人外嫌いな多重人格者 かなぐろ ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので す。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を 超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。 ︻あらすじ︼ 家族を人外に殺された僕は逆恨みとして彼らを殺すことにした。 物語の始まり ││││││││ 目 次 今日も人外を殺す ││││││ 1 烏殺し │││││││││││ 隣の家で⋮ │││││││││ 家の中の清掃 ││││││││ 狂化しながら半殺し │││││ 妄想幻像とディアボロス 6 11 16 26 21 ﹁おかーさん、おとーさん。遊んでくるね ﹂ 楽しみにしておけよ‼﹂ ! 行ってきまーす﹂ ! ﹁おかーさん おとーさん ただいまー﹂ ? 錆のような香りが部屋の中に充満していた。その香りに思わずお腹の中にあった物を 玄関の扉を開けて家の中に入ると、今まで嗅いだ事のない異臭を鼻が感じ取った。鉄 ? た。なんて言うんだろう、いつも以上に家が静かだった。 家に帰った。家の前につくと、家から出る前とは違う雰囲気に包まれている⋮そう感じ 陽が沈みかけている頃、帰らないといけないと思った僕はイッセーに別れを告げて、 いながら遊んでいた。 緒に遊んでいた。僕の楽しそうな雰囲気がイッセーにも伝わったのか、いつも以上に笑 生活を送っていた。今日は僕の誕生日という事もあり、ウキウキとした気分で友達と一 僕はいたって普通の家族に生まれた。普通に幸せで、特に不自由があるわけでもない ﹁うん、わかった ﹁今日はお前の誕生日だからな ﹁行ってらっしゃい、早めに帰ってくるのよ﹂ ! 物語の始まり 1 物語の始まり 2 どこにいるの ﹂ 全て床に吐きだしてしまった。吐きだしている中、リビングの方からカタッという音が 聞こえてきた。 ﹁おかーさん ? ﹁⋮え ⋮おかー⋮さん ﹂ ? おかーさんの心臓が動いていなかった。 あ⋮⋮え 嘘⋮でしょ おとーさんはどこ‼﹂ ! こうか ﹂ ﹁ハハハ、ドうシタんダ コワがルコとハナイぞ。サァ、いッしョニカアサんの所ニ逝 んかに出てくる悪魔の用な姿をしていた。 な包丁が握られていて、背中には黒い羽のようなものが生えていた。それはまるで本な らだった。おとーさんは僕の方を死んだ目で見ながら近づいてきた。その手には大き かった。扉の前には全身を真っ赤に染めて笑顔を浮かべたおとーさんの姿があったか おとーさんを探すためにリビングから出ようとした。でも、扉は開くことはできな ﹁そうだ ? が家を出る時まで笑っていたおかーさんだった。 この大きな物体から放たれているようだった。倒れたその物体を確認してみると⋮僕 く頃、僕の目の前に大きな物体が倒れてきた。先ほどまで遠くから感じられた異臭は、 嫌な予感が頭を過る物の音が聞こえた方へと歩いていった。ちょうどリビングにつ ? ? ? ? ? 3 │││嫌だ 目の前に来る寸前、僕は強く考えた。 │││そうだ、こんな状況に陥っているのは僕じゃない。僕の姿をした別の誰かだ ﹂ ! な仮面をつけている。 それが合図となって一斉に僕の人格たちがナニカに襲い掛かる。僕達は皆、髑髏のよう る余裕がない僕はよろよろと立ち上がると、落ちていたナイフを持ち前に投げつける。 ちをしながら﹁⋮こいつも神器持ちだったか﹂とつぶやいていた。そんなことを気にす 僕は驚いたが、驚いたのは僕だけではなかったようだった。おとーさんだった物は舌打 この短時間で生まれた人格たちが一つ一つの別個体として分離した。突然のことに ﹁我ら群にして個、個にして群。百の貌持つ千変万化の影が群。いざ、 ﹃妄想幻像﹄ ザ バー ニー ヤ この状況の中、ただ生きたいそんな思いにとらわれている僕はその言葉を口にだした。 そう考えているうちに僕の頭の中に一つの文が流れ込んできた。意味が分からない ! 目の前まで来ると、おとーさんだった何かは大きな包丁を振りかざす。その包丁が僕の ことが出来ない中、ゆっくり、ゆっくりとおとーさんだった何かは近づいてきた。僕の 近づいてくる。それを続けているうちに僕の背中は壁についていた。これ以上下がる おとーさんだったそれから離れるために後ろに下がり続けた。一歩下がるたびに、一歩 そう声に出そうとしても、恐怖のあまり声に出すことが出来なかった。ただただ僕は ! 物語の始まり 4 ﹁ギャッ、ヤメ⋮ロ⋮⋮‼﹂ だ。 ザ バー ニー ヤ おかーさんを殺したお前を僕達は殺す。﹃妄想毒身﹄、全員一斉に突撃﹂ 味で自己満足に過ぎない。でも、家族を失ってしまった僕にとってはとても大事なこと 最悪の誕生日を迎えた僕は一人、くだらない事を考えていた。行ったとしてもただ無意 今まで別個体として分離していた人格が僕の中に戻ってきた。ほっと、椅子に座る。 ﹁⋮⋮戻って﹂ もたつ頃には完全に息の根を止めていた。 使って疑似心臓を生み出すと⋮⋮握りつぶした。ナニカはしばらく悶え苦しむと、数分 肉体を変質させ、背中に第三の腕としてシャイターンの腕を出現させる。その腕を ﹁﹃妄想心音﹄﹂ ザ バー ニー ヤ ﹁⋮ヤメ⋮⋮﹂ ﹁⋮すぐに虚無に送ってあげるからね﹂ げると、僕は一歩前にでた。 僕の見た事のない物へと姿を変えた。虫の息になったそれを僕達の一人が掴み持ち上 され、徐々に生命力を失っていった。今まで僕のおとーさんの姿を保っていたナニカは 全身を毒に変えた僕達は人型のナニカに突撃する。僕達に触れたナニカは毒に浸食 ﹁やめ⋮ない ! 5 あ い つ ら ﹁ねえ、僕達。僕さ、決めたんだ⋮⋮⋮人外達サーチ&デストロイしよう﹂ ﹃⋮⋮﹄ ﹁言いたいことはわかるよ。逆恨みだってね。でもね、わかってても許せないことっ てあるじゃん。そういうことだよ﹂ ﹃⋮⋮⋮﹄ ﹁うん、そうだね。いったんここから離れようか﹂ 僕は立ち上がると、髑髏の仮面をかぶり屋根を走ってこの町から立ち去ったのだっ た。 俺が人を喰らおうとしたときに‼﹂ ! あげてみると無傷で腕を掴んでいる髑髏の仮面を被った大男がいた。自分の腕を止め 掛けて振るった。ドスンと言う重い音はした。絶対に潰したと思っていたが、いざ手を それに憤りを覚えた化け物は襲撃者を殺そうと異形の形をした大きな腕を、襲撃者目 もわかっていない。ただ、襲われ自分の体に傷つけられたという事実だけがあった。 の食事を始めるときに襲撃を受けたのだった。誰が化け物を襲ったのかは化け物自身 在だった。それは同族の人外達からも嫌われ、討伐対象になる物だった。化け物は自分 化け物は人を自分の欲を満たすためだけに主を裏切った﹃はぐれ悪魔﹄と呼ばれる存 ﹁何なんだよあいつ 音もしないことを確認するとほっと一つ息を吐いていた。 真っ暗な森へと入り込み、一つの大きな木の元に座ると周りの音を聴く。そして何の 回っていた。 腕を伝い滴っていた。そんなことを気にする暇もなく、それはにとある人物から逃げ ない化け物が走り回っていた。その化け物の腕からは赤い色をした血のようなものが 人通りの少ない深夜の時間帯。誰も通るはずの無い道路を真っ黒な人の姿をしてい 今日も人外を殺す 今日も人外を殺す 6 7 たその存在に恐怖した化け物はその場から逃げ出し、今に至るというわけだ。 主人格 ﹁俺の腕を止めやがった。⋮あいつは一体何者なんだ‼﹂ 化け物が喚き散らす木の周りに僕達はいた。 僕は静かに息を殺し、気配を周囲に溶け 込ませて化け物の様子を見ていた。サーチ&デストロイが基本な僕にとってはとても ザ バー ニー ヤ 優しいことをしていた。 ﹁⋮⋮妄想心音﹂︵ボソッ 背中に出現させたシャイターンの腕で生み出した疑似心臓をゆっくりと握りしめて いるからだった。今までの僕だったらすぐに抹殺していただろうね。でも、今日はいつ もと違って気分がいいからね。少しでも長生きさせてあげようってそんな風に考えた のさ。 ﹃⋮⋮⋮﹄ ﹁⋮⋮そうだね。じゃあ、ジャンケンで勝った人が出てきてね﹂ ﹁⋮⋮わたしたち﹂ ジャンケンに勝って出てきたのは六本のナイフを腰に差し、太もものポーチに投擲用 の黒い医療用ナイフを収納した少女。裾丈の極端に短いノースリーブのジャケットに ローレグの紐パンとかなり際どい格好をしているこの少女は僕の人格の一人、﹃ジャッ ク﹄。 今日も人外を殺す 8 ﹁⋮⋮⋮ジャック、アレ、解体できる ﹁うん﹂ ﹁⋮⋮⋮これでいいか ﹂ ﹂ ザ バー ニー ヤ うだったが、それ以上に心臓の痛みのせいか苦痛に顔をゆがめていた。 させる神経毒へと変わる。突然体が動かなくなったことにはぐれ悪魔は気が付いたよ がない毒の霧。それは下にいるはぐれ悪魔の口や鼻から体内に入り込むと身体を痺れ 薄めの毒で霧を広範囲に発生させる。発生させた僕自身と僕達には一切効くこと ﹁⋮⋮⋮そう。じゃ、霧出しておくね。妄想毒身﹂ ﹁霧が出てれば⋮﹂ ? ナイフを取り出した。 ﹁⋮此よりは地獄。わたしたちは炎、雨、力。殺戮をここに⋮⋮ ﹁⋮ヤメ⋮⋮⋮﹂ 解体聖母 ! ﹂ ではなく極大の呪いであるため防御不能。更に情報抹消によって事前に対策を立てる 霧の中にいれば確実に命中するため回避不能。守りを固め耐えようとしても物理攻撃 それは使えば相手を確実に絶命させるため一撃必殺。標的がどれだけ逃げようとも !! マリア・ザ・リッパー ているため、僕達以外に気が付かれることはない。その状態で化け物の目の前に立ち、 ジャックは小さく頷くと木の枝から音も無く地面に降りたつ。気配が完全に断たれ ? ことが出来ないため対処不能。これらの要素を併せ持つのが﹃解体聖母﹄。 解体された死体へと変わったそのはぐれ悪魔を僕の神器を使って処理をする。でも、 その前にジャックを僕の中に戻す。 ﹁⋮⋮⋮目覚めろ﹃グラ﹄﹂ ﹃アァァァァァァァァァァ‼﹄ グ ラ ト ニ ー・ ギ ア 相 変 わ ら ず 目 覚 め る た び に 大 き な 声 を 出 す 籠 手 だ。こ の 籠 手 の 名 前 は ﹂ ? 人外が嫌いな僕の僕達を除く唯一の家族。だからこそ、こんなにうるさい人外だとし 別人格 ﹁⋮そう、おいしかったんだね。良かったよかった﹂ ﹃アァァァァアアアアァァァァアアァァ‼﹄ ﹁⋮⋮⋮おいしかったか、グラ と色が紫色に変わった籠手の姿があった。 いった。死体は跡形もなく消失し、宝玉が強く光だす。光が晴れると黒くなった宝玉の 籠手についた宝玉が黒く一度点滅すると、触れていた死体は籠手の中に取り込まれて ﹃edesse﹄ ﹁⋮⋮⋮喰らえ﹂ 処理にはちょうどいいんだよな。籠手の装着されている右手で死体に触る。 ﹃暴食龍の籠手﹄。そ の 名 の 通 り 暴 食 の 限 り を 尽 く し た 龍 が 封 印 さ れ て い る 籠 手。死 体 9 今日も人外を殺す 10 ても僕にとっては大切な存在なんだよね。 ﹃⋮⋮⋮﹄ ﹁⋮うん、もちろん僕達だって大切な家族だよ﹂ ﹃⋮⋮⋮‼﹄ ﹁⋮⋮アハハ、ありがとね。うん、そろそろ戻ろうか﹂ 僕は籠手を仕舞、髑髏の仮面を被りなおすと、僕達は僕の運命を分けたあの町⋮駒王 ザ バー ニー ヤ 町に戻る事にしたのだった。とりあえず、駒王町に向かうまでに感じ取ることが出来た 人外達を狂想閃影を使い殺すと、籠手の形状をしていない﹃暴食龍の籠手﹄を使い、死 体を喰らいつくしたのだった。 妄想幻像とディアボロス ﹄ ? ﹂ ? グ ラ ト ニ ー・ ギ ア 向かうのだった。近くによると血の匂いを感じ取ることが出来た。相当な人数の人を ついでに僕は髑髏の仮面を被ると、はぐれ悪魔の気配のする廃屋へと気配遮断しながら 舌打ちをする僕達。それをいったん無視しておいて、 ﹃暴食龍の籠手﹄を出現させる。 ﹃ちぇっ﹄ ﹁あぁ、はいはい。グラだけをを使って戦うよ。ってわけで、僕達はお休みだね﹂ ﹃アアアアアァァァァァァ‼﹄ な ﹁アハハ、そうだね。人間じゃないみたいだから、久しぶりに真面目に殺すとしようか ﹃なんか、いるようだぞ られるようになってたね。⋮全く面白かったな。 天使や神なんかを手当たり次第に殺していた。気が付けば、人外共には恐怖の対象で見 ∼って思った奴らを殺しまわったね。死体はみんな食べたんだけどさ。悪魔や天使、堕 駒 王 町 に 戻 っ て き た の は だ い た い 十 年 ぶ り く ら い か な。世 界 各 国 で 僕 が 人 外 だ な 狂化しながら半殺し 11 狂化しながら半殺し 12 名前なんてどうでもいいか﹂ 食い殺してきたんだろうね。ま、どんなに殺していようが殺していまいが関係なく殺す んだけどね。 ﹁今回の獲物ははぐれ悪魔バイサー⋮だっけ 籠手に力を込めると、宝玉から禍々しい光があふれ出す。気配が無くなっているにも つらは、本当にバカみたいだね。⋮ま、気が付かれたらおしまいなんだけどね。 バイサーの足元に移動する。こんなにも近くにいるにも拘わらず気が付かないこい ﹁全く、いつもいつもグラはうるさいなぁ﹂ ﹃喰らいつくす。さっさと獲物を俺に寄越せエエエエエェェェ‼﹄ ? この禍々しい気配は 気味が悪い﹂ 関わらず、この禍々しい光だけは完全に消えることはない。その気配を感じ取ったバイ なんだ ! サーは僕のいる場所から離れた。 ﹁ ! その音声が僕の耳に届くと同時に、光は僕を包み込んだ。禍々しい光が晴れると、僕 ﹃Berserk﹄ た。 禍々しい光は一度だけさらに強い光が発せられる。それと共に音声が一度だけなっ だけどさ。 はぐれ悪魔に気味悪がられるだなんて相当だよね。ま、そんなことはどうでもいいん !? 13 の姿があらわになる。この状態のときには気配遮断を使うことが出来なくなる。⋮当 然僕だけなんだけどね。僕達はきちんと気配遮断をすることが出来る。 今の僕の姿は体の所々に龍の鱗が見られ、瞳は爬虫類のように縦に分かれた。背中か らは赤黒い瘴気のようなが噴出している。籠手は両手にまるで本物の爪のような形に 変わっている。この姿はこの籠手の二つ目の能力。一つ目の能力は死体を喰らい、生前 持っていた力を得る﹃捕食﹄。この能力は鬼神のような力を得る代わりに、一定時間暴れ まわる。体が勝手に操られているって感じなんだよね。この﹃狂化﹄中でも捕食を使う ﹂ ことはできるんだよね。⋮体を操っているのは、当然グラ。 ﹁ハハハハハハハハハハハ﹂ ﹁な、ナンダよこいつ。何処から現れたんだよ‼﹂ ﹁殺す。殺してからゆっくり味わうとするぜ。ヤハハハ イフで切り裂く。別れたうちの下半身を丸呑みする。下半身を失ったバイサーは、地面 軽く地面を蹴ると、上半身と下半身の境目だと思われる部分に赤黒い瘴気でできたナ ﹁うるさい。次は上半身と下半身を分けるか﹂ ﹁ギャァァァァ‼﹂ す。握りつぶして噴き出した血液を舐め取る。⋮うん、実にまずい。 僕の体は狂気に染まった笑みを浮かべながら、バイサーの足の一つを掴み、握りつぶ ! にペチャっと言う音をたてて落下した。 ﹁イタッ⋮﹂ ﹁ヒヒヒッ。ちょうどいい具合に恐怖に染まってるなぁ。じゃあ、そろそろ喰うとす るとするかぁ﹂ 僕は大きな口を開け、生きたまま喰らおうとする。しかし、この廃屋の扉の前に見 知った気配があったため、それを中断し狂化状態を解こうとする。でも、その前に両腕 を喰らうと、狂化を解く。疲れがどっと襲ってくるが、そんなものを気にすることなく 気配遮断を行い様子をうかがう。気配を消すと中に誰かが入ってきた。紅い髪をした ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア 悪魔、剣を腰に携える金髪の神器持ち悪魔、小柄で白髪の猫又悪魔、黒髪の堕天使交ざ りの悪魔。そして僕の友達であり神滅具﹃赤龍帝の籠手﹄を持つ転生悪魔。 彼らは虫の息のバイサーの姿を見つけると、驚きの声をあげていた。 ﹁イッセー、悪魔になってたんだね﹂ ウェルシュ・ドラゴン ﹃あぁ、その声は⋮懐かしいな﹄ 今、僕に話しかけてきたのは赤 い 龍 ドライグ。イッセーの神器の中に封印されて いる二天龍と称される龍。彼とは昔からの知人である。僕は人外が嫌いだとは言って ﹂ も妖怪と龍は嫌いじゃないからね。その他が嫌いなだけで。 ﹁イッセーは僕のことを覚えてる ? 狂化しながら半殺し 14 15 何もしてないよ﹂ ﹃いや、覚えていないようだ。一体何をしたんだ ﹁ん ﹄ ? ﹂ ? ﹄︵キリッ ! 僕は木の枝を伝って家に帰ったのだった。 ﹃任せておけ ﹁さて、じゃ、僕も久しぶりに家に帰るとしようかな 家の掃除を手伝ってね﹂ イッセー達は魔法陣に乗るとどこかへと転移していった。 ﹃グラを通じていつでも話せるだろうに。ま、また今度ゆっくり話すか﹄ ﹁あ、ドライグ。またいつかゆっくり話そうね﹂ どなぁ。残念だね。 上半身はこの世界から完全に消滅した。⋮あぁ、せっかく僕が食べようと思ったんだけ 紅い髪をした悪魔の手から消滅の魔力がバイサーに目掛けて放たれた。バイサーの ﹁殺せ﹂ ﹁バイサー⋮言い残すことはあるかしら 友達として誰かいたよな程度の認識になる。 実際に何もしてはいない。ただ、気配を薄くしていたから印象に残っていないだけ。 ? ? ﹁主殿、敵の様子を確認しましたぞ﹂ いる。いつもは出てくることがない人格まで出てきていた。 ザ バー ニー ヤ 名。サバーニーヤを使うことが出来る者が6名に神器持ちが9名と言う構成になって やつを観察する者、枝にぶら下がっている者まで様々いた。今回出てきた人数は計15 僕の人格たちが姿を現す。僕と同じように家の前に立つ者、電線の上に立ち中にいる ﹁我ら群にして個、個にして群。百の貌持つ千変万化の影が群。いざ、妄想幻像﹂ 本気を出していこうかな。これから行う清掃の準備運動としてね。 上、本体がそれを行わなければみんながかわいそうだよね。と言うわけで、久しぶりに などなど、僕達から意見を貰った。みんなは外に出て体を動かしたいと言っている以 ﹃弱い相手を嬲り殺すってのも楽しいからなぁ。久しぶりに神器を使いたいし﹄ ﹃家の清潔を保つためにも、掃除を開始しましょう﹄ ま、悪魔である以上⋮殺すんだけどな。 在している。しかし、先ほどの物よりも弱い悪魔が僕の家に居座っているようだった。 久しぶりのわが家へと戻る。中に入ろうとすると、先ほど狩った物と同様の気配が存 家の中の清掃 家の中の清掃 16 17 ﹁報告を﹂ ﹁ハッ。敵影は一名。悪魔のようですな。強さは下の中程度でございます。ソファー に寝っ転がっているようです﹂ ﹁ありがとう﹂ 人の家のソファーに寝っ転がるってどういう神経をしているんだろうね。まぁ、10 年間も放置していた僕が言うセリフじゃないんだけどさ。 ﹁それでは、最初から全開で行く。宝具持ちの僕達はありとあらゆる手段を用いて苦 しめろ。神器持ちの僕達は気配を遮断し精神に影響を与えろ。以上﹂ ﹁﹁了解‼﹂﹂ ﹁⋮⋮散﹂ 静かに作戦を伝え終えると同時に、僕達は一斉に気配を消し、家の中に入っていった。 僕はその様子を屋根の上から気配を探ることで確認している。みんなが清掃に取り組 それをEXまで引 ん で い る 間 に も 僕 は 自 己 改 造 で 体 を 改 造 し て い る。気 配 遮 断 の 能 力 を さ ら に 上 げ る。 現在の気配遮断をランクで示すとするとA+と言ったところかな ? き上げる。この状態にして気配を遮断すると、この世界からも認知されなくなる。それ ﹂ ほどまでに強力なものへとなったのだった。 ﹁さて、みんなの様子を確認しようかな ? 家の中の清掃 18 目を閉じて家の中の様子を確認する。家の中には壁に磔にされた弱い悪魔とその周 りで気配を消しながら痛めつける僕達の姿があった。 たとえば第一人格の﹃一沙﹄は妄想心音を使い、疑似心臓をゆっくりと握っていた。 ザ・ ミ ス ト たとえば第三人格の﹃三咲﹄は狂想閃影を使い、腕を切り落とし解体していた。 たとえば第十一人格の﹃ジャック﹄は暗黒霧都を小範囲に展開し、喉を融かしていた。 etc⋮。 ﹁皆楽しそうにやってるね。見ていなくてもわかるよ。僕達は繋がっているからね﹂ 解 体 し た い 一匹の悪魔を狩るみんなの感情が僕の中に流れ込んでくる。楽しいという物やもっ と殺したいという物を持っている者までいた。流石は僕の別れた人格だね。⋮さて、も うそろそろ家の掃除も行いたいし、準備運動を終わらせてもらわないと。僕ももうそろ そろ行くとしようか。グラ以外のもう一つの神器も使っておかないとかわいそうだか らね セ ブ ン ス・ ギ ア ﹁蘇 れ 人 々 の 罪 の 形。括 目 せ よ 人 々 よ。我 が 手 に お さ ま り し は、罪 の 証。い で よ、 七つの罪器﹂ 僕を囲むように六つの武器が出現する。一つずつ説明していくのは面倒くさいので 今回使おうと思っている一つだけを説明することにしようかな。僕は一つの罪を取る と ほ か の 五 つ を し ま う。 手 に 取 っ た の は 黒 い 表 紙 を し た 本。 名 前 は エ ン ヴ ィ ー・ メ モ リ ア ル ていたのだった。窓を全開に開けると箒と塵取りをもって掃除を開始した。 いたようだったが、10年と言う時間はとても長かったらしい。5cmほど埃がたまっ 地面に広がった血だまりを無視して家の掃除を始める。各部屋二人ずつで掃除して ﹁改竄からは逃げられない。僕達は別だけどね﹂ た。 と、巨大な岩が悪魔に向かって落ちていた。避ける気力もなくただただ潰されていっ 僕の存在などまるで見えていないかのように家の玄関から出る。そして上を見上げる よる圧殺﹄と書き足しておいた。そして僕が本を閉じると同時に悪魔は行動を始めた。 かれている死因の欄に﹃家から出ると同時に上空から何か重たいものに潰されることに く。今回開いた場所はこの悪魔の人生が書かれたページ。そのページの最後の方に書 ないからササッと終わらせないとね。虫の息の悪魔の前で本を開き、文字を記してい みんなはそれぞれ部屋に向かい掃除を始めた。さて、僕も家の掃除を行わないといけ ﹁また今度の機会にね﹂ ﹁もう少し遊びたかったな﹂ ﹁ちぇっ。わかったよ﹂ ﹁あ、みんなは掃除の準備をしておいてね。僕はこいつをどうにかしておくからさ﹂ ﹃嫉妬だらけの人生録﹄と言う。能力は﹃改竄﹄と﹃狂化﹄。 19 家の中の清掃 20 やっぱりそう思うよね ﹂ ﹁やっぱり、こまめな掃除って大事なんだね﹂ ﹁ん ! ﹁うん ﹂ ﹁まぁね。⋮あ、そっか。師走は掃除が大好きだったもんね﹂ ? おやすみなさい。 なも疲れているようだし、戻して寝ることにしようか。 な状態になっていた。⋮ふぅ、此処まで綺麗にすると気持ちがいいってもんだね。みん 気が付けば時間は午前4時になっていた。その時間帯にはすでに掃除も終了し、清潔 時にも役立っている。 している。でも、一番強い神器を持っている。風関係の神器を持っているため、掃除の 今僕と話したのは第十二人格﹃師走﹄。掃除好きであまり争いごとを好まない性格を ! くがり 何の用じゃ ﹂ ﹁九刈、出てきて﹂ ﹁ん ﹁隣の家の様子を確認してきてくれないかな ? ? いる。 ﹁それでは、確認してくるのじゃ。視界は共有するのかのぅ ﹂ ればなるほど人間じゃない形になるらしい。九刈は九尾のように九つの尻尾が生えて では持っていないほど保有スキルランクを所持している。自己改造はランクが高くな のを持っていない代わりに自己改造EXや気配遮断S+、風除けの加護Sと言った僕達 第九十人格の九刈。神器や宝具と言ったものを持っていない人格の一人。特殊なも ? ? ﹁うむ、引き受けたのじゃ﹂ ﹂ ないけど、僕たちの中で一番気配遮断のうまい人格に行かせることにしようかな。 の様子を部屋から確認することが出来ない。僕自身が確認しに行くのもいいかもしれ だった。何やら隣の家が少し騒がしい気がした。結界が張られているようだった。中 目 を 覚 ま す を 深 夜 2 時 を 過 ぎ て い た。⋮ ど う や ら 約 一 日 ほ ど も 寝 て し ま っ た よ う 隣の家で⋮ 21 隣の家で… 22 ﹁そうだね。一応しておこうかな セ ブ ン ス・ ギ ア プ ラ イ ド・ ラ イ ン 七つの罪器、傲慢混じりの目線﹂ ﹁本当じゃな。それで、どうするのじゃ このまま傍観に努めるのか、それとも皆殺し の程度で吐くなんて情けないね。 たのは白髪のはぐれ神父らしく、それを見たイッセーは吐いてしまったようだった。こ 龍帝の籠手を出現させているイッセーとシスターの姿があった。どうやら、男を磔にし 九刈の視界から送られてくる情報には壁に磔にされている男と白髪のはぐれ神父、赤 ﹁うむ⋮なかなかの趣味を持っておる奴がいるようじゃな﹂ い。 いんだけどね。隣の家の一室に音も無く入り込む。誰も彼女に気が付く様子を見せな 動の為少し怪しい動きをしたとしても見つかることはない。⋮機械なんかには聴かな 僕達全員の視界を共有すると、九刈は家の窓から外に出た。気配遮断をしながらの移 ら発狂したりするだろうね。⋮僕は普通じゃないから問題なんだけどね。 ている神器。ほかの六つは全て概念や負の感情が封印されている。普通の人が使うな 力。﹃暴食龍の籠手﹄も七つの罪器の武器のうちの一つなんだよね。唯一龍が封印され 傲慢混じりの目線の能力は﹃共有﹄と﹃狂化﹄。強化は七つの罪器全てが持っている能 ? 宝具などを一切持っていないと言っても、持っている僕達と何の変りもない暗殺スキ にするのかのぅ。妾としては⋮皆殺しを所望したいのじゃがの﹂ ? 23 ルがあるんだよね。だからこそ、獲物を目の前にして何もできないことが嫌なんだろう ね。ま、イッセーは友人だけど悪魔だから半殺しまで。神父の方は⋮何もしなくていい や。 ﹁⋮⋮わかったのじゃ﹂ ︻不満そうだね。気持ちもわかるけどさ︼ ﹁仕方がないじゃろ。妾が出てくる前に全て終わってしまうのじゃから。ま、友人と はいえ悪魔な事には変わらないからのぅ。少々遊ぶとするか﹂ 九刈はナイフを一本持つと、普通に歩きイッセーの前へと行く。気が付く様子の無い イッセーさん‼﹂ ⋮⋮⋮ッ‼﹂ イッセーの腕に持っていたナイフを⋮⋮⋮突き刺した。 ﹁⋮⋮へ ﹁キャァァァァァァ すごく狂っているような顔をしてるからね。 みを浮かべた。今の彼女を見たら、普通の人たちは恐怖するんじゃないかな だって、 刺した。両腕から血が流れ、地面に滴り落ちている。それを見て、九刈は楽しそうな笑 うに顔をゆがめていた。三人の様子を気に止めるようなことをせず、逆の腕にナイフを イッセーは刺されたことに気づき顔をゆがめ、シスターは叫び、はぐれ神父は面白そ ﹁わぉ、俺達以外にも誰かいるようですねぇ﹂ ! ? ? 隣の家で… 24 ﹁うむうむ、やっぱり人の悲鳴を聴くのはいいものじゃな。殺すことが出来ないのは 残念じゃが、いたぶるのも悪くないのぅ﹂ 血の付いたナイフを腕から引き抜くと、祓魔弾で撃たれただろう左の太腿をナイフで 抉る。ピチャッと生々しい音をたてて、肉も含め血が周りに飛び散る。 ﹂ ! すぐに直しますから‼﹂ ﹁ぐぅぅぅぅぅぅああああ ﹁待っててくださいね ! ﹁うむ、なかなかおいしいのぅ﹂ たのか八雲と共に緑茶を飲んでいた。 髪をした悪魔と眷属一同の姿があった。九刈はイッセーをいたぶるのに生きてしまっ 音も無くこの場から消えると、再び九刈と視界を共有する。すると昨日見かけた紅い ﹁任されました、僕﹂ ﹁八雲。二人の行動を監視及び、報告をお願い﹂ やくも を持っている人格の方がいいかもしれないね。 一度九刈と目の共有を断ち切ると、二人を監視させる人格を探す。ある程度強い神器 方がいいかもね。 このシスターの娘、アーシアって言うんだね。少しこの二人の事も監視させておいた アーシアちゃん﹂ ﹁させると思ってるの ? 25 ﹁ありがとございます、九刈﹂ ﹁次は和菓子を作って欲しいのじゃ﹂ ﹁任せてください﹂ ほのぼのとした雰囲気が二人の間には流れているが、きちんと監視は行っているよう ﹂ だった。イッセーの傷を見た紅い髪をした悪魔は激怒し、はぐれ神父が冤罪で殺されそ うになっていた。⋮うん、ドンマイ。 ︻九刈、戻っておいで︼ ﹁わかったのじゃ。それじゃあ、八雲あとは頑張るのじゃぞ ﹁わかってますよ。変な失敗なんてしませんよ﹂ 視線の共有を終えると、再び眠りについた。 ? ゴミはゴミ箱に⋮ってね﹂ ? それとも量より質で行く のはいいことだよね。今回は両方で行くから自分からやる気を出してくれるのは嬉し 髑髏の仮面を久しぶりにつける。八雲も仮面を取り出しつけていた。やる気満々な ﹁そういうと思ってたよ。八雲は見た目の割にそういう性格だったよね﹂ ? は地下で動かずにいた。⋮磔にでもされているんだろうね。 質より量で行く ? ﹁僕、確認しましたか﹂ ﹁そうだね。で、どうする ? ﹁決まってますよ。⋮⋮両方で行きましょう﹂ ﹂ 機していた。気配を探ってみると四人全員が教会の一階にいるようだった。シスター 窓から外に出て、木々を伝い目的地である教会の前に行く。教会の扉の前に八雲が待 ﹁さて、僕も行くとするかな も殺しておくべきだね。散々殺しておいて今更な気もするけどね。 がいるらしく、その中の一人がシスターの神器を自分の物にするらしい。⋮やっぱり烏 ターの神器を取り出す儀式を行うとのことだった。廃れた教会の中には四人の堕天使 烏 八雲に監視を頼み、数日がたった。今日の昼ごろにもらった報告によると、夜にシス 烏殺し 烏殺し 26 いよね。僕達もやる気を出しているみたいだし⋮全員を出そうかな ﹁皆、準備はいいかな ﹂ ような保有スキルを持っている人格たちもいたりする。 ザ バー ニー ヤ 神器を持っている。残りは皆保有スキルのランクが高かったり、僕本体が持っていない 僕の後ろに計98名の別人格が出現する。30名が何かしらの宝具を持ち、20名が ﹁我ら群にして個、個にして群。百の貌持つ千変万化の影が群。いざ、妄想幻像﹂ ? ざ ﹁了解﹂ ね りっ か ﹁任せてください、マスター﹂ ザ・ ワー ル ド 第 三 十 人 格 の 沙 々 音 は 神 器﹃蝕 み の 炎﹄を 持 っ て い る。第 六 十 人 格 の 六 花 は エクスプレス・フレア ね。沙々音と六花の二人に担当してもらうよ﹂ さ ﹁目 標 は 四 人 の 烏 の 処 理 と シ ス タ ー の 救 出。シ ス タ ー 救 出 は 神 器 持 ち 二 名 ⋮ そ う だ のかもしれないね。 みんなの士気が高くなっていた。久しぶりに出てくる人格もあるからしょうがない ﹁⋮⋮戦うって苦手。でも、ゴミ処理は得意﹂ ﹁当然じゃぞ。妾たちは何時だって嬲る準備はできておるのじゃ﹂ ? いる神器なため、基本的には戦うという事をほとんどしない。 ﹃時を刻む世界﹄と言う神器を持っている。二人の神器は戦闘よりも補助の方が向いて 27 烏殺し 28 いつり ﹁残りの97名は四匹を堕天使を殺す。致命傷を避け、なるべく長い時間痛めつける。 ﹂ とどめを刺すのは⋮伍里がやってくれるかな﹂ ﹁⋮⋮任せろ。それくらいなら余裕﹂ ﹁よし、それじゃあ。行動を始める⋮散 ﹁誰 人間みたいだしぃ、さっさと帰らせればいいんじゃねぇって感じぃ ﹂ こんな夜遅くに教会に来るなんて言う馬鹿は﹂ ﹁まぁ、でも 僕にあたったように見せかけるために赤いインクを僕の腹から出るようにし、両膝から 光の槍が僕にあたりそうになった瞬間、グラの力を使って光の槍を喰らう。しかし、 は相手を油断させるため。油断している相手をやるのが一番楽しいんだよね。 僕以外の96人の人格は皆気配を消して、僕の近くにいる。僕が気配を消さずにいるの 四人の堕天使が一斉に僕目掛けて光の槍を投げつけてくる。これは余談になるけど、 ? ていた。 顔のない像やバラバラに斬り裂かれた椅子など、普通の教会ではありえない状況になっ を侵食し、地下の部屋へと入り込んでいくのを確認すると同時に教会の中に入り込む。 僕の合図とともに、全員が分かれ行動を始める。二人は真っ先に教会の中に入り、床 ! ﹁と言うわけだ人間。貴様には悪いが、死んでもらうぞ﹂ ﹁人間など殺せば位いいだけの話だ﹂ ? ? 29 地面に崩れるしぐさを見せる。 ﹁やはり人間は脆いな﹂ ﹁この程度で死にそうになるなんて、マジ柔すぎww﹂ ﹁この時間に来る自分を恨んでちょうだい﹂ ﹁残念だったな﹂ やっぱり殺したと思った瞬間が一番油断するんだね。やったと思った瞬間が一番油 断するのはどの種族も一緒なんだね。⋮だからやりやすいんだけどさ。 ﹁⋮始﹂ 僕の合図により、待機していた96人もの人格が一斉に四人の堕天使に襲い掛かる。 大人数が同じ獲物を襲い掛かっているというにも拘わらず、互いに攻撃がぶつからない のは僕達だからなのかもしれないね。 ふ っ と 考 え 事 か ら 現 実 に 戻 っ て く る と 壁 に 磔 に さ れ て い る 四 匹 の 烏 の 姿 が あ っ た。 自 分 が な ん で こ ん な こ と に な っ て い る の か わ か ら な い と い っ た よ う な 顔 を し て い る。 ﹂ ま、それが普通の反応だろうね。見えない相手から攻撃されているんだからね。 ゴミ どういうつもりだ人間。我ら堕天使に逆らうとは‼﹂ ﹁さて、立場が逆転したけど⋮どんな気持ち ﹁⋮⋮なっ ? うん、やっぱり烏はやっぱり烏だったね。こんなにうるさくなるなんて思ってもみな ! 烏殺し 30 僕 達 かったよ。でも、ま、騒ぐほどの気力があるって言うのは素直に賞賛するけどね。 虚 無 の ﹁煩いよ。勝手に人間の世界にいるくせに見下すなよ。お前達はこの世界に入らない んだよ。さっさと元いるべき世界に行くんだな﹂ ﹁⋮死ね﹂ 四匹の目の前にいた伍里の手から無色透明の光が四人を包み込む。四人の体が朽ち ていき、最終的には骨すら残さず消え去っていった。四匹がこの世界から消え去ると同 時に二人がシスターを連れて来た。どうやら、気絶しているようだった。が、気にせず 教会を後にした。 全員を僕の中に戻すと、教会の天井に張り付く。丁度その時、二人の悪魔の仲間を引 き連れた傷も治っているイッセーが入ってきた。 ﹁アーシア‼﹂ 気絶しているシスターを発見すると、名前を叫ぶ。元気がいいんだね、イッセーは。 誰かの為に命をかけることが出来るなんてありえないよ。 ﹂ ﹁ま、面倒くさいからかーえろっ﹂ ﹁待ちなさい 下を見ると、僕を見る紅髪の悪魔の姿があった。⋮⋮あ、気配を遮断するの忘れてた。 !
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