調 査 速 報 浜銀総合研究所 調査部 産業調査室 2016.6.2 神奈川県の新設住宅着工戸数(2016年4月) 県内の住宅着工は回復局面への復帰をうかがう展開 ○2016 年4月の神奈川県の新設住宅着工戸数は増加傾向が続いた ・ 5月 31 日に発表された 2016 年4月の神奈川県の新設住宅着工戸数(季調済年率換算)は 前月比 8.3%増の 9.0 万戸と、2か月連続で増加した。同月の着工水準は、消費税率引き 上げ前の駆け込み需要によって着工が増加した 13 年後半を上回り、11 年5月以来の9万 戸台乗せとなった。 ・ 利用関係別にみると、まず持家系住宅については、4月の持家(注文住宅)の着工戸数が 前月比 14.0%増、分譲一戸建(建売住宅)が同 34.5%増、分譲マンションが同 23.5%増 となり、全ての住宅タイプで着工戸数が大幅増となった。建売住宅は在庫調整の一巡後、 販売サイドが持ち直しており、着工が増加しやすい局面となっている。分譲マンションは 横浜市鶴見区や茅ヶ崎市、海老名市で大規模マンションの着工があり、そのことが全体を 押し上げた。一方、同月の貸家の着工戸数は同 2.8%減となった。3か月後方移動平均で みたトレンドも前月を下回る形となったが、着工水準自体は引き続き高水準であり、貸家 への投資マインドの減退はみられない。 ・ 3月、4月と続いた住宅着工の持ち直しの背景として、日銀のマイナス金利政策に伴う住 宅ローン金利の一段の低下が、消費者の住宅取得マインドや、デベロッパー等の事業マイ ンドの好転に寄与し始めた可能性があり、県内の住宅着工は回復局面への本格的な復帰を うかがう展開となっている。ただし、6月1日に消費税率の再引き上げ時期の延期が正式 に表明され、16 年中に一定程度見込まれていた駆け込み需要が発生しないことから、当面 は、住宅取得需要の持ち直しにどの程度の勢いがあるかを慎重に見極める必要がある。 図表1 県内の住宅着工戸数(季調済年率換算)は約5年ぶりに9万戸台に乗せた 県内の新設住宅着工戸数(総計)の推移 季調済年率換算、千戸 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 前年同月比、% 140 120 100 80 60 40 20 0 ‐20 ‐40 ‐60 季節調整済年率換算戸数(左軸) 原数値の前年同月比(右軸) 10年 11 12 13 14 注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。 注2:太赤線は3か月後方移動平均値。 出所:国土交通省「住宅着工統計」 1 15 16 図表2 4月は持家系住宅の着工戸数の増加が続いた 分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数の推移 持家(注文住宅)の着工戸数の推移 季調済年率換算、千戸 季調済年率換算、千戸 24 24 22 22 20 20 18 18 16 16 14 14 12 12 10 10 10年 11 12 13 14 15 10年 16 11 12 13 14 15 16 15 16 貸家の着工戸数の推移 分譲マンションの着工戸数の推移 季調済年率換算、千戸 季調済年率換算、千戸 45 50 45 40 40 35 30 35 30 25 20 25 15 10 5 20 15 0 10年 11 12 13 14 15 10年 16 11 12 13 14 注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。利用関係別の着工戸数をそれぞれに季節調整しているため、 1ページの着工戸数総計の季節調整値とは必ずしも変動が整合しない。 注2:太赤線は3か月後方移動平均値。 出所:国土交通省「住宅着工統計」 担当:調査部 産業調査室 森翔太郎 TEL 045−225−2375 E-mail: [email protected] 本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が 信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。 2
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