【勿忘草】明美ちゃん基金 - 昭和大学横浜市北部病院 循環器センター

【勿忘草】明美ちゃん基金
2015.9.24 09:00
読者の方からご支援をいただき、重い心臓病の子供たちを救う「明美ちゃん基金」(産経新聞社提唱)が9月初旬からミャンマーで
行った医療支援に同行した。参加したのは、手術を行う外科チームとカテーテル治療を行う内科チームの計10人。ヤンゴンの病院
で1週間、約40人の子供の治療を終えた10人に感想を聞いた。
「止めた心臓が動き出す瞬間がうれしかった」と振り返ったのは、手術中に患者の心臓の代わりに動かす人工心肺装置を担当し
た国立循環器病研究センター(国循)の松本泰史技士だ。
ミャンマーには小児心臓の専門家が少なく、「どういう治療が最善かを知らない」(千葉県こども病院の斎藤友宏医師)ため、治療
に適切な「旬」を逃す子供が多い。愛媛大付属病院の高田秀実医師は、子供に超音波検査をするたび「適切な時期に治療してあげ
たい」との思いを強くしたという。
技術を伝えることにもこだわった。昭和大横浜市北部病院の富田英医師によると、これまでも海外の医療団が来ることはあった
が、現地医師にカテーテル治療を任せたチームはなかったという。「次に来るときは、人工心肺を現地スタッフに回してもらいたい」
(国循の林輝行技士長)と、この流れは今後も進むだろう。京都府立医大の森本和樹医師が「やる気があって真面目」、東京女子医
大病院の杉山央医師が「勤勉さは日本人以上」と評した通り、現地スタッフの士気も高かった。
かくして多くの子供の治療を終えた医療団だが、決して満足はしていない。「診断や治療はできたが、問題点も浮き彫りになった」
(東京女子医大病院の中西敏雄医師)からだ。例えば技術的に可能でも、術後の管理が難しくてミャンマーではできない手術があ
る。大森赤十字病院の時政愛医師は「日本でできることをそのままやれないジレンマを感じた」と率直に語る。国循の市川肇医師も
「日本だったら生きられるのに、ここでは手術をしても生きられない子供がいる。無力感も大きかった」と振り返った。
基金は今後5年間、ミャンマーの小児心臓病治療の技術を上げるため、活動を継続する。読者の皆様、ぜひご支援をお願いいた
します。(道丸摩耶/SANKEI EXPRESS)
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