日语综合教程(第六册) 第八課 企業内聖人 1 本文 語句の学習 言葉の学習 文章の構成 2 語句の学習 – – – – – – – 3 抜け目がない 丸め込む 寝覚めが悪い 棒に振る 祭り上げる いいかげん 筋が通る 語句の学習 抜け目がない (よく気がついて、手抜かりなく、ずるがしこく立ち回るさま) ①あの人は頭のいい、何事にも抜け目のない男だが、一 つだけ抜けているところがある。 ②あの子って、ぼんやりしているみたいで、結構抜け目 のないところ、あったじゃない? ③コックの抜けめなさに驚いていたが、女給もまた、それ に匹敵する抜けめない人間だ。 ④今度こそは抜け目なくやってみせる。 4 語句の学習 丸め込む (巧妙に言いくるめて他人を自分の思うように操る ) ①午睡の時間が訪れると、私は布団の中に丸め込まれ た自分を想像したりした。 ②田舎巡査の一人や二人、まるめこむくらいわけはない。 ③父は母の言うことをたいてい聞いたから、母をまるめこ みさえすればよいことを子供たちはよく知っていた。 ④口当たりのいいもの言いや甘い雰囲気だけで世間を 丸めこむ広告代理店。 5 語句の学習 6 寝覚めが悪い(過去にした悪い行為が思い出されて、 良心がとがめる) ①人を殺すってのは、寝覚めのいいもんじゃない。一生、悪 夢に魘されるかもしれない。 ②強引にそれをやったとしたら、さぞ寝ざめが悪いことだろ うなあ。 ③あの男が自分を助けるために死んだと聞くと、わたしもな んだか寝覚めが悪いねえ。 ④私は河野さんを追い落とした人間だ。河野さんにもチャン スが来ないと寝覚めが悪い。 語句の学習 棒に振る (それまでの努力や成果を無にする。ふいにする ) ①あんなやつのために、残りの人生を棒に振るのは まっぴらだ。 ②山崎はまだ若かったとき、一人の女の苦境に同情し て、自分の将来を棒に振ってまで駆け落ちをした男 だった。 ③「つまらんことで一生を棒に振る気か」 ④昨年はひじを痛め、約1年間を棒に振った。 7 語句の学習 8 祭り上げる(まわりの者がおだてるようにしてある地 位につける) ①漱石の弟子たち孫弟子たちは漱石を神棚に祭りあげ ているが本当に面白いか。 ②葉子は恋の始めにはいつでも女性が祭り上げられて いて、ある機会を絶頂に男性が突然女性を踏みにじ るということを知っていた。 ③今のクラシック音楽界は、ベートーベンやモーツァル トを神棚に祭り上げて、とにかく、しかつめらしく演奏 すればいいという風潮が支配しています。 ④「彼を英雄に祭り上げるのは簡単だが、一人の青年 としての生き方を取り上げたかった」 語句の学習 9 いいかげん (1、かなり。相当。大分。不満な気持ち を込めていう。2、無責任なさま。でたらめ。 3、ほどほど にしたいさま。 ) ①おれだって、もう十年近くこの業界で飯を食ってきてい るから、いい加減頭がどうかなってしまっている 。 ②私は文章を書くのも、かなりいい加減な部分があり、 言葉と行動が一致していない。 ③私は8年間、税務署に勤務し、所得税の事務を担当し てきた。申告のいい加減さにはあきれるばかりだ。 ④「いい加減にしないかッ。お前にそんなことを言われる 筋合いはないねッ。 語句の学習 筋が通る (道理にかなっている。首尾一貫している。 ) ①アメリカの核を認めている日本政府が他の核保有国 に抗議しても、筋が通らない。 ②筋が通らない税金の使われ方に国民は猛反発した。 ③自分の意見がウソか本当かが問題ではなく、説得力 があり、筋が通っているかどうかが大切なんだ。 ④彼女の言いぶんには筋が通っていた。 10 言葉の学習 – – – – – – – 11 なんという となると ないまでも とばかり ごとく わりには くらいなら 言葉の学習 なんという ①私はある女と知りあった。なんということなく街で知り あったのだが、深い関係にまで進んでしまった。 ②停留所まで来たが、電車を待つ気になれなかった。 ただなんということもなしに、当もなく電車道を歩いて 行った。 ③慣れてしまえば、万事どうということもないものだ。 ④「あ、ありがとうございます。あなたは、なんという、な さけぶかいかたでしょう……」 12 言葉の学習 13 となると ①この不況下にあっては、社員が接待を偽装して仲間 うちで飲んだ勘定を持ってやるほど、会社にゆとりが ない。となると自前ということになる 。 ②コンピュータにわからないはずがない。となると、末端 装置の故障のせいかもしれない。 ③連絡がなされたが、夫人は留守だった。となると、そ の夫人が帰ってくるまで待つ以外にはなさそうだ。 ④コメの貿易量は前述したように1300万トンである。と なると日本は世界の全貿易量の8割近くを買い占め ることになる。 言葉の学習 ないまでも ①春休みのため映画館は満員とはいかないまでもけっこ う混んでいた。 ②東南アジア諸国農業の土地生産性が、韓国ほどではな いまでも相当の速度で上昇してきたことはまぎれもない。 ③みんながそれぞれに自分たちのすべき仕事を熱心にし、 乏しくないまでも無駄のゆとりはない暮しぶりだった。 ④公共福祉が頭打ちとなり、企業福祉も万全でなくなる今 日、戦前のような、とはいわぬまでも、せめて欧米なみ にまで家族福祉の水準を向上させたいものである。 14 言葉の学習 とばかり ①家永さんは、我が意を得たりとばかり意気込んで言った。 ②この複雑な関係はたちまち世間にもれ、新聞は好餌と ばかりとびついてこの醜聞を書きたてた。 ③鈴木はプイとソッポをむいて、つまらないことを言うなと ばかり、タバコの煙をプウプウふいた。 ④一般の人々も、海へ向かって前進し、中には学生たちに 負けじとばかり、腰あたりまで水に浸かる者もいた。 15 言葉の学習 ごとく ①われわれは、死をみること帰するがごとくであらねばな らない。 ②彼は疲れを知らぬごとく、ひたすら働き、昇進し、K産業 の中枢へと接近していった。 ③[戦後に至って]子が親を養う義務はあってなきが如く になった。 ④岡林は烈火の ごとく 怒り、もう会ってくれなくなるだろう。 16 言葉の学習 わりには ①安月給の割りには分不相応な車を持っている同僚も いた。 ②佳枝は酔っているわりには、話の筋道ははっきりして いた。 ③まる二十四時間眠っていないわりには不思議に眠く はなかった。 ④宝石は、高価な割りには形が小さく、どこへでも隠し やすい。 17 言葉の学習 くらいなら ①いちいちパンツの洗濯をするくらいなら、新しい安い ものを買った方がましだ。 ②良心に背き豊かになるくらいなら、貧しさの中にいて も結構じゃないか。 ③そのお金を無駄に使うくらいなら、恵まれない方に寄 付したほうがましだと思います。 ④彼女は、別れるくらいなら一緒に死のうと言い出した。 18 文章の構成 19 作者紹介 テーマ 時間配分 作品講読 小説のまとめ 表現上の特色 質問 文章の構成 作者紹介 星新一(1926-1997) 小説家。東京都の生まれ。主な作品に、『おせっ かいな神々』『エヌ氏の遊園地』『ひとにぎりの未 来』などがある。短い短編といわれるだけに、だい たい1500語の中に新鮮なアイディア、完全なプ ロット、意外な結末を持つ彼の作品はSFの感覚、 スピード感、知的なスマートさなど、時代感覚にも ぴったりあって、多くの愛読者を持っている。 20 文章の構成 テーマ 利益を得るのが企業の目的である以上、能率 が尊ばれ、そのためなら、ある程度のいい加減 さもやむをえない。しかし、いかにまじめ一方の 人間でも、この二点を理解しない限り、会社に多 大な損失を与えるだけでなく、自分も身を滅ぼし てしまうことだってある。 21 文章の構成 作品講読(1) – 男の入社(P217/1から) a コネ入社や縁故採用ではない平凡な入社。 b 善良だけが取り柄の男を落とすに忍びない審査員の 気持ち。 c 営業部に配属、そして初仕事。 d 一週間にわずか一軒に通いつめていた事実が露見。 22 ? なぜ、上役は期待と不安をもって見送ったのか。 ◎ 非能率きわまる仕事ぶり、退屈きわまる生活 深刻きわまる表情、乱暴きわまる発言 文章の構成 作品講読(2) – 集金から新規開拓へ(P218/18から) a 無能だから交代したのだともわからず、張り切って出 かける男。 b 依然としてまじめ一方で、成績が上がらない。 c 陰でも上司の悪口を言わない、善良の塊のような男。 d かくして男は社にとって余計なお荷物となってしまった。 23 ? 「ほどほどにやればいい」と同じ意味の文を探せ。 ◎ マイカー族、暴走族、社用族、団地族、 窓際族、アンノン族 文章の構成 作品講読(3) – 会社の非情な作戦(P221/7から) a 現状維持も解雇もできない男は、課長昇進へ。 b ほとほとに手を焼いた人事は、男にわなをかけた。 c 作戦に失敗した人事は、取り込み詐欺をやらせたがまた失敗。 d 音を上げた人事は、企画調整部へ回したが、他の部署の邪魔にな るばかり。 ? 会社のほうは、なぜ二度も非情な作戦をしかけたのに、見事に 失敗したのか。 ◎ 取り込み詐欺、結婚詐欺、寸借詐欺、保険金詐欺、手形詐欺、 おれおれ詐欺 24 文章の構成 作品講読(4) – 25 祭り上げられた男の死(P222/32から) a 男は、ついに社長にまでまつりあげられた。 b が、その男は、ほとほとに手を焼いた人事は、男にわ なをかけた。 c 作戦に失敗した人事は、取り込み詐欺をやらせたが また失敗。 d 男は、部長から取締役を経てついに社長に祭り上げ られた。 ? 男のまねをしようとするものもいたがなぜできないか。 ◎ 神聖なる使命、偉大なる指導者、優秀なる頭脳、 盛大なる披露宴、絶大なる自信、切実なる願い 文章の構成 作品講読(5) – 26 男への社会的評価(P223/23から) a 無能な男のため、会社は経営危機に陥っていた。 b 自ら責任をとって死をもって謝罪したように世間にとら れた。 c 男の死によって、会社は危機的な状況を脱し、再建の 道が開けた。 d 皮肉にも、無能な男が、会社を救ったような形となった。 ? 現実の社会でかかる男が社長になれるのかどうか。 ◎ 栄養不良、消化不良、天候不良、品質不良 不良債権、不良少年、不良品、不良外人 文章の構成 小説のまとめ 複雑きわまる現代社会において、何を行うにし てもスピードや効率が求められ、そのためなら、 ある程度適当にごまかすことも必要だ。このへ んのことを飲み込めない人は、どんなに誠実、ま じめでも、かりに一時的に厚遇されても、ついに は、時代に取り残されてしまう。 27 文章の構成 表現上の特色 – – – – 28 論説や評論とちがって、日常生活を舞台にし ているため、そのたぐいの表現が多い。 会話文が多い、しかも、待遇表現が分かりや すい。 省略文が多い。 文が比較的短くて、読みやすい。 文章の構成 質問 – – – – – – – 29 – 私見委員たちは、なぜその男にいい点をつけたのか。 その男は集金の仕事をうまくこなしたか。 上役の複雑な心境とはなにか。 男は仕事を変えさせられるたびに、どんな姿勢を示し ていたか。 男はどうして周りの人たちから愛されていたか。 男の人は、なぜ自殺したか。 男は死後救社主とよばれたが、それはなぜか。 この小説は何を言おうとしているのか。
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