課題① - Seesaa ブログ

道徳教育(他学部)
7月4日(金)4限
第十一回「子どもの道徳的な学びについて考える⑤」
レポート課題(仮)
課題①(A とBから選択、両方選択も可、どちらの課題を選択したかを明
記のこと、2500字以上、)
A
授業で扱ったトピックについて、三つ以上に触れながら今期の授業の中で
学んだこと、自分の考えが変わったと感じたこと、深く考えたことなどを
振り返り、自由に記述してください。可能であれば、自分の人生経験や道
徳観、教育観とも関連づけて下さい。
B
「道徳」もしくは「教育」、もしくは「道徳教育」というキーワードに関
係すると思われる本(授業中に紹介した参考文献も可)を一冊以上読み、
その内容に関連して考えたことを自由に記述してください。
課題②(分量は自由、書いてくれれば全員に一律に点数をつけます)
講師の半期間の授業の内容や進め方について、感想やアドバイスがあれば
述べて下さい。もちろん批判も歓迎します。
※ 課題①を40点、課題②を5点として採点する。(計45点)
※ 提出方法はメールもしくは授業中に直接提出(現時点で期限は未定)
前回の感想より①
• 普遍的なものが正義の倫理で人間関係に焦点を当てた局所的なも
のが「ケアの倫理」で覚えました。倫理や哲学と言ったものを考
えるとき、普遍的なものがよく話題になるが私は人間は複雑で型
に当てはめるのは危険であるという認識を持っているため、「ケ
アの倫理」というものに深く共感し多様に思う。(理学部 数学
科)
• ニュースを見ているときなどは正義の倫理で考えてその人を批判
したり称賛したりします。でも実際の生活の中ではお互いの関係
を荒立てたくなくて間違っていることを指摘せず、見過ごしたり、
所属する団体の人々の事を考えて正しいことを言えなかったりし
ます。新しい間柄の中ではお互いが気持ちよく生活できるように
考えること、つまりケアの倫理を取ることも重要なのかなと思い
ました。しかし、全体を通して正義の倫理が成り立つことが大切
だと思います。(理学部 物理学科)
• 正義の倫理は「決定する、実行する」ことに、ケアの倫理は「考
える、価値判断する」ことに重きを置いていると考えました。正
義の倫理は「絶対的」、ケアの倫理は「相対的」という感じもし
ました。(文学部 日本文化学科)
前回の感想より②
• 正義の倫理とケアの倫理が男女が生きることを求められていた状
況の差に根ざしているというギリガンの考え方に納得がいった。
多くの場合、男性は一家の大黒柱であるから重要な判断を下す際
に誰かの犠牲を考えていたら自分だけではなく、家族にまで迷惑
をかける可能性があり、是か非かははっきりさせなければならな
い。逆に女性は家庭内もしくは仕事ではない曖昧なコミュニ
ティーの中で生きることを要請されていた(る)。そこでは長期
的な視線で物事を考えていかなければならないからじっくりと考
察してみる必要がある。このように、男女間で伝統的に差がある
ことがよくも悪くも教育や仕事などに影響してくるのかなと思う。
今は昔ほど男女をはっきり区別するような風潮が強くないから、
個人でも正義の倫理、ケアの倫理を上手く組み合わせながら判断
を下すことができるようになっているのではないかと思う(男女
問わず)。 (文学部 日本文化学科)
• 正義の倫理はケアの倫理の第三段階「自分も他人もケアする」を
見た後だと思考を放棄しているように感じてしまいます。しかし、
その思想は単純であり、客観性に富んでいるために判断するに早
く、統一しやすいというメリットがあるようにも感じます。社会
思想としてはこちらの方が便利であるがゆえに歴史的に男性社会
が先だったのかなと思いました。(理学部 生物学科)
前回の感想より③
• 私はこの例の他人をお腹の中の子どもだとするならば他人
へのケアはできないと思います。お腹の子どもの立場に立
つことはとても難しく、結局は母親の望むような解釈をし
てしまうことになるだろうから。妊娠中絶ということに
なってしまえば誰も傷つけずに済む道はありません。しか
もどの道を選んでも自分自身は必ず傷つくことになるで
しょう。中絶についてどう思うかは人それぞれです。とて
も重く考える人もいれば、仕方のないこととして心の中で
整理してしまう人もいます。この例で他人を父親となる男
性と考えるならば、彼の立場から見て満足するような結果
にしてあげられるかもしれません。しかし、彼を満足させ
たいと思うのもつまり自分の気持ちです。結局は自分への
ケアだったり、自分の奉仕精神に満足するためだったり、
自分のやりたいように動くのではないかなと思いました。
(理学部 生物学科)
前回の感想より④
• 自分なりに理解したことはいくつかある。まずケアの倫理につい
てで、大事なのは結果ではなく、過程だということだ。家庭とは
つまり考え方の事で例えば妊娠中絶をしないという結果に対して
もこの子の母親は自分だけだから育てていこうという考え方や周
りに迷惑をかけたくないから自力で育てていこうという考え方が
ある。結果は中絶をして自分で育てていくというものだが、自分
の事だけで考える第一段階か、相手の事だけで考える第二段階か、
両者を統合して考える第三段階かという違いがある。これがケア
の倫理における段階分けであると思った。他にも正義の倫理は裁
判のように自分の感情と他人の感情のどちらが大事かを考え、勝
者の方を自分の行動とするということが理解できた。(文学部
行動科学科)
• 私が高校生の時、学校へ向かおうと改札口を通ろうとしたとき、
足に障害があるのであろう杖を持った男性が転ぶのを私は見た。
その時、私は手助けをしたのだが、その男性は何も言わず、少し
機嫌の悪そうな顔をしながら歩いて行ってしまった。それからほ
ぼ毎日私はその男性を見た。そして彼が転ぶのも見た。つまり、
彼からしたら転ぶのは割と日常的なことであるのだ。彼は当時私
の助けを必要としなかったのかもしれない。(理学部)
前回の感想より⑤
• 私が昔大切にしていた人はある病気でした。色々とあって、水族
館に行きたいと言っていましたが、体力的に危険だと言われてい
たので、結局最期まで行けずにいました。自分は連れていくべき
だったとすごく後悔しました。あの時、私はただ自分がその人と
少しでも長く一緒にいたかったので外に連れ出すことができませ
んでした。ケアの倫理によってなのかはわかりませんが、連れて
行くべきだったと思います。(理学部 数学・情報数理学科)
• 私は“正義”を論理に、“ケア”を思いやりと捉えている。過去に言
われた言葉に「思いやりが足りない」がある。私はこのことから
思いやりが大切だという論理で行動するよう心掛けている。つま
り、正義の中にケアを取り込んだということである。しかし、今
回授業を通し、疑問が生じた。
ではなく
である方が良いのではないかと。このことを考えながら生活をし、
自分にとってより良い選択をしたい。(工学部 機械工学科)
前回の感想より⑥
• 正義の倫理とケアの倫理についてこの二つの事項は決して白黒
はっきり分けられる物ではなく、人は必ず両方の側面をもち合わ
せて生活(行動)していると考えました。先生が示して下さった
例が非常にわかりやすく、裁判官が感情や主観を交えない“正義”
の代表だとしたら親子関係が“ケア”の倫理がものすごく働きやす
い立場だと思いました。自分にとって大切な人であればなおさら
例えば子どもが犯罪に手を染めたというような極限状態に陥った
としてもそれを「守る心理=味方である、ケアしたい」という気
持ちが働くであろうと思います。しかし、そこに“自立”という概
念が入り込むと“ケア”よりも“正義”の側面が色濃く表れるのだと
思います。このように正義とケアは表裏一体というより混じりあ
うもの、人間に葛藤を生じさせるようなものであると今日の事例
や自らの経験から改めて感じ取りました。今回の事例に関しては
母親やその周辺の人のみの視点から“正義”“ケア”を分析していま
すが、生まれてくるであろう子どもの立場で見ると、「実の母に
望まれずに生まれた」という事実がつきまとうので、“その子ど
もの幸せ”を考えると、どの発達段階も正義からはほど遠いもの
であると思いました。
前回の感想より⑦
• ケアの倫理という考え方で厄介なのは、自分の感情や他人の感情を考
えるのではなく、自分の中にある正義感に従った行動をどう考えるか
だと思う。当事者が全員傷ついても正義に従うべきだと考えて自己犠
牲的な行動をとることもあるだろう。正義の倫理の考え方からすれば
正義を貫き通すことで他者の正義とかち合って不利益をもたらすこと
はありえないはずで、他者に狂信的正義のレッテルを貼るしかできな
くなる。重要なのは倫理観に従うことも含めて、自分のケアと考える
ことで、正義を感情を上下させる一要素に次元を下げることだと思う。
(科目等履修生)
• 実際に生きていく上で失敗や不都合があることも、その時だけを考え
ればマイナスかもしれないが、人生というタイムスパンで見れば決し
てマイナスではないかもしれないということである。そうだとすれば、
コールバーグもギリガンも限られた時間の中でしか道徳を論じていな
いように感じた。(文学部 史学科)
• ケアの倫理の例として延命治療などの終末期医療も当てはまるのでは
ないかと思った。自分としては延命治療が必要な家族に治療を受けさ
せて少しでも長く生きてほしいと思う一方、治療を受ける家族のこと
を考えると、一生寝たきりになることがその患者のためではない、少
しでも早く楽にしてあげたいと思う。実際、祖父母に対してその判断
を下した父母は、いつも延命治療はやらなくていいと言ってくること
をこの授業を受けて思い出した。大切な人が話題にあがるとき、私は
いつも正義ではなく、ケアの倫理を使うと思う。(文学部)
前回の感想より⑧
• 私が体験したケアの倫理。おつりが本来200円のはずが、2000
円返ってきた。私は少し迷った。2000円もらえるのは嬉しかった。
しかし、後のことを想像したら、」私は罪悪感にさいなまれるに違い
ないと思った。店にとっても採算が合わなくては困るだろうと思った
私はおつりの間違いを言って返した。その時はお店のためと思ってい
たけれど、後から考えれば自分も気分の良いことをしたという満足感
があった。自分のためにでもあったのだ。これはケアの倫理だと考え
た。ボランティアにおいても、ボランティアされる人のためになるこ
とはもちろん、自分が他人の役に立っているという実感も得られる。
これも相互依存的だ。(文学部)
• 私が直面した道徳的ジレンマについて。暑い夏の日のことでした。私
は炎天下の中、家に向かって一時間近く歩いていました。のどはもう
カラカラでしたが、お金を持っていなかったので、飲み物を買うこと
もできません。そんなとき、目の前に黒い何かが落ちていることに気
付きました。財布です。手にとって中をそうっと見てみると、千円札
が数枚と免許証が入っていました。私の両親が揺らぎましたが、神か
らのプレゼントだと思い、そのお金でリンゴジュースを買ってしまい
ました。何よりまず自分のケアをしてしまったのです。しかし、さす
がにこのままでは気分が晴れません、元気が回復した私は、免許証に
書かれている住所を見て、その家のポストにそっと財布を入れておき
ました。相手をケアすることもできたのかなと思いました。(文学
部)
始めに大事なお願い
• 今回は、子どもの道徳観を、実践事例をもとに考え
たいと思います。
• この授業で取り扱う実践事例は、全て僕がかかわっ
た学校関係者の厚意によってこの授業で紹介するこ
とを承諾していただいています。
• 基本的に学校名がわからないように紹介しますが、
生の記録である以上、個人情報です。
• 従って、ツイッター、Facebook、ブログ、
その他、不特定多数の人が見る可能性のある媒体に
授業の内容について書くことは絶対にしないでくだ
さい。この授業のブログに書き込む場合には、個人
の名前は出さず、Aさん、B君のように頭文字で表
してください。
今日の事例について
• 神奈川県のある小学校で行われた5年生の道徳の授業
です。
• 授業の中で自習の時間に起きた子ども同士の喧嘩につ
いて話し合おうとしています。
• 今回と次回の授業は色んな意味で難しく、先生も苦労
をされています。
• だからこそ、できる限り授業で起きている出来事に出
会うようにしてください。「この授業はこうだった」
という答えを出すより、この学級に内在する問題構造
の複雑さを実感してもらいたいと思っています。
• 「授業が悪い」、「子どもが悪い」、「教師が悪い」
など、価値的な視点は、ここでの複雑な出来事を理解
を妨げる要因になりやすいので、一度差し控えて授業
を見る努力をしてみて下さい。
• 発現記録の中の子どもの名前は全て仮名です。
グループワーク
• テーマは決めません。授業を見て考えたことを
自由に話し合ってみてください。
• この学級が直面している問題の構造、逆にその
中にどのような希望が見出せるのかといったこ
とを考えてみて下さい。答えや結論を出す必要
はありません。
• できるだけ自分が見た授業の事実に基づいて話
をしてみて下さい。
感想シート
• 今日の授業の中で考えたこと、疑問や質問、グループワーク
の中で話し合ったこと、授業に対する要望、なんでもかまい
ません。
• 感想の紹介は匿名で行いますが、プライベートなことにかか
わるなど、どうしても次回の授業で紹介してほしくない部分
などがあればその旨を記してください。
• 必ず、名前、学籍番号を書いて出してください。
• 授業中に伝えきれなかった質問、意見はメール、もしくはブ
ログを利用してください。
メール [email protected]
HP http://moral-education.seesaa.net/
ユーザー名 moral-education
パスワード
449281
参考文献(前回分)
• Carol Gilligan In a different voice.
Havard University Press(邦訳版は絶版。図書館などに
あるかもしれません。『もうひとつの声』で検索してみ
て下さい)
• ネル・ノディングス(佐藤学 監訳)
『学校におけるケアの挑戦』 ゆみる出版
• ジェーン・ローランド・マーティン(生田久美子 監
訳) 『スクールホーム ケアする学校』 東京大学出
版会