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工業力学 補足スライド
Industrial Mechanics
第2回:力・つりあい
知能システム工学科 井上 康介
日立キャンパス E2棟801号室
基本的な平方根の数値
 高校までで, 2 = 1.4, 3 = 1.7 のように,2桁で習って
いるかもしれないが,本講義では有効数字は 3桁.
少なくとも 2 = 1.41 , 3 = 1.73 と 3桁で計算する.
 「平方根 憶え方」などでググれば簡単に見つかる.
 2 ; 1.41421356 (一夜一夜に人見ごろ)
 3 ; 1.7320508 (人並みにおごれや)
 5 ; 2.2360679 (富士山麓オウム鳴く)
 7 ; 2.64575
(菜に虫いない)
 大学の工学部にいるのであれば, 2 = 1.4 とかはちょっ
とありえないと考えてください.
 というか,「精度」や「有効桁数」といったものに関す
る考えをしっかり持っておくことは,皆さんが将来作る
製品の品質に直結します.この講義を機に意識を!
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前回のおさらい
 前回は,力の合成と分解,力のモーメント,合力のモー
メントについて扱った.
 力はベクトルなので,合成や分解はベクトル演算.
 物体を並進運動させる作用が力だとすれば,物体を回転
運動させようとする作用を力のモーメントという.
作用線
R
F1
æR x ö
çç ÷
R = ç ÷
=
÷
÷
çèR y ø
÷
F2
æF1x + F2x ö
÷
çç
÷
ççF + F ÷
÷
÷
2y ø
è 1y
力のモーメント
回転軸
力
着力点
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前回のおさらい
 力の大きさを F [N],注目する点と作用線との距離
(モーメントアーム) を l [m] とするとき,力のモーメン
ト N [Nm] の大きさは N = Fl.
 力のモーメントの正負は,CCW (反時計回り) のとき
正,CW (時計回り) のとき負.
 力が作用線上を動いても
効果は同じ.
F
l
F
N
4
前回のおさらい
 1点に複数の力が作用しているとき,各力による各モー
メントの合計は,合力のモーメントと等しい.
 F1 による点 O 周りの力のモーメントを N1,力 F2 によ
るモーメントを N2 とし,F1 と F2 の合力を R とする.
 このとき点 O 周りの合モーメントは N = N1 + N2.
 この N は,単一の力 R だけが作用するとき生じる力の
モーメントに等しい.
R
N1
N
O
N2
F2
F1
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前回のおさらい
 各軸方向の分力を直角分力という.これを使うと,数値
的にモーメントを求めるのが楽.(l は求めづらい!)
 Fx による原点周りの力のモーメント Nx は,力の大きさ
が Fx (F の x 方向成分) で,モーメントアームが y.回転
方向は時計回りなので Nx = -Fx y.
 Fy についても同様に,
Fy F
Ny = Fy x.
(こちらはプラス)
Fx
x
 つまりそれぞれのモーメ
y
ントアームは座標値!
l
 よって,
N = Nx + Ny
= Fy x -Fx y.
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前回のおさらい
 物体上の点 A に力 F が作用しているとき,物体はどの
ような加速度および角加速度を持つかを計算したい.
 このとき,力の着力点を重心 G に移動させつつ,もとの
状態と同じ効果を物体にもたらす状態にすること を考え
る.
F
A
G
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前回のおさらい
 力の作用線が距離 d だけ動くことの影響は,その力が
持っていたモーメントが変わることとして現れる.そこ
で,その差の分を新たに加えてやる.
 力が移動したことによるモーメント差は N = Fd であ
る.そこで,これを重心 G に加える.
力 F の効果
=
力 F’の効果 + モーメント N の効果
 このとき物体の加速度ベクトル a
は F’に比例し,角加速度 w&は
N に比例する.
F = m a , N = I w&
F
F’
G
A
N
d
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前回のおさらい
 原点への移動では,力 F を原点に移動させるとき,F
がもともと原点周りに持っていた力のモーメント N を
補償すればよい.
 そして N = Fyx - Fxy. 憶えることを推奨
æFx ÷
ö
çç ÷
F = ç ÷
÷
çèFy ÷
ø
y
F’
N
x
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