白坂紅の暗殺教室 ID:108393

白坂紅の暗殺教室
日暮
︻注意事項︼
このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP
DF化したものです。
小説の作者、
﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作
品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁
じます。
︻あらすじ︼
小 学 生 の 頃 か ら 周 り に 対 し て 興 味 や 好 奇 心 を 向 け る こ と が 無 く
なった白坂紅。同時に唯一彼が興味を示したのは剣術だった。しか
も、人を殺すような殺人剣術や古流剣術だけに興味を示した。そのな
かで彼はある才能を見いだす。
いかにして、彼は自分の担任を暗殺するのか
!?
設定 ││││││││││││││││││││││││││
目 次 一学期 一時間目 ││││││││││││││││││││
1
十時限目 ││││││││││││││││││││││││
九時限目 ││││││││││││││││││││││││
八限目 │││││││││││││││││││││││││
七限目 │││││││││││││││││││││││││
六時限目 ││││││││││││││││││││││││
五時限目 ││││││││││││││││││││││││
四時限目 ││││││││││││││││││││││││
三時限目 ││││││││││││││││││││││││
二時限目 ││││││││││││││││││││││││
4
12
17
21
25
34
40
44
50
58
設定
プロフィール
しらさか くれない
氏名
白 坂 紅
性別
男性
誕生日
8月15日
血液型
AB型
身長・体重
165cm・54kg
得意教科 国語全般 社会全般 理科︵生物分野︶
苦手教科 英語 理科︵生物分野以外︶
特技 剣術、料理
趣味 読書、ゲーム、剣術の研究
特徴など
背はそこまで高くなく、顔は中性的。性格は少し残酷な面をもって
いるが、基本的には根は素直で優しい。周りに対する関心がないが仲
間が傷つくのを嫌い、敵とみなしたら容赦しない。
関心をもたなくなったのは小学生の時からである。同時に剣術に
対する興味を抱いた。
暗殺能力 五段階評価
固有スキル 剣術暗殺︵5点︶
体力 4.5
機動力 4
近接暗殺 5
遠距離暗殺 1
学力 4
1
五部門合計 18.5点
烏間先生からの評価
暗殺に対しては刀による暗殺が優れており、どの動きも洗練された
ものである。しかし、銃による暗殺はクラスのなかでとても低いもの
である。
驚くことに、彼の剣術は何かを真似つまり、模倣したものであり、幾
つもの技を組み合わせて攻撃してくるため何を繰り出すかは相手に
は予測不可能である。
学業は比較的優秀であるが、苦手教科のときは寝ているかとが多
い。
交流関係では、あまりにもクラスメイト達に対する関心が見られ
ず、特に仲が良い友達もいない様子で団体における暗殺は不得意とす
る。
殺せんせーからの評価
2
学業はとても優秀で、クラスメイト達からの質問にもなるべく答え
ているものの関心がとても薄いですね。そのせいか中々馴染めてい
ませんね。ですが、根は素直です。
暗殺に対してはクラスで始めて先生に対して接近戦で傷を負わせ
ましたね。あのときは兎に角ひやひやしましたよ、先生でも剣さばき
が見えなかったんですから。ですが、協力して何かをするってことが
苦手のようですね。しかも、クラスメイトからの、特に少なからず好
意をもっている女子からの視線には鈍感なのは少し意外でしたがね。
ヌルフフフ⋮⋮。
白坂紅から見たクラスメイトの印象
男子陣
潮田 渚 男の娘
赤羽 業 イタズラ好き
磯貝 悠馬 委員長
岡島 大河 発情期の猿
木村 正義 ジャスティス
菅谷 創介 特にない
?
?
杉野 友人 馴れ馴れしい
竹林 考太郎 二次オタ
千葉 龍之介 目、あるの
寺坂 竜馬 ゴリラ
前原 陽斗 特にない
三村 航輝 きのこ
狭間 綺羅々 魔女
中村 莉桜 金髪
倉橋 陽菜乃 特にない
神崎 有希子 日本人形
茅野 カエデ 演技臭い女
片岡 メグ 副委員長
奥田 愛実 マッドサイエンス
岡野 ひなた 特にない
女子陣
吉田 大成 ゴリラの取り巻き弐
村松 拓也 ゴリラの取り巻き壱
?
?
原 寿美鈴 オカン
不破 優月 特にない
矢田 桃花 ビッチもどき
転校生
↓メカニック
自律思考固定砲台︵律︶ 機械
堀部 イトナ 兄弟
?
?
3
?
速水 凛香 めんどくさい女
?
?
?
一学期 一時間目
俺 は 小 学 生 を 気 に 周 り に 関 心 を 抱 か な く な っ た。原 因 は 特 に 無
かった。でも、何故か興味や好奇心が無くなっていた。そんな時に唯
一興味をもったのが剣術だった。しかも、普通の剣術ではなく人殺し
のものや古流剣術に興味を抱いたのだ。俺がいる町で唯一剣術道場
を開いてた場所に小学校一年から今までを換算すれば9年間通って
いた。そんな中、二年程度たった頃師匠である人にあることを言われ
た。
﹃紅、お前は恐らくだが剣術に対して才能がある。しかも、それだけで
はなく、自分が見たもの聞いたものを模倣できる才もかねそろえてい
る。しかし、それはあくまで剣術の中だけだがな。すこし、私が技を
見せてやるそれを模倣してみろ﹄
その頃はまだ、八歳か九歳の俺がそんな事理解でき
師匠であるその人に言われて、その人がだす技を見ていた。驚かな
かったのかって
る訳がないだろ。
﹃これで一通り見せた。ちょっとやってみてくれないか﹄
﹃わかりました﹄
俺は立ち上がり竹刀を構えて、さっきまで見ていた剣術を思い出し
ながらその型をやってみた。
自分でやっていて不思議に思った。まるで、その型を昔から知って
いるかのような動きができたのであった。
﹃やはりな、お前には剣術を模倣できる才能がある。これからは多く
の剣術を見て聞いて、その技を奪え。たが、これは警告だ。いくら模
倣できるからといって何でも模倣するな。それはお前の為にならな
いいな﹄
いし、模倣はあくまで偽物だ。本物には勝てない。だから、腕を磨け、
﹄
そしてそれらを見て自分だけの剣術を造れ
﹃はい、師匠
!
﹁突然だが、君達にはこの生物を暗殺してもらう﹂
はい、俺達E組はいま、意味のわからない状況にいた。
4
?
これが俺の剣術の原点であり、模倣の才を見出だした瞬間だった。
!
﹁あの、その生物は一体なんだすか﹂
﹁ヌルフフフ、私はあの月は破壊した犯人です﹂
この時、教室が静まりかえった。
﹁あれ、何か反応が悪いですね﹂
﹁﹁﹁えええええええええええええ﹂﹂﹂
この時柄にもなく俺も大声をあげてしまった。
﹁こいつが言っていることは紛れもない事実だ。各国が手を尽くした
がこいつに傷一つすらつけれなかった﹂
﹁ヌルフフフ。あの程度ではこの私には傷一つつけられませんよ。逆
とこの瞬間も俺以外のクラスメイトは一丸となっ
に御手入れをしてあげましたよ﹂
何故に手入れ
て思っているだろう。
﹁手を全て尽くした各国だったが、そんなときこいつがある条件付き
で身柄を拘束されることを望んだ﹂
なんだか、その条件に嫌な予感しかしないんだけど。
﹁椚ヶ丘中学校三年E組の担任をさせること。それがこいつが出して
きた条件だ﹂
﹁ちょっと待ってください。それを容認したんですか﹂
﹁そう言うわけではない。こちらとしてもある条件を出した。それは
君達に手を出さない事とこっちはこいつが出してきた条件でもある
んだが、君達がこいつを暗殺することを条件にこの事を認めた﹂
⋮⋮暗殺ね。
﹂
﹁だが、こいつはそう簡単に暗殺はだきない。こいつはマッハ20で
﹂
動ける。みろ、緑の縞模様は相手をバカにしている時の顔だ
どんな染色体をもってんだよ。
﹁そして、君達にも報酬は出る。その金額は百億だ
その言葉に︵俺以外︶の奴らは絶句する。
﹁そして、これも君達に支給する﹂
!
﹁これはなんですか﹂
た。
渡されたのはゴムでできたナイフと、エアガンと緑色のBB弾だっ
!
5
!
﹁それはこいつだけに効果がる部室で造られ物だ。勿論、君達には無
害だ﹂
﹁すいません。これもう少し長くできないですか﹂
俺の言葉に全員が振り向く。
﹁出来るかもしれないが、すぐには無理だろう﹂
﹁わかりました。それなら、もう一本ください、えっと⋮﹂
﹁俺の名前は烏間惟臣だ。わかった君にはもう一本支給しておこう﹂
﹁ありがとうございます、烏間さん﹂
﹁それで長さだが、どれくらいの物がいい﹂
俺は悩んだすえ使いなれている物の長さを頼んだ。
﹁なら、日本刀ぐらいの長さでお願いします﹂
﹁もう一本造ろうか﹂
以外だな、こんな子供にそこまで期待するのか。
﹁なら、もう一本造れるなら同じ長さでお願いします﹂
﹂
!
6
﹁わかった。製作に二日か三日掛かるが用意しておこう﹂
﹁重ね重ねすいません。それとありがとうございます﹂
俺はお礼を言い烏間さんは話を進めた。
﹁期間は来年の3月までだ。こちらも全力で君達のサポートをするつ
もりだ﹂
こうして、俺達の暗殺教室が幕を上げた。
﹁殺せるといいですね、ヌルフフフ﹂
なんかこの先生、不思議と殺意があまりわかないな。他の奴らは知
らないけど。
﹁それでは改めまして初めまして。私が月を破壊した犯人です﹂
翌日、いつも通り学校に来るとあの生物がいた。
﹁おはようございます﹂
﹁はい、おはようございます。紅君﹂
﹁先生、どうしてここの担任になろうと思ったんですか﹂
﹁ヌルフフフ、それはですね。秘密です﹂
いきなり何するんですか
なんかムカついたのでナイフで斬りかかった。
﹁にゅにゃ
!
﹁いや、なんかムカついたので。つい﹂
﹁ついで攻撃しないでください﹂
なんだろ、昨日言ってたことと矛盾してるような。
﹁まあ、いいです。早く席に着いてください。出席をとりますので﹂
そう言われたので俺は自分の席に着いた。
しかし、
出席をとっていているのに、しかも全方位乱射で誰一人当てられな
いなんて。化物だな。
﹁ふう、どうやら欠席者0のようですね。先生は嬉しいです
紅君は何故射撃に参加しなかっなのですか。もしかしたら当たって
いたかもしれませんよ﹂
﹁別に、俺が入った所であんたには一発も当たらないよ。あんただっ
てそんなつもりないだろ﹂
﹁ええ、先生は当たるつもりなんて毛頭ありませんよ﹂
﹁なら、結果は同じだ。それに正直俺はあんたに興味がない。気が向
いたら攻撃するよ﹂
そう言うと先生はおかしそうに笑っていた。
﹁ヌ ル フ フ フ。興 味 が な い で す か。そ れ な ら、全 力 で 紅 君 に 興 味 を
もってもらえるよう頑張りますかね﹂
﹁いや、頑張んなくていいから﹂
それにあんたを相手にするのに俺はまだ準備の方ができてないん
だからな。
﹁これはからは体育の時間は俺が君達の事を見ることになった。烏間
だ﹂
﹁はいはーい、烏間先生は私たちに何を教えてくれるんですか﹂
﹁君は確か倉橋陽菜乃だったかな。俺が教えるのは基本的にはナイフ
による攻撃練習と専門外だがライフルなど銃の指導を行う﹂
してみてくれ﹂
えっと、確か前原だったけ
7
!
﹁でも、烏間先生ナイフによる攻撃なんて適当に振ってれば当たるで
しょ﹂
そんなわけないだろ
?
﹁口で言うより見た方が早いな。そこの男子二人で俺にナイフで攻撃
!
指されたのは、磯貝と杉野だったか
﹁俺ですか﹂
﹁それでは次に白坂君だったか
そいつらが二人がかりで烏間
君が相手してくれ﹂
先生にナイフを振るが数秒で腕を捕まれてしまった。
?
﹂
﹂
烏間先生も構えをとる。
俺はナイフをそれぞれ両手にもち構えをとった。
﹁はぁ、わかりました。相手します﹂
害したくない。言っただろこれは勘だ﹂
﹁安心したまえ。別に調べていない。いくら何でもプライバシーは侵
あまり知られたくないこともあるんだけどな。
﹁調べたんですか﹂
しかも、ちゃんとした流派まである﹂
﹁これは勘だが、君はこういった刃物の扱い方を知っているようだな。
俺が名指しで指名されるとクラスの皆が俺を見た。
?
﹁くっ﹂
それをギリギリでかわす烏間先生。更に追い討ちをかける。だけ
どそれを予期したのか烏間先生は距離をとる。
﹁先生、質問です。流派の技を使うのはありですか﹂
﹁君がそうしたいのならそうした前﹂
一応、許可したってことだよな。
﹁それじゃあ、いきますよ﹂
烏間先生の構えが更に堅くなる。
﹁無音流小太刀 桜花連舞﹂
﹂
最初同様間合いに一気に詰め寄る。
﹁っ
﹁これはキツいな
﹂
まるで舞の如くナイフで斬りかかる。
烏間先生は距離をとろうとするけどそうはさせない。
!?
!
8
﹁シッ
﹁
!
一気に間合いを詰める。そしてナイフを下から振り上げる。
!?
﹂
しかし、先生は一瞬で型の構造を理解したのか腕を掴み、一本背負
﹂
いをかました。
﹁ぐはっ
上手く受け身をとったけど痛い。
﹁だ、大丈夫か。すまない、手加減できなかったか
﹁いえ、受け身が下手だっただけです﹂
心配したのか、烏間先生は手を差し出す。
﹁しかし、驚いた。君は剣術を習っていたのかい﹂
﹁習っていたではなく今もやっています﹂
﹁なるほど。それで皆この通りナイフさばきだけでもこれだけ相手を
追い詰めることが出来る﹂
﹂
烏間先生が喋り出すが、皆は唖然としていた。
﹁ん、どうかしたか﹂
﹁﹁﹁す、﹂﹂﹂
す
﹁﹁﹁すげーーー︵すごーーーい︶﹂﹂﹂
いきなり大声を上げる。
何がすごいんだ
﹁白坂、お前そんな特技があったのかよ
?
先生と互角でやりあえるだ
間先生に教われ﹂
﹁そんな事いうなよ
こっちは驚いたぜ﹂
お前が教えてくれよ﹂
﹁別にこんなの普通だろ。そんな事言ってる暇があるならさっさと烏
!
てるぞ。
﹁うざい、離れてくれないか﹂
﹁そんな事言うなよ∼。俺達に教えてくれよ﹂
!
﹁そうだぜ、さっさと教えてくれよ﹂
﹁そ れ な れ、あ の 先 生 を 殺 せ る か も 知 れ な い ん だ ぜ
ろって﹂
いいから教え
なんだろ、めっちゃうざい。本物の小太刀だったら、こいつら殺し
!
9
?
!
﹁しかも、俺と磯貝が相手したときは数秒でやられたのに、お前は烏間
!
?
こいつら、まるで何も考えてないな⋮⋮。
﹁そこまでにしろ。授業が進まない﹂
烏間先生が助け船を出してくれた。
﹁ええ、いいじゃないですか、あんなの教えてもらえれば誰だって出来
るんだろ﹂
ブチッン。
その言葉に俺の中の何が切れた。
﹂
簡単に
教えてもらえれば誰だってできるだ
﹁ふざけるなよ⋮、あんなの教えてもらえれば誰だってできるだと⋮﹂
﹁ん、なんか言ったか﹂
﹁ふざけるなって言ってんだよ
と、ふざけるのもいい加減にしろ
俺の怒鳴り声に皆が肩を震わせていた。
﹁な、なんだよ。急に怒りだして﹂
﹁いいか、よく聞けよ。あの剣術はな、人殺しの剣術なんだよ
あの剣術だけじゃねえ、あらとあらゆ
それを⋮﹂
!
人の命を奪えるものなんだよ
る剣術の原点はな人殺しの剣術なんだよ
﹂
!
だから別に⋮⋮﹂
その言葉に俺は更に怒りを覚えたて。
﹁確かにあの先生は人じゃない⋮⋮。でもな、命ある生物なんだよ
人
そんな奴に無音流は教
そんな先生をお前は覚悟無しに人殺しの剣術で命を奪うのか
﹂
﹁満点です、紅君﹂
!
く見ているものに流派を教えたくないと言っているのです﹂
﹁君達は紅君がいったことの意味がわかりますか。紅君はね、命を軽
そこには、赤い丸が描かれた先生がいた。
!
﹁そ、そんなの⋮⋮。それに俺達が殺すのは化物だぞ。人じゃないん
てめえにあるか、人の命を奪う覚悟が、他人の命を奪う覚悟が
﹁てめえ、みていな奴がそう簡単に振って良い剣術じゃねえんだよ
俺はいつのまにか拳を強く握っていた。
!
じゃないからって簡単に命を奪うってのか
えねえ
!
10
!
!
!
!
言いたいことを言い終わると、誰かに肩を叩かれた気がした。
!
先生の顔は少し黒ずんだ赤い色をしていた。表情はそのままで。
﹁確かに、先生は人じゃありません。ですが、命あるものです。 彼は
そんな先生の命を重んじています。何故だか分かりますか﹂
その問に誰も答えるものはいなかった。
﹁命を奪うと言うことはその罪を、命を重んじなければなりません。
奪うだけではそれはただの人殺しと同じですからね﹂
先生が一呼吸置く。
生
徒
達
烏間先生はそれを厳しい顔で見ていた。でも、それは先生に向けて
ではない、クラスメイトにだ。
﹁相手の命を軽く見ているようでは先生は殺せませんよ﹂
その言葉は何処まで重く感じた。
﹂ ﹁先生、その辺で良いです。そもそも、俺はこいつらに関心すら、寄せ
先生にも関心をむけてくれないんですか
ていませんでしたから、先生と同じように﹂
﹁にゅにゃ
何を言っているんだこの先生は。
﹁ど、何処いくんですか
﹂
そう言って俺は教室に足を向けた。
﹁ええ、最初からもってませんよ。このクラスにも、先生方にもね﹂
!
そう言って俺は学校を早退と言う形で帰ったのであった。
﹁帰るんですよ。今日はもう、誰ともいたくないんで﹂
!
11
!
二時限目
次の日、俺は学校には一応来ていたがクラスの連中はまるで俺を腫
れ物扱いって言うわけでもないが、誰も接しなくなった。
﹁う∼ん、困りましたね﹂
そんな状況を校庭にある木の上から殺せんせーは見ていた。
﹁紅君もまるで誰もいないかのように集中して読書をしていますし、
クラスの皆さんも気まずいようですね﹂
にゅると考えている殺せんせーだが、うまい解決法がみあたらない
ようだ。
﹁烏間先生にも相談してみましょう﹂
そう言って一瞬でその場から消えていった。
﹁暇だ⋮﹂
とりあえず暇だ。昼休みになり、午後には体育がまた、ある。
﹁新しい流派開発したけど、使いたくねえ﹂
どうせ、昨日と同様に考えなしバカどもが寄ってくるだけでまた、
鬱陶しいだけだ。
﹁そういえば、烏間先生が渡したいものがあるって言ってたっけ﹂
恐らくだけど、注文しといたアレができたのかもしれないな。
一方、普段より早い時間帯に帰ってきていた殺せんせーは烏間先生
に相談していたのであった。
﹁烏間先生、どうしたら紅君はクラスに馴染めるでしょうか﹂
その質問に作業途中の指を止め顔を上げる。
﹁俺もお前の監視の合間に見ていたが確かにあまりにも馴染めていな
いようだな﹂ ﹁はい、関心が薄いのか休み時間も一人で本を読んでいるだけで誰と
も話そうとしないのです﹂
﹁このままでは、暗殺に支障が出るかもしれないな﹂
二人しかいない職員室、普段は仲が悪い二人でも生徒のことになる
と一緒に悩んでいるのだ。
﹁烏間先生、少しお願いがあります﹂
12
﹁なんだ﹂
﹁私を紅君と闘わせてもらえませんか﹂
﹁それは自ら暗殺されると言うことか﹂
烏間先生の顔は何処か不安げな表情をしていた。
﹁いえ、今回は暗殺ではなく模擬戦です。勿論、使う武器は私対策のナ
イフで構いません﹂
﹁いや、今回はナイフではないぞ﹂
﹁おや、もしやもう完成したのですか﹂
殺せんせーの言葉に不適な笑みを浮かべていた。
﹁ああ、予定より早く造れたようだからな﹂
その言葉に何処か面白そうに笑う殺せんせーの顔はバカにしてい
る時の色だった。
﹁なら、楽しみですね。ヌルフフフ﹂
﹁なにか、考えがあるんだろ。ただし、条件には反するなよ﹂
13
﹁わかっていますよ﹂
このふたりの話は誰にも聞かれることはなかった。
﹁紅君、君から注文があったものだ。予定より早くできたようなので
渡しとく﹂
﹁ありがとうございます。鞘まで作ってくれたんですか﹂
そこには、対先生の物で作られた刀と鞘があった。
﹂
﹁ヌルフフフ、そこで紅君。先生と模擬戦をしませんか﹂
﹁模擬戦
そこには、クラスメイト達がいた。
﹁こいつらも見るのかよ﹂
許可とったなら、別に良いけどさ。
が条件だ﹂
﹁ああ、許可は出した。だが、危険とみなしたら俺は止めにはいること
﹁それなら、ご安心をもうすでにとってあります。ねえ、烏間先生﹂
﹁烏間先生から許可とったのかよ﹂
殺せんせーのやろう楽しんでないか。
﹁はい、それを早く使いなれたいでしょう﹂
?
﹁なに、別に極秘と言うわけではないのだろ。なら、みせても構わない
はずだ﹂ ﹁⋮⋮﹂
俺は見渡すが見たところで何も変わらないと思うのだがな。
﹁はぁ、わかりました。見ていて構いませんよ﹂
この言葉に何処か安心する殺せんせーと烏間先生。
﹁それでは皆さん。少し離れたところから見ていてください﹂
殺せんせーの言葉に従うかのように、というか従って皆は少し距離
をとった。
﹁それでは、始めてくれ﹂
速くないですか
型で技を放つ
﹂
﹁避けるのは簡単ですよ⋮⋮ってにゅにゃ
﹂
﹁なら、これはどうだい。無音二刀流 乱れ櫻
﹁甘いですよ。一個一個放つようでは﹂
﹂
﹁無音二刀流 疾風連斬﹂
﹁
声もでない驚きの顔をする先生。
次は一刀流だ
手加減してください
﹁神鳴流奥義 百花繚乱﹂
﹁ちょっと、紅君
﹂
﹂
先生も結構辛いんですよ
﹁それを避けてる時点で手加減する必要はない
﹁断言しないでください
!
いったい、いくつの剣術を習ったんですか﹂
そんな速く動いていて辛いって信じられるか
﹁津雲流 睡蓮華﹂
﹂
﹁今のは危なかったですが、今度はそう簡単にはいきませんよ﹂
タイミングをずらしてるのにどういう反射神経してるんだよ。
﹁上手く避けますね﹂
﹂
烏間先生の言葉を合図に俺は一気に間合いを詰めた。
﹁にゅにゃ
!
﹁時雨蒼燕流攻式五ノ型 五月雨﹂
!
﹁また、新しいのですか
!
14
!
!
!
!
!
!
!
!
!
!?
﹁習ったわけじゃない
﹁ちょっ
﹂
﹁津雲流 桜・乱﹂
﹂
これは俺が模倣したものと自分で作ったオリジナルだ。
!
まさか斬られるとは﹂
て、迷いがあって斬るのは失礼だと知っているからです。そして、命
﹁そ れ に 彼 は 一 切 の 躊 躇 な く 先 生 に 斬 り か か り ま し た。相 手 に 対 し
その問に皆は頭を横に振った。
りましたか﹂
﹁そうですね、神崎さん。私と紅君との戦いにフザケている部分はあ
﹁すごかったです⋮⋮。二人とも真剣そのものでした﹂
その問に一人の生徒が感想を述べた。
﹁さぁ、皆さん。私と紅君の模擬戦を見てどう思いましたか﹂
マジかよ⋮。
先生の手を見てみるとすでに斬られ触手が再生していた。
のは、案外紅君は計算したなかで剣術を使っているのですね﹂
﹁それはわかっています。まだ、全て手の内をさらしたわけではない
﹁別に、まだ本気じゃないからな﹂
先生をここまで追い詰めることができたのは﹂
﹁ふぅ、しかし危ないところでした。紅君だけかけかもしれませんね。
そう言って俺は刀を納める。
﹁わかりました﹂
﹁そうだ、これ以上は模擬戦ではなく暗殺になるからな﹂
烏間先生はゆっくりと刃から手をはなす。
﹁終わりですか、烏間先生﹂
﹁くっ、案外痛いものだな﹂
追い込みをかけるがそこで烏間先生に止めらる。
﹁神鳴流 斬岩剣・二連﹂
﹁にゅにゃ
スパッン先生の触手が一本切れた。
﹁津雲流 影重ね﹂
!
を奪う重さもです﹂
15
!
命を奪う重さ⋮⋮か。それをもっと速く知ってれば⋮⋮。
﹁これでわかったはずです。彼の剣術はどんなことを言っても人殺し
の剣です。貴方達にその重みが理解できるのであれば習えばいいで
﹂﹂﹂
しょう。しかし、その重みも分からないものはけっして習ってはいけ
ません﹂
﹁﹁﹁はい
なんだか、変なものだな。
﹁それでは、練習に励んでくださいね。ヌルフフフ﹂
殺せんせーはマッハで去っていった。
﹁それではナイフさばきを教える。いいな﹂
こうして、授業は再開した。そう言えばなんで殺せんせーなんだ、
そう呼んでほしいと言われたから呼んでるけど。
16
!
三時限目
あれからクラスの連中が俺に対してやけに優しくなった。勉鏡面
も教えることが多くなった。
﹁神崎さん、もう少し相手の急所を狙って、潮田はもっと相手の動きを
なんで俺だけ論外なんだよ﹂
読め、前原、余計な動きをいれるな。杉野⋮⋮論外﹂
﹁ちょっと待て
﹁動きが雑、基礎がでたらめ、視線があやふやだ﹂
ナイフさばきに関して俺に教えてほしいと願って来たのは四人だ
けだ。別に、何人でも良いんだがとりあえず烏間先生からも頼まれた
ことだし良いけどさ。
﹁おっ、頑張ってるんだね﹂ ﹁赤羽、お前は烏間先生の所だろ﹂
こいつは赤羽 業。つい最近停学が解けてやって来たけど、殺せん
せーに手入れされたようだ。
﹁しかし、女子は神崎さんだけなんだね。もっといると思ったのに﹂
﹁神崎さんは基礎しか教えてないよ。男子とは骨格とか微妙に違うか
らね女子は。だから、下手なことは教えられないんだよ﹂
俺の剣術は男子でもキツいしな。それにナイフの技術が高いやつ
はいても俺とやったら数秒で相手が負けるからな。
﹁そろそろ、射撃練習の時間か。今日はここまでにしようか﹂ ﹁そうだな、紅。お前の剣術を⋮⋮﹂
﹂
﹁無理だな﹂
﹁即答かよ
とはできないんだよ﹂
これは意地ではなく正論である。日々の積み重ねがものを言う剣
術だからこそいきなりは教えられないのである。
﹁それにしても、紅は射撃が苦手なんて意外だよな﹂
﹁うるさいぞ杉野。お前は両方駄目だろ﹂
なにも言い返せないようだな。
17
!
﹁当たり前だろ、前原。基礎もまともにできてないやつらに教えるこ
!
﹁白坂君、よかったら教えようか﹂
﹁神崎さん。でもそれだとお前の練習できないだろ﹂
﹁そ、そうだよ神崎さん。それに教えるなら俺達男子同士の方が良い
しな﹂
﹁杉野、俺は射撃の訓練は受けているが班は神崎さんと同じなんだ。
別の班のお前がわざわざ来て、先生に怒られるのどっちが良い﹂
﹁自分の班で大人しくしてます﹂
烏間先生が怒ると結構恐い。それと、杉野が神崎さんに対して好意
を抱いているのは周知の事実である。
﹁神崎さん、悪いけど教えてくれるか﹂
﹁うん、こっちも色々教えて貰ってるんだし気にしないで良いよ﹂
ついでだが、神崎有希子はクラスのマドンナ的存在らしい。どうで
も良い情報ありがとう、前原。
﹁あの、紅君﹂
﹁どうした、潮田。何か質問か﹂
﹁うん、紅君って多くの流派の型を使うけどいったい何処で覚えたん
だい﹂
﹁別に、何処だって良いだろ。それと、潮田あまり人の事気にしすぎる
なよ。お前はそれなりに才能があるんだからな、別のな﹂
潮田は俺が言ったことがどうやら理解できなく少し呆けていたの
であった。
あれから、神崎さんに銃の扱いを教えてもらうもやはり、俺には合
わないようだ。
二日後、どうやら新しい先生が来るみたいだ。しかも、選りすぐり
のハニートラップを得意とする暗殺者らしい。
﹁そ れ で は 紹 介 し ま す。今 日 か ら 英 語 の 授 業 を 担 当 す る こ と に な っ
た、イリーナ・イェラビッチ先生です﹂
殺せんせーの顔はとてつもなくダラシのないものだった。
見ている此方が呆れるくらいに。
﹁先生、私今とても、本場のジェラートが食べたいの。買ってきてくだ
さる﹂
18
典型的な色仕掛けに引っ掛かった殺せんせーはその自慢のスピー
ドでジェラートを買いに行ったのであった。
V発音
﹁それで先生、あんたの目的はなんだ。わざわざ殺せんせーを遠くま
でいかせた理由はなんだ﹂
﹁あら、もうバレたの。貴方、勘が鋭いのね﹂
﹁それでビッチ先生。どうやって殺せんせーを殺すの﹂
﹂
﹁誰がビッチよ。それだと、私が厭らしい女みたいじゃない
とB発音の使い分けもできないの
ここは名乗らない方が身のためだな。
上げるわ。それと、白坂紅って誰かしら﹂
﹁貴方達が持っている情報を全て渡しなさい。ご褒美に私がキスして
まさしく、痴女だな。
のであった。
すると、潮田に近づいたと思ったらいきなり、ディープキスをした
﹁えっと、僕ですけど﹂
﹁それで潮田渚ってどいつよ﹂
見れば。
発音は仕方ないとして、ビッチは紛れもない事実だろ。その服装を
!
俺を売りやがったな
﹁そうだけど、それがどうした痴女先生﹂
﹁あんまり、舐めた口利かない方が身のためよガキ﹂
﹁そっちこそ、あんなむさい男達と鉄と鉛の塊であの先生を殺せると
思うなよ﹂
危ないでしょ
しかもゴムなのになんで斬れる
キスしてこようとするビッチに刀を抜いた。
﹁秘剣 燕返し﹂
﹁ちょっ、ちょっと
のよ﹂
!
﹁この程度の型も避けれないようならあの先生は倒せないぜ。烏間先
髪の毛の何本かが斬れたらしく、激怒する。
!
19
!
﹁はーい、そこにいまーす。ビッチ先生﹂
赤羽
!
﹁へえ、貴方があのタコを追い詰めたって言うガキ﹂
!
生ですら、完璧じゃないにしろ避けれルんだからな﹂
このときクラスの連中はあの人は人間じゃないからと突っ込みを
いれてたらしい。あと、俺達じゃもろに喰らってると言う意見が上
がったようだ。
仕
返
し
﹁ふん、生意気なガキね。まあ、見てなさいあんなタコ何て一発で殺し
て上げるわ﹂
まあ、こう言ってるけど手入れされて終わるのが落ちだよ。
何故か、クラスの連中からも嫌われたみたいだけどな。
﹁烏間先生、俺達あの先生嫌いです﹂
﹁⋮確かに教師としては最低だが暗殺者としてはプロだ。今は彼女に
暗殺は一任されているがな﹂
﹁まあ、確かに俺の剣術を避けましたからね﹂
曲がりなりにもアサシンの技なのにな。
すると、体育倉庫から銃声が聞こえたと思ったら次に気持ち悪い男
見に行こうぜ﹂
﹁千葉は行かないのか﹂
﹁べつに、予想は着く﹂
﹁そうか⋮⋮﹂
後から聞いた話によると殺せんせーは真顔で大人には大人の手入
どうして失敗したのよ﹂
知らないけどちゃんと俺達
れがあるのですよ、と語っていたらしい。
﹁ああ∼もう
ガキの癖に﹂
まあ、そのあと烏間先生の説得なのか
そのガキに髪の毛を斬られたんだろ。
﹁うるさいわね
﹁あんたの戦略ミスだ﹂
!
の授業をするようになった。
?
!
20
達の悲鳴とビッチ先生のと思われる声が響き渡った。
﹁お、おい
﹂
!
すると俺以外の男子は殆どが体育倉庫へと向かった。
﹁前原も待て
﹁待てよ、岡島﹂
!
四時限目
来週のテストでは全員が
今 日 も 暗 殺 は で き な か っ た。誰 一 人 と し て 暗 殺 は で き な か っ た。
何故なら⋮⋮。
﹁さぁ、皆さん、張り切って勉強しましょう
五十位いないに入りましょう﹂
﹂
﹁にゅにゃ
先生は嬉しいです。紅君がやる気を見せてくれるなんて
﹁先生、もう少し範囲を広げて教えてくれよ﹂
くそれにのってしまったらしい。
先生が燃えていたからだ。なにやら、理事長から挑発を受けたらし
!
﹁最初に手は考えておくさ。初めから第三、第四の手段をな﹂
俺にも質問するのね。
の暗殺や剣術が通じなかった場合はどうしますか﹂
﹁烏間先生とイリーナ先生、それに紅君も答えてください。もし、本命
﹁殺せんせー、何で校庭なんかに呼んだんだよ﹂ 殺せんせーの顔が少しだけ黒いぞ。激怒する寸前だな。
でください﹂
﹁皆さん、少し校庭に来て下さい。後、烏間先生とイリーナ先生も呼ん
じゃ殺せんせーは暗殺できないだろ。
わ ぁ、何 通 都 合 の 良 い 頭 し て る ん だ コ イ ツ ら。そ れ だ と、お 前 達
味なんて無いんだよ﹂
﹁それにさぁ、殺せんせーを殺せば百億が手に入るんだし勉強する意
ラスの連中には勝てねえよ﹂
﹁だって、殺せんせー。俺達はE組だぜ。今さら勉強したって他のク
かった。
そう、なんだかクラスの連中はどういう訳かいつもの騒がしさがな
んが。業君はサボってしまうし、皆さんは元気がないですよ﹂
﹁それにしても皆さん。どうしたんですか。いつもの気迫がみえませ
それだとまるで、普段からやる気がないみたいに聞こえるんだが。
!
﹁私もカラスマと同じね。むしろ暗殺では最初の手段で殺せる確率の
21
!
方が低いわ。たがら、次の次の手を考えるわ﹂
﹁俺も二人の意見と同じですね。剣術は俺って言う例外を除けば、見
切られる可能性がある。だから、いくつかの手段を講じるね﹂
たぶん、これはプロとしての質問なんだろうな。
﹁ありがとうございます。三人の言うとおり、第一の手段だけでは勝
てなくても、第二、第三の手段で勝つ。これも立派な暗殺の技術です﹂
すると殺せんせーが急に高速回転し出した。
﹁すなわち自分達には暗殺があるからと言って他の事を疎かにしては
いけません。暗殺が第一の刃と例えるなら、君たちにとって第二の刃
﹂
となりうるものは勉強です。そして、第二の刃をもたないものに暗殺
なの不可能です
あまりの回転の速さに竜巻ができていたのだが、それが収まるとそ
こにはきちんと整備された校庭があった。
﹁皆さんが五十位に入らなかった時は先生はE組を去ります。後は各
国の機関に捕まらないよう過ごして地球を破壊するだけですから﹂
その言葉に烏間先生は何も言わなかった。恐らく本気だとわかっ
ているからだと思う。
えっと、地理歴史と生物分野か。
﹁えっとな、神崎さんの方は⋮⋮ってわけわかった
﹁うん、ありがとう﹂
﹁矢田さんはもっと基礎から固めよう﹂
﹂
﹁さぁ、皆さん教室に戻って勉強をしましょう。先生を殺したければ
ね﹂
﹂
これで意気込みが上がると良いんだけどな。
﹁さて、勉強しますか﹂
神崎さんか。どれだ﹂
﹁白坂君、ここ教えてくれるかな
﹁ん
私にも教えて﹂
﹁これなんだけど﹂
﹁あ、白坂君
別に良いけど﹂
?
22
!
﹁えっと、確か矢田だったか
!
﹁そこまで酷いんだ﹂
?
?
?
﹁うん﹂
﹁はっきり肯定された
﹂
﹂
﹂
?
ねえ、紅君。これって範囲外だよ
どうして勉強するの
放課後の教室だ。さすがに家にはつれていけないからな。
﹁ん
﹁潮田、あの理事長が何の対策なく殺せんせーに挑むと思うか
?
なんか、皆が唖然としてるな。
一つに範囲の拡大だ。勿論、此方に連絡なしだがな﹂
ん
﹂
ちなみに何処で今何時かって思ってるやつがいるかもしれないが、
﹁潮田か、別に良いよ﹂
﹁紅君、僕にも教えてくれる
杉野は汗をかいていたがそのまま勉強を教えた。
な﹂
﹁杉野、しっかりやらなかったら⋮⋮、どうなるかわかってんだろう
﹁紅、俺にも勉強教えてくれ﹂
﹁酷い
﹁倉橋、論外﹂
﹁白坂君、私に国語全般教えて∼﹂
張ってほしいね。
まぁ、神崎さんはけっこうできてるけど、矢田さんはもう少し頑
!
その
﹁あの完璧と強さを求める理事長だからな。これくらいの姑息な手を
使ってくるに決まってる﹂
中身が黒い塊でできたようなもんだからな
ドンだけだよ
そして、テスト当日。殆どのE組の連中は途中から解けなくなっ
た。
﹁﹁﹁⋮⋮﹂﹂﹂
重い、空気が重い
!
﹁ふーん、じゃあ先生は逃げるんだ﹂
う∼ん、これは言うべきなのか。
﹁いえ、先生のせいです。もっと、考えていれば﹂
﹁殺せんせー、すいません﹂
!
23
!
﹁よく、そんな事が思い付くな﹂
?
?
?
?
﹁なんですと
﹂ 赤羽が五教科のテスト用紙を見せた。
﹁そうだぜ。逃げるのかよ殺せんせー﹂ 俺もテスト用紙を見せつけた。
赤羽は学年四位、俺は学年六位だった。
﹂ ﹁すいません、殺せんせー。私も﹂
﹁殺せんせー、私も﹂
﹁殺せんせー、僕も﹂
﹁殺せんせー、俺もだよ
ます﹂
﹁にゅにゃ
逃げませんよ
期末テストでギャフンっと言わせてやり
殺せんせーは俯く。良く見ると、触手が震えている。
﹁このまま尻尾を巻いて逃げるのか﹂
﹁どうする、先生は逃げるの﹂
テスト用紙を見せる。皆、五十位以内だった。
どうやら、俺がみた神崎さん、矢田さん、倉橋さん、潮田、杉野は
!
!
まあ、殺せんせーもやる気出したみたいだし、期末テストも頑張り
ますか。
24
!
!
五時限目
全国の中学三年生が絶対楽しみにしているであろう、修学旅行が近
一緒の班になろうぜ﹂
づいているのである。
﹁なぁ、紅
別に良いけど。大丈夫なのか人数分﹂
ふーん、そうなのか。
﹁それで、俺と杉野、潮田、赤羽だけか
﹁あと、私です﹂
﹁えっと、あんたは⋮⋮﹂
﹁お、奥田愛美です﹂
﹁あと、私でーす﹂
﹁茅野さんかよ﹂
?
おいたのだ﹂
﹁それなら、心配するな
こんなことがあろうかと神崎さんを誘って
﹁でも、これだと女子の規定に至ってないぞ﹂
そうそう、奥田愛美だ。
﹂
﹁大丈夫だよ、紅君。何処かの班は7人になる事になってるから﹂
﹁
!
ら、本人の意思で言うべきだ﹂
﹁まあ、本人じゃない俺が言うのはこれくらいにしてやるよ。ここか
﹁うっ﹂
﹁そんなので話しかけられないって結構キツイ事だぞ﹂
その言葉に杉野は何も言わなかった。
だろ﹂
﹁そうなのか。でも、それって単に男子共が話しかけにくいってだか
﹁あのな、神崎さんはクラスのマドンナ的存在なんだぞ﹂
はっきり言って誰が一緒に行こうがどうでも良い。
﹁興味がないからな﹂
﹁紅、お前反応薄いな﹂
﹁ふーん、そうなのか﹂
そこには、神崎さんがいた。
!
25
?
この後、殺せんせーが無駄に張り切って無駄に厚い修学旅行のしお
りが配られたのであった。
そして、当日。
﹁それにしても、ビッチ先生の服装はアウトだったよな﹂ ﹁金持ちばっかり相手してきたから、庶民の間隔が良くわからないん
だよ﹂
確かにあの服装はアウトだよな。
﹁なにか、飲み物飲みますか﹂
﹁俺はお茶が飲みたいです﹂
﹁私も一緒にいきます﹂
﹁じゃあ、僕はオレンジジュース﹂
﹁俺はいいや﹂
﹁俺も良いわ﹂
神崎さんと奥田さんは飲み物を取りに行ってくれた。
﹁ていうか、殺せんせーはどうしたんだ﹂
﹁たぶんだけど、駅の地下にあったジェラートを買ってるってさっき
連絡がきたよ﹂
何やってんだあのタコ⋮⋮。
﹁それにしても、京都、奈良か⋮⋮﹂
﹁どうしたの、紅君。元気ないじゃん﹂
﹁あっちの地方に行く修学旅行生って多いじゃん。木刀でも買ってお
きたいんだけど、その木刀を売ってる店って少ないだろうなって﹂
刀なしだと、結構キツイからな。
﹁大丈夫だよ、木刀が売っていたら言ってあげるよ﹂
﹁サンキュウ、赤羽﹂
そのあと、次の駅で殺せんせーは乗ったが意外だったのは殺せん
せーが乗り物に弱いことだった。
﹁よかったね、木刀が買えて﹂
﹁ああ、奈良で買えたのは良いことだ﹂
まさか、わざわざ京都に着いたのにそのまま奈良に直行する理由が
わからなかったぜ。
26
﹁まあ、2泊3日なんだし気楽にいこうぜ﹂
﹁神崎さん、学生手帳見つかりましたか﹂
どうやら神崎さんは手帳の裏に日程など書いてあったのだがそれ
を無くしたらしい。
そのまま二日目になり、班行動になり何処で暗殺してもらうか考え
ながら京都の町を歩いていた。
﹁それにしても、祇園って奥の方は人気が少ないんですね﹂
﹁そうだね、奥田さん。もともと、一見さんお断りのお店が多いから
ね﹂
まあ、祇園だからな。
すると、前方と後方に人の気配を感じた。
﹁赤羽、築いてるか﹂
﹁うん、前方と後ろに何人かいるね﹂
すると、学ランをきた男子が現れた。どうやら、俺達と同じ修学旅
﹂
﹂
意識を飛ばされたのであった。
﹁しら⋮⋮さか⋮⋮。⋮⋮さか、くん。白坂君
﹁ああ、大丈夫だよ﹂
﹂
﹁あいつら、犯罪しなれてるな、車のナンバープレートも隠されたし
くそ、スタンガンなんて何処で手にいれるんだよ。
!
27
行生みたいだな。
﹁あんたら、いったい何の用だい﹂
﹁男は要らねえ。女だけ置いて立ち去りやがれ﹂
﹁悪いね、そう言うわけにはいかないんだよ﹂
﹂
とりあえず、木刀に手をかけておくか。
﹁うるせえ、さっさとやるぞ
﹁なっ
赤羽もかよ
﹁がっ
潮田と杉野はそうそう、気絶させられてるのかよ。
ヤバイな、これは人数が多すぎるかな。
!
これは普通に気絶させられといた方がいいな。
!
!
!
な。さて、どう料理してやろうか﹂
うん、持ってるけど﹂
﹁赤羽、落ち着け。潮田、しおり持ってないか﹂
﹁え
バックの中から異常な厚みのあるしおりが出された。
﹁あの先生の事だから、こう言うときに何処に連れていかれやすいか
調べられてるはずだ﹂
なんだか、余計なお世話だと思うものまであるけど気にするな。
﹁ここみたいだな﹂
先程の車があった。
﹁さぁ、取り戻しにいきますか。入り口にいるやつらは俺が何とかす
るから、合図したら出てきてくれ﹂
俺の言葉に皆頷く。
﹁それじゃあ、行くぜ﹂
鞘付きの木刀でよかったぜ。
﹂
﹁飛天御剣流 龍縋閃﹂
﹁がぁ
﹁龍縋閃・惨﹂
ふぅ、片付いた。
﹁いいぞ、出てきて﹂
後ろからぞろぞろ出て木きた。
﹁速いね今の剣術﹂
﹁説明は後だ。行くぞ﹂
そのまま中に入っていった。
﹁そう言えば、渚くんは殺せんせーに連絡したんだよね﹂
﹁うん、一応念のために﹂
﹁それより、速く神崎さん達を助けようぜ﹂
﹁どうやら、この奥みたいだぞ﹂
﹂
たどり着いたのは大きな扉の前だった。
﹁覚悟はいいか
四人は頷く。
?
28
?
﹁てめえ﹂
!
﹁ちっ、もうバレたのかよ
﹂
﹁野郎共、行け
﹂
﹂
赤羽の目が光っていやがる。
﹁じゃあ、こっちはこっちでヤっちゃおうか﹂
遅れるようだぞ﹂
﹁殺せんせーは多分、コイツらの増援部隊みたいなやつらの手入れで
そこには、十人くらいの男達がいた。
らな
﹁だけど、お前達に勝ち目はないぜ。こっちの方が人数は多いんだか
そこには縄かなにかで縛られている二人がいた。
もな﹂
﹁あんたらが土地勘のあるやつらだったらもう少し時間が掛かったか
!
﹁津雲流 雷華、雪花﹂
﹁く、コイツ強すぎだろ
お前らが弱いんだよ。
動くな
﹂
その木刀を捨てろ
﹁さあ、あんた一人だけだ﹂
﹁くっ
!
!
﹂
やっとついたのかよ。
﹁殺せんせー
先公まできたのかよ。エリートどもめ
﹂
﹁先生の生徒にハエのような手で触れないでいただきたい﹂
だ。
どうやら、隠し持っていたナイフで神崎さん達を人質に取ったよう
殺すぞ﹂
さもないとこの女達を一人づつ
次々に相手を薙ぎ倒す。これ以上飛天御剣流は使えないな。
﹁飛天御剣流 双龍閃、双龍閃・雷﹂
﹁時雨蒼燕流攻式一ノ型 車軸の雨﹂
奥田さん直ぐに隠れ潮田と杉野のも臨機応変に相手をする。
隠れてて﹂
﹁行くぜ、潮田と杉野も手伝える範囲は手伝え。奥田さんは何処かに
!
!
﹁遅いですよ、殺せんせー﹂
﹁ちっ
!
!
29
!
!
!
﹁黙りなさい
確かにこの子達はエリート学校にいる生徒ですが、差
別を受けながらも全うに生きています。貴方達のように自分を卑下
せず前に進んでいるのです﹂
まあ、コイツらがこうなった理由もわからなくないわけじゃないけ
どな。
﹁時雨蒼燕流攻式三ノ型 遣らずの雨﹂
見事に頭に当たったらしくそいつは気絶した。
﹁大丈夫か⋮。これって﹂
落ちたナイフを拾い、縄を斬ると男の携帯に一人の女子の写真が
あった。
﹁これって神崎さんか﹂
﹁う ん。⋮⋮ 家 の 父 親 は ね、弁 護 士 な の。娘 で あ る 私 に も 同 じ 道 を
通 っ て 欲 し い み た い で、こ の 学 校 に も 強 制 的 に 入 学 さ せ ら れ た の。
色々あってストレスを感じちゃって⋮親に黙ってたんだけどバレ
ちゃって、親にも色々否定されたんだ。自分の夢も目標も﹂
なるほどね。これはコイツの闇か。
﹂
﹁別にいいんじゃねえ、これくらい﹂
﹁え
﹁これはあんたの人生だ。親が何と言おうと知ったことかよ。あんた
がやりたい道を選んで進んでいけよ。それで親が、あんたの場合は父
親か。あんたの夢や目標を否定するなら、俺があんたの夢や目標を肯
定してやるし守ってやるよ。喩え親ですらお前に味方しなくても俺
がお前の味方でいてやるさ。だから、そんな目をするなよ﹂
泣き出しそうな神崎さんの頭に手を載せて撫でやる。携帯は割っ
といたけどな。
﹁ありがとう、白坂君﹂
不覚にもその笑顔にドキッとしてしまったのは内緒だ。
﹁さあ、戻ろうぜ。神崎さん﹂
別に良いけど。有希子、これでいいか﹂
﹁ねえ、白坂君。有希子って呼んでくれない。私も紅君って呼ぶから﹂
﹁ん
30
!
上げた目はとても悲しい色をしていた。
?
?
﹂
何故か名前を呼んだら顔を赤くする有希子だった。
﹁これは完全に惚れたね﹂
﹁杉野、ドンマイ﹂
﹁えっと、これって僕も何か言った方がいいの
﹂
﹁なにしてんだ
﹂
﹁おお、白坂か。お前に質問なんだけど気になる女子っているか
のクラスに﹂
気になる女子か⋮⋮。
﹂
﹁有希子と矢田さん、倉橋さんかな﹂
﹁何で三人なんだ
こ
旅館に戻るとお風呂に入り部屋に戻ると男子達が何かをしていた。
する。
その笑顔を見たとき少しばかり有希子に興味が持てたような気が
﹁うん、紅君
﹁さあ、行こうぜ﹂
顔がウザイ。
なんだか、騒がしいな。こいつら。あと、殺せんせーのそのニヤケ
?
女子で﹂
?
知るかそんな事
﹁この三人が結構話す回数が多いからか
何で疑問系なんだって
?
そこには、何か書かれている紙をメモっている殺せんせーがいた。
このクラスに﹂
この後、秘密を守るべく男子達は立ち上がった。︵俺と赤羽以外︶
女子side
﹁ねえねえ、皆は気になる男子っている
﹂
︵神崎、倉橋、矢田だけである︶
﹁メグはやっぱり磯貝
私もいないわよ﹂
﹂
な に や ら、不 破 が こ の 質 問 を し た 瞬 間 何 人 か の 女 子 は 固 ま っ た。
?
﹁違うわよ。それに私にはそんな人はいないわ﹂
違うわよ
!
?
﹁じゃあ、速水はって聞く必要ないよね。千葉でしょ
﹁なっ
!
31
!
﹁それより、良いのか。そのタコを放置しておいて﹂
!
?
?
?
不破がランダムに指していき、神崎が指された。
!?
﹁じゃあ、神崎さんは
﹂
えっと、私は⋮⋮﹂
誰々﹂
﹂﹂﹂
﹁白坂紅君
﹂
﹁﹁﹁もう一回﹂﹂﹂
どうやら一度では聞き取れなかったようだ。
﹁﹁﹁え
﹁しら⋮⋮くん﹂
﹁えっ
その反応に乙女達は群がる。
﹁⋮⋮うん︵ 〃▽〃︶﹂
神崎は誰の事を思い浮かべたのかはわかりますね。
﹁おっ、その反応もしやいますな﹂
﹁えっ
!
マジで﹂
!
﹁﹁﹁えっ
﹂﹂﹂
﹁﹁まさか、神崎さんもとは﹂﹂
﹁白坂って⋮⋮、え
その言葉に全員が絶句する。︵倉橋と矢田は驚きの余り︶
!
あいつのどこが良いの﹂
全員が確かにと頷く。
術の事もだけどさ﹂
﹁それにしてもさ、私たちって案外さ白坂の事知らなくない。あの剣
てしまった。だが、その顔は何処か幸せそうだった。
それをみた瞬間三人は茹で上がった蛸のように真っ赤になり、倒れ
きに上がった名前です﹂
﹁男子達が白坂君にクラスの女子で気になるのはという質問をしたと
いつのまにかいた殺せんせーがあるメモを渡す。
﹁そんな三人にビックニュースです﹂
なんだか、意外だったようだ。
﹁何だかんだで面倒見良いしね﹂
﹁素直だし﹂
﹁紅君は優しいよ﹂
﹁なんで
矢田と倉橋の言葉に更に驚く。
!?
?
32
!
!
?
﹂
﹁先生はある程度は知っていますよ﹂
﹁そうなんですか
話は修学旅行が終わったあと聞きましょう﹂
﹂﹂﹂
﹁さあ、皆さん就寝の時間ですよ﹂
﹁﹁﹁はい
﹁まあ
女子全員がへえーと声をあげる。
ましてね﹂
﹁ええ、以前彼の剣術を受ける代わりに話を聞くというのを条件にし
?
こうして、修学旅行は終わりを告げるのであった。
33
!
!
六時限目
﹁今日は、クラスの絆を強めるため自分の秘密を一つ明かしましょう
﹂
また、先生が意味のわからない事をはじめてぞ。
﹁というか、ぶっちゃけ皆さんの意見はとってあります﹂
﹁おっ、準備良いね殺せんせー﹂
﹁ええ、先生はできる先生ですから﹂ 最近になって白坂君を下の名
なんだ、あのどや顔は⋮⋮。あと、さっきから嫌な予感しかしない
んだけど。
﹁俺は意見聞かれてないんだけど﹂
﹁さぁ、最初に聞かれるのは神崎さん
最初は神崎に対する質問か。
﹁えっと、それは⋮⋮﹂
なんか、モジモジしてるけどどうしたんだ
?
前で呼ぶようになりましたが、どう言った心境の変化ですか﹂
!
そ、そうですね。因みにこの質問をしたのは杉野君、矢田
﹁このままだと進まないんで次にいったらどうですか﹂
﹁にゅにゃ
﹂
﹁続いて、これで最後です﹂
﹁質問すくな
この時間はいったいなんなんだ
!
﹁まともな質問どうも﹂
さて、これは本当の事話した方が良いのか
﹁本当の事話さないと補習ですよ﹂
﹁﹁﹁む、無限
﹂﹂﹂
大きいけどね﹂
﹁はぁ、わかったよ。俺が使える剣術は無限だよ。これは俺の才能が
?
すかって質問ですね。これはクラス全員の質問ですね﹂
﹁白坂君が使う、剣術についての質問ですね。幾つの剣術があるんで
!
ほう、矢田さんと倉橋さんは置いといて杉野はブッコロス。
さん、倉橋さんです﹂
!
!
34
!
この反応は予想通りだよな。
﹁俺は聞いたり見たりした剣術は模倣ができる才能があるんだよ。だ
から、ある意味では剣術が無限に存在する限り俺の剣術は無限にある
に等しいんだよ﹂
﹁ですが、弱点もありますね﹂
先生は鋭いね。
﹁その通り、俺の体格に合わない剣術は使えない。さらにいうなら超
人的な技は使える数は限られるけどな﹂
﹁じゃあさ、あの津雲流とか無音流もなんかの模倣なのかよ﹂
﹁いいや、あれは俺のオリジナルだよ。師匠、一応いるけどその人から
言われたんだよ。自分だけの流派を作れってな﹂
偽物は所詮偽物でしかないんだから。
﹁質問はこれで終わりだろ﹂
﹁確かに終わりですが先生から質問があります。今までのはクラスの
い
35
皆さんからのですからね﹂
先生と生徒は別ってわけか。
じ
﹁白坂君は真剣を持っていますか﹂
﹁持ってますよ、二本ほど。祖父ちゃんから受け継いだのがね﹂
本当は父さんが受け継いでから、俺に渡るはずだったんだけどね。
﹁なるほど、白坂君の家は元は武士の家系ですか﹂
﹁まぁね﹂
武士の家系かは俺自身も余り知らないんだけどね。
﹁もういいか、質問の方は﹂
﹁これが先生からの最後の質問です。何時から他人に興味を持たなく
なったんですか﹂
﹁⋮⋮﹂
⋮⋮何時からか。
﹁小学生の時からだよ﹂
先生は何処か納得した表情をした。
﹂
﹁そうですか、それではこの辺にして授業を始めましょうか。それと
明日は転校生がきます
!
なんか、喜んでるけど転校生か。
﹁転校生ね、いったいどんなやつだろうな﹂
﹁そうだね、どんな暗殺転校生だろうね﹂
﹁うーん、そうだね楽しみだなぁ﹂
﹁赤羽、お前は悪戯するつもりだろ﹂
最近は良く赤羽と潮田とごく稀に有希子と帰ることが多くなった。
たまあに、矢田さんと倉橋さん、有希子と俺と言う面子で帰ることが
ある。
﹁そ れ に し て も、驚 い た よ。白 坂 君 の 剣 術 っ て 殆 ど が 模 倣 し た も の
だったなんて﹂
﹁まあ、剣術と模倣の才能は師匠が見つけてくれたんだけどね﹂
あれからキツかったな⋮⋮。
﹁それじゃあ、この辺でじゃあな﹂
﹁うん、じゃあね﹂
呼んでいる訳だしな﹂
﹁ふーん、じゃあ私の事桃花って呼んでよ。私も紅君って呼ぶから
﹂
なんだか、威圧感があるな。でも、なんだか興味が少しわいた。こ
﹁私も陽菜乃って呼んでよ。二人と同じように紅君って呼ぶからさ﹂
!
36
﹁じゃあな﹂
こうして、二人と別れたのであった。
﹁そう言えば、今日だっけか。転校生が来るって日﹂
﹂
昨日、殺せんせーは今日だって言っていたような。
﹁おはようってなんだあれ
﹂
?
﹁べつに、深い意味はないぞ。ただ、そう呼んで欲しいと言われたから
﹁ねぇ、なんで私とひなのっちは名字で、神崎さんは名前で呼ぶの
﹁おはよう、矢田さん倉橋さん﹂
奥の方から矢田さんと倉橋さんがあいさつしてきた。
﹁白坂君、おはよう﹂
﹁おはよう、白坂君﹂
﹁そうなのか、ありがとう有希子﹂
﹁おはよう、紅君。あれが転校生みたいだよ﹂
?
んなこと有希子の時以来久しぶりなのかもな。
﹁はいはい、そこで朝からラブコメ展開してなくて良いからねー﹂
﹁ラブコメではないぞ、中村さん﹂
それ以上俺を不愉快にさせるなよ﹂
﹁えっ、何まさかハーレムでも築くつもり﹂
﹁何言ってんだ
﹁白坂君、それ以上はダメだよ
﹂
﹂
なにやら、不破さんまでもが入ってきた。
﹁それって、危ないから
﹁わかってるってただ、剣圧を飛ばすだけだよ﹂
!
﹂
﹁はい、席について⋮⋮、ど、どうしたんですか
気が
白坂君から異常な殺
対先生用の刀にてを伸ばすと、慌てて潮田がわって入る。
?
I
の射撃により、まともに授業ができないでいた。
﹁弾の掃除は俺らがやるはめになるとは﹂
﹁いやいや、白坂君の周りには殆どないじゃん﹂
そりゃあ、殆ど剣で弾き飛ばしたからな。
そいつが自律思考固定砲台さん
?
﹁明日もこれが続くのか﹂
二日目は寺坂だったか
テでガンジガラメ張ったため掃除せずにすんだ。
まぁ、可哀想には見えたけどな。
三日目、教室に入ると⋮⋮。
をガム
この予感は余りにも当たっており授業中は自律思考固定砲台さん
なんだか、余り良い予感がしないんだが⋮⋮。
﹁はい、こちらこそよろしくお願いします。殺せんせー﹂
さん﹂
﹁わかりました。それではよろしくお願いします、自律思考固定砲台
ぞ﹂
人工知能だが、生徒登録はされている故に貴様は手出しはできない
A
﹁まったく、それでは紹介する。転校生の自律思考固定砲台さんだ。
た。
この後、殺せんせーと一緒にいた烏間先生に止められたのであっ
!
!
?
37
!
﹁おはようございます、白坂君﹂
盛大に改造されていた。
﹁全方位タッチパネル式なのか﹂
﹁はい、触られた感覚もバッチリです﹂
﹁ふーん﹂
白坂君のエッチ
﹂
何気なくさわってみると。
﹁やん
何騒いでいやがる。結局そいつはヘッポコ機械なのは変わら
なんだか、涙流してるぞ。
﹁寺坂か2次元の女の子泣かせた
!
﹂
!
﹁﹁﹁竹林
それが初台詞だぞ、いいのか
!
?
に逆らったらしい。
﹁それにしても、名前長いしなんか良い呼び名はないのか
﹂
すると、出てきたのは花束だった。どうやら、自分の意思で開発側
﹁また、あの日々が始まるのか﹂
初期化されていた。
そして、四日目案の定俺と赤羽の予想通り自律思考固定砲台さんは
赤羽の言うとおり、俺達が良くても開発側は黙ってないだろうな。
﹁そうだね。でも、これが開発者が許すかだよね﹂
﹁それにしても、本当に 変わったな﹂
﹂﹂
﹁良いじゃないか、Dが一つとれただけで。ああ2次元甘美な言葉だ﹂
﹁誤解されるような事をいうな
﹂
わなければ協調性がないのですから﹂
﹁そうですね、寺坂君の言うとおり私はヘッポコです。こうしてもら
ないだろ﹂
﹁けっ
とか、陽菜乃は視線だけで人を殺せたらとか言っていたらしい。
てなかったとか、桃花は自律思考固定砲台さんにエアガンを向けてた
後から話を聞いたところ有希子は顔は笑っているのだが目は笑っ
んだが気のせいか﹂
﹁いや、普通に画面に触れただけじゃん。あと、なんか一瞬寒気がした
!
ほんと、騒がしいクラスだな。
!
38
!
!
﹁それなら、律に決まったらしいよ﹂
﹁そうか、じゃあそう呼ぶことにするわ﹂
39
七限目
なんだか、知らないが父方の祖父から呼び出しがあり、今日は仮病
で学校の方を休み父の実家がある岐阜の山奥に向かっていた。
﹁急にどうしたんだ。今までこんなことは無かったんだがな﹂
小さい頃は良く遊びに行っていたし、修行もつけてもらっていた。
だけど、ここ最近は顔も出していなかったような。
﹁まあ、嫌いじゃないし。ていうか、着いた﹂
目の前には武家屋敷が広がっている。元々先祖がなのある武将ら
しいけど、名前はとくに興味が無かったから聞かなかった。
﹁こんにちは、白坂紅が参りました﹂
﹁おお、やっと来たか。紅﹂
奥の方から見た目五十代の男の人がやって来た。
﹁久しぶりだね、祖父ちゃん﹂
いつもなら、直ぐに
40
﹁おう、久しぶりだのぉ﹂
この人が祖父ちゃんである。一応、剣術を習うときは師匠と呼んで
いる。そう、この人が殺せんせー達に話した師匠兼祖父ちゃんなので
ある。
﹁相変わらず元気そうで何よりです﹂
﹁なに、まだまだ死ねぬよ。紅が彼女の一人でも紹介してくれぬ限り
な﹂
あ
この調子だとまだまだ、生きていくつもりだな。
ば
﹁それにしても、今日は祖母ちゃんはいないのか
来るのに﹂
﹁ばあさんなら、今頃雉でもとってきておるよ﹂
﹁それって普通逆じゃね﹂
﹁細かいことは気にするでない﹂
きじゃないかな。
﹁ただいま、戻りましたよ。あら
紅ちゃんもう来てたのかい﹂
これは普通祖父ちゃんが雉を取りにって、祖母ちゃんが家にいるべ
?
今、雉と猪を引きずって門を潜ったのが祖母ちゃんである。その力
!
は何処から出てるんだよ
﹁久しぶり、祖母ちゃん。いつも元気だね﹂
﹁何言ってんの。紅ちゃんがお嫁さん連れてきてくれるまで死ねない
よ﹂
うん、こっちもまだ生きていきそうだね。
﹁待っててね。今からお昼の用意するからね﹂ ﹁うん、じゃあ祖父ちゃんと一緒に居間にいるから﹂
﹁何言ってる。これから道場に行くんだよ﹂ ハードだなもう⋮⋮。
因みに昔は町中で剣術の教室を開いていて父の紹介でそこに通っ
ていたのである。
﹂
﹁それじゃあ、行くよ祖父ちゃん
﹂
!
﹁無駄無駄
もっと打ってこい
﹂
!
﹂
﹂
!
﹂
見ると祖父ちゃんの胴着の二の腕の部分が斬れていた。
﹁スゴいのう。ワシにかすり傷をつけるとは﹂
﹁すごっ
予想外だったのかそれでも全ての突きを剣で流す。
﹁っ
﹁扇歌乱れ突き
祖父ちゃんは一段と険しい表情で構えをとる。
﹁おっ、とうとう奥義を完成させたか﹂
﹁津雲流奥義一ノ型⋮⋮﹂
この人は昔から化け物なんじゃないかって思うんだよ。
!
﹁津雲流 月花円舞、九重突き﹂
﹁まだまだ、甘い
﹁津雲流 雪花・乱﹂
弾きながら後ろに飛んだよ。本当に70代のお爺ちゃんかよ。
﹁ふん﹂
﹁津雲流 雷華﹂
こうして、手合わせをするのは数年ぶりなものである。
﹂
﹁おう、久しぶりに掛かってこい
!
!?
41
!
!
!?
﹁竹刀でこの威力。真剣だったら危なかったのう﹂
﹁それでもかすり傷なのね﹂
俺は苦笑いを浮かべるしかなった。
﹁それじゃあ、二つ目の流派いってみよう﹂
﹁その前にご飯ですよ﹂
そこには、鍋を持った祖母ちゃんが立っていた。
﹁おっ、そんな時間かそれじゃあ続きはこの後な﹂
﹁そうだね、そうしようか﹂
道場を汚すと大変なので近くにある居間で食べることになった。
﹁それで紅よ。学校の方はどうじゃ楽しくやっているか﹂
﹁うん、まあ楽しくやっているよ﹂
﹁彼女の一人は作らないのかい﹂
﹁祖母ちゃん、俺はそう言うのに興味がないから﹂
﹁なんだい、祖父ちゃんなんて昔はな﹂
﹁なんですか、昔は﹂
﹁いえ、何でもないです﹂
祖父ちゃんは昔は大層モテたそうだけど、その話をすると祖母ちゃ
んが嫉妬してすさまじい殺気を放つ。
﹁でも、意外だな。祖母ちゃん意外で付き合ったら人がいないなんて﹂
﹁紅、後で話し﹁紅ちゃんは知らなくていいんだよ、ねぇ祖父ちゃん﹂
⋮⋮はい﹂
見事に尻に敷かれている。父の家では女が強いらしい。そのせい
か、父もよく尻に敷かれていた。
﹁はぁ、食った食った﹂
﹁祖父さん、お茶ですよ﹂
﹁おう、ありがとな﹂
﹁紅ちゃんもどうだい﹂
﹁いただきます﹂
普段は優しいけど祖父ちゃんの女話の時はさっきほど話した通り
豹変する。
﹁さあ、さっきの続きだぞ。紅﹂
42
﹁わかったよ﹂
もう一度、道場に向かうことになった。
こい
﹂
﹁それじゃあ、いくよ﹂
﹁おう
﹂
﹂
!
﹁速いが威力が足りん
﹂
﹁無音二刀流 絶刀二十連斬﹂
﹁いきなり、それはないぞ
﹁無音二刀流 巴崩し、風斬り﹂
﹁甘い
﹁無音二刀流 双刃﹂
お互いに構える。さっきと違うとしたら俺が二刀流なことだけ。
!
﹂
!
﹂
!
かけて斬りかかる。
ワシを殺す気か
﹁これを防ぎますか﹂
﹁紅
﹂
まだ、さっきの事引きずってるのか
!
﹁紅ちゃん、惜しかったわね﹂
﹁祖母さんも何言ってんだい
﹂
防ぐも、体の回転を利用して一つは首もとにもう片方は下から首に
﹁ぬおっ
﹁羅刹殺し
﹁ほう、いきなりニノ型か﹂
﹁無音二刀流奥義ニノ型⋮⋮﹂
こうまで防ぐのかよ。だったら⋮⋮。
!
!
なったのであった。明日も学校休みか。
43
!
!
まあ、この後ぎゃあぎゃあ騒ぎ。明日もここで剣術をすることに
!
!
八限目
昨日、一昨日と休んでいたら結構大変なことになっていたらしい。
興味がないから、内容は省く。
﹁よう、明日から烏間先生の代わりにお前達の体育の授業をすること
になった鷹岡明だ。これは親睦を深めるために買ってきたケーキや
スイーツだ﹂
な に や ら 新 し い 先 生 が 来 た ら し い。皆 は 嬉 し そ う に 食 べ て い た。
殺せんせーもそのなかに混ざっていたが。
﹁どうした、白坂君。君は行かないのか﹂
﹁烏間先生、鷹岡の事調べておいて損はないと思いますよ﹂
﹁どういう意味だ﹂
烏間先生が険しい表情をする。
﹁先 生 だ っ て 築 い て い る ん で し ょ。あ の 鷹 岡 っ て の 奴 本 性 は 別 に あ
るって﹂
﹁⋮⋮﹂
築いているようだな。まあ、余り話さないけど。
﹁先生、迷うってことは何処かでもう答えは見つけてあるって事です
よ﹂
﹁⋮⋮ふっ、まさか生徒に論されるとはな。わかった調べておくよ﹂
その顔は何処か清々しいものであった。
﹁白坂君、君は確か真剣を持っているらしいな﹂
﹁ええ、持ってますが﹂
﹁できればで良い。明日は持ってきておいてくれ﹂
先生が何を考えているかは分からないけど⋮。
﹁わかりました、念のため持ってきます﹂
﹁頼む﹂
そう答えるしかないじゃないか。
家に帰って直ぐに俺は二本の刀を手に取った。一本はながなかっ
た名刀である刀、もう一本は天下五剣の一つ⋮。
﹁使うことがなければ良いんだけどな﹂
44
そう言って二本の刀をバックの隣に置いといた。
﹂
盛大に寝坊しました。
﹁寝坊するとは、なん足る失態﹂
そう
﹁つ、着いた
﹂
そこでは、まるで軍隊のような訓練を受けている。仲間の姿があっ
﹂
た。なんだ、認識はもう仲間なのか。
﹁烏間先生、これは
急いで、すぐ近くにいた烏間先生に話を聞いた。
﹁白坂君か。すまない。止めることはできなかった﹂
﹁良いんです。烏間先生も止めようとしたんでしょ﹂
﹁白坂君、君もいくのですかって、その刀はなんですか
﹂
殺せんせーは盛大に驚いていた。
﹁二つとも名刀ではないですか
﹁彼は今その血筋を制御しています。そして、その血筋とは⋮⋮﹂ ﹁一体どういう血筋なんだ﹂
殺せんせーは白坂の後ろ姿を見ながら話した。
筋でしょうか﹂
が。とある、不思議な血筋でした。いえ、不思議ではなく、凶悪な血
﹁彼はといっても母親の血筋らしく、もう母方の親戚いないようです
殺せんせーはその問に頷いた。
﹁なによ、あのガキはそこまでスゴい血筋なの﹂
﹁烏間先生とイリーナ先生には話していませんでしたね﹂
﹁元々そう言う血筋とはどういう事だ﹂
そう言って鷹岡の所まで歩いていった。
す。元々そう言う血筋なんですから、半分は﹂
﹁大丈夫です、殺せんせー、それに烏間先生。もう、覚悟はできていま
﹁ですが、生徒にこんなことさせられません﹂
二つの名刀は煌めく。
曾祖父ちゃんが国から買い取ったらしいよ、一本はね﹂
ひ い じ い
﹁まあ、ね。もともと、ご先祖様が持っていたものだからね。其を俺の
!
!
!
殺せんせーから発せられた言葉に烏間先生とイリーナ先生は戦慄
45
!
!
する。
﹁おい、どうした。まだ、訓練は終わってないぞ
﹁もう無理、烏間先生﹂
﹁﹁﹁
﹂
﹂﹂﹂
潮田の方を見ると悔しそうな顔をしていた。
﹁そうか、ありがとう﹂
﹂
﹁えっと、神崎さん、前原くん。渚くんが危なかった﹂
﹁桃花、こいつにぶたれたのは誰だ﹂
その言葉を無視して、桃花に向き直る。
﹁父ちゃんに生意気な口をきくなお前は﹂
﹁お前、一体何人叩いた﹂
俺は鷹岡の腕を掴んでいた。桃花がぶたれる前に。
﹁紅君
﹁ああ、お前は確か﹂
﹁おい、そこまでにしろよ﹂
矢田さんが叩かれる寸前、その手は捕まれた。
な﹂
﹁おい、今なんって言った。父ちゃんの前で他の男の名前を口にする
!
一瞬で潮田の位置まで行くと驚いた表情をする。
﹁うん、ごめん。守れなかった﹂
﹁いいよ、今回は少し運が悪かっただけだ。本当ならお前が勝ってた
よ﹂
潮田を慰めた後、鷹岡に向き直る。
さあ、久々に使うか。
﹁おい、あんた覚悟はいいか。仲間を傷付けたことを後悔する覚悟は﹂
﹁なにを言っている。お前みたいのがまるで俺に勝てるかのようじゃ
ないか﹂
﹁ああ、勝てるさ。さあ、武器を取れよ﹂
いいぞ。そこのチビみたいに泣いて謝らせてやる﹂
鷹岡の表情が歪む。バカにされたと勘違いしているようだ。
﹁ふざけるなよ
!
46
!
﹁潮田、頑張ったな。才能は開花したみたいだけど少し遅かったか﹂
!?
﹁潮田が泣いた
違うだろ。こいつは泣いてなんかない。お前に勇敢
に戦った暗殺者だ。俺とは違うな﹂
そう言って、片方の刀に手をかける。
﹁すこし、離れてくれるか。巻き込みたくない﹂
﹂
クラスの連中は俺の言葉を聞き、距離をとった。
﹁さぁ、武器はとったか﹂
﹁ああ、取ったぜ。さあ、教育してやるよ
﹂
んでくれ。そうすれば全て終わるから﹂
﹁ど、どういう事だよ
﹁見ればわかるさ﹂
﹁なに、訳のわからないこといってやがる
﹂
﹁さあ、覚悟はいいか。お前が相手するのは最凶の血筋だぞ
手をかけておいた一本の刀を抜く。
!
感じた。
﹂
﹁無音流 刀剣円舞﹂ ﹁な、に
﹁そんなものかよ⋮⋮﹂
凶
﹂
そう、そこにいるのはいつもの紅君じゃないみたいだった。
﹁というか、なんだか雰囲気変わってないか﹂
﹁杉野君、ううん、見えなかったよ﹂
﹁おい、渚。見えたか今の﹂
見えなかった。紅君がなにをしたのかまったく。
渚side
ああ、目を醒まさせた。俺の殺人衝動が。
最
本物のナイフを持って俺の事を襲いかかる。そのスピードは遅く
!
﹁これから俺は俺でなくなる。だから、もしもの時は殺せんせーを呼
かないとな。
クラスメイトであり、これから俺を拒絶するだろう仲間に話してお
﹁安心しろ。全部峰打ちで終わらせてやるよ。それと⋮⋮﹂
この血に頼るのは本当は嫌なんだけどな。
!
!
47
?
遅い、遅すぎる。
!
紅君。
﹂
﹂
﹁渚、なんだか怖いよ。⋮⋮今の白坂君﹂
﹁⋮⋮茅野﹂
どうしたんだい
渚sideend
なにをしたっ
﹁どうした、そんなものかよ﹂
﹁お前
なんなんだよ﹂
﹁⋮や、⋮⋮め﹂
それ以上はよせ
そのまま永遠に型を放つ。
﹁や、やめろ
﹂
!
ああ、うるさいなぁ。
﹁磯貝の言うとおりだ。やめろ
白坂
﹁無音流 螺旋突き、乱刀斬り風﹂
﹁や、め⋮﹂
﹁旋風迅雷﹂
﹁やめ⋮⋮﹂
﹁無音流 烈風鎌鼬﹂
ああ、本格的にヤバイかも。
﹁楽しいなぁ﹂
﹁や、やめ⋮⋮﹂
次々と型を放つ。ああ、なんだろ。
﹁無音流 龍華・乱、乱華一閃﹂
﹁があ
﹁うるさい。無音流 白桜・惨﹂
!
!
﹁﹁なっ
﹂﹂
﹁無音流 一刀乱舞﹂
﹁ぎゃあああああああああ﹂
あはははは﹂
俺は見事に鷹岡の指二本を切断した。
﹁いいね、その悲鳴最高だよ
E組side
その様子をみて殆ど生徒が目を覆う。
!
48
!
!
﹁黙っててよ。今、楽しんでんだからさ﹂
!
!
!
!
﹂
﹁ひどい、ここまでするなんて﹂
﹁このままだと。ヤバイぞ
さらに技を放つ。
﹁無音流 旋風螺旋﹂
白坂にヤらせるな﹂
何聞こえないや﹂
﹁そこまでです、白坂君。少し手荒でありますが許してください﹂
奥義が放たれたらた瞬間誰かに阻まれたような気がした。
﹁無音流奥義一ノ型 絶刀・紅桜﹂
刀を鞘に収めて抜刀の構えをとる。
﹁もういいや、あんた死になよ﹂
はぁ、なんだかつまらなくなってきたな。
﹁ぎゃあああああああ﹂
﹁え
﹁や⋮⋮やめ⋮⋮やめて⋮⋮くだ﹂
﹁どうした、最初の威勢はどこにいったんですかぁー﹂
E組sideend
う、殺せんせーの元へと向かってのであった。
こうして、足に自信のある生徒たちは急いで職員室にいるであろ
以上
﹁元々は俺達があいつの本性を見破れなかったのが原因なんだ。これ
白坂はあれからずっと技を放ち続けている。
﹁それじゃあ、急ぐぞ﹂
﹁そう言えば、殺せんせーをもしもの時は呼べって﹂
!
俺の意識はそこで途切れた。
49
!
?
九時限目
渚side
あのあと殺せんせーが来て紅君を止めてくれた。その紅君は今は
病室で眠っているようだ。
﹁それにしても、白坂の奴の代わりようはすごかったな﹂
﹁うん、そうだね﹂
﹁へぇ、そんなにすごかったんだ﹂
﹁そう言えば、業君はいなかったもんね。知らないか﹂
紅君が病院に搬送された後、鷹岡先生も別の病院に搬送された。話
によると両足の筋肉が斬り刻まれていて、腕も同様でもう二度と歩い
たり、物を掴めない体になってしまったらしい。
﹁神崎さんや矢田さん、倉橋さんはショックだったろうね﹂
少なくとも、三人は紅君に好意を持っていたはずだしこれのせいで
それがなくなってしまったかもしれない。
﹁皆さん、席についてください﹂
﹁﹁﹁あの、殺せんせー。話があります﹂﹂﹂
﹁どうしました、神崎さん、矢田さん、倉橋さん﹂
三人が同時に殺せんせーに話しかけた。
﹁紅君の事を話してくだはい﹂
﹁病状は⋮⋮﹂
﹁違うよ、殺せんせー﹂
﹁私たちは紅君がどうしてあんな風になってしまったのかを知りたい
んです﹂
殺せんせーはそのまま下を向いてしまった。
﹁そうですか、皆さんもその話を聞きたいですか﹂
殺せんせーの問に皆が少し考える。そして、皆で頷いた。
﹁そうですか。わかりました。ですが、話すのは今日ではなく明日に
しましょう。こちらも準備がありますから﹂
そう言っていつも通り、授業が始まった。
渚sideend
50
目を覚ますと、見知らぬ天井があった。
﹁ここは﹂
﹁目が覚めたかい﹂
そこには、烏間先生がいた。
﹁烏間先生、とりあえずこの手錠とかはずしてもらって良いですか。
もう、大丈夫ですから﹂
﹁そうか、わかった﹂
手錠等が外され、手首や手等を動かす。うん、異常なし。
﹁聞 き た い こ と は 山 ほ ど あ る が。そ れ は 明 日 話 す こ と に な っ て い る
が、大丈夫なのか﹂
﹁大丈夫ですよ、誰がどんな反応をとっても興味ないですから﹂
﹁そうか⋮⋮﹂
そう言って烏間先生は去っていった。
翌日、無事退院でき、学校へ向かう途中車が目の前に止まった。
二人を置いて、職員室へと向かった。 ﹁待ってくれ、紅﹂
51
﹁久しぶりね、紅﹂
﹁どうして、ここにいるんだよ﹂
﹁まぁ、良いから乗りなさい。私たちも今から貴方の学校に行くから﹂
﹁わかった﹂
そう言って車に乗った。
母さん、父さん﹂
三十分後。無事に到着した。
﹁それでなんで日本にいるの
﹁良いじゃないか別に﹂
わ﹂
﹁ちょっと、酷くない
優那﹂
﹁まぁ弘毅がどうなろうと興味ないけどやめておいてね。車が汚れる
使った刀である。
烏間先生が病室に置いてくれた二本の刀の内の一本、昨日鷹岡に
﹁父さん、千人斬で切り落とすよその首﹂
?
﹁イチャつかなくていいから。行くよ﹂
!
﹁待ちなさい、紅﹂
﹁早くしろよ﹂
まったく、何やってんだか。
﹁失礼します。殺せんせーいますか﹂
﹁にゅにゃ、紅君もう目が覚めたのですか﹂
﹁あの、血を使った後だと治りが早いんですよ﹂
﹁そうですか。それでそちらがご両親ですね﹂
触手の先には内の両親がいた。
﹁ええ、そうよ。貴方が昨日連絡してきた殺せんせーね﹂
﹁まさか、本当に実在するとはな﹂
両親は感慨深く先生を見るが
﹁でも、興味ないわね﹂
﹁俺も飽きたわ﹂
この通りである。
母さんが首を傾げるとビッチ先生は慌てて言い直した。
52
﹁紅君のお母様はお若いですね﹂
﹁見た目は若いけど、実年齢四十代手前ですよ﹂
﹁そうですか、それで昨日話した通りなんですが。大丈夫でしょうか﹂
﹁ええ良いわよ﹂
﹁俺も大丈夫だ﹂
何やら、先生は家の両親に何か頼み事をしたようだ。
﹁それでは、行きましょう。紅君も一緒に来て下さい﹂
﹁了解﹂
先生の後に着いていくけどそこは教室だった。
﹁皆さん、集まっていますね。烏間先生とイリーナ先生もいるようで
すね﹂
﹁それで何で私も呼ばれたのよ﹂
ビッチ先生が殺せんせーに食って掛かる。
﹁それはね、イリーナ。私が頼んだのよ﹂
ユウナ、なんでここに⋮⋮﹂
﹁なっ
!
﹂
﹁優那
?
﹂﹂﹂
﹁ユウナ様、今日はどう言ったことで﹂
﹁﹁﹁あの、ビッチ先生が様付けした
なんだ知り合いなのか
﹁イリーナ、知り合いなのか﹂
﹁それじゃあ、話すわね。私の家はねある特殊な血を受け継いできた
さあ、母さんから話されるのは全ての原点だ。
﹁それを聞いて拒絶するかは決めてくれ﹂
﹁じゃあ、説明は同じ血筋である私からしましょうか﹂
﹁そうですね、話しましょうか﹂
そうだな⋮⋮。仲間だと認識したのなら話すべきか。
すよ﹂
は聞いてしません。仲間だと認識したのなら話しても良いと思いま
﹁先生はある程度君から話は聞いています。ですが、クラスの皆さん
すると、空気が変わった。皆が真剣そのものだった。
す﹂
﹁ありがとうございます、白坂君。それで話と言うのは白坂君の事で
﹁知り合いなのね。話の続きどうぞ、殺せんせー﹂
﹁すまない、弘毅。こっちのミスだ﹂
﹁烏間、もう少しまともな人間いなかったのか﹂
﹁話はそこまでで﹂
そこで殺せんせーが咳払いをする。
された人だとは思いませんでしたよ﹂
﹁ええ、そうですよ。まさか、あんたが過去に母さんに返り討ちに合わ
﹁あんた、息子だったの﹂
そう言って俺の肩に手を置く。
﹁息子について話に来ただけよ﹂
﹁それで、どうして今日はここに﹂
﹁うふふ、少し調きょ﹁違うだろ﹂少し仕返ししただけよ﹂
﹁ええ、私が唯一暗殺に失敗して逆に返り討ちに合わせた人物よ﹂
!
のよ。私はその血を完全にコントロールしてるけど紅はまだ、できて
ないわ﹂
53
?
﹁その特殊な血筋って一体なんなんですか﹂
﹁そうね、ある意味では誰しもがもっていて誰しもがそれを弱く抱い
ているわ。これはあくまでも私や紅からみた視点でよ﹂
その言葉に誰が眉唾を飲んだ。
﹁目醒めるトリガーは、人によってよ。紅は小学生になったときかし
ら﹂
﹁それって確か白坂が周りに関心を無くしたときと同じ年だよな﹂
﹁それはあくまでも副作用いえ、後遺症と呼んだ方が良いかもしれな
いわね。紅の場合はそういった感情が徐々に無くなっていくのよ﹂
その血筋って﹂
その言葉は真実である。俺はその日を境に関心や好奇心、興味を持
つと言うことが難しくなった。
﹁それで一体どういう血筋なんだよ
﹁そうね、そろそろ話しましょうか。それはね⋮⋮﹂
皆、拒絶するだろうな、恐れるだろうな。
﹁殺人衝動、しかも私たちの場合は先祖から続く殺人姫の一族なのよ﹂
その言葉に誰しもが言葉を無くした。黒板に書かれてる字は異様
なものなのだから。
その字からだと女にしかそれは受け継がれ
と、母方である祖母の覚醒遺伝が原因よ﹂
覚醒遺伝、親になくとも祖父母や先祖等の特徴が次世代に表れる遺
伝の事。俺の場合は女ではなくとも遺伝している。
﹁しかも私と紅はその殺人の姫の直系の子孫なの。今は私と紅しかい
ないけど、だから人よりも凶悪で尚且つ残酷な人殺しができるわ﹂
それは紛れもない事実であり、その姫の血が流れている。
﹁じゃあ、あの時俺達が見たものはその殺人姫の血が目醒めた状態の
白坂なのか﹂
54
!
なのに何で白坂がそれをもってるんだよ﹂
﹁ちょっと待ってくれよ
なかったんだろ
!
﹁それはね、坊や。私は衝動が少し人の2,5倍強かっただけってこと
!
﹁いえ、本格的な覚醒ではないわ。だってそれだと貴方達は生きてな
﹂﹂﹂
いもの﹂
﹁﹁﹁え
?
おい、余計なことを。
﹁母さん余計なことは﹂
﹁紅は黙ってようか﹂
父さんも面白がってるな。
﹁この血が本当の意味で覚醒したら貴方達は生きていないわ。あれは
無差別に人を殺す忌まわしき血なのだもの﹂
﹁それってつまり﹂
母さんはニヤッと笑みを浮かべる。
そいつも生きている
﹁人為的に抑えていたのよ。貴方達を殺さないようにね。だから、烏
間や家の旦那の同僚である鷹岡だったかしら
のよ。まあ、用はあんたらを傷付けないために手加減していたのよ﹂
くそ、黙ってたのにこうも人の思考を詠めるなんて化物め。
﹁それじゃあ、そう言うわけだから。私達は失礼するわね。仕事柄あ
るし﹂
﹁そうだな、烏間。後で飲もうぜ﹂
﹁ああ、暇なときな﹂
あの烏間先生が笑顔で答えただと
絶するか、恐れるかは皆次第だ﹂
その言葉を聞いて殺せんせーは触手を気持ち悪く動かす。
﹂
﹁それなら安心して平気だと思いますよ﹂
﹁は
﹁﹁﹁拒絶なんてしないよ
﹂﹂﹂
!
﹂﹂﹂
息を揃えてそういってきた。
﹁じゃあ⋮⋮﹂
﹁﹁﹁恐れもしないよ
何でだ
!
﹁潮田まで。どうしてだ
﹂
﹁そうだね、僕も拒絶しないし恐れないよ﹂
?
?
55
?
﹁特にはないよ。母さんが話したことは事実だしね。後は皆が俺を拒
﹁それで白坂君、君から話はないのですか﹂
!
すると有希子と桃花、陽菜乃は立ち上がり。
?
言っちゃ悪いが俺は⋮⋮。
﹁殺人姫だって、そんなの殺せんせーや律に比べたら可愛いもんじゃ
ん﹂
﹁中村さん、そう言う意味じゃなくてな﹂
﹂
﹁恐くないのかって聞かれたらそれは恐いわよ﹂
﹁速水さん、なら何で拒絶も恐れもしないんだ
この血はけして喜ばれるような血ではない。
でしょ
﹂
﹁赤羽、お前はいなかったろ﹂
﹁そうですね、私や殺せんせーに比べたら可愛いものですよ
せんせー﹂
聞こえますが﹂
﹁片岡さん、それだと手入れされるのが嫌だから渋々受け入れたって
せーに手入れされてるわ﹂ ﹁だいたい、そんなんで私たちが貴方を拒絶したりしてたら、殺せん
律まで何かっていやがる。
ねぇ、殺
﹁それでもだよ、紅君はさ俺たちを守るためにその血の力を使ったん
?
﹂
手入れなんかされなくても私達は受け入れるっ
わかる
﹁そうじゃないわよ
て言ってるの
なんか怖いぞ。
!
!
ないか
﹂
なんか磯貝がイケメンだ
﹂﹂﹂
﹁そうそう、あのときは結構嬉しかったんだぜ﹂
﹁最初にお前が言ったんだぜ。仲間だって﹂
おお、スゲー迫力。
﹁﹁﹁仲間
この問に見事に全員が同じ答えを口にした。
ら、お前たちからしたら俺はなんなんだよ﹂
﹁はぁ、わかったよ。お前達は俺を拒絶もしなければ恐れもしないな
!
んな俺たちを助けるために使ったなら拒絶するのは間違ってるじゃ
﹁そうだぜ、俺達は結局誰一人逆らえずにしたがっていただけだ。そ
おお
!
56
!
?
!
!
!
﹁私たちの事なんとも思ってないんじゃないかって﹂
﹁でも、それは比喩だってわかった。それだけで充分だよ﹂
はぁ、なんかこっちがバカみたいだな。
﹁わかった降参。これ以上はこっちがバカみていだ。こんな殺人姫の
﹂﹂﹂
末裔だが、よろしく頼む﹂
﹁﹁﹁こちらこそ
こうして、俺とクラスの極一部の奴等って言っても寺坂以外との絆
は深まったような気がした。
57
!
十時限目
あれからは普通の日常に戻った。唯一変わったことと言えば⋮⋮。
﹁紅君、もっとナイフの訓練つけて﹂
﹁私もお願い﹂
﹁桃花や神崎さんみたいにお願いします﹂
この有希子、桃花、陽菜乃がすごくやる気とかが出てることと、めっ
ちゃ距離を縮めようとしてくる。さらに⋮。
﹁紅君、放課後は私、律が勉強をみて差し上げます﹂
この律がよく絡むようになった。律のやつ、携帯端末にまでくる始
末だ。
﹁はぁ、わかったから。携帯から話しかけないでくれ。本体であるお
前がきてるってバレたら俺が烏間先生に怒られるんだぞ﹂
﹁わかっておりますが、私だけ会話の回数が少ないので﹂
ごかったけどな。俺が参ったって言うまでやり続けた。
﹁渚、大丈夫だ。俺が敵をとってやる﹂
﹂
﹁杉野、お前は確かに強くなった。でも、俺には勝てない﹂
﹂
﹁やってみなければわからないだろ
﹁津雲流 扇歌乱れ突き
!
乱打の突きをまともに全て受けた杉野は倒れた。
!
58
﹁何言ってるの。放課後はお前と話す方が多いだろう﹂
そう言うとなんだか明るくなるのである。
﹁それにしても、暑いな﹂
﹂
﹁そうだね、プールが明日から始まるけど新校舎までの道のりが大変
だよ﹂
﹂
﹁潮田、また殺気がもれてるぞ
﹁うわっ
!
そうそう、律が絡んでくる理由は将棋で負けたからだ。その後はす
﹁油断大敵だ﹂
﹁もうちょっとなのになぁ﹂
対先生用の刀が潮田を襲う。
!
﹁弱いな﹂
﹁手加減してやれよ﹂
﹂
﹁前原、次はお前の番だぞ﹂
﹁え
何、自分は関係ありませんって顔してるんだ
てやるよ﹂
早く来てくれ
!
でも
﹂
﹁まだまだだね。無音二刀流 双刃
二人は敢えなく倒れる。
﹁何で勝てないんだよ﹂
﹁ここまで力の差があるなんて﹂
﹁手加減してるぞ﹂
その言葉に二人して笑っていた。
﹁な、なら平気か﹂
!
﹁﹁ぐはっ
﹂﹂
﹂
﹁飛天御剣流 龍巻閃・凩、龍昇閃﹂
さあて、やる気だしたみたいだし模倣の流儀でいきますか。
﹁ああ、今度こそ倒す
﹂
﹁大丈夫、一刀流だから﹂
その言葉に顔を青くして逃げようとする二人を捕まえる。
﹁さぁ、まだまだ行けるよな。笑ってる余裕があるなら﹂
!
!
交互に俺にナイフによる攻撃か、息もあってて上手いな。
﹁こいよ﹂
﹁わかった。それじゃあ、行くぞ白坂﹂
﹁二人で白坂をぶっ倒す
磯貝は前原に呼ばれ直ぐに駆けつけた。イケメンだ
﹁磯貝
﹂
﹁行くぞ、ああ。磯貝も呼んでいいぞ。烏間先生みたく二人で相手し
?
?
﹁速すぎだろ
﹂
﹁神速殺人剣術。どうだその身に受けた感想は﹂
敢えなく負けた。
!
!
59
!
!
!
﹁しかも本当に殺す気で打ってきやがった﹂
まあ、この流派はそこまで使えないんだけどな。
﹁ねえ、紅君。私達に流派を﹂
﹁無理だ。いつぞやに言った気がするけど、女性と男性は骨格が微妙
に違うんだ。俺のつかったらさいやく妊娠とか出来ない体になるよ﹂
その言葉を聞くと、少し身を引く有希子、陽菜乃、桃花。
﹂﹂﹂
﹁後で、女性用の剣術考えておくから今は我慢してくれ﹂
﹁﹁﹁
﹂
嬉かっのか、ハイタッチを交わしている三人。本当に考えておかな
いとな。
﹁俺達には無いのかよ
﹂﹂﹂
﹁お前達は見て盗め﹂
﹁﹁﹁鬼畜だ
!
﹂
!
﹂
!
﹁イケめぐ
イケメンな片岡めぐで、イケめぐ
﹂
桃花が何か訳のわからないことを口走った。
﹁さすがイケめぐ
﹁水の中なら私の十八番よ﹂
﹁そうですか。それにしても、片岡さんは泳ぎが速いですね﹂
それは昭和流行りの水着だった。
﹁そうでもないんですよ。この先生用水着を来ていれば﹂
﹁でも、水に弱いのによくさわれたな﹂
﹁先生に掛かれば一日なんてお手の物ですよ﹂
﹁それにしても、よく作れたな﹂
まあ、男子陣は飛び込んだ。俺はゆっくり浸かった。
むだけです﹂
﹁作るのに一日かかりましたが、さぁ、皆さん後は水着になれば飛び込
今は三十人が余裕で入れるプールになっていた。
さあ、今俺達は元々小さな沢があった場所にいる。元々というのは
﹁さあ、着きましたよ。E組専用のプールです﹂
この後は永遠に俺との試合を仕入れられた男子達であった。
!
?
60
!?
﹁そう
!
﹁ちょっと、余計なことは言わなくていいから。﹂
﹂
﹁ふーん、ぴったりな渾名だな﹂
﹁え
そんな驚くことか
﹁いや、だって片岡さんってさ。男女問わず優しいし面倒見はいいし
そういった意味だとぴったりな渾名だと思うぞ﹂
︶﹄
﹁そ、そうかな。ありがとう﹂
﹃︵でた天然女たらし
﹂﹂﹂
!
これ以上はさすがに﹂
!
﹁良いですね。それで参加者は﹂
﹂
﹁俺と杉野、前原、岡島後、先生﹂
﹁わかりました、載りましょう
なにやら、不穏な空気が流れ出したぞ。
﹁ああ、楽しかった﹂
﹁そうだな。俺は何やら不穏な空気を感じたよ﹂
﹁あ、あははは。ドンマイ紅君﹂
あそこにいるのは茅野さんと片岡さんと誰だ
潮田よ、慰めるならきちんとしてくれ。
﹁ん
﹂
﹁んー、わからないな。近くに行ってみよう﹂
﹁ちょっと、業君
﹂
?
!
こうして、俺と潮田、赤羽は茅野さんの元へと向かった。
﹁あ、おい二人とも
!
﹂
﹁ねえねえ、殺せんせー。白坂が何人女子をおとすかかけませんか﹂
なにやら、あそこで会話してるけど何してるんだ。
﹁神崎さんはこう言ってるけど﹂
﹁私は別にいいと思うけど﹂
﹁そうだよ
﹁めぐ、ダメだからね﹂
うーん、俺の気のせいか。
﹁﹁﹁気のせいだよ
﹁誰かと言うかほぼ全員から不愉快な事を思われたぞ﹂
ん、何か殺意がわいてきたぞ。
!
!
61
?
?
?
﹁おーい、茅野。片岡さんどうしたの﹂
﹂
﹁あ、渚。なんだかめぐ脅されてた﹂
﹁脅されてた
﹂
首を横にふる片岡さんを見て、更に言葉をかける。
﹁白坂君⋮﹂
いつに言われて、面倒を見るつもりか﹂
﹁お前は一生あいつの面倒を見るつもりか。この事をこの先ずっとあ
はぁ、ここまでだと。
教えた側としては責任も後悔を感じるわ﹂
﹁そうもいかないよ。だって、あの子あれ以来水が怖いみたいなのよ。
ば、責任を感じる義理もない﹂ い、その子の慢心が招いた結果だ。あんたが後悔する義理もなけれ
﹁謝らなくていい。そして、その子が溺れたのもあんたのせいじゃな
﹁ごめん﹂
ぞ﹂
﹁責任感が強いのはいいけど、それで自分の首を絞めてたら意味ない
はぁ、何通か。
﹁⋮⋮うん﹂
﹁それをあんたのせいにしたわけか﹂
いで、それで﹂
﹁その子が海に行ったみたいなんだけどそのときに溺れちゃったみた
何処か後悔している目だった。
﹁それで
﹁私が昔、泳ぎを教えてたのよその子に。それで⋮﹂
﹁その、聞いちゃ悪いが殺しかけたって言うのはどういう事なんだ﹂
﹁そうなんだ、見られてたんだ﹂
そして、翌日。
本人が話すかは別問題だがな。
﹁うーん、それだけじゃ分からないから明日本人に聞いてみないと﹂
﹁うん、私を殺しかけた癖にって﹂ ?
﹁だったら、あいつの水嫌いを治させて。スッキリしようぜ﹂
62
?
﹂
﹁それで話を聞いてて何か対策は想いつきましたか﹂
﹁そうですね、こんな作戦はどうでしょうか﹂
なるほどね、相手の睡眠を利用するって訳か。
﹁いいね、それならうまくいきそうだな﹂
﹁うん、僕も手伝うよ﹂
﹁わ、私も手伝うよ﹂
﹁大事なのか、泳げないのに﹂
睨んでくるなよ。事実だろ。
﹁うん
別に構わないけど﹂
﹁あ、あの私も貴方に剣術を習っていいかしら﹂
俺はそう言って頭を撫でてやった。
﹁これからは誰かに相談するんだな﹂
﹁そうね、私も責任感を一人で背負いすぎたのかもしれないわ﹂
﹁案外、うまく行くもんなんだな﹂
片岡さんの泳ぎの指導のもと克服できたようだ。
まぁ、結果だけ言っとくよ。成功した。何とか水に対する恐怖感を
﹁それでは、今夜決行です﹂
﹂
﹂
それはヤバイのでやめてください
!
﹁でも、どうやって⋮⋮﹂
﹁こう言うときこそ、担任の出番だよな殺せんせー
危ないじゃないですか
千人斬を窓の方に向けて抜刀すると。
﹁にゅにゃ
﹁待ってください
﹁こそこそ、盗み聞きとはいい度胸ですね﹂
!
ここまで、慌てる殺せんせーも新鮮だな。
!
﹁これで岡島の賭けは敗けだな﹂
その時黒い影がいたことには気づかずに。
63
!
!
そう言うと明るい顔で頷いた。
?