消費者行動理論(その3)

初級ミクロ経済学
-消費者行動理論-
2014年10月6日
古川徹也
2014年10月6日
初級ミクロ経済学
1
所得・価格変化について
予算線を表す式
p1 x1  p 2 x2  M
においては,
(1)消費者が自ら選ぶ変数: x1 , x2
(2)与件とされる変数: p1 , p 2 , M
与件とされる変数が変化すると,予算線が変
化する。予算線の変化は,消費者の選択の変
化にもつながる。
2014年10月6日
初級ミクロ経済学
2
所得変化の予算線への影響
x2
M 2  M1
p1 x1  p 2 x2  M 2
p1 x1  p 2 x2  M 1
0
p1

p2
x1
所得が変化したとき,予算線は平行にシフトする。価格が一
定なので,傾きが変化しないからである。
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初級ミクロ経済学
3
第1財の価格が変化したときの予算線への影響
x2
p1  p1
M
p2
価格が下がると,予算線はなだ
らかになる
p1x1  p 2 x2  M
p1x1  p 2 x2  M
p1

p2
0
2014年10月6日
p1

p2
M
p1
初級ミクロ経済学
M
p1
x1
4
所得変化の効果
所得が増加すると,予算線は外側にシフトす
る。反対に所得が減少すると,予算線は内側
にシフトする。
予算線の外側シフト:選択肢が広くなる。達
成可能な効用水準は上昇する。
予算線の内側シフト:選択肢は狭くなる。達
成可能な効用水準は低下する。
人々の選択はどのように変化するか。第1財
の需要量に注目する。
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初級ミクロ経済学
5
所得変化の効果(1)
第1財は正常財(上級財)
x2
0
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所得が増えると需要が増
える。
x1 x1
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x1
6
所得変化の効果(2)
第1財は下級財(劣等財)
x2
0
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所得が増えると需要が増
える。
x1 x1
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x1
7
所得変化の効果(3)
第1財は中立財(中級財)
x2
0
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所得が変化しても需要量
は変わらない。
x1  x1
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x1
8
所得変化の効果(3)ちょっとした応用
x2
第1財,第2財はそ
れぞれ何財?
①
②
③
0
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x1
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所得消費曲線
x2
所得の変化とともに移動
する最適消費点をつない
だ曲線
0
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x1
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10
第1財の価格変化の効果
x2
価格が下がるにつれて,選択の範
囲は広がる⇒効用水準は高くなる
価格消費曲線
x1
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11
スルツキー分解
価格の変化が消費者の選択に与える影響につ
いては,ミクロ経済学では(1)代替効果,
(2)所得効果,の2つの効果に分けて考え
る。
このように2つに分けることを,スルツキー
分解と呼ぶ。
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12
代替効果と所得効果
(1)代替効果:選択の変化のうち,相対価格
が変化した影響による部分のこと。実質所得の
変化の影響を取り除いたもの。
※実質所得:達成可能な効用水準で計った所得
(2)所得効果:選択の変化のうち,実質所得
が変化した影響による部分のこと。相対価格の
変化の影響を取り除いたもの。
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第1財の価格変化の効果
x2
A
D
E1
E2
F
B
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G
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C x1
14
記号の説明
AB:価格変化前の予算線
AC:価格変化後の予算線
DG:ACに傾きが等しく,E1をとおる無差別曲線
に接する線分(代替効果と所得効果を分けるた
めに引いた仮想的な予算線)
E1:価格変化前の消費者の選択
E2:価格変化後の消費者の選択
F:E1をとおる無差別曲線とDGが接する点
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代替効果と所得効果
E1からE2:実際の選択の変化(価格効果による
変化)
E1からF:代替効果による選択の変化
FからE2:所得効果による選択の変化
E1からE2への変化を,E1からF,FからE2に分け
た。
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代替効果について
同じ効用水準を達成するという制約のも
とで,相対価格の変化のみによって引き
起こされる需要の変化をあらわす。
与えられた無差別曲線に沿った移動と考
えられる(限界代替率を表す図参照)。
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所得効果について
名目的(実際の所得)は変化していない
。達成可能な効用水準を基準とした所得
が変化していると考える。
予算線が平行にシフトしていることから
,所得変化の効果の議論がそのままあて
はまることに注意。
以下では,第1財が正常財であるか下級
財であるかに分けて考える。
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初級ミクロ経済学
18
第1財が正常財の場合
x2
E1
E2
F
x1
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x1
x1
初級ミクロ経済学
x1
19
第1財が下級財で,
代替効果の方が所得効果より大きい場合
x2
第1財の価格が下がると、
第1財の需要は増える
E1
E2
F
x1
2014年10月6日
x1 x1
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x1
20
第1財が下級財で,
所得効果の方が代替効果より大きい場合
x2
E2
E1
F
 1
x1x
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x1
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x1
21
3つのケースの比較
第1財の価格が低下したときの,
第1財需要への影響
代替効果
所得効果
価格効果
①
正常財
+
+
+
②
下級財
+
-
+
+
-
-
③
(代替>所得)
下級財
(所得>代替)
③のケースは,「価格が下がると需要が減る」という通
常と逆のケース。このような財をギッフェン財と呼ぶ。
2014年10月6日
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