第八課 企業内聖人

日语综合教程(第六册)
第一課 「まあまあ」にみる日本人の心
1
本文
語句の学習
 言葉の学習
 文章の構成

2
語句の学習
–
–
–
–
–
–
–
3
–
濃淡
快晴
宥める
とんだ
追及
逆巻く
こぢんまり
見捨てる
語句の学習

濃淡
①絵に濃淡をつける。
②濃淡がいろいろ異なった色合いの赤。
③墨の濃淡で無限の色や奥行きを楽しむ水墨。
④改革の分野によって「やる気」に濃淡の差が
感じられる。
4
語句の学習

快晴
①昨日は快晴だった。
②台風一過快晴となった。
③開会式当日は快晴に恵まれた。
④景気は自動的に快晴に向かうわけではない。
5
語句の学習

宥める
①泣く子をなだめる。
②弁護人が被告をなだめる。
③高価な贈り物で彼の怒りをなだめようとした。
④国民や党内改革派の不満をなだめる。
6
語句の学習

とんだ
①とんだ目に遭いましたね。
②課長はとんだたぬき親父だ。
③酒の上でとんだ狂態を演じてしまった。
④「とんだ迷惑をかけて、すまないなあ」
7
語句の学習

追及
①彼は私たちの追及を。
②彼は汚職を舌鋒鋭く追及した。
③ビジネスの最終目的は、利潤の追求です。
④自国の国益ばかりを追求する主義はナショ
ナリズムという。
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語句の学習

逆巻く
①逆巻く波
②もうもうとさかまく煙。
③土埃が竜巻のように 逆巻 いた。
④渦潮のように逆巻く怒り。
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語句の学習

こぢんまり
①庭のついた、こぢんまりした家だ。
②こぢんまりとした船室/小屋/夏の別荘。
③私が泊まっていたのはちんまりとしたホテルだった。
④桃子は片手でちんまりとした鼻の下をこすった。
10
語句の学習

見捨てる
①妻子を見捨てる。
②国際社会が見捨てた国。
③与党は金持ちを優遇し、貧しい人を見捨てた。
④運河に沿って、見捨てられた人気のない工場がつづ
いていた。
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言葉の学習
–
–
–
–
–
–
–
12
ともなく/ともなしに
~はともかく(として)
~ての
しかるべき
~ないでは(も)ない
~にしくはない
~とはいえ
言葉の学習

~ともなく/ともなしに(1)
①どこからともなく、音楽が聞えてくる。
②社員は、誰からともなく立ち上がって、ゾロゾロと会議
室を出た。
③生徒たちは夜遅くまで騒いでいたが、いつともなくそ
れぞれの部屋に戻っていった。
④二人はどちらからともなく自由なほうの腕を組み合っ
て、駅をめざして走り出した。
13
言葉の学習

~ともなく/ともなしに(2)
①どこを眺めるともなく、ぼんやり遠くを見つめている。
②老人は誰に言うともなく「もう秋か」とつぶやいた。
③車内に流れる低い音楽に、憂子は聴くともなく耳を傾け
た。
④客は左知子一人だった。窓ぎわの席に坐り、眺めるとも
なく外を眺めた。
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言葉の学習

~はともかく(として)
①服装はともかく、容姿は平凡な少女だ。
②学歴はともかく、人柄にやや難点がある。
③細かい点はともかく全体的に見れば、うまく
行ったと言えるのではないか。
④中高年はともかくとして、若い男性には期待
が持てる。
15
言葉の学習

16
~ての
①彼が留学できたのは、親の援助があってのこ
とだ。
2人が人を殺すというのは、よほどの事情があっ
てのことだろう。
③今回の人事異動は君の将来を考えてのことだ。
④「しかし、なぐるなんて」「息子のためをおもって
のことだ」
言葉の学習

しかるべき
①真相解明については、 しかるべき調査をやっていく。
②いつとは申し上げないが、しかるべき時期に、そのこと
についてきちんとしたい。
③事は重大、責任者としては、なにかしかるべきことをい
わなくてはならない。
④憲法は時代の変化に応じて修正されてしかるべきだ、
という意見がある。
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言葉の学習

~ないでは(も)ない
①私は相撲も野球も知らないではないが見ない。
②長い人生の中には、そういうこともありえないではあ
りません。
③考えてみれば、彼の意見ももっともだという気がしな
いでもない。
④「何か考えでもあるのか?」「ないでもありません」
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言葉の学習

~にしくはない
①世の中は何事も、自重するに如くはない。
②只今、事をやめようと思ったら、やめ去るにしくはない。
③世界の流行を知りたければ、日本には数多くある啓
蒙誌に目を通すにしくはない。
④欲を出せばきりのない話だ。ここで安んじて暮らすに
しくはない。
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言葉の学習

~とはいえ
①春とはいえ、まだ寒い日が続きます。
②知らなかったとはいえ、ひどいことをしてしまった。
③諦めかけていたとはいえ、私はまだ純子に未練が
あった。
④大分元気になったとは言え、サラリーマンとしてバリ
バリやる自信はない。
20
文章の構成
一、序論
二、本論Ⅰ
三、本論Ⅱ
四、結論
全文の要旨
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潇湘八景之一——永州城东
文章構成
一、序論
天橋立
– 第一段落
「まあ」の使用例
– 第二、三段落 「まあ」の品詞、
意味用法の説明
– 第四、五段落 「まあまあ」の品詞、
意味用法の説明
(問題提起) 「まあまあ」の「だいたい」とはどの
くらいの程度なのか。
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文章構成
二、本論Ⅰ
–
–
23
松島
第六段落
日本三景
第七、八段落 日本三景に共通した二つの性格
 (一)海辺の景色であるということ
 (二)海辺の景色が皆穏やかな内海に臨むこぢん
まりとした浜で目の前に小さな島か州が見える景
観であること、(女性的な優しい入り江)
文章構成
二、本論Ⅰ
– 第九段落
–
24
宮島
日本人が女性的な優しい
入り江に心ひかれる理由。
「太古の日本人の恐怖を癒した入り江のイメージを
ずっと引きずっているから」
第十段落
海洋民族にならず、海岸民族
(山崎正和氏)となった日本人
文章構成
二、本論Ⅰ
– 第十一段落
–
25
逆巻く浪
日本人が海洋民族ではなく
海岸民族になった理由。
「日本という快適な島で安んじて暮らすことが、日本
三景を好むことにつながる。」
第十二段落 快適な島でも起きる争いーその回避策。
「分に安んじることによって『和』を保つことが敵と共
存する道」「常に一定の限度を守ること」「己を抑制す
ること」
文章構成
二、本論Ⅰ
–
第十三段落
日本人の心性
<自分をやたらに主張しない。物事をはっきりさせ
て争わないこと…「まあまあ」>
–
–
26
第十四段落
<楽観的であるとともに悲観的な期待>
第十五段落 大山名人の長考の局面
文章構成
三、本論Ⅱ
–
–
–
一茶旧宅
第十六、十七段落 名人の答え。
うまくいきすぎる時
第十八段落 「人生全般についていえる
日本的な信条」
第十九段落 日本人の基本的精神の構え
<実際以下に期待を抑制すること…「まあまあ」>
27
文章構成
四、結論
–
–
第二十段落 「まあまあ」<その本質は抑制>
第二十一段落
「まあまあ主義」の本質
<期待を抑制することによって、改めて一応の満足を
得るという人生哲学(日本三景のイメージに重なる)
>
–
28
第二十二段落
小林一茶の句
<二十一段落の<>に同じ>但し読者が<>部を埋
める
文章構成
全文の要旨
「まあ」という慣用語は、いろいろな場合にいろいろな形
で使われ、その間には微妙な意味の濃淡がある。更に
「まあ」を二つ重ねて「まあまあ」となると、厳密に意味を
分析できない表現になる。例えば、「まあまあ」には、「試
験は、まあまあだった。」というような「程度」を表す表現
があるが、これは試験のできばえの程度を客観的・数量
的に示す言葉ではない。結局、そこには言語使用者の
主観的な判断しかないことになるが、幾つかの具体的例
を検討することによって、日本人一般に当てはまる、共
通の精神的特徴を抽出することができる。
29
文章の構成
全文の要旨
30
先ず、「まあまあ」には相手との関係で己を抑制する心
が隠されているということである。それは、こじんまりした
島(日本三景のイメージ)で対人関係を円滑に運ぶ日本
人の知恵であった。物事をあかたさまに主張するよりも、
相手との人間関係を考えれば「まあまあ」の方が差し障
りが少なくてすむからである。
更に、もう一点、上記のことともかかわるが、「まあま
あ」で物事に対する自分の期待の大きさを抑制するとい
うことがある。楽観主義ばかりでは期待はとどまることを
知らない。大山名人の言うように、それに流されず、ブ
レーキをかけようとする心(悲観主義)がある。
文章構成
全文の要旨
結果として、これは専ら自己に対する負担を軽減する手段
ともなる。大きな期待があるところでの、小さな現実は、不
満と失望だけを生みやすい。楽観的な期待を悲観主義に
よってコントロールする「まあまあ」には、自分の期待の大
きさを現実に合わせてぼかし(あるいは最悪の場合を想定
して抑制し)、その結果に自分なりの小さな満足を得る余地
を残したい、という精神があるということになる。
「まあまあ」使用の裏にある、二つの精神的特徴は、日本
人の基本的な精神構造の一端を鋭く映り出しているのであ
る。
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