衛星及びソナーを利用した港湾施設のモニタリングシステムの構築(PDF

■研究開発項目
:点検・モニタリング・診断技術の研究開発
■研究開発テーマ :衛星及びソナーを利用した港湾施設のモニタリングシステムの構築の研究開発
■研究責任者
:五洋建設株式会社 技術研究所 担当部長 西畑 剛
■共同研究グループ :国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構
研究開発の目的・内容
研究開発の目的
背 景
港湾施設の点検は、外観目視により実施される。 衛星の広域性とソナー等計測機器の詳細性を組
合せた2段階モニタリングによる効率的かつ低廉な
点検は調査者の経験・能力に依存し、水中では
潜水士が必要なため多大な労力・費用を要する。 港湾施設維持管理のモニタリングシステムの構築
広大な範囲かつ遠隔離島を有する港湾施設の
研究開発の内容
効率的・効果的な定期モニタリング手法が開発
衛星画像を用いた広域モニタリング技術の開発並
されれば、港湾維持管理分野に有用である。
災害直後の施設変状把握は復旧計画に役立つ。 びに4Dソナーシステムによる計測技術の開発
定期
第1段階
災害時
気中
衛星(ALOS,ALOS-2)
衛星による定期モニタリング
(ALOS-2では年4回程度)
衛星による災害時緊急観測
(ALOS-2では12時間以内)
第1段階
合成開口レーダ
(SAR)
沈下等要調査箇所の
抽出
水中部も確認すべき
異常検出、絞込み
第2段階
水中ソナーモニタリングと音
波解析を用いた水面下の詳
細調査及び構造物の可視化
施設変状把握
水中
4Dソナーシステム
水中ソナー
パン、チルト可動
水中の被害・障害
物把握や復旧作業
4Dソナーシステムを用いた
リアルタイム水中計測(啓開)
第2段階
インフラ維持管理・更新・マネジメント技術
現状の成果①
2.定期モニタリング
1.災害時の施設変状把握
SAR画像解析結果が、空港が公表している1
年ごとの沈下データと比較し、ほぼ同等のデ
ータであることを確認。SAR解析では、従来の
測量・GPS測定と違い、広範囲かつ面的に沈
下傾向を把握することが可能
ALOS-2による台風災害前後データによる計測
で、干渉度を指標とした被災速報図を作成。
港湾管理者が被災地の被害度合いの識別を
広域的/視覚的に把握可能となる
被災速報図(試作)
沈下速度が大きい
赤枠 : ケーソン
黄枠 : 消波ブロック
青枠 : 海中の消波ブロック
夏秋ほか、土木学会論文集B3(海洋開発)2016
解析
結果
精度検証や現在判定できていない領域への
対応や判定精度の改善を今後続ける予定
沈下速度が小さい
<堤防平面図>
橙色で塗られている
実際の被災箇所
(水中部を含む)
今後も精度検証や経年の沈下傾向の把握を
続ける予定
2
インフラ維持管理・更新・マネジメント技術
現状の成果②
3.人工構造物(消波ブロック)の変動観測
4.4Dソナーシステムによる計測
人工的に鉛直変動を与えた消波ブロックの
変動を衛星から観測、解析精度を検証中。
概ね解析値が変動(2cm, 4cm)をとらえてい
ることを確認
GPS、動揺センサー搭載船から4Dソナーシス
テムによる海底地盤計測を実施
<現地艤装状況例>
鉛直変位
(+2cmずつ)
海底地盤距離コンターの計測時系列出力
0
ソナー計測深度(m)
+2cm
4cm
+2cm
-5
-10
今後は計測データ蓄積によって更なる精度
向上を目指す
計測海底地盤
(X,Y,Z出力)
ソナー位置
-15
-20
解析結果
計測船
計測範囲
<現地モニター画面例>
今後は計測データの蓄積と解析・可視化技術
の導入を図る
3
インフラ維持管理・更新・マネジメント技術
最終目標
計測機器・手法と達成目標
本技術の社会実装イメージ
事業実施期間内(平成30年度まで)に災害
時の施設変状把握と定期モニタリングにつ
いて、手法の手順化と
マニュアル作成の実施
研究開発成果の特許化や論文発表による
公知化
実証された技術の国内や海外展開
4
インフラ維持管理・更新・マネジメント技術