響
1%
0%
1%
マイナスの影響
(出所)ISM『Supplemental ISM Report On Business - Brexit Report』
(以
(16.7.5
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
2
上)
福田)
2016 年 7 月 5 日
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本
資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価
の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している
に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と
したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ
イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン
ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当
社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。
当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、
本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が
あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、
その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員
を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。
債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。
本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、
転送等により使用することを禁じます。
c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved.
Copyright ◯
〒100-8127 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティグランキューブ 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循
環研究所
(商号)
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号
(加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取
引業協会
本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ
Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
3