ガバナンス論 第三回 民主主義と功利主義 担当 吉田 前回の話題 「ガバナンス」(グッドガバナンス)とは – 参加、合意、説明、透明性、包含性、 実行、効果、合法性 ガバナンスのメリット – 多様性、自主性、柔軟性、公正 リスクと問題 – 参加資格、合意プロセス、コスト、実効性 レポート ガバナンスが有効と思われる領域とは? 有効ではないと思われる領域とは? 有効と思われる領域 – 方向が緩やかに決まっている小さな集団 – ゆとりがあり、競争原理が働かない 有効ではないと思われる領域=逆の場合 民主主義とガバナンス 民主主義は統治形態のひとつである – =ガバナンス その根幹となるのは選挙制 選挙制は功利主義倫理学が支える – =ガバナンス? まずは、功利主義から民主主義的統治の性 格を解明しよう – 創造性を発揮すべきとき – 参加者のかかわりがある領域(生活など) 功利主義 功利主義とは? – 幸福の実現を目指す倫理的な立場 • ⇔義務論(カント主義)=正義の実現を目指す – 功利主義の時代(貴族制→市民・自由→福祉・社会) • ベンサム『道徳および立法の原理序論』1789年 – 1776年『国富論』アダム・スミス(自由主義経済学) アメリカ「独立宣言」(人民による統治) – 1788年『純粋理性批判』カント(正義の倫理学へ) – 1789年フランス革命(平等) • J.S.ミル『功利主義Utilitarianism』1861年 – 1861年『資本論』マルクス/エンゲルス – 1832年-1884年 イギリス選挙法改正 功利主義のめざす幸福とは? 幸福とは快・快楽pleasureのこと – 幸福の実現を目指すのが善い生き方である。 – 人は、快楽を追求するのが善い生き方である。 – 快楽や幸福を生み出すもの=功利が社会統治 の方向性である では、「目指すべき快」とは? – ベンサム 個人的な満足感(身体的・精神的) カント「己の欲するところを人に施すのが善」 – J.S.ミル 利他的な快=社会全体での満足 社会幸福の実現 自分だけの幸福を実現しようとするのは善い とは言えない。 社会全体の幸福を実現しなければ。 – 普遍化可能性の原理 社会全体の幸福=社会全体の快の総量 – 快楽計算→最大多数の最大幸福へ 功利主義への反対 快楽が幸福なのか? – ほかにも幸福はある – 快楽は幸福ではない 幸福が善いことなのか? – 正義=正しさこそ善さではないか 快楽の計算などできるのか? 計算方法は? 快楽の計算方法 功利主義的な善=社会の幸福 – =「最大多数の最大幸福」を目指す 多数決 多くの人が満足するような合意形成 選挙制 – 直接民主制 多数の満足する政策を採用 – 代議制 多数の満足する政策を採用しそうな人を 信任する 民主主義democracy 人民peopleによる統治=人民が権力を持つ 代表的な仕組み=選挙をベースとした統治形態 – 議会制、大統領制 • 自由、平等←選挙制 • 最大幸福←選挙制←功利主義的システム • 正義の実現←立憲主義 選挙する(選挙権)市民による政治 – 市民には「シチズンシップ」が要求される • =倫理性、判断力、判断への参加、決定への服従 – 政府には市民による信任に応える義務がある(ロック) 民主制でない統治形態 王政 統治権力は王が持つ 貴族性 権力は人民とは区別される支配層 が持つ 植民地 権力は宗主国が持つ(宗主国では 民主制を採用することも可能) 奴隷制(ただし奴隷を除いた市民で民主制を とることも可能) 課題 以下の4点について簡潔に答え整理してみよう 1. 功利主義とは何を「善い」と考える倫理か? 2. 民主主義はどのようにして功利主義的な「善さ」を実現 しようとしているか? 3. 民主主義は功利主義から見てうまく機能しているだろう か? 4. 功利主義的な考え方は社会を形成するにあたって適切 だろうか? 5. 民主主義は「ガバナンス」の一形態になるだろうか?
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