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電磁気学C
Electromagnetics C
7/20講義分
電磁波の電気双極子放射
山田 博仁
放射電磁場
波動域における電磁場の性質を調べる。波動域における電磁場は、
E ( 2 ) ( x, t ) 
1  p(t0 ) x ( x  p(t0 )) 
 2 


40  c r
c2r 3

B ( 2) ( x, t )  
 0 x  p(t0 )
4
cr 2
 (25)
E(2)(x, t)
 (26)
e(3)
x
B(2)(x, t)
(25)式を書き直すと、
p(t0 ) 
x ( x  p(t0 ))
2
( 2)

4

c
r
E
( x, t )
0
2
r
 (25' )
(25’)式を(26)式に代入し、 x×x = 0、また 00 = c-2 であ
ることを考慮すると、
1
B ( 2 ) ( x , t )  e ( 3)  E ( 2 ) ( x , t )
c
O q
p(t0 )
 (28)
ここで、e(3) = x/r であり、これは図に示すように、原点 O から観測点 x に向く
単位ベクトルを表している。従って、観測点 x における磁場 B(2)(x, t) は電場
E(2)(x, t) および e(3)に直交していることが分かる。
放射電磁場
次に、ベクトル公式 A  ( B  C )  B ( A  C )  C ( A  B) を用いると、
x  ( x  p)  x( x  p)  r 2 p
 (29)
であるから、(25), (26)式より、
E ( 2 ) ( x, t )  cB ( 2) ( x , t ) 
x
 cB ( 2) ( x , t )  e (3)
r
 (30)
が成立する。つまり、E(2)(x, t) は B(2)(x, t) および e(3)と直交している。即ち、
E(2)(x, t), B(2)(x, t) および e(3)は前のスライドの図にあるように、互いに直交して
おり、それらの関係は自由空間を伝わる電磁波における関係と同じである。
従って、 E(2)(x, t), と B(2)(x, t) によって作られるポインティング・ベクトル S(x, t)=
0-1E(2)(x, t) × B(2)(x, t) の方向は、e(3)の方向に一致しているから、 e(3)の方向に
電磁波は進行する。即ち、この電磁波は横波になっている。
また、これら電場と磁場の大きさの間には、E(2)(x, t) = cB(2)(x, t) の関係があり、
(25), (26)式で表される放射電磁場が自由空間を伝わる電磁波と全く同じ性質
を有することが分った。
放射電磁場
波動域おける電磁波が、観測点 x においてe(3)に垂直な単位面積の断面を通って
単位時間当たりに運ぶエネルギーを求める。これを求めるには、ポインティング・
ベクトル
e(3)
E(2)(x, t)
1 ( 2)
( 2)
S ( x, t ) 
E ( x, t )  B ( x, t )
 (31)
0
x
B(2)(x, t)
を求めればよい。
(30)式より、
S ( x, t ) 
c
0
( B ( 2 ) ( x , t )  e ( 3) )  B ( 2 ) ( x , t )
 (32)
ここでまた前のスライドで用いたベクトル公式を用いて、
e(3)と B(2)が直交していることに注意すると、
O q
p(t0 )
B ( 2)  ( B ( 2)  e (3) )  B ( 2) ( B ( 2)  e (3) )  e (3) ( B ( 2)  B ( 2) )  e (3) ( B ( 2)  B ( 2) )
従って、
S ( x, t ) 
c
0
B
( 2)

2
( x , t ) e ( 3)
(26)式を代入すると、 S ( x, t ) 
 (33)
 (34)
0
(e (3)  p(t0 )) 2 e (3)
2
2
(4 ) cr
 (35)
放射電磁場
ここで図のように p の方向と e(3)の方向のなす角を q とすると、
観測点 x において、単位時間に観測される電磁波のエネル
e(3)
E(2)(x, t)
ギーの流れの強さ S(x, t)は、
x
0
2
2




S ( x , t )  S ( x , t )  e ( 3) 
p
(
t
)
sin
q

(
36
)
0
B(2)(x, t)
(4 ) 2 cr 2
原点 O を中心とする半径 r の球面を通って、単位時間に流出
する全エネルギー P は、

0
2
2




p
(
t
)

2

sin
q  sin qdq
0
2

0
(4 ) c
0
0
4
2
2










2


p
(
t
)

p
(
t
)
 (37)
0
0
2
(4 ) c
3
6c
P(t )   S ( x, t )r 2 d 
O q
p(t0 )
原点 O を中心とする角 q の方向の単位立体角内に単位時間当り放射されるエネ
ルギー量は、
0
dP(t )
2
2




 S ( x, t )r 2 
p
(
t
)
sin
q
0
2
d
(4 ) c
 (38)
双極子放射パターン
0
dP(t )
2
2




 S ( x, t )r 2 
p
(
t
)
sin
q
0
2
d
(4 ) c
 (38)
放射される電磁波エネルギーの方向分布は、図のように p に直交する方向に
強く放射される8の字パターンとなる
放射エネルギーの強さ
S(x, t)
p
(3)
e
q
dq
d
q
p(t0 )
r
O
p
双極子放射のエネルギーの方向分布
線形ダイポールアンテナ
図に示すような長さ d の線状アンテナから放射される単位時間当たりの電磁波
のエネルギーを計算する。アンテナの中央部分には給電点があり、そこから周
期的な電流を与えてアンテナを励振する。
その電流が
 2z
I e ( z, t )  I 0 1 
d

z

 sin t


 (39)
d
2
 (40)
0
e(3)
で表されるものとする。 すると、
I e ( z, t )
2 sin t
  I0
z
d
である。ただし、複号は z > 0 のとき負、 z < 0 の
とき正である。
電荷保存則により、
 e ( z , t )
I ( z , t )
2 sin t
 e
 I0
t
z
d
x

 (41)
y
d
2
線形ダイポールアンテナ
これを積分することにより、単位長さ当りの電荷密度は、
e ( z, t )  
2I 0
cos t
d
 (42)
で与えられることが分かる。これから、アンテナの電気双極子モーメント p(t) は、
d 2
d 2
0
2I
I d
p (t )   z e ( z , t )dz  0 cos t   zdz   zdz    0 cos t
 (43)


d 2
0

d
2


d
2
である。これから、
I0d
 cos t
 (44)
2
となる。これを(37)式に代入することにより、単位時間当りの全放射エネルギーは、
p(t ) 
 I d
P(t )  0  0   2 cos 2 t0
6c  2 
2
 (45)
で与えられることになる。そこで、(44)の振動の1周期 2 / に渡る平均を求めると、
 I d

P  0  0  2 
6c  2 
2
2

2 
0
  I d 
cos 2 t0  dt0  0  0 
12c  2 
2
となる。これがアンテナから単位時間当り放射される平均エネルギー
 (46)
ダイポールアンテナの放射パターン
従って、線形ダイポールアンテナと q の角度をなす方向に位置し、距離 r 離れた
所にある観測点 x において、アンテナのある方向に対して垂直な単位面積に単
位時間に到達する電磁波エネルギーは、
x
S(x, t)
S ( x, t ) 
0
2
2




p
(
t
)
sin
q
0
2
2
(4 ) cr
0  I 0 d  2
2
2


cos

t
sin
q


2
2
(4 ) cr  2 
2
r
q
0 I 02 d 2 2
2
2

cos

t
sin
q
2
2
64 cr
 (47)
従って、電磁波エネルギーの強さは、アンテナからの
距離の2乗に反比例して弱くなり、またアンテナに流
れる電流の2乗、周波数の2乗に比例する
q
ダイポールアンテナからの放射パターンは、素子に
垂直な方向で強度が最も強くなるような 8の字パ
ターン
問5の解説
電流密度 iz は複素数を用いて
i z ( x, t )  i0 ( x)e j t
 (11.23)
と書ける。 iz (x)の満たす方程式は、金属導体内部でのMaxwell方程式から、
d 2i0 ( x)
 j i0 ( x)
2
dx
x
と書ける。 i0(x) の関数の形として、i0 ( x) ~ e を仮定すると、
 (11.24)
 2  j
1 j
  
( )  (1  j )

2
2


従って、 i0(x) は、I1, I2を任意の定数とすると、

1
2
   j ( )  
1
2
1
2
1
1




2
2






i 0 ( x)  I1 exp (1  j )
 x  I 2 exp  (1  j )
 x


 2  
 2  




 (11.25)
ただし、x→∞で i0(x)が有限となるためには、第1項はゼロとならなければならない