工業力学 補足スライド Industrial Mechanics 第3回:物体のつりあい (静力学) 知能システム工学科 井上 康介 日立キャンパス E2棟801号室 はじめに 宿題を教壇に提出してください. 配布物:解答用紙 1枚 宿題の模範解答は配布しません.ヒントを見ても分から ずじまいになってしまうことを避けるため,(提出済み の) 宿題の中で分からなかった部分については,井上あ るいは分かっている学生などに必ず質問し,絶対につぶ しておくこと.残しておくと,わからないことが更にわ からないことを増やす 負の連鎖 につながります. なお,採点後の小テスト・宿題の返却は行いません. 例年は,先輩たちはこの講義において,質問時間を有効 に活用していました. ※ 先週以前に配布したノートを持っていない人は, 前に取りに来てください. 2 前回のおさらい 物体上の点 A に力 F が作用しているとき,物体はどの ような加速度および角加速度を持つかを計算したい. このとき,力の着力点を重心 G に移動させつつ,もとの 状態と同じ効果を物体にもたらす状態にすること を考え る. F A G 3 前回のおさらい 力の作用線が距離 d だけ動くことの影響は,その力が 持っていたモーメントが変わることとして現れる.そこ で,その差の分を新たに加えてやる. 力が移動したことによるモーメント差は N = Fd であ る.そこで,これを重心 G に加える. 力 F の効果 = 力 F’の効果 + モーメント N の効果 このとき物体の加速度ベクトル a は F’に比例し,角加速度 w&は N に比例する. F = m a , N = I w& F F’ G A N d 4 前回のおさらい 原点への力の移動では,力 F を原点に移動させるとき, F がもともと原点周りに持っていた力のモーメント N を 補償すればよい. そして N = Fyx - Fxy. 憶えることを推奨 æFx ÷ ö çç ÷ F = ç ÷ ÷ çèFy ÷ ø y F’ N x 5 前回のおさらい これを使い,3力以上の着力点の異なる力の合成は,各 力を原点に移動させて足し算をすればよい. 表などに F1 F2 R = F1 + F2 + F3 N = N1 + N2 + N 3 F3’ F2’ N2 F3 N1 N3 F1’ cf. 例題 1.4 6 前回のおさらい 大きさを持つ物体がつりあっている状態の力学 (静力学) を扱う. このとき注目すべき箇所は,物体間の接触点 および 物体 と物体をつなぐ支点 接触点において,摩擦がない なめらかな接触 では,物体 が受ける 反力 は必ず 接触面に垂直 である. 摩擦なし 摩擦あり ※ 均一な棒にかかる 重力は中点 (重心) を通る 7 前回のおさらい 物体間をつなぐ 支点 には以下の 3種類がある. 移動支点:1方向の力のみ受ける (移動方向の力と力 のモーメントは逃がす) 回転支点:2方向の力を受ける (モーメントを逃がす) 固定支点:2方向の力とモーメントを受ける 移動支点 回転支点 反力は移動方向に垂直, 反力の作用線は回転 その作用線は回転中心を通る 中心を通る 固定支点 反力だけでなく,反 モーメントも生じる 8 節点法 (1) まずトラス全体が釣り合っていることを利用して,ト ラスが受ける外力を求める. トラス全体を1つの剛体と見立てると,力の釣り合いと モーメントの釣り合いを用いて外力を求められる. å Fix = 0, å Fiy = 0, å N i = 0 F A D B R1 R2 R2 C 節点法 (2) 受けている未知力の数が 2 以下の節点から順番に,一 つ一つの節点が受けている力の合計が 0 であることを利 用して,部材力を求めていく (ただし,節点にかかってい る未知の力が3つ以上ある場合は解けない). 部材力は引張力であると仮定して変数を定義.圧縮力の場 合は値がマイナス. この統一性は重要 FBAF FAB A B FAB:節点 A が B 方向に FBC 引っ張られる力 FAD FAC FDA R1 D FDC R2 FCA FCD FCB ここに描かれている力は全て,「部 C 材が受ける力」ではなく,「節点が 受ける力」であることに注意! 節点法 さて,どの節点から始めるか…? 未知力が3つ以上作用している節点は解けない とりあえず解けるのは B または D. 例えば B について,F が (Fx, Fy )T と求まっているとする A FAB FBAF FAD FAC FDA R1 D FDC R2 FCA FCD x 方向のつりあい: Fx - FBA = 0 FBA = Fx B FBC y 方向のつりあい: Fy - FBC = 0 FBC = Fy FCB 節点 A, C も解ける状態に C あとは順次解いていく 切断法 特定の部材に働く内力をピンポイントに知りたい場合は, 節点法のように絨毯爆撃的にすべての部材力を求めようと するのは非効率 切断法では,求めようとする部材を横切る切断面でトラス を仮想的に切断 切断された両側の構造をそれぞれ剛体と見なし,つり あい条件を解く ( 切断する部材は 3本まで!) 節点法と同様,第一 ステップで,まずは トラス全体を剛体と みなして外力を全て 求める 切断法 問題の図式は「2つの剛体とその間をつなぐ 3本の部材」 となり,これらの部材力を求めれば良い. そこで次に切断面の両側のいずれかの剛体についてつりあ い条件を解く この例では,左の三角形の方が計算が楽 切断された部材の部材力を変数化 このとき,節点法と同様に部材力は引張力と想定する あとは x, y 方向のつり あい式,モーメントの つりあい式という 3 つ の条件をいつもどおり 使えば良い A (カルマン法) D C E FCD FGD G FGH H B
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