神奈川県の新設住宅着工戸数(2016年11月)

浜銀総合研究所 調査部
2016年12月28日
調 査 速 報
神奈川県の新設住宅着工戸数(2016年11月)
持ち直しが続いている
副主任研究員
森 翔太郎
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2016 年 11 月の神奈川県の新設住宅着工戸数は増加が続く
12 月 27 日に発表された 2016 年 11 月の神奈川県の新設住宅着工戸数(季調済年率換算)は前月比 9.2%
増の 9.0 万戸となった。3か月後方移動平均値でみたトレンドも4か月連続で増加しており、県内の住宅
着工動向は持ち直しが続いている。同月は持家系住宅の着工が概ね高水準を維持したほか、貸家の着工が
増加したことが着工全体を押し上げた。
11 月の着工戸数を利用関係別にみると、まず持家系住宅については、単月の動きは全体的に下向きとな
ったものの、分譲住宅を中心に高水準を維持した。特に分譲マンションは、横浜市中区で 1,000 戸超の大
規模マンションが着工されたことが着工戸数全体を下支えし、前月並みの高水準となった。一方の分譲一
戸建(建売住宅)についても、単月の動きとしては2か月連続の減少となったものの、3か月後方移動平
均値でみたトレンドは引き続き上向きを維持した。この3か月後方移動平均値の水準は 2013 年終盤の消費
税率引き上げ前と同程度まで回復しており、高水準の着工が続いている。なお、建売住宅の販売サイドに
目を向けると、在庫の増加や価格の上昇に引き続き注意が必要だが、成約動向には足元で持ち直しの兆し
が現れている。他方、持家(注文住宅)の着工戸数は前月比 2.3%減となった。動きは一進一退ながらも、3
か月後方移動平均値でみたトレンドは底堅い推移となっている。
一方、11 月の貸家の着工戸数は前月比 13.3%増と3か月ぶりに増加した。ただ、秋口以降の頭打ち感を
払拭するほどの勢いはなく、3か月後方移動平均値でみたトレンドは下向き始めている。同月の増加は貸
家建設需要の底堅さを改めて示すものであったと言えようが、一方で供給過剰感の高まりを背景に賃貸住
宅事業の先行き不透明感は強まっており、貸家着工の増加基調が続く公算は小さいと考えられる。この先
の貸家着工は引き続き高水準を維持しつつもピークアウト感が強まる展開となろう。
図表1 県内の住宅着工は持ち直しが続く
県内の新設住宅着工戸数(総計)の推移
季調済年率換算、千戸
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
前年同月比、%
140
120
100
80
60
40
20
0
‐20
‐40
‐60
季節調整済年率換算戸数(左軸)
原数値の前年同月比(右軸)
10年
11
12
13
14
15
16
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
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図表2 11 月は分譲マンションの着工が高水準を維持。貸家の着工も持ち直した
分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数の推移
持家(注文住宅)の着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
24
24
22
22
20
20
18
18
16
16
14
14
12
12
10
10
10年
11
12
13
14
15
10年
16
11
12
13
14
15
16
15
16
貸家の着工戸数の推移
分譲マンションの着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
45
50
45
40
40
35
30
35
30
25
20
25
15
10
5
20
15
0
10年
11
12
13
14
15
10年
16
11
12
13
14
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。利用関係別の着工戸数をそれぞれに季節調整しているため、
1ページの着工戸数総計の季節調整値とは必ずしも変動が整合しない。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜
銀総合研究所・調査部が信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証する
ものではありません。
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