神奈川県の新設住宅着工戸数(2017年1月)

浜銀総合研究所 調査部
2017年3月3日
調 査 速 報
神奈川県の新設住宅着工戸数(2017年1月)
6か月連続で増加トレンドを維持
副主任研究員
森 翔太郎
045-225-2375
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県内の住宅着工戸数は消費増税前の駆け込みピーク時に並ぶ
2017年2月28日に発表された17年1月の神奈川県の新設住宅着工戸数(季調済年率換算)は前月比2.0%
増の8.3万戸となった1。3か月後方移動平均値でみたトレンドは6か月連続で増加しており、水準として
も、同月の戸数は消費税率引き上げ前の駆け込み需要がピークだった13年7月と同水準であった。県内の
住宅着工は持ち直しが一段と鮮明になっている。
1月の着工戸数を利用関係別にみると、持家系住宅については、まず分譲マンションの着工戸数が前月
比87.5%増と大幅に増加した。また、分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数は同0.8%減とほぼ横ばいで推移
し、高めの水準を維持した。一方、持家(注文住宅)は浮揚感に乏しい動きが続いた。同月の着工戸数は
同2.8%増と4か月ぶりに増加したものの、小幅増にとどまり、3か月後方移動平均値でみたトレンドは低
下が続いた。なお、同月の貸家の着工戸数は同8.4%増と再び持ち直した。このところは一進一退ながら、高
い水準での推移となっている。
以上のように、県内の住宅着工は全体でみると持ち直しが鮮明だが、足元の着工をけん引しているの
が、販売市場が低調な分譲マンションと、供給過剰感が強い貸家であるという点に先行き不透明感があ
る。分譲マンションについては、販売低迷が長期化するなか、在庫が2011年以降の最多水準まで積み上が
っており、短期的な目線では市場の回復が見通しにくい状況となっている。貸家についても、ワンルーム
タイプを中心とした供給過剰感が強く、需給バランスの悪化が懸念される状況が続いている。こうしたこ
とを踏まえると、分譲マンションと貸家の着工がこの先も引き続き県内の住宅着工全体をけん引するとい
う姿は描きにくく、先行きを慎重にみる必要があると考えられる。
図表1 県内の住宅着工は持ち直しが一段と鮮明に
県内の新設住宅着工戸数(総計)の推移
季調済年率換算、千戸
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
前年同月比、%
140
120
100
80
60
40
20
0
‐20
‐40
‐60
季節調整済年率換算戸数(左軸)
原数値の前年同月比(右軸)
10年 11
12
13
14
15
16
17
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
1
2017年1月より、季節調整値に関して、推計に用いる期間に直前の1年間(2016年)を追加し、過去に遡って改定した。こ
のため、2016年12月以前の数値が前月までの調査速報と異なる点に注意されたい。
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図表2 分譲マンションの着工は大幅に増加、貸家の着工は高水準を維持
分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数の推移
持家(注文住宅)の着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
24
24
22
22
20
20
18
18
16
16
14
14
12
12
10
10
10年 11
12
13
14
15
16
10年 11
17
12
13
14
15
16
17
16
17
貸家の着工戸数の推移
分譲マンションの着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
45
45
40
40
35
35
30
25
30
20
25
15
10
20
5
15
0
10年 11
12
13
14
15
16
10年 11
17
12
13
14
15
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。利用関係別の着工戸数をそれぞれに季節調整しているため、
1ページの着工戸数総計の季節調整値とは必ずしも変動が整合しない。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜
銀総合研究所・調査部が信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証する
ものではありません。
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