物理2015-2

期末1月22日
中間試験
1.日時: 12月17日(木) 4,5限
2.場所: 1331番教室
3.試験範囲:講義・演習・宿題・教科書の8章までに学
んだ範囲
4.試験時間:90分程度
5.注意:
・集合時刻厳守のこと
・途中退出は認めない
・全員受験必須
・資料持込不可
6.期末テストは1月28日予定、全範囲
7. 角運動量とその保存則
7.1 ベクトルのベクトル積
7.2 力のモーメント
7.3 角運動量
7.4 運動方程式の角運動量積分
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
力のモーメント
例題1 体重90 kgのF君と体重50 kgのN君が年甲斐もなくシーソー
で遊んでいる。シーソーの板は長さ6 m、質量60 kgの一様な材質で
出来ている。以下の各場合についてシーソーがつり合うときのシー
ソーの支点とF君との距離を求めよ。
(1) シーソーの支点は板の中央にあり、F君が中央に近づく場合
(2) 2人は板の両端に座り、シーソーの支点を中央からずらす場合
力のモーメント
例題1 体重90 kgのF君と体重50 kgのN君が年甲斐もなくシーソー
で遊んでいる。シーソーの板は長さ6 m、質量60 kgの一様な材質で
出来ている。以下の各場合についてシーソーがつり合うときのシー
ソーの支点とF君との距離を求めよ。
(1) シーソーの支点は板の中央にあり、F君が中央に近づく場合
90g(N)
50g(N)
d
3(m)
力のモーメントのつり合い
90 g  d  50 g  3
5
d
(m)
3
力のモーメント
例題1 体重90 kgのF君と体重50 kgのN君が年甲斐もなくシーソー
で遊んでいる。シーソーの板は長さ6 m、質量60 kgの一様な材質で
出来ている。以下の各場合についてシーソーがつり合うときのシー
ソーの支点とF君との距離を求めよ。
(2) 2人は板の両端に座り、シーソーの支点を中央からずらす場合
6-d
90g
d 3-d 60g
50g
力のモーメントのつり合い
90 g  d  50 g  (6  d )  60 g  (3  d )
12
d
( m)
5
力のモーメント
原点Oのまわりの力のモーメント(トルク)
定義: N  r  F
Fsinθ
F
ベクトルの外積
r  F   r F sin  e
i
 x
Fx
j
y
Fy
k
z
Fz
θ
O
r
i , j , k :x, y, z方向の単位ベクトル
e :rからFへ向かって右ねじが進む向きの単位ベクトル
力のモーメント
原点Oのまわりの力のモーメント(トルク) N  r  F
r
O
r
O
O
N rF
r
θ
F
Fsinθ
F
N  r  F sin 
N 0
F
物体を原点Oのまわりに回転させる能力を表す物理量
角運動量
原点Oのまわりの角運動量(運動量のモーメント)
定義: L  r  p  r  mv 
psinθ
p
ベクトルの外積
r  p   r p sin  e
i
 x
px
j
y
py
k
z
pz
θ
O
r
i , j , k :x, y, z方向の単位ベクトル
e :rからFへ向かって右ねじが進む向きの単位ベクトル
角運動量
例題2 質量mの質点が以下の運動をしているとき、原点Oのまわり
の角運動量を求めよ。
(1) xy平面内で直線y= C(定数)に沿って、x軸方向に速度vで運動し
ている。
(2) yz平面内で原点Oを中心にx軸の正側から見て時計回りに半径
Rの円周上を角速度ωで円運動している。
(3) x軸に沿って原点Oから速度vで離れている。
角運動量
例題2 (1) xy平面内で直線y= C(定数)に沿って、x軸方向に速度vで
運動している。
位置ベクトル
r (t )  x0  vt, C, 0
y
v
C
運動量ベクトル
r
p(t )  mv(t )  mv, 0, 0
角運動量ベクトル
O
L(t )  r (t )  p(t )  0, 0,  Cmv
直線運動していても角運動量はゼロとは限らない
x
角運動量
例題2 (2) yz平面内で原点Oを中心にx軸の正側から見て時計回り
に半径Rの円周上を角速度ωで円運動している。
z
位置ベクトル
r (t )  0, R cos(t   0 ), R sin( t   0 )
運動量ベクトル
r
O
x
v
R y
p(t )  mv (t )
 0, mR sin( t   0 ),  mR cos( t   0 ) 
角運動量ベクトル

L(t )  r (t )  p(t )   mR2, 0, 0

座標軸の取り方に注意
角運動量
例題2 (3) x軸に沿って原点Oから速度vで離れている。
位置ベクトル
r (t )  x0  vt, 0, 0
y
C
運動量ベクトル
p(t )  mv(t )  mv, 0, 0
r
角運動量ベクトル
v
O
L(t )  r (t )  p(t )  0, 0, 0
rベクトルとpベクトルが平行なので角運動量はゼロ
x
運動方程式の角運動量積分
d 2r
dv
dp
F
運動方程式: m 2  F , m  F ,
dt
dt
dt
両辺に位置ベクトルrを掛けてベクトル積をつくると、
dp
r
 rF  N
dt
力のモーメント
ここで、角運動量 L  r  p の時間微分を考える
dL d
dr
dp
 r  p    p  r 
dt dt
dt
dt
運動方程式の角運動量積分
dL d
dr
 r  p    p  N
dt dt
dt
dr
 p  v  p  v  mv   0
右辺第1項:
dt
dL
 N が成り立つ。
従って、
dt
回転の運動方程式
角運動量の時間変化の割合は力のモーメントに等しい
角運動量
例題3 長さaの質量の無視できる細い棒の一端を原点Oに固定し、
もう一方の端に質量mのおもりを取り付け、XY平面内を自由に回転
できるようにした。原点Oのまわりの力のモーメントN = (0, 0, N)をお
もりに5秒間与えたときのおもりの(線)速度vを求めよ。ただし、はじ
めおもりは静止していたとする。
角運動量
例題3 長さaの質量の無視できる細い棒の一端を原点Oに固定し、
もう一方の端に質量mのおもりを取り付け、XY平面内を自由に回転
できるようにした。原点Oのまわりの力のモーメントN = (0, 0, N)をお
もりに5秒間与えたときのおもりの(線)速度vを求めよ。ただし、はじ
めおもりは静止していたとする。
dL
Z
N
回転の運動方程式
dt
dLx dLy
dLz
N

 0,
N
dt
dt
dt
a
O
L0  0 より、5秒後の角運動量は
F
r
Lx  Ly  0, Lz  5 N
N = r×F
5N
L  a  mv  5N
v
ma
角運動量保存則
r
Fが中心力のとき: F  f ( r )
r
r方向の単位ベクトル
スカラー量
Fとrが常に平行または反平行
r
力のモーメント N  r  F  r  f ( r )  0
r
dL
依って、
 0 角運動量Lは時間に依らず一定
dt
角運動量保存則
角運動量保存則
例題4 ポテンシャルエネルギーV(x, y, z)が次のように与えられた時、
位置座標(x, y, z)にある質量mの質点に働く力Fおよび原点Oのまわ
りの力のモーメントNを求め、角運動量保存則が成り立つか否か調
べよ。
(1) V(x, y, z) = -kxy ただしkは定数
(2) V(x, y, z) = -C/r ただしrは原点Oと(x, y, z)との距離、Cは定数
角運動量保存則
例題4 ポテンシャルエネルギーV(x, y, z)が次のように与えられた時、
位置座標(x, y, z)にある質量mの質点に働く力Fおよび原点Oのまわ
りの力のモーメントNを求め、角運動量保存則が成り立つか否か調
べよ。
(1) V(x, y, z) = -kxy ただしk≠0は定数
 dV dV dV 
  ky, kx, 0
F  V  
,
,
 dx dy dz 
i
j
k

N  r  F  x y z   kzx, kzy, kx2  ky2
ky kx 0
N  0 より、角運動量は保存しない。

 dL


N


 dt

角運動量保存則
例題4 ポテンシャルエネルギーV(x, y, z)が次のように与えられた時、
位置座標(x, y, z)にある質量mの質点に働く力Fおよび原点Oのまわ
りの力のモーメントNを求め、角運動量保存則が成り立つか否か調
べよ。
(2) V(x, y, z) = -C/r ただしrは原点と(x, y, z)との距離、C≠0は定数
 dV dV dV 
C
   3 x, y, z 
F  V  
,
,
r
 dx dy dz 
N  r F  0
角運動量は保存する。
rとFが平行(中心力)ならば、角運動量は保存する。
角運動量保存則
F  a  r  r
このような力を中心力という。
万有引力は中心力である。
Mm
F  G 3 r
r
そして保存力である。
Mm
ポテンシャルエネルギーは U  G
r
d2r
Mm
運動を調べよう。 F  m 2  G 3 r
dt
r
次回:惑星の運動 ケプラーの法則
復習
例題5 質量mの小さな固い物質が等速度v
でx軸に平行に走っている。時刻t=0でY軸
上r0の地点に達したとき、青い固い巨大な壁
にぶつかり、非常に小さい△t秒間を要して
反射し、向きをY軸方向に変えて同じ速度v
で運動を続けたとする。
1)t<0のとき、物質の位置と運動量の
x、y成分を書け。
2)t>0のとき、物質の位置と運動量の
x、y成分を書け。
3)壁との衝突により物質が受ける力積のx、y成分を書け。
4)t<0のとき、物質の角運動量の大きさと向きを書け。
5)t>0のとき、物質の角運動量の大きさと向きを書け。
6)壁との衝突により物質が受ける力のモーメントの
衝突している時間の合計の大きさと向きを書け。
復習
例題5 質量mの小さな固い物質が等速度v
でx軸に平行に走っている。時刻t=0でY軸
上r0の地点に達したとき、青い固い巨大な壁
にぶつかり、非常に小さい△t秒間を要して
反射し、向きをY軸方向に変えて同じ速度v
で運動を続けたとする。
1)t<0のとき、物質の位置と運動量
( x, y )  ( vt , r0 ), ( px , p y )  ( mv, 0)
2)t>0のとき、物質の位置と運動量の
( x, y )  (0, vt  r0 ), ( p x , p y )  (0, mv )
3)壁との衝突により物質mが受ける力積のx、y成分を書け。
( I x , I y )  ( mv, mv )
4)t<0のとき、物質の角運動量の大きさと向きを書け。
mr0 v 紙面上向き (0, 0, mr0v )
復習
例題5 質量mの小さな固い物質が等速度v
でx軸に平行に走っている。時刻t=0でY軸
上r0の地点に達したとき、青い固い巨大な壁
にぶつかり、非常に小さい△t秒間を要して
反射し、向きをY軸方向に変えて同じ速度v
で運動を続けたとする。
5)t>0のとき、物質の角運動量の大きさと向きを書け。
ゼロ
6)壁との衝突により物質mが受ける力のモーメントの
衝突している時間の合計の大きさ(時間積分)と向きを書け。
mr0 v 紙面下向き (0, 0,  mr0v )
力積と力のモーメントの時間積分
dp
F
運動方程式:
dt
t 2 dp
t2
t2
dt   dp  p(t 2 )  p(t1 )   Fdt
両辺をtで積分 t
t1
t1
1 dt
運動量
力積
の変化分
dL
N
回転の運動方程式:
dt
t 2 dL
t2
t2
dt   dL  L(t 2 )  L(t1 )   Ndt
両辺をtで積分 t
t1
t1
1
dt
角運動量
の変化分
力のモーメントの合計
7. 角運動量とその保存則
TA1:万有引力は中心力と勉強しました。
TA2 :勉強しました。
TA3 :中心力下の運動では角運動量は
保存すると勉強しました。
θ l
TA4 :勉強しました。
TA5 :重力も万有引力です。
TA1 :そうです。
TA2:ならば、右図の振り子の角運動量も
保存するの?
TA3 :うん?角運動量って?
mg
TA4: L  r  p よ。
TA5:う~ん、振り子は折り返しのところで一旦止まるから
必ずp=0がある。しかし、最下点では勢いよく動く。
7.3 角運動量
TA1 :だからpは大きい。
保存しないんじゃないかな・・・
TA2:不思議です・・・
θ
l
TA3:振り子の運動を勉強したので調べて
みよう。
mg
7.3 角運動量
惑星の公転に倣ってこの度は原点Oを
振り子の支点に取る。
r   l sin  , l cos  ,0 
d
d 

p   ml cos 
, ml sin 
,0 
dt
dt


L r p

2 d 
  0, 0, ml

dt


Y
X
O
θ
l
mg
7.3 角運動量
L r p

2 d 
  0, 0, ml

dt


・角運動量はz成分のみである。
・振り子は往復振動するから、
d は時間変化する。
dt
だから振り子の角運動量は保存しない。
Y
X
O
θ
l
mg
7.2 力のモーメント
角運動量の保存条件を調べよう。
dL
保存条件:
N 0
dt
dL dr  p
N 

v prF
dt
dt
 rF
N  r  F を力のモーメントという。
F  ar のときに力のモーメントはゼロになる。
このとき、角運動量は時間変化せず保存する。
7.2 力のモーメント
N  rF
力のモーメントは回転的運動を誘発する。
角運動量を増減させる。
rがあり、Fがある。
これらが平行か逆平行のとき回転は
誘発されない。
これらが直交関係のとき力はもっとも
有効に回転運動に寄与する。
Y
X
O
θ
F  ar の力を中心力という。
中心力のとき、力のモーメントはゼロである。
力のモーメントがゼロの時角運動量は保存する。
l
mg
7.2 力のモーメント
確認しよう。
r   l sin  , l cos  , 0 
Y
F   0, mg ,0 
O
だから振り子の力のモーメントは
X
θ
l
N  r  F   0,0, mgl sin  
角運動量の時間変化は
2
dL 
2 d  
  0, 0, ml
  0, 0, mgl sin  
2 
dt
dt 

両者は確かに一致する。
mg
7.2 力のモーメント
振り子を振る力は鉛直下方向き。
支点から質点までの位置ベクトルとは
Y
一致しない。
O
よって振り子にとって重力は中心力ではない。
θ
力のモーメントが発生し、
角運動量は変化する。

2 d 
L  r  p   0,0, ml

dt


N  r  F   0,0, mgl sin  
X
l
mg
7.3 角運動量
l
H 
2
から振り子を振り出すとしよう。

初期角度は  0  3
Y
θ
さらにm=1, g=9.8, l=1としよう。

g
~ 3.13
l
X
O
l
d
 3.13 2 cos   1
dt

2 d 
L   0,0, ml
  0,0,3.13 2 cos   1
dt 


N  r  F   0,0, 9.8sin  

mg
7.3 角運動量
0 

3
m=1, g=9.8, l=1
Y
X
O
θ
N
l
L
mg
7.3 角運動量
0 

3
m=1, g=9.8, l=1
Y
X
O
N
θ
l
L
θ
mg
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
再び万有引力に戻ろう。
F  a  r  r
このような力を中心力という。
万有引力は中心力である。
Mm
F  G 3 r
r
そして保存力である。
ポテンシャルエネルギーは
運動を調べよう。
Mm
U  G
r
d2r
Mm
F  m 2  G 3 r
dt
r
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
r   r cos  , r sin  , 0 
とおく。

dr
 r cos   r sin  , r sin   r cos  , 0
dt
d2r

2
dt






,  r  r  sin    2r  r  cos , 0
r  r 2 cos   2 r  r sin  ,
2
d2r
Mm
m 2  G 3 r
dt
r
2r  r  0 であり、
だから、
2rr  r 2  0
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
よって、
r   rr  C
2
これを角運動量保存則という
中心力の場合、常に角運動量は一定であり保存する。
角運動量ベクトルの定義は
L  r p
である。
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
r   r cos  , r sin  , 0  のときを調べよう。
運動量ベクトル成分はx-y平面内にあり
 
 
 
p  m r cos   r sin  , m r sin   r cos  , 0
角運動量ベクトル成分はz軸上にある。

L  r  p  0, 0, mrr
もし、
rr  C

なら L   0, 0, mC    0, 0, L 
角運動量は常に一定である。
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
rr  C
 は角速度であり、 r は線速度である。
よって、 rr は惑星軌道が掃引する面積速度である。
rr  C
は面積速度一定を意味する。
ケプラーの第二法則
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
再び、
d2r
m 2  m r  r 2 cos  , m r  r 2 sin  , 0
dt
 


d2r
Mm
F m
 G 3 r
2
dt
r
だから、大きさを比較して
GMm
2
mr  mr  
r2
角運動量の大きさ mr 2  L を使うと、
L2
M
r  2 3 G 2
mr
r


7.5 惑星の運動ケプラーの法則
よって、中心力
d2r
Mm
F m
 G 3 r
2
dt
r
mr 2  L
rの運動について
から、
角運動量一定が得られ、
L2
M
r  2 3 G 2
mr
r
の微分式が得られる。
この式は難問です・・・・・・
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
問
D
 1   cos 
r
L2
M
r  2 3 G 2
mr
r
は
を満たす関数である。
TA4→DをL,m,M,Gで表せ。
L2
D 2
m GM
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
D
 1   cos 
r
両辺をtで微分
D
 2 r   sin 
r
L2
D 2
L
2

Dr  r sin    sin  m(GM
mr 2  L)
m
さらに両辺をtで微分
2
L
L
Dr   cos   2 2  cos 
m
m r
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
L2
Dr  2 2  cos 
m r
L2
M
r  2 3  G 2
m r
r
両式を比較
 L2
M
L2
L2  D 
D 2 3  G 2   2 2  cos   2 2 2   1
Lm r  r
r  m r

m r
D 2
m GM
M
L2
 DG 2   2 2
r
m r
L2
D  2
m GM
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
D
 1   cos 
r
rの軌道の絵を書いてみよう
ε=0のとき
ε <1のとき
ε >1のとき
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
D
 1   cos 
r
L2
M
r  2 3 G 2
mr
r
L2
D 2
m GM
は
を満たす。
ε=0のとき円軌道
ε <1のとき楕円軌道
ケプラーの第一法則
ε >1のとき双曲線軌道
軌道の形は運動エネルギー(速度)によって決まる。
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
1
 1  1.1  cos 
r
1
 1  0.8  cos 
r
1
 1  0.5  cos 
r
1
 1  0.1  cos 
r
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
運動エネルギーを考えよう。
D
 1   cos 
r
r
 D 2   sin 
r
L2
D 2
m GM
mr   L
2
L
Dr   sin 
m

dr
v
 r cos   r sin  , r sin   r cos  , 0
dt
2
2
L
L
v 2  v  v  r 2  r 2 2   2 sin 2  2 2  2 2
D m
r m

2
2
2

1
1
1
L

sin

1 
2
2
2 2
mv  m r  r  
 2

2
2
2
2 m
D
r 


7.5 惑星の運動ケプラーの法則
2
2
2

1
1
1
L

sin

1 
2
2
2 2
K  mv  m r  r  
 2

2
2
2
2 m
D
r 
  2 sin 2 
1
1 
 DmMG 
 2
2
2
D
r 



ε=0のとき運動エネルギー最少
ε が大きくなると運動エネルギー大きくなる。
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
Kとε の関係をもっと調べよう
2
2
2

1
1
1
L

sin

1 
2
2
2 2
K  mv  m r  r  
 2

2
2
2
2 m
D
r 
  2 sin 2 
1
1 
D
 DmMG 

2
2 
 1   cos 
2
D
r


r

1
 2 sin 2 
1   cos  
 mMG 


2
r
 r 1   cos  



mMG 1 1  2 cos    2

r
2
1   cos 
mMG 1

1   2   1    cos  

r
2
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
mMG 1
K 
1   2   1    cos  

r
2
ε=0のとき運動エネルギー最少
Mm
もともとポテンシャルエネルギーは U  G
r
だから、
1 Mm
1 Mm
(最小値)
K  G
K U   G
2
r
2
r
ε が大きくなると運動エネルギー大きくなる。
K U  0
になる条件は
mM
K G
r
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
1   2   1    cos  2
になるチャンスは、   1 のとき。
楕円、円運動ではK+U<0であり、無限遠方には行くこと
ができない。
  1 のときはじめて、重力ポテンシャルに打ち勝って
無限の彼方に行くことができる。その時の運動エネルギー
は、
mM
mM
K G
r
K G
R
 mgR
地球上の臨界速度は
1
K 
mv 2 から、
2
v
2 gR
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
v
v
2 gR
を第二宇宙速度という。
gR
を第一宇宙速度という。
問:第一宇宙速度と第二宇宙速度の意味を考えよ。
TA5
1 Mm
Mm
K  G
K G
2
R
R
問:双曲線軌道をとり地球に近づいた小惑星は、地球
をの近くを通り過ぎた後、再び地球に近づくのはいつ
か?
TA1
7.5 惑星の運動ケプラーの法則
楕円の面積Sは長径をaとすると S   a2 1   2 である。
D
 1   cos 
r
から a  D 2 となる。
1 
角運動量L一定=面積速度一定なのだから
周期をTとすれば S  BLT になる。
L2
D 2
m GM
だった。Tとaに注目すれば、
3
2
S
 a2 1   2
a
T


2
BL B Dm GM B m2GM
ケプラーの第三法則
周期は長径(短径)の3/2乗に比例する。
問 題
地球は太陽の周りをほぼ円周軌道で公
転回転している。しかしこれまで学んだ
ことに基づけば、厳密には「両者の重心 Y
周りをお互いに回りあっている。」と表現
すべきである。地球の質量は

m
5.9x1024kgであり、回転半径は
r
1.5x1011mである。太陽の質量は
θ
O
2.0x1030kgである。太陽の
M
回転半径は何kmか。 TA2
mr
R
 442500  442.5km
M
X
復習
X-Y平面において半径rを一定角速度ωで回転している質量mの
角運動量をX軸上の地点R   R,0,0  から観測しよう。
原点から見た時のmの位置ベクトルは
Y
r   r cos t , r sin t ,0 

運動量ベクトルは
p   mr sin t , mr cos t ,0 
である。
Rから見た時のmの位置ベクトルは
R   r cos t  R, r sin t,0 
となり角運動量は、
L   0, 0, mr 2  mRr cos t 
m
θ
R
X
復習
よって地点Rから見た時、mには見掛け上の力のモーメント
N   0, 0, mRr 2 sin t 
Y
が働き角運動量が刻々と変化する。
当然であるけれども、中心力により
運動する物体の角運動量は、
運動の中心(焦点)から測定した時に
のみ保存する。

m
θ
R
X
中間テスト問題 2009年12月17日(木)
6.イギリスの天文学者エドモンド・ハレーが研究したハレー彗星
は、公転周期75.3年、太陽への最近接距離8.8x1010 m、最遠
方距離5.2x1012 mの長楕円軌道運動をする。ハレー彗星の感
じる太陽重力は⑦であるから角運動量は⑧である。しかし回転
Q
半径は変化するから、ハレー彗星はコリオリ力を感じて軌道の
rR
E
線速度を変化させる。最近接距離にあるときの線速度は最遠方
4 r 2
距離にあるときの線速度の⑨倍の5.5x104 m/sである。これは
第二宇宙速度より大きいが、ハレー彗星は太陽系の外に飛び
Q
rR
E
r
去る事はない。それは太陽がハレー彗星に及ぼす重力ポテン
3
4 R
シャルエネルギーUの絶対値が大きくU+Kが⑩であるからであ
る。
8.非慣性系
8.1 並進運動座標系
8.2 回転座標系
8.非慣性系
8.非慣性系
8-2回転座標系
角運動量保存則
中心力の場合、常に角運動量は一定であり保存する。
2 d
L  mr
C
dt
2

dL
dr d
d

2
 m  2r
r
0
2 
dt
dt dt
dt 

d 2
dr d
r
 2
2
dt
dt dt
d 2
dr d
mr
 2m
 2mv
2
dt
dt dt
角度方向の速度を変化させる見かけ上の力が働く
8-2回転座標系
右図のように紐に質量mの物体をつけて回転運動をさ
せる。始め紐の長さは2bである。角速度はω0である。
1.物体mに働く力の大きさと向きを書け。 TA1
F  mr  2mb
2
2.物体mの速度の大きさと向きを書け。TA2
2
0
2b
v  r  2b0
3.物体mの運動量の大きさと向きを書け。TA3
p  mv  2mb0
4.物体mの運動エネルギーの大きさを書け。 TA4
p2
2 2
K


2
mb
0
5.物体mの角運動量の大きさと向きを書け。TA5
2m
6.紐を引っ張る力Tの大きさと向きを書け。 TA1
L  rp  4mb 20
T
ω0
m
8-2回転座標系
次に中心方向に紐を引っ張って半径を半分のbにしたと
ころ、角速度はωになった。
2b
ω0
7. ωを求めよ。
8.物体mの速度の大きさは何倍になったか?
9.物体mの運動エネルギーは何倍になったか?
10.紐を引っ張る力Tの大きさは何倍になったか?
11.運動エネルギーの変化を議論せよ。
T
ω
b m
m
8-2回転座標系
7. 中心力は角運動量を変えないから、
L  m  2b  0  mb2
2
  40
8.速度は 2b0 から 4b0 に2倍になった。
9.運動エネルギーは4倍になった。
10.紐を引っ張る力Tの大きさは
T  2mb0 2 から 16mb0 2 へ8倍になった。
11.運動エネルギーの変化:
半径をrとすると、 L  mr 2  4mb 20
4
2
16b

2
0
T

mr


m
張力は
3
r
4
2
b
b
N
4
2 2b
16b 0
8mb 0
2
2
W   Tdr   m
dr



6
mb

0
2b
2b
r3
r2
b
運動エネルギーはW仕事分だけ増加した。
2b
ω0
m
T
ω
b m
8-2回転座標系
右図のように紐に質量mの物体をつけて角速度
ω0の回転運動をさせる。始め紐の長さは2bで
ある。そして中心方向に紐を引っ張って半径
を半分のbにしたところ、角速度ωは4倍の、
4ω0になった。そして、線速度vは2倍の4bω0に
なった。
あなたが、物体mの中に居るとしよう。
紐で引っ張られて中心方向に移動すると、上述の
ように物体の移動速度が大きくなる。あなたは物理
を良く勉強しているので、物体mが進行方向に押さ
れて速度が速くなったと思うだろう。しかし、実際は
物体mは中心方向にしか引っ張られていない。
不思議ではないか!
2b
ω0
m
T
ω
b m
8-2回転座標系
時刻tにおいて物体は中心から位置rのところ
にいるとする。そして一定速度-vで中心方向に
引っ張られているとしよう。
r
ω0
m
物体の角運動量が時間にたいして一定である特徴を
つかって解析してみよう。
L  mr 
2
である。Lは時間に対して一定だから
dL dmr 2
dr
2 d

 2mr  mr
0
dt
dt
dt
dt
d
dr
mr
 2m  2mv
dt
dt
T
ω
b m
8-2回転座標系
d
mr
dt
は物体の回転方向の運動量の時間微分なので
回転方向に働く力である。
d
F  mr
 2mv
dt
とは、回転方向に
これを
2mv
の力が働くことを意味している。
コリオリ 力
という。
コリオリ力によって回転方向の速度がどのように変化するかを
調べよう。
8-2回転座標系
角運動量保存とは、
dL dmr 2
dr
d 
 dr
2 d

 2mr  mr
 mr  2  r
0
dt
dt
dt
dt
dt
dt 

だから、 2 dr  r d   0
dt
dt
d  r 
dr
d
回転線速度の変化率は、
である。
 r
dt
dt
dt
dr
上の関係式を用いると、 d  r 
 
dt
dt
となる。よって、紐が2bからbまでの線速度の変化分△(rω)は、
  r   
b
v
0
b
b
d  r 
dr 
v
dt     dt      dr
0
2b
dt
dt 

8-2回転座標系
L  m4b20  mr 2
4b20
だから、 
であり、線速度の変化分△(rω)は、
2
r
4b20
  r    
dr  2b0
2
2b
r
b
紐が2bのとき、線速度は 2b0 だったから、
紐がbになったときの線速度は 4b0 である。
8-2回転座標系
問 台風は地球規模の気象現象である。
低気圧に向かって風が猛烈に吹き込む。
台風の雲の渦巻きは左巻きである。
これはコリオリ力の効果だろうか考察
せよ。
TA2
非慣性系:8-1並進運動座標系
2
dL
d

2
 ml
N
2
dt
dt
だから、
Y
X
O
θ
l
2
d

2
ml
 ml  a cos  g sin  
2
dt
よって運動の式は、
d 2
l
 a cos  g sin 
2
dt
教科書の解説の式とずいぶん違う。
mg
非慣性系:8-1並進運動座標系
平衡条件は
a cos 0  g sin  0  0
Y
a
tan 0  
g
振り子はθ0を中心に振動運動をする。
X
O
θ
l
    0
a cos  g sin   a cos    0   g sin    0 
 a  cos  cos 0  sin  sin  0 
 g  cos  sin  0  sin  cos 0 
mg
 a cos 0  cos   sin  tan  0   g cos 0  cos  tan  0  sin  



a
a
 a cos 0  cos   sin    g cos 0   cos   sin  
g
g



非慣性系:8-1並進運動座標系
a cos  g sin 
Y

a
 a cos 0  cos   sin  
g



a
 g cos 0   cos   sin  
g


g 2  a2

cos 0 sin   g 2  a 2 sin 
g
O
X
θ
ついにこうなるので、目出度く教科書と一致する。
d 2
2
2
l


g

a
sin 
2
dt
l
mg
d 2
2
2
l


g

a
sin 
2
dt
aが加わることにより、角速度大きくなる
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問2 F    y, x, 0  F   x, x,0 と の二つの力がある。
あなたの好きな力を選んで解答欄に記入せよ。
③ あなたが選んだ力が保存力か否かを答えよ。否
あなたの力を受け質量1の質点がx-y平面内の原点周り半
径1の円周上を運動する場合を考えよう。時刻0で質点を
に静かに置いた。
④ 質点が円周上 にあるとき原点から見た質点に働く力の
モーメント を求めよ。 N   0, 0,1

N  0, 0,1  y 2
y 1 y2

⑤ 質点が再び元の場所に戻ってきたときの角運動量 を求
めよ。 L   0, 0, 2   L  0, 0, 2


電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問3 Nさん:赤道上から真上に10トンのロケットS号をドカン
と打ち上げましょう。打ち上げ後すぐに速さが1 km/sになっ
たときS号が感じるコリオリ力はどのくらいでどちら向きかし
ら? F君:それは簡単、約 ⑥(750, 1500, 3000, 5000 [N] )
で ⑦(東 西 南 北 )向きです。Nさん:その後燃料は尽
きたけれどS号は無事高度3万5786kmの静止軌道に達し
たわ。もしこのときの速さがどれくらい以上なら、ロケットは
地球重力から永遠におさらばできるのかしら?F君:それは
簡単だけど、地球の半径を教えて。Nさん:そんなことも知
らないの。赤道半径は6378km、極半径は6357kmよ。F君:
さすが、Nさん。それなら、約 ⑧(11000, 7500, 4500, 3500
[m/s] )以上です。
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問4 y軸下方に働く重力 によって長さlの紐につながれた
質量mがx-y面内で振り子運動するとき、支点からみた角
d 2
度θについての運動の式は ml 2  mg sin  である。振り子
dt
に働く力は中心力ではないから角運動量は時間変化する。
最初    / 2から静かに手を離したとき、
⑨ 質点が   0に達したときの角運動量の大きさを書け。
L  m 2 gl 3
⑩ 粘性抵抗係数Cがあるとき、運動の式はどうなるか、上
記微分式形式で書け。
d 2
d
ml 2  mg sin   Cl
dt
dt
電気電子工学科E2 物理学基礎・物理学基礎
演習 中間テスト問題
問4 ⑪ Cが臨界制動条件の値だとする。振り子の運動は
どうなるか100字以内で説明せよ。尚、初期は、中期は、終
期は、の言葉を必ず用いよ。
初期は振り子の速さが小さいのであたかも粘性抵抗力が
ないかのように振れ、
中期は振り子を振る力と粘性抵抗力がつりあうところで速
さが最大になり、
終期は振り子の速さが時間単調減衰しながら振り子はθ=0
の最下点に向かう。