インフラモニタリングのための振動可視化レーダーの開発(PDF:0.9MB)

■研究開発項目
■研究開発テーマ
■研究責任者
■共同研究グループ
:点検・モニタリング・診断技術の研究開発
:インフラモニタリングのための振動可視化レーダーの開発
:アルウェットテクノロジー株式会社 代表取締役
能美 仁
:東京大学、埼玉大学、早稲田大学
研究開発の目的・内容
研究開発の目的
新たな試みとして振動可視化レーダーの開発により、橋梁、高架橋等の振動を計測・解析して、点検・モニタリング及び診断
の安全性,効率性の向上を目指す。
振動可視化レーダー(VirA)の特徴
モニタリング能力 :レーダにより構造体の画像化を行い、各部の振動を解析して、健全性をモニタリング。
安全性、効率性 :交通を遮断することなく、計測が可能。
センサー、反射器等を観測対象に設置する必要がない。
車両に搭載し、容易に移動、設置が可能。
非接触 :数百m離れた点から微弱なマイクロ波を照射する非接触計測システム。
研究開発の内容
VirAは、マイクロ波レーダ信号を送信して、計測対象から反射した信号をT字状に配置した多数のアンテナで受
信すると共に、レンジ圧縮処理とデジタルビームフォーミング処理技術を用いて瞬時に3次元画像化を行う。また
、各反射点の位相から微小変位と振動の検出方式、装置の開発。
最大毎秒500回の画像を作成して、観測範囲全体の反射振幅画像と、その画像上の各部の振動特性を色やグラ
フで表示を行う。また長期的な0.1㎜オーダーの微小変動も画像表示方式の開発。
計測対象からのレーダー信号を用いた可視化アルゴリズム、画像化処理プログラムの開発。
インフラモニタリングに必要な計測精度の検討、性能評価確認。また、従来計測装置との比較検証。
インフラの維持管理への適用、モニタリング方法の検討、検証。
1
インフラ維持管理・更新・マネジメント技術
現状の成果①
国内で初めて、振動可視化
レーダ(VirA)を開発
(VirAの特徴)
送信ANT
受信部1~4
 仰角方向30度、方位方向45度、距離方向100m~10kmの位相画像を、毎秒
500回程度の速度で計測が可能
 画像の位相データを解析することにより、観測画像内の任意の点を250Hz以
内で振動特性、及び0.1㎜以上の微小変位解析が可能
 V(垂直)系受信機を追加した、3次元方向の振動、微小変位の検地が可能
 計測場所を工夫することにより、一度の計測で複数点の変位・周波数スペク
トル解析が可能
 2次元、又は3次元のレーダー画像から、任意の変位、スペクトル解析点の選
電源部
送信部
択が可能
 計測対象に直接取り付けた加速度計センサ等による従来計測と比較して、計
測時間が大幅に短縮することが可能
 計測可能距離が広く、振動可視化レーダーの設置場所の選択が容易
 火山の山体観測、地震等による危険斜面の変位量測定、ダムの堤体観測
等への応用が可能
(目標仕様)
(VirAの構成)
名称
No
1
振動可視化レーダ
数量
No
備考
1式
項目
仕様
1
観測範囲
仰角 :30度
方位角:45度
2
観測距離
100m~10km
1-1
送信部
1台
1-2
受信部1~4
4台
1-3
電源部
1台
3
方位分解能
0.5度
1-4
スイッチングHUB
1台
4
撮像速度
500枚/秒max
1-5
処理部
1台
5
解析周波数
250Hz以下
1-6
据付台
1式
6
計測振動振幅
0.1 mm程度
1-7
ケーブル 等
1式
7
消費電力
300W以下
同一設計品4台
汎用ノートパソコン
2
インフラ維持管理・更新・マネジメント技術
現状の成果②
橋梁など構造体の振動変位、
固有周波数を遠隔から測定
従来測定方法との比較計測(幸魂大橋)
埼玉県 幸魂大橋斜張橋計測実験
(振動可視化レーダーでの観測状況)
(計測方向の光学写真)
(計測対象ケーブル)
(計測方向)
(ケーブルT5の変位量解析)
(5.93mmp-p)
3D CADデータを
レーダ画像にマッピング
(計測ケーブル画像)
(計測対象の3D CAD化)
(ケーブルT5の周波数スペクトル解析)
1 次:1.13Hz
2 次:2.29Hz
(振動可視化レーダーの計測画面)
既存装置との計測
比較結果例
(3D CAD画像)
Cable No
VirA
T1
T2
T3
T4
T5
T6
T7
(レーダ画像)
3
0.57
0.66
0.78
0.88
1.13
1.39
2.13
スペクトル解析
1次モード(Hz)
輸入品
加速度計
VirA
0.55
0.75
0.9
1.09
1.35
2.08
0.55
0.63
0.74
0.89
1.08
1.3
1.99
1.13
1.34
1.53
1.82
2.29
2.78
4.12
2次モード(Hz)
輸入品
加速度計
1.07
1.46
1.79
2.24
2.64
4.08
1.06
1.26
1.46
1.74
2.15
2.58
2.99
インフラ維持管理・更新・マネジメント技術
最終目標
SIP開発技術を国内へ実装します
(社会実装に向けた取り組み)
社会実装計画
☝H28年度にプロトタイプを使用し、橋梁等インフラの計測、
モニタリング実施
☝振動可視化レーダによるインフラモニタリング計測の妥当
性を検証
☝社会実装には、現場環境に適合する商品化設計、データ
の標準化
☝フィールド実験を重ね、計測精度向上、運用性、操作性を
向上
☝インフラモニタリングデータのデータベース化
☝関係省庁、各自治体との連携により、社会に貢献を目指す
インフラモニタリング分野
(変位量の計測、解析)
インフラモニタリング分野
(固有振動数計測、解析)
その他応用分野
・土砂災害監視
・特定崩落場所監視
たわみ量のモニタリング、記録
振動のモニタリング、記録
(VirA)
・火山山体監視
・ダム堤体監視
(VirA)
(VirA)
・夜間港湾監視
・送電用鉄塔、送電線の
振動モニタリング
・風車発電の振動モニタリング
等
※たわみ量、振動周波数のデータは、一度の計測で両データを記録します。
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インフラ維持管理・更新・マネジメント技術