+ y

複素関数論 第 6 回小テスト解答例
担当: 南
問. 関数 f (z) = |z|2 の 微分可能性 について、教科書 p. 52 の定義 1 にしたがって調べたい。
z0 = x0 + iy0 , ∆z = ∆x + i∆y (z0 , ∆z ∈ C; x0 , y0 , ∆x, ∆y ∈ R) とするとき、以下の問いに順
に答えよ。
(1) f (z0 ) の値を絶対値記号を使わず、x0 と y0 で表せ。
f (z0 ) = |z0 |2 =
x20 + y02
f (z0 + ∆x) − f (z0 )
を求めよ。
∆x→0
∆x
(2) lim
f (z0 + ∆x) = (x0 + ∆x)2 + y02 より
f (z0 + ∆x) − f (z0 )
2x0 ∆x + ∆x2
= lim
=
∆x→0
∆x→0
∆x
∆x
lim
(3) lim
∆y→0
2x0
f (z0 + i∆y) − f (z0 )
を求めよ。
i∆y
f (z0 + i∆y) = x20 + (y0 + ∆y)2 より
f (z0 + i∆y) − f (z0 )
2y0 ∆y + ∆y 2
= lim
=
∆y→0
∆y→0
i∆y
i∆y
lim
−2iy0
(4) 上問 (2) と (3) の結果を踏まえ、関数 f (z) の微分可能性について述べよ。
f (z0 + ∆z) − f (z0 )
の ∆z を実軸に沿って取ったとき、(3) は ∆z を虚軸に沿って取ったと
∆z
f (z0 + ∆z) − f (z0 )
きに対応し、これらは x0 = y0 = 0 を除いて一致しない。つまり、原点を除き
∆z
は ∆z の偏角によって異なる値に近づくので、極限値を持つとは言えない。したがって、関数
f (z) = |z|2 は、原点を除く一般の点 z0 で微分可能ではない。
(2) は