株式会社東海東京調査センター「日本経済予測(2016

Press Release
6-2, NIHONBASHI 3-CHOME, CHUO-KU, TOKYO
103-0027
JAPAN
平成 28 年 6 月 8 日
各
位
東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社
東京都中央区日本橋三丁目 6 番 2 号
証券コード
8616
東証・名証第一部
株式会社東海東京調査センター
「日本経済予測(2016-17 年度)」に関するお知らせ
当社の子会社である株式会社東海東京調査センターが「日本経済予測(2016-17 年度)」を
発表いたしましたので、別紙のとおりお知らせいたします。
以
本件に関するお問い合わせは、広報・IR部
03-3517-8618 までお願いします。
上
2016 年 6 月 8 日
日本経済予測(2016-17 年度)
~緩やかな回復持続も内需は勢いを欠く~
【当社予想及び前提条件】
実質GDP成長率
16 年度+0.8%、17 年度+1.0%
チーフエコノミスト
武藤弘明
03-3517-8374
CPI コア上昇率
16 年度+0.2%、17 年度+0.9%
[email protected]
日銀金融政策
16 年 6 月にも追加緩和
★消費税増税の延期等を踏まえ成長率の見通しを修正
実質GDP成長率は 16 年度が前年比+0.8%、17 年度を+1.0%と
予測した。3 月 8 日時点の予測(16 年度+1.0%、17 年度+0.0%)
と比べると 16 年度を 0.2%ポイント下方修正、
17 年度は逆に 1.0%
ポイントの上方修正となる。安倍首相の消費税増税再延期の正式表
明を受けて、16 年度の駆け込み需要、17 年度に関しては増税後の
反動減や家計の実質購買力の低下の影響を想定する必要がなくな
った。また 17 年度に関しては参院選後に編成が予想される大型補
正予算の影響を織り込んで公共投資の予想を上方修正している。
★緩慢ながらもグローバル経済の回復は継続
中国経済は政府による景気対策の効果により年初の減速から相
当程度持ち直している。
エネルギー価格も底割れするような状況は
脱しており、全体として新興国景気は安定化しつつある。米国の 5
月の非農業部門雇用者数の伸びは前月比 3.8 万人と大幅に鈍化し
たが、
これは完全雇用化における自然な雇用拡大ペースの鈍化の要
素が強いと考えられる。失業率は 5%を割り込み賃金も緩やかに上
昇する等、労働市場の逼迫は続いており、FRB(米連邦準備制度理
事会)はタイミングを計りつつも年内の「利上げ」を模索すると見
られる。ペースは弱いながらもグローバル経済の回復は持続し、日
本の輸出・生産は 7-9 月期以降に再び巡航速度での回復軌道に復帰
しよう。
★消費者心理の萎縮が中長期の成長抑制要因に
輸出回復を主因として、
企業収益は年央頃から小幅ながらも再び
増収・増益基調に転じると予想するがペースは緩やかであり、企業
の固定費抑制スタンスも強いため賃金上昇ペースは弱いものとな
ろう。消費税増税の先送りが、将来の負担増等、消費者の潜在的な
不安を通じて消費行動の慢性的な抑制要因となる可能性もある。こ
の結果、内需は盛り上がりを欠き、CPI コアは 16 年度が前年比
+0.2%、17 年度が同+0.9%と日銀予想からは明確に下振れると予
測する。日銀は 4 月の追加緩和見送り等による市場とのミスコミ
ュニケーションを挽回するべく、6 月にも追加緩和を実施すると予
想する(マイナス金利幅拡大、ETF 購入等)
。
1/13
このレポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図とするものではありません。投資の決定は、ご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。
このレポートのご利用に関しては、末尾の開示事項の記載もご覧ください。
日本経済予測一覧表
予測
<年度予想>
FY13
項目
実質GDP
FY14
実績
FY15
FY16
FY15
FY17
今回予測
FY16
FY17
前回(3/8)予想
2.0%
-0.9%
0.8%
0.8%
1.0%
0.8%
1.0%
0.0%
2.3%
-2.9%
-0.2%
0.5%
0.8%
-0.4%
0.9%
-0.9%
8.8%
-11.7%
2.4%
0.7%
1.3%
2.6%
3.5%
-3.8%
民間企業設備投資
3.0%
0.1%
2.0%
1.7%
1.6%
2.4%
4.1%
0.9%
在庫投資(寄与度)
-0.3%
0.6%
0.3%
-0.2%
0.0%
0.3%
-0.1%
0.0%
公的固定資本形成
10.3%
-2.6%
-2.7%
-0.3%
4.8%
-2.0%
-3.9%
0.5%
-0.5%
0.6%
0.1%
0.1%
0.0%
0.1%
-0.1%
0.4%
財サ輸出
4.4%
7.9%
0.4%
2.1%
2.9%
0.3%
2.2%
3.8%
財サ輸入
6.8%
3.4%
-0.1%
1.6%
3.6%
-0.1%
3.0%
1.9%
3.0%
-0.4%
-1.4%
0.9%
2.3%
-0.9%
2.0%
0.7%
完全失業率(末値)
3.6%
3.4%
3.2%
3.1%
3.0%
3.2%
3.1%
3..0%
消費者物価指数(コア)
0.8%
0.8%
0.0%
0.2%
0.9%
0.0%
0.3%
1.2%
-0.3%
2.4%
1.4%
0.6%
0.8%
1.3%
0.6%
1.6%
民間最終消費支出
民間住宅投資
純輸出
鉱工業生産指数
GDPデフレータ
<四半期予想>
2015
項目
2016
2017
7-9月
10-12月
1-3月
4-6月
7-9月
10-12月
1-3月
4-6月
7-9月
1.7%
-1.8%
1.9%
0.3%
1.3%
1.1%
1.5%
1.0%
1.1%
0.5%
-0.8%
0.6%
0.0%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
1.7%
-1.0%
-0.7%
0.5%
0.6%
0.6%
0.5%
0.2%
0.2%
民間企業設備投資
0.8%
1.3%
-0.7%
0.4%
0.7%
0.6%
0.6%
0.3%
0.3%
在庫投資(寄与度)
-0.1%
-0.1%
-0.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
公的固定資本形成
-2.4%
-3.6%
-0.7%
1.6%
1.0%
-0.4%
2.3%
2.2%
1.5%
0.2%
0.0%
0.2%
-0.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
財サ輸出
2.6%
-0.8%
0.6%
0.2%
0.8%
0.8%
0.7%
0.7%
0.7%
財サ輸入
1.7%
-1.1%
-0.4%
0.8%
0.8%
0.8%
0.8%
0.9%
0.9%
鉱工業生産指数
-1.0%
0.0%
-1.0%
0.3%
1.1%
0.9%
0.9%
0.5%
0.3%
完全失業率(末値)
3.4%
3.3%
3.2%
3.2%
3.2%
3.2%
3.1%
3.1%
3.0%
-0.1%
0.0%
-0.1%
-0.1%
0.0%
0.3%
0.7%
0.9%
0.9%
1.8%
1.5%
0.9%
0.5%
0.6%
0.7%
0.8%
0.8%
0.8%
実質GDP(年率)
民間最終消費支出
民間住宅投資
純輸出
消費者物価指数(コア)
GDPデフレータ
(注)鉱工業生産指数の年度値は季節調整値をもとにしたもの。消費者物価指数は消費税の影響を除く。
(注)実質GDP成長率以外の需要項目は単純前期比(在庫投資と純輸出は寄与度)、GDPデフレータは前年比
(出所) 内閣府、総務省、経済産業省、予測は東海東京調査センター
2/13
1. 成長率の全般的な見方:
消費税増税延期等を踏まえて成長率の見通しを修正
<成長率見通し全般について>
実質GDP成長率は 16 年度が前年比+0.8%、17 年度を同+1.0%と予測した。3 月 8 日時点の予測(16
年度同+1.0%、17 年度同+0.0%)と比べると 16 年度を 0.2%ポイント下方修正、17 年度は逆に 1.0%ポ
イントの上方修正となる。成長率は米国(2%前後)やユーロ圏(1%台半ば)と比較すると確かに見劣
りするが、0%台前半と目される潜在成長率は上回るものであり、少なくとも需給ギャップを着実に縮
小させるという点では、
“及第点”といえよう。
安倍首相の消費税増税再延期の正式表明を受けて、16 年度の駆け込み需要、17 年度に関しては増税
後の反動減や家計の実質購買力の低下の影響を想定する必要がなくなった。また 17 年度に関しては参
院選後に編成が予想される大型補正予算の影響を織り込んで公共投資の予想を上方修正している。
<16 年 4-6 月期のGDP成長率は一旦減速>
16 年 1-3 月期の成長率は前期比年率+1.9%と高いが、これはうるう年効果で個人消費が嵩上げ(前期
比+0.6%)されたことが主に影響している。4-6 月はこの反動で個人消費の伸びが前期比フラットとな
ることや熊本地震による供給網寸断の影響が経済活動全般を弱める方向に作用すると考えられ、輸出や
設備投資も弱めの推移となると考えられる。したがってGDP成長率(4-6 月期)は前期比年率+0.3%
と大幅に減速すると予想している。
<グローバル景気の緩やかな回復と財政拡張がプラス要因、個人消費の弱い動きは続く>
7-9 月期以降はグローバル景気の緩やかな回復が輸出や生産活動を相応に下支えすると考えられるこ
とから、成長率は年率で 1%強の回復トレンドに復帰すると予想する。15 年度の補正予算や公共投資の
前倒し執行の影響、更に 17 年以降は 16 年の参院選後に編成される大型補正予算(真水で 5~10 兆円程
度を想定)が成長率の押し上げに寄与しよう。ただしこの間も、企業は固定費の増加に対しては慎重ス
タンスを維持し、賃金の伸び悩み等で家計消費は弱めに推移すると見ている。
2. 海外経済:
底割れリスクは後退、緩やかな回復が持続
<原油価格の持ち直しで、世界経済は安定化>
年初には 30 ドル/バレルを割り込んでいた原油価格についても足元では 50 ドル近くにまで持ち直し
ている。一般的に原油価格の低下は、従来は先進国の交易条件の改善を通じてグローバル景気全体を浮
揚させるプラス要因とみなされていた。しかし 14 年後半以降の下落局面に関しては米国の連続利上げ
懸念が高まっていたことも相まって、資源国の資金流出の懸念を増幅させ、それが国際金融市場の混乱
をもたらす負の要因として作用していた。またシェール革命により、先進国でもエネルギー関連企業の
プレゼンスが高まっていたため、原油価格の下落は先進国にとっても設備投資を減少させる等、今回に
関しては実体経済に悪影響を及ぼしていた側面が大きい。したがってこのところの原油価格の持ち直し
は、世界経済の緩やかな回復持続を担保する安定化要因として評価される。
3/13
<中国・新興国経済: 景気減速が深刻化するリスクは遠のく>
リーマン・ショック後に急ピッチで積み上がった過剰設備や過剰債務の重石は依然として残るため、
稼働率の低下傾向や資金流出懸念は今後も根強く残ると考えられる。しかし政府や国営企業はこのとこ
ろインフラ投資を加速させており、固定資産投資は持ち直しはじめている(図表 1)。鉱工業生産も 3
月以降は持ち直す等、年初来の景気減速傾向には歯止めがかかりつつある。製造業 PMI も、年初には急
落していたが 3 月以降は 50 近傍のレベルに回復している(図表 2)
。少なくとも中国経済の減速をトリ
ガーとしてグローバル経済全体が後退局面入りするリスクは遠のいている。中国経済の減速は資源輸出
国や周辺のエマージング地域の景気にダイレクトに影響するため、上述の原油価格の持ち直しと相まっ
て、新興国経済全体を下支えすることとなろう。
<米国経済:
緩慢ながら2%前後の成長ペースを維持>
16 年 5 月の非農業部門雇用者数は前月比 3.8 万人増と大幅な下振れとなったが、
一方で失業率は 4.7%
と既に FOMC メンバーが想定する長期の失業率(16 年 3 月の時点で 4.8%:中央値)を下回っている。
労働市場の逼迫に呼応して賃金の伸びも着実に高まっている(図表 3)
。5 月の雇用者数の伸びの“失速”
に関しては大手の通信会社のストライキの影響も大きく、これをそのまま雇用環境の急激な悪化と捉え
るのは行き過ぎだろう。雇用者数についてこのところとくに弱さが目立つのは製造業だが、製造業の雇
用の弱さは新興国の景気減速の影響を遅行的に反映している面が大きいと思われる。FRB はタイミング
を計りつつも年内の「利上げ」を模索すると見られる。
今後についてだが上述のとおり新興国経済は全体として安定化しつつあることから、雇用者数の伸び
も 7 月以降は再び持ち直す可能性が高いと思われる。また 1-3 月のGDP成長率は前期比年率+0.6%と
大きく減速しているが、4 月の個人消費は 1-3 月期対比で明確に改善しており(図表 4)
、4-6 月期のG
DP成長率は 2%台半ばまでの回復が見込まれる。例えばアトランタ連銀の“GDP Now Forecast”
によると 4-6 月期のGDP成長率は雇用統計発表直後の時点で前期比年率+2.5%と推計されている。リ
ーマン・ショック後、趨勢としての米国GDP成長率が鈍化傾向にあることは否めないが、今後も緩慢
ながら 2%前後の成長ペースを維持するであろう。
<ユーロ圏経済: 通貨安が主に景気を下支え>
欧州経済に関しては、既往のユーロ安、低金利環境、難民危機対応の政府支出の拡大が景気刺激効果
をもたらして来たと考えられる(とくに 14 年後半以降のユーロ安の影響が大きい)
。雇用所得環境の改
善を通じて、ドイツを中心にとくに消費は堅調であり、1-3 月のGDP成長率は前期比+0.5%と前期の
同+0.3%から加速している(図表 5)
。PMI(総合指数)の動きをみると 3 月以降は悪化が止まって横這
いで推移しており、牽引役であるドイツの代表的な指標である Ifo 企業景況感総合指数は 2 月をボトム
に明確な改善傾向を示している(図表 6)。
ユーロ圏経済に関しては、6 月 23 日の英国の EU 離脱の可否を問う国民投票の結果次第では大きな経
済的インパクトを被る可能性もあり、ギリシャの財政問題も依然としてリスク要因として燻っている。
したがって地政学上のリスクへの警戒は怠れないが、ファンダメンタルズのみに着目すれば当座はこれ
まで景気を支えてきたユーロ安傾向や低金利環境は継続すると考えられ、新興国景気の底割れも回避さ
れるとすれば、基本的には 1%台半ばの安定成長が続くと予想している。
4/13
3.
消費者心理の萎縮が消費の伸びを抑制
<際立つ足元の個人消費の弱さ>
14 年 4 月の消費税増税を契機として、それまで堅調に増加していた消費は一転して弱い動きに転じ
てしまっている。駆け込み需要の後の反動減はある程度想定されていたが、その後も反動増のような現
象は起きず、基本的には横ばいの状況が続いている。結局のところ安倍首相が伊勢志摩サミット後に消
費税増税の延期を表明した真の理由は「世界経済がリーマン・ショック並みの後退に陥るリスクに面し
ているから」ではなく、「これまでのアベノミクスの恩恵が家計部門に十分にいきわたっておらず、結
果として個人消費が弱い動きを続けている」ことにあると考えられる。グローバル経済の弱さが原因だ
とすると、同じように危機に瀕している筈のユーロ圏経済が、消費を中心に底堅く推移している理由を
うまく説明できない。1-3 月の消費の伸びも冒頭に述べたような“うるう年効果”の影響が大きく、仮
に 1-3 月期の数字が実体を表していたとしても消費が趨勢として横這っている状況に変わりはない。
<期待し難い賃金上昇>
毎月勤労統計(速報)によると 16 年 4 月の現金給与総額(=名目賃金)は前年比+0.3%と前月の同
+1.5%から伸び率は大きく低下している。いわゆる“基本給”に相当する所定内給与は前年比+0.2%と
こちらも前月の同+0.6%から低下している(図表 7)。結局 15 年度平均でみると現金給与総額は前年度
比+0.2%、所定内給与は同+0.3%とともに 0.5%を割り込む小幅なプラスに留まっており、4 月の速報値
を見る限り 16 年度も 0.5%を超える賃金上昇は起こり難いと考えられる。これまでの新興国景気の減速
や為替レートの円高方向への動きにより、企業収益は高水準とはいえ既にピークアウトしており、16
年度の春闘賃上げ率も 15 年度の半分程度の伸びにとどまっている。
<想定困難な国内需要の上振れ>
個人消費は 4-6 月期には前期比 0.0%に減速した後、7-9 月期以降も前期比 0.2%程度の非常に弱いペ
ースで推移すると予想している。理由の一つは上述のとおり今後は賃金上昇のペースが鈍ってくると考
えられるからであるが、もう一つは賃金上昇の弱さ以上に、消費者のマインド面での萎縮が負の影響を
もたらしている可能性がある。たとえば日本においても有効求人倍率は 1.34 倍にまで上昇、失業率も
3.2%と完全雇用と目される水準(3%台半ば程度)を割り込む等、労働市場自体は非常にタイトなもの
となっている。また雇用者数の堅調な増加を背景に、雇用者報酬に関しては 15 年度以降顕著に増加し
ている。それにもかかわらず個人消費が低迷を続けているということは(図表 8)、低迷の理由が必ずし
も「所得」の弱さだけに起因するものではないということの証左でもある。例えば非正規社員も含めた
総所得のベースでは増加していても、
「雇用の質の低さ」や「所得格差の拡大」等で多くの消費者が将
来に対する不安を抱えてしまっている可能性がある。財政の所得再分配機能を通じてそのような将来不
安を解消するのも政府の役割だが、今回の消費税増税の再延期により社会保障財源が今以上に不足する
等、財政のもつ所得再分配機能は更に弱体化すると予想される。増税先送りで、当座の「目に見える痛
み」は緩和しても、消費者が将来の漠然とした不安(それも根拠のないものではない)を敏感に感じ取
れば、消費者心理の更なる萎縮へとつながるだろう。
5/13
4.
早ければ 6 月にも追加緩和が実施されると予想
<消費者物価指数: 17 年度中の2%達成は困難な状況>
16 年 4 月の消費者物価指数(生鮮食品除く=コア指数)は、前年比▲0.3%と前月から横這いとなっ
た。
「生鮮食品を除く食料品」の価格は前年比+1.5%と前月の同+2.0%から急低下している(図表 9)
。
ちょうど 1 年前の 15 年 4 月のタイミングで「生鮮食品を除く食料品」の価格は前月比で 0.5%上昇して
いた。それに対して今回の 16 年 4 月で同指数は前月比で横這いとなっており、これが前年比での伸び
の急低下につながっている。つまり今回は価格改定の節目である 4 月のタイミングで、全く値上げが出
来ていないということでもある。5 月の東京都区部のコア指数(生鮮食品除く)も前年比▲0.5%とマイ
ナス幅は前月の同▲0.3%から拡大しており、全国ベースの CPI も 5 月には更にマイナス幅を拡大させ
る可能性がある。最近はエネルギー価格の下落よりもむしろ食料品価格の方がコア CPI の動きにとって
支配的な要因となっているように思われる。このことは原油価格の下落によるマイナス寄与が剥落した
後も、物価上昇ペースが緩慢に推移するであろうことを示唆している。16 年度のコア CPI は前年度比
+0.2%、17 年度が同+0.9%と予想する。日銀がもくろむような 17 年度中の 2%の達成はやはり困難で
あろう(図表 10)
。
<日銀金融政策: 追加緩和の“良い条件”が揃っている>
日銀が物価の基調を判断する材料として作成している「日銀版コア・コア指数(生鮮食品とエネルギ
ーを除く)
」も 4 月は前年比+0.9%と前月の同+1.1%から大きく低下している。刈込平均値も 3 月の前
年比+0.4%から同+0.3%に低下、上昇・下落品目比率も 3 月の 44.5%ポイントから 40.5%ポイントに低
下する等、日銀としては「基調としての物価の動きが弱まっている」と判断せざるをえない状況になっ
ている。日銀としては、1 月 29 日のマイナス金利政策導入時のマーケットの反応が芳しくなく、かと
いって 4 月に「現状維持」とすればそれはそれでまたマーケットの失望を買うという悪しきサイクルに
はまり込んでしまっており、マーケットとの対話を重視する黒田総裁だけに今回も相当なフラストレー
ションを蓄積している可能性がある。政府による大型の経済対策や消費税増税再延期とのポリシーミッ
クスで、早ければ 6 月にも追加緩和が実施されると予想している。そもそも日銀がマイナス金利を導入
した背景には、長期国債の買い取りを主とする量的拡大の限界が指摘される中、マーケットに蔓延する
「金融政策の手詰まり感」を払拭する狙いがあった筈である。4 月の展望レポートで物価の見通しを明
示的に下方修正し、為替レートも円高に振れる中で、このまま日銀が何もしなければ、「やはり日銀は
手詰まり」とのマーケットに対する刷り込みを更に強化してしまうことになりかねない。今のところ 6
月の決定会合における追加緩和を予想するむきは少数であり、サプライズを選好する黒田日銀にとって
は“良い条件”が揃っているように思われる。
(以上)
6/13
(図表1)
(年初来累計 前年比 %)
中国の固定資産投資
20
18
16
14
12
10
8
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4
14
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
15
16
(年・月)
(図表 2)
中国製造業PMIの推移
52
51
50
49
48
政府発表
47
財新/MARKIT社
46
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5
14
15
(出所)データストリームより東海東海調査センター作成
7/13
16
(年・月)
(図表 3)
米国 時間当たり平均賃金の推移
(前年比 %)
2.7
2.5
2.3
2.1
1.9
1.7
1.5
1
3
5
7
9 11 1
13
3
5
7
9 11 1
3
5
14
7
9 11 1
15
(出所)データストリームより東海東京調査センタ-作成
3
5
16
(年・月)
(図表 4)
( 前月比)
米国のコア小売売上高と名目消費
1.2%
コア小売売上
1.0%
0.8%
0.6%
0.4%
0.2%
0.0%
-0.2%
-0.4%
-0.6%
-0.8%
名目消費
(注)コア小売売上は自動車、建材、ガソリン、外食を除いたもの
-1.0%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4
14
15
( 出所)データストリームより東海東京調査センター作成
8/13
16
(年・月)
(図表 5)
ユーロ圏のGDP成長率と消費伸び率の推移
(前期比 %)
0.8
消費伸び率
0.6
0.4
0.2
0
-0.2
GDP成長率
-0.4
-0.6
-0.8
1
2
3
4
1
2
12
3
4
1
2
13
3
4
1
2
14
3
4
1
15
16
(年・四半期)
(出所)データストリームより東海東京調査センター作成
(図表 6)
ユーロ圏のPMI、Ifo 企業景況感総合指数の推移
55
54
53
52
51
50
49
48
47
46
(2005年=100)
112.0
110.0
108.0
106.0
104.0
102.0
Ifo 企業景況感総合指数(右軸)
100.0
ユーロ圏PMI総合指数(左軸)
98.0
1
3
5
7
13
9
11
1
3
5
7
9
14
11
1
3
5
7
15
(出所)データストリーム、ブルムバーグより東海東京調査センター作成
9/13
9
11
1
3
16
(年・月)
5
(図表 7)
所定内給与の推移
(前年比 %)
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
1
3
5
7
9 11 1
3
12
5
7
9 11 1
3
5
13
7
9 11 1
3
5
14
7
9 11 1
3
15
16
(出所)厚生労働省「毎月勤労統計」より東海東京調査センター作成
(図表 8)
(兆円)
実質雇用者報酬と実質消費の推移
(兆円)
350.0
270.0
実質雇用者報酬(右軸)
実質消費(左軸)
340.0
330.0
320.0
310.0
300.0
290.0
280.0
250.0
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
12
13
14
(出所)内閣府より東海東京調査センター作成
10/13
3
4
1
2
3
15
4
1
16
暦年・四半期
(図表 9)
消費者物価指数の推移
(前年比 %)
2.5
食品(生鮮除く)
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
生鮮食品を除く(コア指数)
-1.0
食料・エネルギー除く (コア・コア指数)
-1.5
1
3
5
7
9 11 1
3
5
13
7
9 11 1
3
5
14
7
9 11 1
15
3
16
(年・月)
(注)消費税増税の影響を除く
(出所)総務省より東海東京調査センター作成
(図表 10)
コアCPIの予想と要因分解
(前年比 %)
1.5
17年度+0.9%
予測
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
16年度+0.2%
-1.5
1
3
5
7
9 11 1
15
コア・コア(食料・エネルギー除く)
3
5
7
9 11 1
16
食料
(出所)総務省より東海東京調査センター作成、予測
11/13
3
5
7
17
エネルギー
9 11 1
3
18
(年・月)
コアCPI
【 レーティングの定義 】
Outperform
今後 6 カ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上上回るとアナリストが予想
Neutral
今後 6 カ月間における投資成果が TOPIX に対して±15%未満とアナリストが予想
Underperform
今後 6 カ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上下回るとアナリストが予想
NR
レーティング、目標株価を付与せず
【 レポート利用に関する注意事項 】
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レーティングの表記は、TOPIX に対して Outperform、Neutral、Underperform の 3 段階で区分表記しています。また、レーティ
ングが無い場合は、NR と表記しています。対象期間は、投資評価が付与された日を起点として、6 カ月程度を想定しております。
アナリストがレポートにおいて企業の目標株価に言及した場合、その目標株価はアナリストによる当該企業の業績予想に基づく
もので、期間は 6 カ月程度を想定しております。実際の株価は、当該企業の業績動向や、当該企業に関わる市場や経済環境な
どのリスク要因により、目標株価に達しない可能性があります。
このレポートで述べられている見解は、当該証券又は発行会社に関する執筆者の意見を正確に反映したものです。執筆者の
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ありません。
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としており、弊社の収入は主に東海東京証券から得ております。
【 金融商品取引法に基づく留意事項 】
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金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます。
東海東京証券の概要
商号等
:東海東京証券株式会社 金融商品取引業者 東海財務局長(金商)第 140 号
加入協会 :日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【 リスクについて 】
◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買等にあたっては、株式相場、金利水準等の
変動や、投資信託、投資証券、受益証券発行信託の受益証券等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、商品
等(裏付け資産)の価格や評価額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等が変動することによって損失が生じるおそれがあ
ります。
◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付け資産の発行者等の業務や財産の状況
等に変化が生じた場合、上場有価証券等の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利を行使できる期間に制限がありますので
ご留意ください。
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◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変化することにより、為替相場が円高になる
過程では外国証券を円貨換算した価値は下落し、逆に円安になる過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇することに
なります。したがって、為替相場の状況によっては為替差損が生じる恐れがあります。
※裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券等である場合には、その最終的な裏付け資
産を含みます。
※新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様のリスクがあります。
【 手数料等諸費用について 】
Ⅰ.国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等
国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手数料等は、次の通りです。
(1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く)
委託手数料の上限は、約定代金の 1.242%(税込)になります。
(2)国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等
委託手数料の上限は、約定代金の 1.08%(税込)になります。
※上記金額が 2,700 円(税込)に満たない場合には、2,700 円(税込)になります。
Ⅱ.外国金融商品市場等に上場されている株券等
外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます)の取引には、国内の取引所金融商品市場における外国株券等の売
買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引の 2 通りの方法があります。
(1)外国金融商品市場等における委託取引
①国内取次ぎ手数料
国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。
当該手数料の上限は、約定代金の 1.404%(税込)になります。
②外国金融商品市場等における委託手数料等
外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公課その他の諸費用が発生します。
当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載するこ
とはできません。
(2)国内店頭取引
お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法
で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差がそれぞれ原則として 2.75%(手数料相当額)となるように
設定したものです。当該参考価格には手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。
※外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動向をふまえて弊社が決定した為
替レートによるものといたします。
Ⅲ.その他
募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払い頂きます。また、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただく
ことがあります。
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