第二回 動詞、形容詞、形容動詞 劉志昱 平成28年7月8日 平成28年7月8日 動 詞 一、動詞の特質 形態: 自立語で活用があり、言い切るときはウ段の音 で終わる。 機能: 単独で述語となることができる。 意味: 主として事物の動作、作用、存在を表す。 平成28年7月8日 動く 動作 運ぶ 来る 降る 作用 咲く 流れる いる 存在 ある 平成28年7月8日 二、動詞の活用 (1)字を書かない (2)字を書こう (3)字を書きます (4)字を書く (5)字を書くとき (6)字を書けば (7)字を書け (8)字を書いています 平成28年7月8日 傍線部分のように活用する 活用した一つ一つの形を 活用形という 変化する部分「か」「き」「く」「け」「こ」を 活用語尾(語尾)という 変化しない「書」の部分を 語幹という 動詞には語幹と語尾の区別のつくものと、つかないもの とがある→?? 来る、着る、見る、するなど 平成28年7月8日 三、動詞の活用形(「書く」を例に) (1)未然形 助動詞「ない」「う」「よう」に連なって、動作や作用 がまだ成り立っていないことを示す形 (2)連用形 助動詞「ます」「た」などに連なる形 →イ音便 →中止法 (3)終止形 文を言い切るときに使う形 助動詞「そうだ」「らしい」、助詞「けど」「から」な どにも連なる →基本形: 単語として取り出し示す場合 平成28年7月8日 (4)連体形 体言に連なる形 助動詞「ようだ」、助詞「のに」「ばかり」「ぐら い」などにも連なる (5)仮定形 助詞「ば」に連なって、仮定条件「~なら(ば)」を 表す形 (6)命令形 相手に向って動作、作用を行うように命令する意で 言い切る形 放任、不拘束の意味でも使われる →勝手にしろ 平成28年7月8日 四、動詞の活用の種類 (1)五段活用 →音便 →イ音便、撥音便、促音便 (2)上一段活用 (3)下一段活用 (4)カ行変格活用 (5)サ行変格活用 平成28年7月8日 五、複合動詞 単語を二つ以上結合して、新しい意味を持つ新たな 単語として作り変えたものを複合語という 複合語を品詞としてとらえたとき、複合動詞、複合 形容詞、複合名詞などと呼ばれる 同一語を繰り返すことで一語化したものを畳語(じょ うご)という →人々、国々など 平成28年7月8日 <複合動詞の構成と語例> (1)動詞+動詞 書き+取る 考え+付く (2)名詞+動詞 勉強+する 心+得る (3)形容詞の語幹+動詞 近+寄る 高+鳴る 消え+失わせる 巣+立つ 遠+のく 平成28年7月8日 <接辞:接頭語と接尾語> 単語を構成する要素の一つであって、単語としての 性質(意味、形態、機能)のうち、意味を欠いた、い わば不完全な単語 お寺、春めく 「寺」「春」→ 自立語、名詞、品詞の一つ 「お」「めく」→単独で用いても何の意味も表すこ とができない 他の語に付いてその語の意味を強めたり、別の機能 を加えたりしているものと見ることができる 接辞は習慣的に限られた一部の語にしかつかない 付属語にも含めない、一品詞とも見なさない 平成28年7月8日 六、動詞の敬語表現 ①尊敬の助動詞→ 「れる、られる」 ②「お+連用形+になる」 ③「お+連用形+なさる」 ④まったく別の表現になる →おいでになる、ご覧になるなど 平成28年7月8日 七、自動詞と他動詞 自動詞→ その動作、作用が、それ自身だけへの働きかけとし てあらわれる 他動詞→ その動作、作用が他に対する働きかけとしてあらわ れる 他動詞が述語となるときは、格助詞「を」を伴った 目的語がその前に来るのが普通 平成28年7月8日 八、補助動詞 動詞本来の意味を失って、他の語に付いて補助的に 用いられる動詞を補助動詞 文法の参考書をいただく。→文法を教えていただく。 ここに本がある。→これは本である。 お上手でいらっしゃる、お取りください、知らせて あげる、教えてやる、書いてみる、読んでしまう、 待っている 助動詞と似ているが、独立して用いられ、一文節と なる点で、助動詞とは区別される 平成28年7月8日 九、不完全動詞 ①先生は何時においでになりますか。 ②よくご存知でいらっしゃいましょう。 ③大急ぎでお帰りを願います。 ④何をお買いになりますか。 「何時に」「よく」「大急ぎで」「何を」という連 用修飾語を受けている点で、動詞としての働きを 失っていない。 他の動詞のように活用することはなく、このままの 形だけの使用法しかない この点では通常の動詞とは異なるので、不完全動詞 (無活用動詞)として、他の動詞と区別する 平成28年7月8日 形容詞 一、形容詞の特質 自立語で活用がある それだけで述語となることができる 言い切るときは「イ」の音で終わる 事物の性質、状態を表す 平成28年7月8日 形状: 丸い、四角い 数量: 多い、少ない 位置の高低: 高い、低い 時間や速度: 遅い、早い 感情: 悲しい、うれしい 感覚: つらい、甘い 平成28年7月8日 二、形容詞の活用 未然形 今頃は、山のもみじが美しかろう。 連用形 山のもみじが大変美しかった。 山もそろそろもみじで美しくなるだろう。 終止形 秋の山はもみじでたいそう美しい。 連体形 高原では美しいもみじが見られます。 仮定形 そんなにもみじが美しければ見に行きますよ。 平成28年7月8日 この「ない」=あの「ない」? ①花は美しくない。 ②書かない。 ③●花は美しくはない。●花は美しくもない。 ④×書かない。 ×書かない。 行きたくない 「ぬ」、「ない」 助動詞:書かない(●書かぬ) 形容詞:美しくない(×美しくぬ) 平成28年7月8日 形容詞の連用形=副詞? 花が美しく咲く。 公園はごく近い。 僕は、よく失敗するんだ。(しばしば) よく注意して講義を聴きたまえ。(十分に) よく映画を見たものだ。(かつてしばしば、過去の習 慣) よく大学へ入れたなあ。(意外さに驚くばかり) そんな罰当たりなことを、よくも言えたものだ。 (図々しくも) おやじさん、えらく怒っていたぜ。(非常に) 平成28年7月8日 いけない? いけない! ①ここへはいってはいけない。 ②あの子はいけない子だ。 ③あの人はもういけない。 ④「歯が痛いの。」「それはいけないね。」 ⑤私はいけない口です。 平成28年7月8日 いけない? いけない! 原義:行くことができない 国語辞典: ①不可である。するな。 ②よくない。悪い。 ③できない。見込みがない。だめである。 ④気の毒である。 ⑤酒が飲めない。 平成28年7月8日 三、形容詞の敬語表現 ①お+形容詞の音便形+ございます お美しゅうございます。 お白うございます。 ②お+形容詞(形式名詞)+です お美しい(こと・かた)です。 平成28年7月8日 形容動詞 一、形容動詞の特質 自立語 活用がある それだけで述語となることができる 言い切るときは、「だ」「です」で終わる 事物の性質、状態を表す 平成28年7月8日 二、形容動詞の活用 ①未然形 あそこは、静かだろう。 ②連用形 あそこは静かだった。 あそこは静かではない。 あそこは静かになるだろう。 ③終止形 あそこは、静かだ。 ④連体形 あそこは静かなところです。 ⑤仮定形 そんな静かならば、行ってみたい。 平成28年7月8日 三、形容動詞の語幹の用法 ①語幹だけで一文節のように用いる まあ、すてき。 やれ、不思議。 おお、きれい。 ②様態を表す助動詞や推量を表す助動詞に連なる 静かそうだ。 静からしい。 ③語幹に「さ」を伴って名詞となる 静かさ、不思議さ、見事さ、確かさ 平成28年7月8日 四、形容動詞の敬語表現 静かだ→ あの方は、お静かでいらっしゃる。 穏やかだ→ お嬢さんは、穏やかでいらっしゃる 平成28年7月8日
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