【明美ちゃん基金】ミャンマーから研修の2医師が帰国 「母国のために

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2016.6.18 07:44
【明美ちゃん基金】ミャンマーから研修の2医師が帰国 「母国のために生かす感謝」
国内外の重い心臓病の子供を救う「明美ちゃん基金」(産経新聞社提唱)によるミャンマー医療支援の一環として4月
から日本の医療機関で研修を受けていたミャンマー国立ヤンキン子供病院放射線科のタン・ウー医師(50)と、病理・
輸血部門のリューリュー・トゥン医師(46)が17日、帰国した。貪欲に知識を吸収してきた2カ月半。首都圏で研修を
行ってきたタン・ウー医師は「日本で学んだことを生かし、後進を育てたい」と誓った。
放射線科医として長い経験を持つタン・ウー医師。放射線を利用して臓器の断面を撮影するCT(コンピューター断層
撮影)が今年、ヤンキン子供病院に導入されることから、日本で撮影方法や画像診断法を学ぶためやってきた。研修を
受け入れた東京女子医大病院(東京都新宿区)で症例を学び、複数の医療機関で画像の見方を学んだ。
東京女子医大の中西敏雄特任教授は「ミャンマーの医療の発展のため、各医療機関の医師が“おもてなしの心”で研修
に協力してくれた」と振り返る。
患者の画像を見ながらタン・ウー医
師(手前)を指導する榊原記念病院
の高田香織医師(左)と稲毛章郎医
師(右)=東京都府中市(道丸摩耶
撮影)
研修日には午前8時からタン・ウー医師に自作スライドでCTの基礎を教示してくれたのは飯田橋心臓クリニック(同)の加藤陽子院長。通常業務外の
作業にも「自分が理解していないと説明できない。(研修は)勉強になる」と話す。
榊原記念病院(府中市)では、放射線科の高田香織医師が心臓の図を描いたりパソコンで立体化した画像を動かしたりしながら、画像の見方を英語で
解説。小児科の稲毛章郎医師と龍野俊哉技師は「CTはメーカーによって異なる点が多い。ヤンキン子供病院に入る装置はここと違うので心配です」と
案じたが、タン・ウー医師は「やり方は違ってもすべての学びが収穫になる」と貪欲に学んだ。
昭和大横浜市北部病院(横浜市都筑区)の大山伸雄医師も、子供のCT撮影がある日にタン・ウー医師を招き、画像の見方を説明。心臓画像クリニッ
ク飯田橋(東京都新宿区)の古沢良知事務長は4月に横浜で開かれた日本医学放射線学会にタン・ウー医師を案内し、最新の知見の紹介や人脈づくりを
手伝った。
「貴重な経験ができ、感謝の気持ちしかない。母国の医療のため全ての経験を生かしたい」とタン・ウー医師。交流を深めた日本の医師らは母国で診
療に悩んだ際はいつでも相談に乗るつもりだ。
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