第9章 ファイナンスの基本的な分析手法 ファイナンスの分析手法は、人々が金融市場に参 加する際の意思決定に役立つ 扱うトピックは 1. 異なる時点における貨幣価値を比較する方法 2. リスク管理の方法 3. 時間とリスクの分析を基礎として、株式のような 資産の価値を決定する要因を考察 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 1 1.現在価値:貨幣の現在価値を測る ・・・異なる時点における貨幣の価値の比較 現在価値とは、現在の利子率で将来のその 金額を生み出すのに今日必要な金額をいう (例) 現在 1年後 年利5% 10,000円 10,500円 1年後の10,500年の現在価値は、 割引率(利子率)を5%とすると、10,000円 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 2 現在価値(2) 現在 1円 年利r N年後 (1+r)N円 N年後の(1+r)N円の現在価値は、 割引率(利子率)をrとすると、1円 N年後のX円の現在価値は、 割引率(利子率)をrとすると、X /(1+r)N円 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 3 例題(p. 267の応用問題) 1. 約400年前、アメリカの先住民はマンハッタン島を24ドルで 売却した。彼らがそのお金を年率7%の利子を生むように 投資していたら、彼らの資産は現在いくらになっていただろ うか(ヒント:pp. 251-252の「70の法則」を用いる) 2. ある会社が、現在1000万ドル投資するとその4年後に1500 万ドルの収益を獲得できるプロジェクトをもっているものとし よう。 a. 利子率が11%のとき、同社はそのプロジェクトを実施す べきだろうか。10%ではどうか、9%と8%の場合もしなさ い。 b. このプロジェクトが利益を生むか生まないかの境界線と なる利子率を正確に計算すると、何%になるだろうか。 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 4 2.リスク管理 ほとんどの人は、リスク回避的である 「もしコインの表が出れば1000ドル受け取れる、しかし裏 が出れば1000ドル支払わなければならない」という賭け は、ほとんどの人は受けないはず リスク回避行動は、上に凸の効用関数により説明で きる 効用(満足度) 1000ドル得ること による効用の増加 < 1000ドルを失う 1000ドル失うこと による効用の減少 1000ドルを得る 現在の富 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 5 保険市場 保険に加入することにより、金銭的なリスクを 回避できる 公的保険(年金、健保、介護):強制 民間保険(自動車、火災、生命、医療など):任意 保険市場に固有の2つの問題 逆選択 モラルハザード 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 6 逆選択とモラルハザード 逆選択とは、自由意志に任せると保険加入者はリ スクの高い人が多くなりがちになるという問題 終身年金の加入者は長生きを予想している人ばかりにな るかもしれない →日本では公的年金制度に強制加入 モラルハザードとは、保険加入者がわざとリスクの 高い行動に走りがちになるという問題 自動車保険の加入者は、事故が起こっても保険金がでる ので過度にスピードを出す危険な運転をするようになる かもしれない →日本では、事故を起こすと保険金が高くなる仕組みが導 入されている 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 7 リスクについて 固有リスクの分散 「一つのバスケットにすべての卵を入れるな」 固有リスクとは、特定の資産に関する不確実性をいう » 株式投資したいならば、個別株を購入するよりも、 ETFを購入したほうがよい 分散投資により固有リスクは除去できるが、経済全体と 関連する共通リスクは残る リスクと収益のトレードオフ ファイナンスの標準理論では、「リスクの高い資産ほど収 益率が高い」とされる 米国では、長期で見ると、株式の収益率(高リスク)>債 券の収益率(低リスク) 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 8 3.資産評価 ・・・企業の株価を決めているのは何か? ファンダメンタル分析により、企業価値が推 計できる ファンダメンタル分析・・・企業の公表する財務諸 表や業績予想などを基に、その企業の企業価値 (自己資本+将来の配当の割引現在価値)を計 算することをいう 株価≒企業価値/発行済み株式総数、になるは ずだが、現実には? 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 9 資産評価(2) 効率市場仮説によると、ファンダメンタル分析 により計算できる企業価値よりも、株価のほう が、株式の収益性を正しく反映しているという 効率市場仮説・・・ある資産の価格には、その資 産価値に関するすべての公開された情報が反映 されているという理論 しかし、市場の非合理性を指摘する経済学者 も多い 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 10 (p. 262 ケース・スタディ)ランダムウォークと インデックス・ファンド ランダムウォーク仮説によると、株価は、予測不可 能な動きをするという したがって、世の中のアクティブ・ファンドのファンド マネージャー(自らの専門技能に基づいてファンドに 組み入れる資産を選択する)の多くは、インデックス ・ファンド(株価指数に連動するような資産構成とな るように、機械的に売買を行う)に勝てないという その理由として、アクティブ・ファンドの信託報酬が、 インデックス・ファンドのそれと比較して、高額である ことが挙げられる 9.ファイナンスの基本的な分析手法.pptx 11
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