調 査 速 報 神奈川県の新設住宅着工戸数(2016年8月)

調 査 速 報
浜銀総合研究所
調査部
産業調査室
2016.10.3
神奈川県の新設住宅着工戸数(2016年8月)
県内住宅着工は足踏み感が強まる
○2016 年8月の神奈川県の新設住宅着工戸数は3か月ぶりに減少
・ 9月 30 日に発表された 2016 年8月の神奈川県の新設住宅着工戸数(季調済年率換算)は
前月比 8.4%減の 7.3 万戸と3か月ぶりに減少した。県内の住宅着工は持家系住宅の低調
を映じて、足踏み感が強まっている。
・ 8月の着工戸数を利用関係別にみると、まず持家系住宅については、持家(注文住宅)が
前月比 7.2%減となったほか、分譲一戸建(建売住宅)が同 22.1%減、分譲マンションが
同 63.6%減となり、全ての住宅タイプで着工が減少した。注文住宅と建売住宅はこのとこ
ろ月々の振れ幅が大きいながらも大崩れはしていないが、分譲マンションの着工戸数は4
か月連続で減少し、同月の水準が 2010 年以降で最低を記録するなど、減速感が鮮明となっ
ている。この背景には、県内の新築マンション市場において、販売の低迷が長期化する中
で在庫が積み上がるなど、需給バランスの悪化が鮮明であることが考えられる。なお、16
年春先以降、建売住宅の販売にも減速感が出ており、分譲系住宅の着工戸数は今後も伸び
悩みが懸念される状況にある。
・ 一方、8月の貸家の着工戸数は前月比 22.4%増の 3.8 万戸(季調済年率換算)と2か月連
続の大幅増となり、同月に着工された総戸数の半数以上を占めた。県内の住宅着工動向は
貸家の着工が下支えする構図が鮮明となっている。ただ、県内の賃貸住宅市場に目を向け
ると、需要の持ち直しペースが緩慢な一方で供給圧力が再び強まっているため、需給バラ
ンスが悪化しやすい地合いとなっている。足元の着工水準がこの先も維持できるかどうか
には不透明感があり、秋口以降の貸家着工の方向感は下向きとなる可能性がある点に注意
が必要であろう。
図表1 8月の県内の住宅着工は足踏み感が強まる
県内の新設住宅着工戸数(総計)の推移
季調済年率換算、千戸
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
前年同月比、%
140
120
100
80
60
40
20
0
‐20
‐40
‐60
季節調整済年率換算戸数(左軸)
原数値の前年同月比(右軸)
10年
11
12
13
14
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
1
15
16
図表2 8月は貸家の着工が大幅増も、持家系住宅は総じて低調であった
分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数の推移
持家(注文住宅)の着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
24
24
22
22
20
20
18
18
16
16
14
14
12
12
10
10
10年
11
12
13
14
15
10年
16
11
12
13
14
15
16
15
16
貸家の着工戸数の推移
分譲マンションの着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
45
50
45
40
40
35
30
35
30
25
20
25
15
10
5
20
15
0
10年
11
12
13
14
15
10年
16
11
12
13
14
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。利用関係別の着工戸数をそれぞれに季節調整しているため、
1ページの着工戸数総計の季節調整値とは必ずしも変動が整合しない。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
担当:調査部 産業調査室 森翔太郎
TEL 045−225−2375
E-mail: [email protected]
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が
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