otsu2920_thesisreview

別紙1
論 文 審 査 の 要 旨
報告番号
乙 第
論文審査担当者
2920
号
氏 名
主査
門倉
光隆
教授
副査
中村
清吾
教授
副査
泉﨑
雅彦
教授
村田
泰規
(論文審査の要旨)
小細胞肺癌の約 30%が 70 歳以上の高齢者であり、現在のところ高齢者小細胞肺癌に対す
る標準治療はない。70 歳以下の未治療 ED 小細胞癌では cisplatin+irinotecan が標準治療
の一つとなっている。Carboplatin は cisplatin より腎毒性や消化器毒性が軽減されてい
るため、高齢者に投与しやすい。また Carboplatin と irinotecan は相乗効果を示すこと
が 報 告 さ れ て い る 。 そ こ で 本 論 文 は 高 齢 者 小 細 胞 肺 癌 症 例 に 対 す る carboplatin と
irinotecan 併用療法の有効性と安全性を検討することを目的とした。昭和大学病院におい
て carboplatin と irinotecan を投与した前治療歴のない 70 歳以上の小細胞肺癌患者 30
例 を 対 象 と し た 。 年 齢 中 央 値 は 76 才 。 臨 床 病 期 は 進 展 型 が 21 例 、 限 局 型 が 9 例 、
PS(performance status)は 0 が 2 例、1 が 25 例、2 が 3 例であった。奏功率は 83%で生存
期間中央値は 16.3 ヶ月、無増悪期間中央値 8.3 ヶ月であった。Grade 3 以上の有害事象は
好中球減少症が 83.3%、血小板減少が 46.7%、貧血が 60.0%、感染が 23.3%、下痢が 20.0%
であったが、薬剤性肺炎及び治療関連死は認めなかった。高齢者に対して認容性は十分で
あり、かつ効果も高齢者を対象とした他の臨床試験と比べても遜色ない結果であった。高
齢者小細胞肺癌に対して irinotecan,carboplatin 併用療法は有効であり,かつ安全に投
与することができると考えられた。以上より本論文が新しい知見を得ており、学術上価値
のあるものと考えられる。
論文題名:Phase II trial of the combination of carboplatin and irinotecan in elderly
patients with small-cell lung cancer
(高齢者小細胞肺癌に対する irinotecan+carboplatin 併用療法の第 II 相試験)
掲載雑誌名:EUROPEAN JOURNAL OF CANCER 47 (2011) 1336–1342
(主査が記載、500 字以内)