シーズ『生物の力を活かした環境保全型農業で付加価値ある農業生産を!』

生物の力を活かした環境保全型農業で付加価値ある農業生産を!
農
林
機
関
南九州大学
所
属
環境園芸学部 環境園芸学科 教授
水
産
業
研究者氏名 山口 健一 (やまぐち けんいち)
専門分野
植物保護・防疫学
関連分野
園芸学、造園学
食
品
製
造
・
加
工
関連URL
成
検索キーワード
有用微生物、糸状菌、雑草防除、農薬・肥料、環境保全、外来生物、バイオレメディエーション
分
分
析
どんな研究ですか?
保
農業現場では病害虫・雑草の発生によって収量や品質が低下し、経済的な損害が生じます。
特に南九州のような暖地では、外来種も含めて雑草や病害虫が大繁殖しています。これまでは、
除草剤など化学合成農薬を多用する防除法が実施されてきましたが、環境の保全や農産物の
安全性の観点から、自然界に生息する有用微生物を活用して栽培環境を修復(バイオレメディ
エーション)する研究に取り組んでいます。
一例として、水田雑草のヒエのみを枯らす「糸状菌」という
微生物があります。この糸状菌を培養し、耐久性をもった
「分生胞子」を作成して水田に施用することで、自然に近い形
で雑草が抑制できます。この方法なら合成農薬のように残留する心配がありません。
ほかにも、自然界には肥料成分のリンを土壌の中から集め、
作物に供給してくれる有用微生物も存在します。
いずれも、世界の多様な生物の中から作物生産に役立つ
雑草のヒエを選択的に枯らす
ものを見つけ、植物の栽培環境での活用を図っています。
存
・
輸
送
資
材
そ
糸状菌の分生胞子
の
どんな活用が考えられますか?
病害虫や雑草の防除法は、化学合成農薬以外にも様々な手段があり、例えば生物農薬など
の有用微生物は付加価値の高い有機農産物や特別栽培農産物の栽培にも適用できます。安
全・安心という付加価値を持った農産物を生産していくうえで、我々の研究がお役に立てる面は
多いと思います。
また、作物生産だけではなく、公園の植物や緑地、街路樹における環境保全型の管理法にも
応用できます。
農業生産者や農業関係者の方はもちろん、研究機関、行政、農薬・肥料メーカーといった
方々との連携が可能だと思います。
メッセージ
我々の研究は、「作物の栽培環境を総合的に管理する(ICM)」という観点から取り組んでおります。
「病害虫や雑草を皆殺し」ではなく「経済的な被害水準以下で管理」する技術に関心がある方は是非
ご相談ください。
特許情報
特許2962748「ドレックスレラ属菌又はその代謝産物を含有する雑草防除剤及び雑草防除方法」他
他