左官職人の確保・育成へのビデオ教材 制作による技能承継モデルの構築

平成 19 年度
2000
事例●100 社団法人日本左官業組合連合会(東京都新宿区)
平成19年度
建設業の技能承継モデル構築支援事業
左官職人の確保・育成へのビデオ教材
制作による技能承継モデルの構築
熟練技能者になるのに 10 年近くかかる左官業において、「団塊の世代」が担って
きた技能の次世代への承継は大きな課題である。(社)日本左官業組合連合会で
は技能者不足を解消し、左官工事に必要な伝統技法及び現代技法を伝えるた
め、優秀な技能者のさまざまな技法を収めた技能承継のための映像教材を制作、
検証を行った。
1.事業の背景と動機
映像教材のオープニング画像。作業工程だ
けではなく、優勝作品や表彰式の模様も取り
入れられている
映像と演習を組み合わせ、
相乗効果が期待できる
専門工事業界での技能者不足は深刻
であり、特に左官工での不足は著しい。
厳しい経営環境、伝統技能を発揮する場
が少ない等の苦しい条件下ではあるが、
技能者の高齢化等の問題は緊迫してお
り、効率的かつ効果的な若手左官技能者
の確保と育成が求められている。そのた
め、本事業を実施することにより、入職者
の技能習熟の短縮化を図り、その活用を
促進するための仕組みづくりを行おうとす
るものである。
●技能者育成における技能習熟の短縮
化には、映像を活用することが有効。
2.事業の概要・取組の成果
映像を用いた教材を制作、
3 種類のプログラムを開発
映像教材を用いた学習。内容は安全衛生や
左官材料、意匠図案、建築構造、製図、施工
法等の他、1級技能試験も含まれている
社団法人日本左官業組合連合会
代表者●肥後 留太郎(会長)
所在地●東京都新宿区
資本金●会員数●正会員 9,434、賛助会員 47
事業内容●各都道府県連合会(46 団体)で構
成される全国組織。左官工事に関する技術及
び資材の調査、研究及び指導等多方面に渡
る活動を行っている。
URL●http://www.nissaren.or.jp/
新宿区
100
財団法人建設業振興基金
3.技能承継を円滑に進めるためのポイント
効率的かつ効果的若手技能者
確保と育成が必要
本事業では、左官技能者の確保・育
成・研修プログラムに対するニーズと課
題をまず把握し、それに基いて、第42回
全国左官競技大会の映像を活用したビ
デオ教材を制作し、初級技能者への研修
プログラムと全国左官競技大会出場者へ
の活用プログラム、入職者促進活用プロ
グラムの 3 種類の研修モデルを構築した
(なお、ビデオ教材は、研修モデルごとに
違う内容のものを作成した)。さらには、
そのプログラムによる研修の効果検証を
富士教育訓練センターで行った。合わせ
て、育成研修だけでなく、企業の求人募
集等においても作成した映像を活用でき
るよう、具体的方法の提案も行った。
●様々な左官技法(石膏装飾、円柱塗り
等)を映像で記録することが必要。
●映像と演習を組み合わせることで、より
高い相乗効果を得ることができる。
4.今後の課題及び今後の見通し
映像教材のシリーズ化と
活用促進PRの実施
今後の課題としては、今回取り上げた
技能の他に、さらに様々な技能を解説し
た映像教材を制作することや教育・研修
システムを確立し、各支部で講習会を実
施することである。また、この育成研修シ
ステムが企業や技能者に十分伝わるよう
にすることも課題の1つであるが、そのた
めには、広報活動や企業、教育機関への
説明・研修の視察等を通じて、このシステ
ムの必要性等のPRを実施していく。
また、入職者の確保を図るため、今
後、工業高等学校、専門学校、ものづくり
大学、職業訓練学校左官科、ハローワー
ク等で活用実験を行う予定である。同時
に、これらの機関や企業に映像教材を無
償配布し、左官工の3Kイメージを払拭
し、求人募集等を促進するPR映像として
も活用してもらうように働きかけていく。